日本写真学会誌
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61 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 白井 和子, 鄭 在倫, 松岡 賢, 福西 興至
    1998 年 61 巻 5 号 p. 261-267
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新規なジシアノピラジン系色素の吸収および蛍光スペクトルと構造の関係について検討した。最適化構造をMOPACPM3法によって求め, 色素のπ発色系での会合特性を3次元分子構造から予測した。発色母体への置換基の導入による立体障害が, λmax, Fmaxやεmax値に大きく影響を及ぼした。
  • ベンジルモノオキシムメタクリレート共重合のポジ型感光材料への応用
    内藤 郁夫, 斎藤 慎也, 長谷目 昭春, 西ヶ開 元
    1998 年 61 巻 5 号 p. 268-275
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    感光材料に応用するため, ベンジルモノオキシムメタクリレート (BIMA) とメタクリル酸メチル (MMA) またはメタクリル酸t-ブチル (BMA) との共重合体の光反応を研究した。共重合体のλmax=254nmの吸収は光照射により急激に減少した。その分子量も2-3分間の光照射で1/5程度に減少し, 主鎖分解の量子収率 (φcs) をそれぞれ0.07 (MMA共重合体), 0.19 (BMA共重合体) と測定した。BIMAを約2mol%含む三元共重合体では, ポリマー中のBMAユニット量の増加に従い光反応性も増加し, 約60mol%のBMAユニット量でBMA-BIMA二元共重合体の値となった。これらの共重合体の光反応を固層でも行った。BMAを多く含む共重合体では, 室温中約20mJ cm-2の照射光量でも分解した。この反応を423Kで行うと, 約半分の光量でも感光した。
  • 阿部 二朗, 白井 靖男, 宮田 房枝, 長瀬 裕, 根本 修克
    1998 年 61 巻 5 号 p. 276-283
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    π共役鎖の両端に電子受容性置換基と電子供与性置換基を導入した分子はD-π-A系分子として知られており, 代表的な有機二次非線形光学分子である。これまでに提案され, 検討されてきた有機二次非線形光学材料はD-π-A系の範疇に属する分子を利用してきたものが殆どであり, 新たな分子骨格の探索は積極的には行われていなかった。D-π-A系分子の欠点として挙げられることに, 吸収波長と分子超分極率のトレードオフの関係が指摘一されている。すなわち, 分子超分極率の増大にはπ共役鎖拡張に起因する吸収波長の長波長シフトを伴い, 試料に要求される光学的透明性が犠牲になってしまうことである。そこで, 筆者らはD-π-A系分子に属さない新しいタイプの有機二次非線形光学材料の創成を目指してヘテロ環を有するベタイン化合物の分子設計を行い, それらの二次非線形光学特性を検討した。そして, この分子系は吸収極大波長を殆どシフトさせることなく, 分子超分極率の増大が容易に実現できる特異な系であることを明らかにした。本稿では分子軌道計算による分子設計, および合成で得られた種々のベタイン化合物の二次非線形光学特性について報告する。
  • 加藤 勝, 面谷 信, 中村 賢市郎
    1998 年 61 巻 5 号 p. 284-287
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    チアシアニン色素, 3, 3'-dioctadecyl-2, 2'-thiacyanine perchlorate (DTB) のLB膜の吸収と蛍光スペクトルを測定した。DTBのLB膜の吸収スペクトルはD, M, Jバンドを生ずるが, 蛍光スペクトではJとMが認められた。DTBのLB膜の蛍光スペクトル強度は加熱により増大し光照射により減少した。DTBのLB膜で繰り返し加熱と光照射による蛍光のメモリ効果を見いだした。
  • 羽生 禎侍, 西出 利一, 平井 亮, 森島 毅
    1998 年 61 巻 5 号 p. 288-295
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前報において, アモルファス酸化タングステン薄膜にPVAを積層することにより, そのフォトクロミズム (PC) の効率が高められたことを報告した。
    本報においては, その他の水溶性ポリマー, すなわち, ポリアクリル酸 (PAA), ポリエチレングリコール (PEG), ポリビニルピロリドン (PVP) それぞれについて積層効果を調べた結果, いずれもPCの効率が高められたことを認めた。中でもPVPは際だったPC増強性を示した。
    さらに, PVPがタングステン酸水溶液と自由に直接混合できることを見出した。これから作成した酸化タングステン薄膜は優れたPC性を示し, 発色, 消色の繰り返しに対しても安定な特性を示した。酸化タングステン薄膜のPCに対してPVPの適切な添加量が見出された。
    ついで我々はPVPの側鎖である2-ピロリドンに注目した。2-ピロリドンを直接タングステン酸水溶液に添加混合して得られた薄膜はPVPの場合と同様な振る舞いを示した。すなわち, 酸化タングステンのモル数に対し2-ピロリドンの添加モル数を増加すると, モル比0.3まではPC効率は向上するが, それ以上に増やすと低下した。AFMによる表面観察により, アモルファス酸化タングステンの粒子サイズは2-ピロリドンの添加によって制御されることが分かった。すなわち, 2-ピロリドンのモル比が増加すると粒子サイズは小となった。FT-IRの測定により酸化タングステンは2-ピロリドンと水素結合によってつながっていることが分かった。Fig.13に2-ピロリドンを含んだ酸化タングステンの発色機構を提案した。
  • 西原 貞光, 藤田 広志, 大塚 昭義, 滝川 厚, 小寺 吉衛, 山内 秀一
    1998 年 61 巻 5 号 p. 296-299
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    この論文の目的は, 新しいドライタイプ・レーザイメージャの入出力特性を評価することである。階段状の試料を用いた拡散光濃度による評価において, このイメージャの入出力特性は良い線形性を示した。一方, 連続階調を示す試料を用いたマイクロデンシトメトリによる評価では, 約0.66と1.15の拡散光濃度において, トーンジャンプ現象が観察された。臨床画像を観察するとき, このトーンジャンプ現象に対する注意が必要であると考えられる。
  • 鈴木 誠治, 原 菜穂子, 宮崎 英男, 堀 清高
    1998 年 61 巻 5 号 p. 300-305
    発行日: 1998/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    生物処理はその環境負荷が低いことを考えると写真廃液処理の究極の方法と考えられる。しかし写真廃液はエチレンジアミン四酢酸のような難分解性化合物を含むので, 生物処理では写真廃液を完全に分解できないという問題がある。本報告において我々は生物活性炭 (Biological Activated Carbon;BAC) が, 写真廃液を活性汚泥処理した後に残存するFe (III) edtaとその他の難分解性化合物を分解することを見出した。BACによるFe (III) edtaおよびその他の難分解性化合物の分解速度はそれぞれ0.042, 0.052mg・d-1・g-AC-1であった。BACの難分解性化合物の分解能力はコメタボリズム (co-metabolism) によって促進された。
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