静脈学
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29 巻 , 1 号
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原著
  • 白石 恭史, 八巻 隆, 孟 真, 佐戸川 弘之, 西部 俊哉, 山田 典一, 根本 寛子
    2018 年 29 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本邦における静脈性潰瘍に対する診療の現状を明らかにすることを目的として日本静脈学会会員が所属する施設へのアンケート調査を実施した.対象は平成28年1月から一年間の下肢静脈性潰瘍の初診患者とした.診断には超音波検査が94.4%に用いられ,静脈疾患受診者31,827例に対して513例が静脈性潰瘍と診断された.潰瘍の原因は一次性静脈瘤が497肢(84.7%)と圧倒的に多く,そのうち187肢に不全穿通枝が,27肢に深部静脈弁不全が合併していた.深部静脈血栓後遺症は29肢(4.9%),機能性慢性静脈不全が42肢(7.2%)であった.外科的治療はストリッピング術が89肢(23.2%),血管内焼灼術が282肢(73.4%)に,不全穿通枝に対する直達結紮切離術は55肢(28.9%),筋膜下内視鏡的穿通枝切離術は51肢(26.8%)であった.圧迫療法は専門施設受診前には44%で施行されておらず,受診後は94.1%に実施されていた.治療を受けた静脈性潰瘍520肢のうち平成29年3月末までに409肢(78.7%)が治癒した.

  • 新美 清章, 小山 明男, 川井 陽平, 秋田 直宏, 藤井 孝之, 榊原 昌志, 鶴岡 琢也, 高橋 範子, 杉本 昌之, 児玉 章朗, ...
    2018 年 29 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2018/02/08
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル フリー

    目的:今回DOAC(direct oral anticoagulant)導入後の深部静脈血栓症(DVT)の治療成績について検討.

    対象・方法:2015年1月から2016年12月までのDVT 39例(エドキサバン20例・リバーロキサバン9例・アピキサバン10例)を対象.

    結果:平均年齢66.4歳,平均観察期間は4カ月,担がん状態22例(56.4%),初期ヘパリン使用は5例であった.リバーロキサバン4例・アピキサバン5例で初期強化療法行った.血栓の縮小または完全消失はDVTで69%,肺塞栓症(PE)で88.9%であったが,DOACの種類・初期強化療法の有無で差はなかった.有害事象回避率は3カ月77.1%・6カ月70.1%で,出血イベント回避率は3カ月96.3%・6カ月87.5%であった.有害事象はすべて投与4カ月以内に発生した.

    まとめ:DVTに対するDOACでの治療成績は有効性・出血イベント回避率とも良好であり,第一選択として適切と考える.

  • 中井 義廣, 角瀬 裕子, 山口 剛史, 岡本 浩
    2018 年 29 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2018/04/06
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    【背景】静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism; VTE)の治療に直接的経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant; DOAC)が使用可能となり,VTEの治療法の選択肢が拡がった.そこで,3種類のDOACsを使用し,多少の知見が得られたので報告する.【対象と方法】エドキサバンを用いた29例29肢をE群,リバーロキサバンを用いた28例30肢をR群,アピキサバンを用いた8例8肢をA群として検討を行った.【結果】超音波検査法で,血栓が退縮するまで経過観察が行えたものは,E群14例,R群14例,A群6例であった.退縮までの時間はE群;27.3±4.5週,R群;7.5±1.5週,A群;6.8±2.0週であった.退縮までの時間は,R群とA群はE群より有意に短かった.R群とA群は有意差が認められなかった.【結語】DOACsによるVTEの治療はとくに問題なく行えた.リバーロキサバンとアピキサバンの血栓退縮効果は同等であった.いずれのDOACも,症例ごとに投与方法を選択することにより,安全に使用できると思われた.

  • 山本 尚人, 海野 直樹, 犬塚 和徳, 佐野 真規, 斉藤 貴明, 杉澤 良太, 片橋 一人, 矢田 達朗, 嘉山 貴文, 山中 裕太
    2018 年 29 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2018/04/02
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー

    【背景】有症状肺動脈血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE)は医療行為中に発症する重篤な合併症である.これまでわれわれが経験した有症状PTE症例を振り返り今後のさらなる予防対策を検討することを目的とした.

    【対象と方法】2005年以降に経験した静脈血栓塞栓症患者600例中有症状PTE患者75例を検討対象とした.PTE発症場所は院内と院外に分けた.手術や外傷後の症例(外科系)とそれ以外(非外科系)に分け検討した.

    【結果】院内38例(外科系23例,非外科系15例),院外37例(医療を受けていた患者22例,医療を受けていなかった15例).PTE重症度cardiac arrest 2例(死亡2例),massive 13例(死亡1例),sub-massive 18例,non-massive 42例.院内外科系症例の発症時予防状況は,抗凝固施行中3/23(13.6%),間欠的空気圧迫施行中16/23(72.9%),弾性ストッキング着用中20/23(90.9%)であった.院内非外科系症例の発症時予防状況は,抗凝固施行中なし,間欠的空気圧迫施行中2/15(13.3%),弾性ストッキング着用中2/15(13.3%)であった.

    【考察】術後PTE発症の多くは抗凝固療法未施行であり,時間が経過してからでも抗凝固予防を考慮すれば有症状PTEを減少させられる可能性がある.ただし,院内発症PTEをすべて予防できるわけではなく,患者と医療者でのリスクの共有が必要である.

  • 藤澤 康聡
    2018 年 29 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2018/04/18
    公開日: 2018/04/18
    ジャーナル フリー

    【背景】下肢静脈瘤術後には通常,弾性ストッキング等による圧迫療法が一定期間行われる.そこで今回,術後VFI(venous filling index)を体型別に検討し,圧迫療法継続の必要性を考察した.【対象と結果】2013年11月~2016年3月にストリッピング手術を行った一次性下肢静脈瘤871例1188肢を対象とした.術後一カ月のVFI(mL/sec.)は,BMI<18.5群:0.86±0.55, 18.5<BMI<25群:1.21±0.62, 25<BMI群:1.68±0.76で各群間に有意差がみられた.平均+2SDを超える症例が54肢あり,その内24肢(44.4%)に静脈逆流が存在した(深部静脈逆流6肢,不全穿通枝6肢,残存表在静脈の逆流12肢).【結語】術後VFIが体型別の平均値を大きく上回る場合,静脈不全残存による鬱血の遷延が懸念されるため,長期間の術後圧迫療法継続を検討するのが望ましい.

症例報告
その他(手術の工夫)
  • 高木 正剛, 高木 克典, 江口 智早, 橋口 麻夕子
    2018 年 29 巻 1 号 p. 21-23
    発行日: 2018/03/16
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    下腿全体に分布した静脈瘤(CEAP分類>C2の病変)に対して血管外科的処置を完全に施行する場合仰臥位より手術をはじめると腓腹部の小伏在静脈本幹への加療がしにくくなり体位変換を求められることもある.腹臥位で手術をはじめると小伏在静脈本幹・腓腹部の加療は容易となるが肥満者や下腿周径の増大した症例では前脛骨面・下腿外側・足関節部周辺の静脈瘤が対処しにくくなる.ここで膝関節部を屈曲することで下腿前面(前脛骨面・外側面)が広い正面視野となり手術が容易となる.われわれの施設では10年前より時々施行してきたが今回2016年9月より2017年9月までに施行した11例について報告する.なお他施設でも同様の工夫はされていると思われるが文献的に見出し得なかった.

地方会抄録
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