静脈学
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28 巻 , 1 号
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原著
  • 小窪 正樹, 野坂 哲也, 高橋 佳史
    2017 年 28 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2017/02/13
    公開日: 2017/02/13
    ジャーナル フリー

    近年,レーザー治療の普及に伴い,大伏在静脈(GSV)高位結紮術の再発抑止効果を疑問視する報告がある.われわれは,以上の問題は分枝切除範囲が狭いことにあると考え,新しい高位結紮術Avulsion Technique法を考案した.【対象と方法】対象はGSV静脈瘤180例214肢.本法はGSVを結紮離断後に中枢側断端を牽引挙上し分枝を順次露出.近位側は結紮するが,遠位側は結紮せず可能な限り長く引き抜き抜去する方法である.術後3日目に,鼠径部創を中心として半径15 cm以内の出血斑の面積割合を目視にて判定,評価した.【結果】Avulsion Techniqueにより1分枝当たり10 cm以上の抜去が可能であった.出血斑面積は10%以下が大部分を占め,血腫を生じることもなく,術後疼痛等の問題もみられなかった.【結論】本法は,皮下出血も少なく安全な手技である.また,鼠径部再発の抑止効果が期待される.

  • 中村 和美, 村山 剛也, 遠藤 仁
    2017 年 28 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2017/02/24
    公開日: 2017/02/24
    ジャーナル フリー

    2014年6月より下肢静脈瘤に対する血管内高周波焼灼術(RFA)が保険適応となった.当院でも同年9月より導入,2015年12月末までの症例358例513肢について治療成績の検討を行った.機器はCovidien社製ClosureFASTを用いた.全例日帰り手術で行い,TLA麻酔とpropofolによる鎮静を併用した.術後は1日目,1週間後,1カ月後,3カ月後,6カ月後,1年後に視触診と超音波検査を行った.EHIT Class1について発生時期と存在期間について分析を行ったところ,全体の19.8%に認められたが,その殆どは術後1カ月以内に自然消失していた.またClass2を1.6%,Class3を0.2%に認め,そのうち1例は経過中に深部静脈血栓症および無症候性肺塞栓症を認めた.EHITの多くは自然消退する傾向がみられるが,血栓傾向の強い症例などでは直接作用型経口抗凝固薬の投与なども含め,細やかな経過観察が適当と考えられる.

  • 中井 義廣, 角瀬 裕子, 山口 剛史, 岡本 浩
    2017 年 28 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2017/02/24
    公開日: 2017/02/24
    ジャーナル フリー

    整形外科下肢手術例に対して,有症候性深部静脈血栓症(DVT)の発生の予防のためにエドキサバンを投与し,有症候性DVTに対する予防効果と安全性について検討を行った.対象としたのは,2013年3月から2015年12月までの間に行った整形外科下肢手術500例512肢で,全症例に対して術後にエドキサバンの投与を行った.著者らは,DVT診断の補助手段として,可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)値とDダイマー値の測定が有用であると報告しており,手術翌日にSFMC値と術後1週間目にDダイマー値を測定し,その動向から有症候性DVTの診断に有用であるかどうか検討を行った.術後Dダイマー値の再上昇が認められるものは,VTEの発生の可能性があった.有症候性DVTの発生は人工膝関節置換術(TKA)後に4.6%であり,股関節手術後に発生は認められなかった.有症候性DVT発生予防に対して,エドキサバンは有用であると思われるが,術後のリハビリテーション,フットポンプや弾力包帯による圧迫療法の併用も重要であると考えられた.また,エドキサバン投与により,出血などの有害事象は認められなかった.

  • 大森 啓充, 金岡 保, 山崎 雅美, 武居 浩子, 住元 了
    2017 年 28 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2017/03/16
    公開日: 2017/03/16
    ジャーナル フリー

