日本写真学会誌
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58 巻, 1 号
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  • 伊藤 政人, 大川 祐輔, 小林 裕幸, 大野 隆司, 加藤 孝世
    1995 年 58 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報では, DSCとWAXDによるゼラチン・ゲル構造の実験的研究を述べる。我々はpH=5.0, pH=5.3, pH=5.7, pH=6.3のゼラチン水溶液を調製し, このpH域で粘度及びゼリー強度がpHに依存している事を観察した。これを温度履歴 (温度・時間) 管理の下で, ゼラチン水溶液をゲル化させてDSCを測定, 及びゲル化・乾燥させてWAXDを測定した。その結果, 結合部の3本鎖のピッチはいずれのpHにおいても変わらないことが判り, 3本鎖の凝集体の密度のpH依存性がゼリー強度のpH依存性と対応しているように観察された。
  • 鐘ケ江 穣, 大川 祐輔, 小林 裕幸, 大野 隆司
    1995 年 58 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    我々は超音波照射によりゼラチンの分子量分布を調整し, これによりゼラチンの物性をコントロールする事を目的として研究を行ってきた。これまでに, 分画したゼラチンの各成分の超音波による分解過程は一次反応であることを明らかにしたが, 複数の成分が共存するゼラチンにおいて, ある成分の分解過程に対して他の成分がどのように影響するかは明かではなかった。
    今回我々はアルカリ処理ゼラチンを分画することによりほぼ純粋にH成分のみを含む試料と, H及びγ成分が混在する試料を調製してこれに超音波を照射し, H成分の分解過程を解析することで, 共存する成分がH成分の分解速度に及ぼす影響を調べた。その結果, H成分の分解速度定数はH成分及び共存する他の成分の個々の濃度には関係なく, 試料ゼラチンそのものの濃度によって決まることが判明した。また, これはγ成分についても同様であること, 原料及び工程の異なるいくつかのアルカリ処理ゼラチンのH成分についても成り立つことがわかった。
  • 青柳 象平, 後藤 俊之, 山本 伸一, 石川 敏雄
    1995 年 58 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化銀に対するゼラチンの選択的吸着を電気泳動的に検討した際, 指標とした泳動バンドの挙動に疑問点があったので, その追跡を行った。1つのゼラチン溶液を, 次々に新しい臭化銀に吸着させて行き, それぞれの臭化銀に吸着した成分の電気泳動図を見ると, 問題のバンドは吸着回数と共に減衰し, 5回目の吸着で消失した。したがって,'このバンドを与えるポリペプチドは元ゼラチン本来の成分であり, 臭化銀との接触により長鎖のゼラチンから生じたものではないことが明らかになった。このポリペプチドの吸着は実験条件下, 選択的であるが定量的ではない。
  • 谷 貞子, 谷 威廣
    1995 年 58 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ゼラチン中のメチオニンの酸化について, 酸化剤に過酸化水素を用いて研究した。メチオニンと過酸化水素は1対1で反応し, 酸化反応はそれぞれの濃度に比例する2次反応であった。反応速度定数, 活性化エンタルピー (ΔH), 活性化エントロピー (ΔS) を求めた。ΔH=52kJ・mol-1 (pH5.5), ΔS=-110J・mol-1・K-1 (pH5.5) であった。これらの値が, 低分子たんぱく質中, あるいはフリーのメチオニンでの値と同等であることから, ゼラチン中のメチオニンは主鎖の影響を受けず, 自由に反応できる状態にあると, 推測された。
    フリーのメチオニンの酸化は, pH5よりpH8.5でより速く進むが, ゼラチン中のメチオニンの酸化速度はpH5~8.5の範囲で同程度だった
  • 鈴木 啓仁, 森多 浩三, 西尾 敏一
    1995 年 58 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ゼラチンの官能基の物理抑制性に対する影響の検討を行った。官能基はゼラチンの化学修飾により変化させた。すなわち, アミド化反応によりカルボキシル基を減少させ, フェニルカルバミル化, フタル化, トリメリト化によりアミノ基を減少, カルボキシル基を増加させた。
    物理抑制度はアミド化率の上昇 (カルボキシル基の低下) に伴い上昇し, カルボキシル基の上昇に伴い低下した。また, フェニルカルバミル化によるアミノ基の低下に伴い物理抑制度は若干上昇を示した。これに伴いカルシウムイオンの物理抑制作用も変化した。
  • 大野 隆司, 大川 祐輔, 上原 英誉, 江島 顕, 小林 裕幸, 甘利 武司
    1995 年 58 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    振動ロッド型レオメータにより, ゼラチンゾルがゲル化する過程を80Hzにおける動的粘性, 剛性の測定で追跡した。冷却に伴い, 系の粘性率, 剛性率ともある温度から急激に増加したが, 粘性率の増加の始まる温度は剛性率の増加の始まる温度より高かった。剛性率の増加の始まる温度が巨視的なゲル化に対応すると考えた。ゲル化過程をパーコレーション模型に基づいて考察した。
  • 青柳 象平, 久保田 将嗣, 石川 敏雄
    1995 年 58 巻 1 号 p. 35-37
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    酸処理豚皮ゼラチンから温度を段階的に変えてゾル成分を抽出し, 円二色性 (CD) を測定した。測定温度が十分に低ければ221nmに正の極大が見られるが, 測定温度が試料の抽出温度に近づくとCD値は負に転ずる。このことは, それぞれの成分の, CDに見られる規則構造が温度の上昇と共に崩壊し, それらの成分が順次 “ゾル成分” として抽出可能になることを示している。
  • 桑葉 くみ子, 藤井 忠彦
    1995 年 58 巻 1 号 p. 38-40
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    2M尿素を含むドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動において, III型コラーゲン由来α 鎖は, 石灰法ボーンゼラチン (DGF/ST 66419, K14516) では検出されなかったが, 石灰法ハイドゼラチン (DGF/ST 66473, K14489) およびアルカリ可溶化コラーゲンで検出された。これは石灰法ハイドゼラチンにIII型コラーゲン由来成分が存在することを示した初めての報告である。
  • 安井 三雄
    1995 年 58 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Gelatin is a hopeful material with many useful features. In order to develop highly advanced materials, many workers have studied on graft polymerization of vinyl monomer onto gelatin under the presence of aqueous initiator.
    In this paper, it was tried to esterify carboxylic groupes of aspartic and glutaric acid residues in a gelatin with allyl alcohol. The resulting protein (allylated gelatin) was proved to be esterified with allyl alcohol and to cause graft polymerization mediated by its allyl groupes in the protein with styrene monomer on polylactic acid film to result a great vareityof gelatin/synthetic polymer conjyugates by action of radical initiator in organic solvent.
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