日本写真学会誌
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57 巻, 5 号
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  • 3, 5-ピラゾリジンジオン
    金子 豊, 杉野 元昭, 朝武 敦
    1994 年 57 巻 5 号 p. 298-303
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    3, 5-ピラゾリジンジオン誘導体 (PZ) は, その構造式の4位に活性メチレンを有しているため, キノンジイミン (QDI) とのカップリング反応に期待が持たれる。そこで6種類のPZを合成し, カップリング反応性と生成色素 (PZ-Dye) の色調を検討した。これらは現在実用されているピラゾロン (PR) 系マゼンタカプラーとほぼ同じ速度でQDIとカップリング反応し, 生成した PZ-Dyeは PR-Dye と類似の分光スペクトル特性を示すことが分かった。また, PZの化学構造における置換基の立体効果を解析した結果, PZ環の1, 2位に存在するジフェニル基に置換した基により惹起される立体的な歪みは, PZのカップリング活性には好ましくはないものの, PZ-Dyeのスペクトルの特性には非常に好ましいことが示唆された。
  • 日置 孝徳, 稲垣 由夫
    1994 年 57 巻 5 号 p. 304-307
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    種々の近赤外シアニン色素の含水アセトニトリル中での塩化第二鉄または酸素による酸化速度が測定された。これらの酸化速度は, 色素の酸化電位が大きくなるほど, また色素の置換基のかさ高さが増すほど減少する。この2つの要因は互いに独立であるので, 近赤外増感色素にかさ高い置換基を導入することにより, 増感能力に大きな影響を与える酸化還元電位を変えずに, 酸化安定性を向上させることができる。
  • 加藤 和信
    1994 年 57 巻 5 号 p. 308-315
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ヒドラジン伝染現像を利用した超硬調システムは, メトールーハイドロキノンやフェニドンーハイドロキノンなどの超加成性現像主薬系と多量の亜硫酸塩を含む現像液が使えるため, 迅速性と安定性にすぐれ, 従来のリス現像に代わる印刷製版用写真感光材料として, 広く用いられてきている。富士フイルムSUPERGRANDEXシステムで開発された “ミクロ現像抑制技術” は, この迅速性と安定性に加えてさらに高画質を付与することを可能にした。この技術は, 1) 上記現像液系で機能するレドックス放出機構, 2) 造核現像を選択的に抑制する抑制剤, 3) 現像液に溶出した後の抑制剤の不活性化機構, 4) Dmaxを保って隣接部を効果的に抑制する感材設計を含んでいる。本報ではこれらの技術の概要を報告する。
  • 小林 英俊, 御林 慶司
    1994 年 57 巻 5 号 p. 316-322
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    我々は, 1-ナフトールの5位にアミド基を有する新しいタイプの1-ナフトール型シアンカプラーを開発した。このカプラーは優れた発色性能を有し, また熱や2価の鉄イオンによる還元に対して安定な色素を与えた。これらの色素の安定性は1-ナフトール型シアンカプラーの色素に比べて顕著に低い還元電位により説明された。
    5-アミド-1-ナフトール型シアンカプラーの色素の分光吸収特性に関して, PPP-CI計算により解析した。ブルー領域の望ましくない第二吸収はnext HOMOからLUMOへの電子遷移に帰属され, 5位アミド基置換体に本質的な吸収であることが示された。
    第二吸収の色補正を目的に, 水溶性のピリドンアゾ染料をカップリング反応により脱離する新しいタイプのイエローカラードシアンカプラーを開発した。
  • 三輪 卓司, 上野 真秀, 武田 剛
    1994 年 57 巻 5 号 p. 323-332
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    カラー写真の画像形成色素として最近開発,使用されている色素4種の電気化学的挙動を,アセトニトリル溶媒中と,これにプロトン供与体としてメタノールを添加した溶媒中で,固定電極上でのサイクリックボルタンメトリーと回転ディスク電極を用いたボルタンメトリーにより調べた。酸化波として2つの波が観測される。第1は,準可逆な酸化第1段階の波である。第2は,ほぼ不可逆または可逆性の低い準可逆的な酸化第2段階の波である。またこの挙動は,メタノヤルを添加しても基本的には変化しない。還元波は,アセトニトリル中では可逆性の低い準可逆,またはほぼ不可逆な波である。この外に,ロイコ色素の酸化が弱く観測される。