静脈学
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30 巻 , 1 号
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原著
  • 田代 秀夫, 井上 英昭
    2019 年 30 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2019/01/17
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル フリー

    下肢静脈瘤血管内焼灼術後の伏在–大腿接合部(SFJ: sapheno-femoral junction)近傍の静脈血栓:EHIT(endovenous heat-induced thrombosis)の予防に,焼灼直後にSFJ以下の大伏在静脈(GSV: great saphenous vein)と残存静脈瘤を枕子で圧迫固定することでstab avulsionせずに静脈瘤の治療を試みたところ,115例132肢において,EHITの発症はなく,2~3か月後に残存静脈瘤は,硬化療法にて根治しえた.大腿部に使用した圧迫枕子は,弾性包帯を巻くことで,皮膚圧迫圧は50 mmHg超となり,大伏在静脈を完全に閉塞しえた.焼灼術後にSFJ以下のGSVおよび下腿の残存静脈瘤に対して枕子を用いて圧迫固定するとEHITは回避され,stab avulsionなしでも,静脈瘤根治が可能であった.

  • 白杉 望
    2019 年 30 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2019/02/14
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    著者は下肢静脈瘤術前duplex ultrasound(DUS)により偶発的に見つかった末梢型深部静脈血栓症(incidental distal DVT: IDDVT)併存症例のうち,血栓性素因なく術前にIDDVT悪化のない症例に対し抜去術を施行,術前後でIDDVTの悪化なく,手術できたことを報告した.今回,IDDVT併存下肢静脈瘤症例で血管内焼灼術(ETA)が施行可能かを検討した.2017年6~12月に一次性下肢静脈瘤診断下に術前DUSを受けた患者は137例,8例に偶発的にDVTを認めた.DVTは大腿静脈壁在血栓1例,膝窩静脈器質化血栓1例,IDDVT6例.この6例の3カ月後DUS再精査ではIDDVT消失3例,不変2例,伸展1例.消失・不変の5例にETA施行.術後1カ月以内IDDVT増悪再燃はなかった.症例選択によりIDDVT併存・下肢静脈瘤症例に対するETAを安全に施行できる可能性が示唆された.

  • 伊從 敬二, 三森 義崇, 橋本 良一, 出口 順啓
    2019 年 30 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2019/04/05
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    本邦の内視鏡下穿通枝切離術(SEPS)は非駆血下でCO2を送気してtwo portで行う方法が普及したが術野不良な症例がある.一方,駆血下ではエスマルヒの使用で下腿筋群などの血液や間質液が排除されより広い筋膜下スペースが得られ良好な術野が期待される.駆血がSEPS術野を改善するか否かを検討した.【対象と方法】2015年12月~2017年12月のうっ滞性皮膚病変18例18肢に,非駆血下SEPSの直後に駆血下SEPSを行い切離した穿通枝数を術野の指標とした.下腿上部内側から2本の6 mm金属ポートを挿入しCO2を送気して,処理可能な穿通肢を全て切離した.一度ポートを抜去しエスマルヒを使用してタニケットで大腿部を駆血して同様の方法で穿通肢を追加切離した.【結果】切離した穿通枝は,非駆血下2.1±1.5本,駆血下1.1±1.2本,合計3.2±0.9本で有意に増加した(p<0.005).【結語】駆血はSEPS術野の改善に有効である.

  • 小田 勝志
    2019 年 30 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2019/04/24
    公開日: 2019/04/24
    ジャーナル フリー

    血管内レーザー治療(Endovenous laser ablation: EVLA)において,radial 2ring fiber(2RF)を用いた一期的tributary varices laser ablation(TVLA)を行ったので報告する.対象:2017年10~12月に下肢静脈瘤に対してEVLAを行った113例197肢210本を対象とした.GSV 181本,SSV 16本.方法:全例TLA下に施行.2RFにて本幹治療後,14 G穿刺針で穿刺しTVLAを行った.結果:TVLA(−) vs TVLA(+)で各指標を比較した.焼灼長(cm)43.0±18.0 vs 51.4±17.0,本幹焼灼時間(min)14.4±7.1 vs 16.6±7.3,総エネルギー (J) 1532±710 vs 1946±739, TLA (mL) 597±247 vs 888±277とTVLAで有意に大であった.TVLAは31.9%に行われ,穿刺回数2.6, 治療時間7.5分,総エネルギー624 J, TLA量は291 mL.出血や熱傷,神経障害はなかった.考察:2RFによるTVLAは簡便で本幹焼灼と同じファイバーを用いることでコストの削減ができ,瘤処理として有用な方法であると思われた.