    静脈血栓塞栓症(VTE)は重症心身障害児(者)(以下,重症児)の突然死の原因の一つと考えられるが,重症児におけるVTEの実態は明らかでない.われわれは16例の重症児において,下肢深部静脈血栓症(DVT)の検出頻度と部位,下肢筋内静脈の発達状態について下肢静脈超音波検査(US)を用いて検討した.その結果,下腿ひらめ筋静脈の最大径の平均値は1.6±0.5 mmであり,DVTが7例(43.8%)に認められた.血栓の存在部位はほとんどが総大腿静脈,大腿静脈であり,ひらめ筋静脈に血栓は存在しなかった.DVT形成を認めた重症児では有意にひらめ筋が薄かった.今回の結果から,寝たきり重症児ではDVT検出率が高いが,その発生部位は,一般的に長期臥床においてDVTの初発部位となりやすいひらめ筋静脈でなく,膝窩静脈より中枢側の静脈であることがわかった.文献値では,歩行獲得後の成人のひらめ筋静脈径平均値は6.7±1.8 mmであり,重症児ではより小さかった.重症児の下腿筋内静脈は一般成人と比し発達状態が悪く,DVTの発現様式の違いに関連している可能性がある.現在確立されたVTE診療ガイドラインは歩行獲得後の成人が対象であり,幼少期からの脳性麻痺などで移動能力が悪い寝たきり重症児には対応していない.今回の結果をふまえ,重症児特有の病態に即した新たな重症児対象のVTE診療ガイドラインの作成が必要と考えられる.

  • 坂本 一喜
    2017 年 28 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    重症のうっ滞性皮膚炎や皮膚潰瘍を伴っている場合,不全穿通枝を伴っていることがしばしばあり,その際には内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)が有効なことがある.2012年3月から2014年11月までに岸和田徳洲会病院で23例を日帰り手術として行った.麻酔は静脈麻酔+局所浸潤麻酔で手術を行い,平均年齢は61歳,臨床症状はC4が16例,C6が7例,併用手術は伏在静脈抜去18例,結紮術1例,硬化療法1例で全手術時間は平均74.5分であった.手術時に痛みで体動がある時はケタミンを7例で追加投与したが,他はプロポフォールの投与速度を調整するだけでコントロールできた.術後滞在時間は平均3時間4分で全員歩行して帰宅し,術後の鎮痛剤内服は平均2.8回であった.うっ滞性皮膚炎が強い患者には長時間の立ち仕事で多忙な人も多く,日帰りで行うことができれば治療の選択肢が増え有益と考えられた.

  • 相川 志都, 榛沢 和彦, 平松 祐司
    2017 年 28 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    周辺住民に甚大な被害をもたらした平成27年9月関東・東北豪雨による茨城県常総市鬼怒川決壊による水害ならびに,最大18万名にのぼる被災者が避難生活を余儀なくされた平成28年熊本地震においては,ともに指定避難所が発災後速やかに開設されている.平成16年新潟県中越地震の際に避難生活と震災関連死としての静脈血栓塞栓症の関係が指摘されて以降,さまざまな災害の避難所で深部静脈血栓症の検診が行われており,今回両災害の避難所でも血管エコーを用いた検診が行われた.各避難所を巡回し,希望者を集い生活スペースもしくは場所を借り,問診・血圧などの測定・血管エコー検査・弾性ストッキング配布を行った.災害大国と呼ばれる日本において避難所生活を必要とする大災害発生リスクは大変高く,減災の視点に立てば災害関連死の原因となる肺塞栓症を予防するための避難所検診は非常に意義深いと考えられた.

  • 武内 謙輔
    2017 年 28 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/14
    ジャーナル フリー

    変形性膝関節症(以下,膝OA)術後の深部静脈血栓症(以下,DVT)に対する治療効果を,ワルファリンと2種類の直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants; DOACs)で比較した.2013年5月~2015年12月に手術施行475例中術前にDVTを認めた21例を除き454例中171例(37.7%)にDVTを発症した.ワルファリン(55例:W群)・エドキサバン(98例:E群)・リバーロキサバン(18例:R群)の3群間で血栓の消失率・消失日数を比較検討した.血栓消失率はW群58.1%,E群78.6%,R群94.4%,平均消失日数はW群42.1日,E群25.6日,R群19.8日で,DOACsはいずれもワルファリンより血栓消失効果に優れていた.R群の1例に関節内出血を認めたがドレナージにて軽快,他の群では臨床的に問題となるような出血は認めなかった.膝OAのDVT治療でDOACsはワルファリンと比較して優れた治療効果を有しており,安全性の面でも使用しやすい.

