われわれは,肺塞栓症(PTE)の院内発症回避を目的に,多職種からなる深部静脈血栓症(DVT)予防チームを結成後,DVT予防プロトコルを策定し,全診療科にて運用した.当院のプロトコルは,16歳以上の患者の入院当日に看護師がWell’s score for DVTを用いてDVTの臨床的可能性を判定することから始まり,Well’s score≧2点(高確率)ならDVTを精査し,Well’s score≦1点(低確率)ならDVT発症リスク評価を行った後に予防対策を行う.プロトコル運用前後の9カ月間,約3,000名の患者を対象に後ろ向きに調査した結果,DVT診断率は運用前0.06% vs運用後0.56%(p=0.0017)とプロトコル運用後に有意に上昇した.一方,PTEの発症率には差がなかった.当院のDVT予防プロトコルとDVT予防チームによる多面的な介入はDVT診断率を上昇し,早期にDVT治療を行ったことで,PTEの未然回避に有用であった.
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