粒子内部における潜像形成が, 露光量vs現像率 (現像可能な粒子数/全粒子数) のセンシトメトリー曲線の形状や粒子表面の現像中心分布に与える影響について, コンピューターシミュレーションを用いて研究した。高照度露光では現像率は露光量の増加に伴い単調に増加するのに対し, 超低照度露光の場合には, 現像率の増加が停滞する領域が認められた。この停滞域での現像率は, シミュレーション入力時に与えた粒子表面における潜像形成確率に一致する。また, 超低照度露光の場合, 粒子当たりの現像中心数としてある平均値が得られる時の現像中心分布は, 粒子表面と内部における潜像形成の競争によって増加する。これは, 更に高い露光を与えることにより, 求められる平均値に見合う量の現像中心が粒子表面に形成される過程が促進されるような低照度域では, 多重潜像核生成が起こっているためである。一粒子番たりに形成される潜像数の挙動を研究するために, 超低照度下での現像中心分布を実験的に調べる方法が用いられる場合がある。しかし, シミュレーションの結果から, このような実験は, 粒子内部での潜像形成が起こらない場合にしか有効ではないことが示された。また, 粒子内部における潜像形成の影響を測るためには, 一般に用いられる内部現像による評価ではなく, 低照度露光時の表面現像でのD
maxを用いるべきであることが示唆された。
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