  • 今井 崇裕
    2019 年 30 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2019/06/05
    公開日: 2019/06/05
    ジャーナル フリー

    全国の約4割の靴下は奈良県で生産され,現在奈良県は国内随一の靴下産地である.以上の背景から県下の会社と提携し,市販用のハイソックスタイプの着圧ストッキングを製作した.筆者らは圧迫療法の普及に向けた活動をNARAソックス・プロジェクトと題して昨年より行っている.製作した着圧ストッキングを着用し,前後の下肢周囲径の変化,下肢静脈還流の増加効果,使用感覚について検討した.その結果,着用後の下肢周囲径は減少する傾向が認められた.着用20分後における膝窩静脈の最高血流速度は増加する傾向があると思われた.薬事承認を受けた医療用ではないが,今回製作した着圧ストッキングは,健常者に対し下肢静脈還流の促進と深部静脈血栓症予防に効果的であると考えられた.

症例報告
  • 露木 肇, 犬塚 和徳, 佐野 真規, 斉藤 貴明, 片橋 一人, 矢田 達朗, 嘉山 貴文, 山中 裕太, 山本 尚人, 海野 直樹, 竹 ...
    2019 年 30 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2019/02/21
    公開日: 2019/02/21
    ジャーナル フリー

    症例は30歳代の男性.数年前にナイフによる左大腿部の刺傷歴があった.呼吸困難と左下肢腫脹を主訴に当科を受診した.胸部単純X線検査で心胸郭比72%,血液生化学検査でNT-proBNP 1005 pg/mLと上昇していた.造影CTおよび下肢血管造影では大腿中央部の浅大腿動脈–静脈の間で瘻孔が形成しており,左下肢静脈は早期に造影され,著しく拡張していた.外傷性浅大腿動静脈瘻(AVF)による高拍出性心不全と診断し,動脈側へのステントグラフト内挿術を行う方針とした.左鼠径部から順行性にアプローチし,造影で瘻孔部を確認したのち,同部を閉鎖するようにステントグラフト(GORE Excluder, PLC181000J, W. L. Gore & Associates, Inc, U.S.A)を留置した.最終造影で静脈が描出されなくなったことを確認して手術を終了した.術後7日目で下肢周径の左右差はなくなり,胸部症状も消失した.退院後の経過も良好である.四肢AVFに対するステントグラフト治療は低侵襲で有効な治療選択肢と思われた.

  • 平野 雅生, 鬼頭 浩之, 中谷 充
    2019 年 30 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2019/03/14
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー

    難治性下腿潰瘍の中で静脈鬱滞性潰瘍(C6)は頻度が高く女性・高齢者に多い.今回われわれは,感染を伴った難治性静脈鬱滞性潰瘍(C6)の症例を経験した.症例は66歳女性.数年前より近医にて下腿潰瘍の治療を受けていた.潰瘍に感染を来たし,当院を受診した.まず感染のコントロールを行い,その後腰椎麻酔下に大伏在静脈ストリッピング・不全交通枝結紮・瘤切除・潰瘍部デブリッドマンを行った.創部の状態が改善し植皮を行い治癒した.静脈鬱滞性潰瘍(C6)の治療には軟部組織の治療の専門家である皮膚科医・形成外科医と静脈疾患の治療の専門家である心臓血管外科医の協力による速やかな介入が重要と考えられた.

  • 谷島 義章
    2019 年 30 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル フリー

    症例は,66歳男性.2年前より手背の血管の腫脹を自覚し,徐々に拡張してきたため,当院外来を受診した.身体所見上,左手背に径30×15 mm程度,平滑・軟の静脈の拡張を認めた.血管超音波では,腫脹した血管の内部に血流を認め,単純CT(Computed Tomography)では,左中手骨間背側皮下に,周囲浸潤性のない平滑,明瞭,均一な腫瘤を認め,手背の静脈性血管瘤と診断した.手術は,静脈性血管瘤に連続する血管を結紮し切離したのち,血管瘤全体を遊離し完全に切除した.病理所見では,静脈奇形が中央の拡張した血管の外膜領域を取り囲んでいた.この病理所見から,弾性板の外側を中心に発生した静脈奇形が形態的に静脈周囲組織の脆弱化をもたらし,静脈性血管瘤が発生したものと考えられた.本症例を通して,血管腫脹の鑑別診断では,静脈性血管瘤には静脈奇形を伴う場合があることを考慮するべきであると考えられた.

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