  • 葛谷 明彦, 乙竹 聡, 田代 温, 武田 有記, 橋本 悠作, 立枩 良崇, 三浦 裕子, 佐藤 元美, 青山 功
    2017 年 28 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2017/04/19
    公開日: 2017/04/19
    ジャーナル フリー

    【はじめに】われわれはarteriovenous graft(AVG)作製術後の弾性腕スリーブを用いた圧迫療法を行うことによる患側上肢の浮腫の抑制や漿液腫の予防について検討した.【対象と方法】2011年5月から2014年12月の間に,当施設で行われたexpanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)グラフトによる前腕AVG作製術95例中,術後に弾性腕スリーブによる圧迫療法を施行したAS(+)群24例と施行しなかったAS(−)群15例を対象とした.術前および術後の手関節,前腕中央部,肘関節における前腕周囲径および漿液腫の合併の有無について検討した.【結果】AS(+)群ではAS(−)群と比較して術後の前腕周囲径は有意に小さかった.またAS(+)群は漿液腫の合併は無かったがAS(−)群においては2例発生した.【結語】弾性腕スリーブによる患側上肢の圧迫療法は,術後の浮腫の改善に有用であった.また漿液腫の合併も見られず,その予防の可能性があることが示唆された.

  • 後藤 均
    2017 年 28 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2017/05/08
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル フリー

    われわれは悪性腫瘍合併VTE患者のうち遠位型DVTの患者背景,経過や治療に対する結果を検討した.対象症例は2010年から2015年までの当科および循環器内科に紹介された悪性腫瘍を伴う新規VTE症例175例のうち,遠位型DVTの69例とした.このうちPE合併は15例(22%)であり,浮腫,疼痛などの有症状は16例(23%)であった.PEを合併した15例は全例に抗凝固療法が行われた.PE非合併例では有症状16例のうち13例に,無症状の43例のうち22例に抗凝固療法が行われた.経過中,19例に血栓の消失が見られ抗凝固療法を行った群に血栓の消失が多く見られた.また3例に血栓の進展(内2例はPE)が見られた.この3例はいずれも継続して担癌状態が続いていた.以上の経験から悪性腫瘍を伴う遠位型DVT症例に対しては担癌状態が続く間は抗凝固療法の継続が必要であると考えられた.

  • 杉山 佳代, 鈴木 隼, 小泉 信達, 佐藤 雅人, 荻野 均
    2017 年 28 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 2017/05/08
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル フリー

    精神疾患症例において,静脈血栓塞栓症が発症しやすいことが知られている.当院で肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)を行った慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)症例で精神疾患を合併していた症例について検討した.全30例のうち精神疾患症例は3例(10%)で,内訳は統合失調症2例(症例1, 2),双極性障害1例(症例3)であった.いずれも不動,長期臥床などの明確なエピソードはなかった.3例中2例に,血栓誘発作用との関連性が指摘されているセロトニン・ドーパミン受容体拮抗薬が投与されていた.全ての症例にPEAを施行し,全ての症例で肺高血圧は著明に改善した.精神疾患症例において術後死亡は無く,術後に心肺補助装置や気管切開を要した症例も無かった.しかし,3例中2例(67%)において術後せん妄がみられた.また,精神疾患非合併症例においても3例に術後せん妄を認め(11%),精神疾患症例と比較すると少ない傾向であったが,有意差は認めなかった(p=0.07).また,全てのせん妄症例とせん妄を認めなかった症例における循環停止時間に有意差は認めなかった(p=0.22).精神疾患の合併は術後のせん妄発症に注意する必要があるが,CTEPHの臨床経過やPEAの治療成績に有意な危険因子とはならなかった.

症例報告
  • 小畑 貴司, 髙木 晶
    2017 年 28 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    不全穿通枝(以下,IPV)が原因による下腿静脈瘤に対して,さまざまな治療法が施行されて報告されている.静脈瘤を穿刺してIPV流出部分を血管内焼灼して閉鎖した1例を経験したので報告する.症例は66歳女性.下腿の掻痒感と浮腫と静脈瘤で受診,右内果に色素沈着を認めた.右下肢静脈瘤はエコー検査の結果,大腿内側IPVが原因であった.治療希望され,下腿静脈瘤を穿刺してIPVには挿入せず大伏在静脈内にファイバーを留置し,IPV流出部分をレーザー照射で焼灼して閉鎖することで逆流を停止する方法を施行した.本法は,通常の下肢静脈瘤血管内焼灼術手技と変わらずに施行することができ,VCSS(venous clinical severity score)やエコー検査から治療効果も認められた.本法は多種多様な下肢静脈瘤の病状に対して,1つの治療手段となることが示唆された.

