日本写真学会誌
Online ISSN : 1884-5932
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62 巻, 3 号
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  • 1999 年 62 巻 3 号 p. 165-195
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • シアニン色素やTAIによる潜像中心の形成位置の制御
    御舩 博幸
    1999 年 62 巻 3 号 p. 196-208
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    硫黄増感を施した臭化銀粒子上の潜像中心を抑止現像により観察し, 潜像中心の形成位置の指数面選択性を求めた。硫黄増感を施した後にシアニン色素や4-ヒドロキシ-6-メチルー1, 3, 3a, 7-テトラザインデン (TAI) を加えた場合の潜像中心の形成位置は, これらを添加しない場合と同じであった。これに対して, シアニン色素を添加した後に硫黄増感を施すと, 潜像中心は色素が吸着しなかった粒子表面上に形成された。TAIを添加した後に硫黄増感を施すと, 潜像中心は {100} 面上に形成された。放射性同位元素35Sで標識した硫黄増感剤を用いて調べたところ, 色素やTAIが吸着した粒子表面上でも硫化銀は生成していた。これからシアニン色素やTAIにより潜像中心が特定の位置に選択的に形成されたのは, 次の機構と考えられた。色素やTAIが吸着した粒子表面上に生成した硫化銀は, これらにより硫黄増感中心への成長が阻害される。これに対して色素やTAIが吸着していない粒子表面上では, 生成した硫化銀が速やかに硫黄増感中心に成長する。この結果として, 潜像中心が色素やTAIが吸着しなかった特定の粒子表面に選択形成される。
  • 大脇 知徳, 平野 昭裕
    1999 年 62 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    IrイオンをドープしたAgCl乳剤において観測される露光後の長時間にわたる写真感度増加 (遅延潜像形成) について調べた。Irイオンに捕獲された電子数の減少をESRで測定し, 写真感度増加と比較することによって, 遅延潜像形成の機構を明らかにすることを試みた。その結果, Irイオンドープ乳剤で観測される遅延潜像形成は, Irイオンに捕獲された電子の再放出ではなく, Irイオン近傍にできた初潜像からの電子放出によって起こっていると考えられた。
  • 現像銀量-時間曲線のシミュレーション
    田部 洋, 本永 雅郎, 山田 勝実, 浜野 裕司
    1999 年 62 巻 3 号 p. 216-227
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現像の進行過程にParallel型 (P型) とGranular型 (G型) があることは良く知られているが, この現像進行過程の差異が生じる理由は必ずしも明確ではなかった。種々の現像液で現像された臭化銀単粒子層乳剤中の現像銀の直接観測とこれらの現像液の電流一電位曲線の測定結果から, G型特性を示す現像液の酸化電位がP型特性を示す現像液に比して卑にあることがわかった。また, 現像反応の電気化学モデルに基づいた現像銀量-時間 (D-t) 曲線のデジタルシミュレーションから, 現像進行のタイプを決める主な要因は現像進行の速さよりもむしろ現像液の酸化還元電位であることが確かめられた。
  • 朝武 敦, 木田 修二, 渡邊 洋, 間野 茂, 阿部 隆夫
    1999 年 62 巻 3 号 p. 228-234
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    染料熱転写記録方式は, 優れた色再現性と滑らかな階調再現性において, 最も銀塩写真に近い存在として知られているが, 劣悪な耐光性と熱に対する貧弱な定着性という大きな問題を有している。我々はこの問題に対し, アゾ色素と金属カチオンとのキレート形成反応を利用した,「キレート型染料熱転写方式」を開発した。本研究では耐光性の向上要因について検討を行い, キレート形成により色素自身の物性が変化することと, 中心金属の抗酸化活性により耐光性が向上していることを明らかにした。
  • 吉田 昌平, 宇佐美 智正
    1999 年 62 巻 3 号 p. 235-243
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    塩基性色素ロイコ体をポリウレアウレタンマイクロカプセルに内包し, 顕色剤をマイクロカプセルの外に含有したマイクロカプセル感熱記録体において, 静発色特性と, マイクロカプセル壁や各種素材の熱特性とを測定し比べた。フェノール系顕色剤とポリウレアウレタンの相互作用により, フェノール系顕色剤のTm及びポリウレアウレタンのTgは低下した。この変化したTm, Tgのうちの, より高い方の温度が静発色開始温度と一致すること, 及びフェノール系顕色剤が加熱時にマイクロカプセル内に拡散到達し発色することを明らかにした。
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