この場合,ロイコ色素は,色素のアニオンラジカルとアセトニトリル中に不純物として混在する水との反応によって生成されると推定される。これは,以下の事実によって確認される。メタノールを添加した場合には,還元波は不可逆な,ブロードな波となり,これに対応してロイコ色素の酸化波が強くなる。ロイコ色素の生成機構は以下の様であると推定される。まず色素の1電子還元によってアニオンラジカルが生成され,このラジカルは,プロトンと反応して中性ラジカルになる。この中性ラジカルは,1電子還元されてアニオンになる。このアニオンはプロトンと反応してロイコ色素が生成される。つまり,ロイコ色素は,ECEC型の2電子過程で生成されると推定される。また,中性ラジカルの還元電位は,色素の還元電位と接近しているが,僅かに卑側にあると推定される。
  • 小林 英俊, 古屋 和彦, 塚原 次郎
    1994 年 57 巻 5 号 p. 333-339
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    2-ウレイドフェノール型シアンカプラーの発色色素のクロロホルム溶液を用いた1H NMRスペクトルにおける濃度依存性の解析, 及び蒸気浸透圧計 (VPO) による分子量測定による状態解析から, 該色素がheadtohead型の二分子会合構造をとることが示唆された。
    発色色相は主に溶媒の電子供与度に影響され, 溶媒の電子供与度が大きいほど浅色シフトした。この現象は, 溶媒による色素の会合の阻害により説明された。
    鍵谷らのΔυDが溶媒の電子供与度の尺度として有用であることがわかった。
  • 田口 敏樹, 中峯 猛, 河田 憲, 平井 博幸
    1994 年 57 巻 5 号 p. 340-343
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ROSET色材を用いたピクトロカラーシステムは, 処理液を全く使用することなく, 十数秒という短時間で画像を得ることが出来る画期的な画像形成システムである。この画像形成反応のキーテクノロジーの一つは, 迅速な銀現像反応であり, 内蔵された現像主薬がこれを可能にしている。現像主薬内蔵の最大の問題点は生保存性である。筆者らは, 現像主薬の固体分散技術と徐放性プレカーサー技術の開発により, この問題を解決した。
  • 北 弘志, 金子 豊
    1994 年 57 巻 5 号 p. 344-348
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ピラゾロトリアゾールマゼンタ色素 (PT色素) の会合エネルギーを測定するために, PT色素でシリカゲル表面を化学修飾した新しいHPLC用固定相を合成した。この固定相を用いることにより, 有機溶媒 (HPLCの展開溶媒) 中におけるPT色素の自己会合エンタルピーを測定することができ, その大きさは約2.3kcal/mo1であると見積もられた。またCD-3に由来するスルホンアミド基を含有するPT色素の会合には, この基の影響がかなり大きいことが示唆された。
  • 田中 真理, 川島 保彦
    1994 年 57 巻 5 号 p. 349-352
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ピラゾロトリアゾールアゾメチン色素 (PT1-PT7) の会合性を1HNMRスペクトルを用いて解析した.色素分子の会合によってプロトンの環境が変化し, その化学シフトは高磁場シフトした.化学シフトの濃度依存性から最大勾配法によって会合数を求めた.色素は多分子会合するもの, 二分子会合するもの, 殆ど会合性を示さないものがあった.二分子会合するPT2, PT3の平衡定数 (logK) は重クロロホルム中293Kに於いて各々2.31, 1.48であった.
  • 池洲 悟, 小林 裕幸, 田貝 秀文, 金子 豊, 大川 祐輔, 大野 隆司
    1994 年 57 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    5種の異なった基本骨格を有する7種の新規なシアンカプラー, ピラゾロピリミジンー7-オン (1a, 1b), ピラゾロピリミジンー5-オン (2a, 2b), ピラゾロキナゾロン (3), ピラゾロトリアジンー7-オン (4) およびイミダゾピリミジン (5) を合成した。これらの酸解離定数は滴定法により, カプラーアニオンの酸化電位はサイクリックボルタモグラムから, また均一溶媒中でのキノンジイミンとのカップリング速度は分光電気化学法により求めた。その結果, カップリング速度がカプラーアニオンの酸化電位と高い相関性があることが分かった。
  • 1994 年 57 巻 5 号 p. 367
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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