日本写真学会誌
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59 巻, 3 号
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  • 1996 年 59 巻 3 号 p. 385-417
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 啓仁, 森多 浩三, 大塚 龍郎
    1996 年 59 巻 3 号 p. 418-427
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    加熱分解したゼラチンの物理抑制度のpH依存性について検討を行なった。また, 加熱分解中に発生する熱凝固性物質, 遊離アミノ酸, 及び写真活性不純物の変化による物理抑制度への影響について検討を行なった。
    ゼラチンの加熱分解による低分子化に伴い, 物理抑制度は上昇する事が明らかになった。この変化は熟成pHが高いほど顕著であった。但し, pH4熟成においてはカルシウムイオンが共存する場合, 物理抑制度は低下する事が分かった。
    これらの変化は, 従来より提唱されてきた写真活性不純物 (核酸, チオ硫酸塩等) の影響ではなく, 加熱分解によるゼラチン分子の荷電変化による影響が大きい事が示唆された。また, 加熱分解による物理抑制度変化はゼラチン分子の荷電変化の影響によるものだけではなく, 他の不確定要素もこれに関与している事が明らかとなった。
  • 川崎 三津夫, 猪熊 久夫
    1996 年 59 巻 3 号 p. 428-434
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化された高配向Ag (111) 薄膜上に自己凝集法により均一に吸着させた単純シアニン色素の二次元J凝集体に対して, pおよびs偏光を用いて角度分解反射スペクトルを測定した。観測されたJバンド験度の入射角依存性は入射光とAg (111) 薄膜からの反射光の干渉により生成する合成電場が色素分子の基板麦面に平行な遷移モーメントと相互作用するという仮定に基づいて定量的に説明できる事がわかった。さらここの干渉効果を補正することにより, 見かけの反射吸光度から銀薄膜上の二次元J凝集体にたいするモル及光係数 (半値幅約15nmのJバンドのピークにおいて5.0×108mol-1cm2) を算出した。
  • 森村 公保, 御舩 博幸
    1996 年 59 巻 3 号 p. 435-438
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    硫黄増感した臭化銀八面体粒子 (平均投影面積相当円の直径0.2μm) からなる乳剤の拡散反射スペクトルを測定することにより, 硫黄増感中心は520nm付近をピークに760nmに至る光吸収帯を, 一方かぶり中心は500nmから780nmを越える長波長側の領域にわたって平坦な光吸収帯を持ち, 両者を分離して観測できる事を初めて見いだした。これらの光吸収の分析から増感中心とかぶり中心の生成の活性化エネルギーがそれぞれ32.0 kcal/molおよび39.8 kcal/molと求まった。増感中心生成の活性化エネルギーはRidgewayとHillsonが写真感度から求めた値に近かった。
  • 大川 祐輔, 松田 浩之, 井口 恭, 小林 裕幸, 大野 隆司
    1996 年 59 巻 3 号 p. 439-443
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ゼラチン水溶液の冷却に伴うゲル化過程を振動ロッド型レオメータによる動的粘弾性測定と示差走査熱量測定 (DSC) によって検討した。ゾルを冷却していくとある温度で粘性率の上昇がおこり, さらに冷却が進行すると剛性率の上昇がおこった℃ この現象は, ゼラチンの種類や濃度, 冷却速度によらず観察された。粘性率の上昇は分子間相互作用の増大による分子間架橋の形成開始に対応し, 剛性率の上昇は架橋の増加によってゲルネットワークの大きさが発散する現象に対応すると考えた℃ この様子はパーコレーション転移模型によってよく説明できた。粘弾性測定と同条件下でのDSCでは発熱ピークが観測された。ピークの立ち上がり温度は粘性率の増加の始まる温度とほぼ一致した。この発熱は水素結合による架橋形成に対応すると考えられるので, この温度で粘性率の上昇が始まるのは妥当である℃ゲル化挙動の濃度依存性では, 2wt%程度以下では急激にゲル化温度が低下した℃これはこの濃度域程度から分子内架橋形成がおこりはじめ, ゲルネットワークが形成されにくくなるためであり, この濃度域を境にゲル構造が変化すると考えられる。
  • 浅沼 浩之, 谷 忠昭
    1996 年 59 巻 3 号 p. 444-450
