静脈学
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28 巻, 2 号
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原著
  • 北市 隆, 荒瀬 裕己, 川谷 洋平, 亀田 香奈子, 菅野 幹雄, 黒部 裕嗣, 藤本 鋭貴, 曽我部 仁史, 北川 哲也
    2017 年 28 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル オープンアクセス

    頸部・体幹部の巨大動静脈形成異常(arteriovenous malformation; AVM)の自験例の検討からAVMの治療戦略について考察した.対象の自験例は4例である.最初の2人は,24歳,32歳の青年期女性であり,前者は右頸部に手拳大のthrillのある腫瘤で右鎖骨下動脈,右椎骨動脈など多数の流入血管を持つAVMであった.短絡による心不全の増悪,脳血流盗血による失神発作を来したため(Schobinger臨床病期III~IV期),手術に踏み切った.術前1週ごと,計3回の流入血管のコイル塞栓術を施行後,AVMと右内頸静脈,右鎖骨下動静脈,右鎖骨,右第一肋骨と胸骨柄の一部を一塊に切除した.術後7年再発を認めない.後者は,右背部に17×15 cm大のthrillのあるAVMで,局所の熱感,疼痛,出血症状を認めた(III期).挙児希望がありエタノールによる硬化療法を施行し少し縮小したが,2年後に再び増大があり再度エタノールによる硬化療法を施行した.同様に一時的に軽快するが,腫瘤は徐々に増大傾向にある.残りの2人は,61歳,55歳の中年期男性で,両者とも骨盤内の内腸骨動静脈形成異常である.血尿は一過性で軽快し,心不全所見なく経過観察としている.AVMに対しては塞栓術を併用した全切除術を目標とするが,症状,病態,患者背景を考慮した治療戦略を立てることが肝要である.

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