  • 武内 克憲, 長尾 兼嗣
    2017 年 28 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2017/02/03
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    症例は25歳男性,幼少時にKlippel–Trenaunay–Weber syndrome(KTWS)を診断,就職後22歳より右下腿に皮膚潰瘍が出現,他院で圧迫療法と過去2度の植皮が行われたが治癒しなかった.動静脈奇形(AVM)が一因と考えられ当科に紹介.右下腿は発赤,腫脹,熱感があり,脛骨面に広範な潰瘍を認めた.圧迫療法継続では改善せず,AVMに塞栓術を行う方針とした.CTと血管造影にてComplex-combined vascular malformationを診断,球状塞栓物質で初回は前脛骨動脈(ATA)領域,5カ月後ATA, 腓骨動脈領域に塞栓術を行った.創処置と圧迫療法継続で潰瘍は縮小,皮膚科で植皮を施行し治癒した.KTWSのAVM多発症例では保存的治療が多く,外科的処置は稀で根治困難である.AVMの塞栓術における塞栓物質の選択は,血管構築や血行動態に応じて使い分ける必要がある.球状塞栓物質はさまざまなAVMにおける有効性が報告され,その治療効果が期待される.

  • 光岡 明人, 鈴木 理仁, 笹栗 志朗
    2017 年 28 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    後腹膜線維症は炎症細胞浸潤や線維組織が動脈周囲に生じる疾患であり,尿路系や血管の閉塞を来すことがある.今回われわれは後腹膜線維症により外腸骨静脈狭窄を来し,下腿浮腫を呈した患者に対し,柴苓湯にて症状が軽快した1症例を経験した.症例52歳男性.突然,右下肢の腫脹が出現しCT, MRIにて右外腸骨動脈周囲に軟部腫瘤像を認め,外腸骨静脈を壁外性に圧迫していた.画像所見より特発性後腹膜線維症の可能性が高いと判断し,柴苓湯6 g/dayを開始した.4カ月後に浮腫の改善を認め,7カ月後に浮腫は消失した.画像所見上は外腸骨動脈周囲の肥厚性病変も軽快し,外腸骨静脈の圧排は解除され正常に拡張していた.

  • 橋山 直樹, 孟 真, 沖山 信, 阿賀 健一郎, 菅原 海, 益田 宗孝, 田邊 康宏
    2017 年 28 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は47歳女性.検診で施行された超音波検査で下大静脈内に可動性のある腫瘤を指摘され,精査の結果,右内腸骨静脈から下大静脈の全長におよぶ腫瘤を認めた.血栓症を疑い抗凝固療法を施行したが腫瘤に変化はなく,腫瘍播種,肺塞栓症の可能性があるため,手術適応となった.術前検査では開腹術のみで腫瘤摘出術が可能と思われたが,執刀前の経食道超音波検査で,腫瘤の一部が右心房壁に付着していることが判明した.そのため体外循環を併用,オクルージョンカテーテルで塞栓を予防しつつ,開胸・開腹術により腫瘤を起始部の上殿静脈から一期的に全摘出した.病理診断は静脈内平滑筋腫症であった.術後経過は良好で2年後の現在再発を認めず,経過観察中である.

  • 谷島 義章
    2017 年 28 巻 1 号 p. 65-67
    発行日: 2017/04/19
    公開日: 2017/04/19
    ジャーナル フリー

    症例は,69歳女性.左前腕尺側の腫瘤,疼痛を主訴に来院した.身体所見,画像所見などから,尺側皮静脈に発生した静脈性血管瘤を疑った.手術は,局所麻酔下に腫瘤の単純切除を施行し,静脈性血管瘤と確定診断した.病理所見上,静脈性血管瘤の内腔には凝血塊が充填し,一部には器質化した血栓がみられたほか,本来の静脈壁構造が保たれている部分は極一部のみで,ほかの静脈壁には著明な菲薄化が認められていた.この所見から,静脈周囲の支持組織の脆弱化が静脈性血管瘤の発生を助長し,拡大したものと考えられた.本症例のように血栓化を伴った静脈性血管瘤は,皮下軟部腫瘍と診断されることもあり,鑑別診断の一つとして考慮すべきである.また,血栓化を伴う静脈性血管瘤に関しては,症例に応じて外科的治療も必要と考える.

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