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化銀に吸着した色素を脱着できる無色の吸着剤として多孔性架橋ポリスチレン樹脂を見いだし, 色素の脱着過程を解析する手法を確立した。これをJ会合性色素の臭化銀粒子からの脱着過程の解析に適用することで以下の知見を得た。
    1) 色素の脱着速度は0次の速度式に従い残存吸着色素量に依存しなかった。
    2) J会合体のサイズの増大に伴い, a) 脱着速度の低下, b) 脱着の活性化エネルギーの増大, c) 吸着熱の増大が認められ, J会合体の成長による色素吸着の強化を定量的に把握することができた。
    3) 脱着の活性化エネルギーと吸着熱から乳剤中の種々の状態の色素のエネルギー準位図が求められ, 吸脱着の繰り返しによるJ会合体の成長機構が支持された。
  • 松島 良華, 鈴木 直志, 浜田 祐介, 森岡 元信, 中津 和三
    1996 年 59 巻 3 号 p. 452-456
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシカルコン誘導体の光着色反応性を種々の溶媒中で比較した。今まで溶媒として汎用していた, 酢酸や水, 及びアルコール等はしばしば反応性を低下させることが分かった。また, 溶媒条件により4'位にアミノ置換基をもっ誘導体についても0.3前後の量子収率が得られた。中性溶媒中の光反応と後続の酸触媒暗 (熱) 反応を別々に検討した結果, 着色反応は, カルコンのtrans-cis光異性化, ついでcis体の酸触媒暗反応による環状アセタールの生成, さらにアセタールの脱水によるフラビリウムイオンの生成, を経ると考えられる。
  • 名越 応昇, 吉田 学, 津田 統, 紙 英利, 小林 範久, 廣橋 亮
    1996 年 59 巻 3 号 p. 457-464
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    カルバゾリル基を側鎖に約50%導入したポリペプチド (ポリ {γ-[β-(N-カルバゾリル) エチル]-L-グルタメート/メチル-L-グルタメート} コポリペプチド) (PC50LG) を合成した。このポリペプチドにシアニン色素を分散させることによりα-ヘリックスに相当するモル楕円率の増加が認められた。側鎖カルバゾリル基のカルバゾール環のπ電子とシアニン色素の共役π電子との相互作用による主鎖構造または側鎖配向性の変化に基づくものと考えられる。シアニン色素の吸収領域においても誘起円偏光二色性 (ICD) が認められ, しかもこのICDの形状, 大きさはシアニン色素のメチン鎖長に大きく依存した。これらの結果とシアニン色素分子長ならびにPC50LGの推定分子構造から, シアニン色素はポリペプチドのα-ヘリックス上でカルバゾリル基と相互作用し, シアニン色素の鎖長に依存したコンフォメーションをとっていることが考えられる。さらに, シアニン色素分散PC50LGの光導電性について検討を行った結果, シアニン色素のICDが大きく, 相互作用の強いNK-76・PC50LG系で, PC50LG単独系に比べ約10倍大きな光電流感度が得られた。この光電流の増加についてシアニン色素・PC50LG複合体の構造を含めて議論した。
  • 國澤 鉄也, 佐藤 智生, 米澤 義朗, M. I. SLUCH, A. G. VITUKHNOVSKY
    1996 年 59 巻 3 号 p. 465-470
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    シアニン色素水溶液に高分子カルボン酸, ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を溶解した後, 石英基板上に塗布・乾燥させて高分子膜を作製した。高分子マトリックスとしてアルギン酸ナトリウムを用いた場合, J凝集体の形成が確認された。吸収スペクトルには, モノマーバンドより長波長側に鋭く強いJバンドが現れ, 蛍光スペクトルには共鳴螢光が観察された。また, 高分子マトリックスの種類を変えることでシアニン色素の会合状態 (モノマー, ダイマー, J凝集体など) を制御できることを示した。本方法の応用として, 2種類のJ凝集体を同時に含む高分子膜の作製についても検討した。
  • 岡田 行弘, 遠藤 和也, 西村 淳
    1996 年 59 巻 3 号 p. 471-474
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    二つの水素結合部位を持つ剛直なカリックスアレーン4は隣接したジオール類と強く結合する。ジオールの二つの水酸基間距離は相補的に適合する。エタンジオールはすべてのジオールのなかで最も大きな結合定数を示す。
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