日本写真学会誌
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64 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 長島 健次, 張 韻
    2001 年 64 巻 6 号 p. 337-342
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    スリットとレンズを使わないレインボーホログラムの作製において, 参照光としてスペックル光を用いて作られたホログラムからの再生特性が示されている。一般にスペックル光を用いると再生像の画質は悪化するが, 今回の実験から, 白色光で再生される本方式では従来のスリットとレンズを使用するレインボーホログラムと同様な, スペックル雑音の目立たない良好な再生像が得られた。さらにスペックル参照光を用いることによって, ホログラム作製用の光学装置の簡易化が可能となった。
  • 近藤 弥, 津村 徳道, 三宅 洋一
    2001 年 64 巻 6 号 p. 343-351
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    オンラインショッピングにおける商品のディジタル画像は, 実際の商品の色や質感, 3次元形状などの重要な要素を十分に再現できていない。正確な色再現を行うには分光情報を用いることが望ましいが, 圧縮された分光データからの再現画像の画質評価に関する研究は少ない。本研究では, 圧縮された分光データからの再現画像を, 人間の視覚特性を考慮したImage Distortion Mapによって評価する。さらに, Image Distortion Mapを画質評価尺度とし, 適応的量子化をすることで, より視覚特性に合った最適な圧縮方法を提案する。
  • 柏 潔, 高 清, 津村 徳道, 三宅 洋一
    2001 年 64 巻 6 号 p. 352-357
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Landにより提案された視覚系の色や明るさに対する恒常性についてのRetinex理論をカラー画像の色やコントラストの補正に応用するための研究が注目されている。これらの中で, MSR (Multi-Scale Retinex) モデルは, カラー画像の画質改善に有効な手法であることが知られている。しかし, このモデルはフィルム画像のRGB濃度分布が大きく異なる場合, すなわち大きな色の偏りがある画像の色補正が困難であること, 色再現とコントラストを同時に改善できないことが指摘されている。そこで, 本研究では注目画素の周辺画素値の変化を考慮し, MSR計算式の重み係数を改良するとともに, Retinex出力値だけでなく, オリジナル画素値も導入した拡張MSR (extended-Multi-Scale Retinex) モデルを提案し, カラーネガフィルム画像の画質改善を試みた。逆光撮影などにより劣化したカラーフィルム画像を本論文で提案した手法と, 従来の補正法である線形変換, ヒストグラム平坦化, MSRによる処理法により比較検討した。その結果, 主観評価実験を通して本提案手法の有効性を確認することが出来た。
  • 棲み分けの始まったデジタルと銀塩
    藤野 真
    2001 年 64 巻 6 号 p. 358-360
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 藤野 真, 吉田 英明
    2001 年 64 巻 6 号 p. 361-366
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報告は2001年度写真学会サマーセミナーにて行われた公開実験の結果を報告するものである。この公開実験では, サマーセミナーの参加者を被験者として, デジタル写真と銀塩写真の識別ならびに嗜好を主観評価した。本実験条件下では, 銀塩写真とデジタル写真の識別は特段の困難を伴うものではなかった。また銀塩写真よりもデジタル写真が嗜好される傾向にあった。識別に際してはノイズの量が重視されるが, 嗜好に際しては色再現が重視される傾向が認められた。
  • 市野 修一
    2001 年 64 巻 6 号 p. 367-371
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    「写ルンです」は1986年当社が世界で初めて発売して以来, 基本性能の向上を図り, 望遠等多彩な商品群開発してきた。だれにでも手軽に写真を撮れるようになり, 世界中のメーカーで生産が年3億本を超える商品に成長したが, 一方で使用済み回収品のリサイクルが重要な課題となっている。当社では80年代後半から自動化の研究に取り組み, 可能な限り部品を再使用できるよう設計段階から改良を織り込み, 1998年に循環生産自動化工場を完成させた。生産とリサイクルを同じ工場で行う新しいモノ作りの先駆例として, 異業種や学界等多方面から注目されている。
  • 秋吉 信雄, 秋吉 仰三
    2001 年 64 巻 6 号 p. 372-378
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    技術革新の著しい世界の情報産業界においては, 全く新しい発想による革新的理論体系を持ち, かつ即座にエンジニアリング及びビジネス化が可能な, 単なる実装テクノロジーを超えた真のブレークスルー技術体系が常に求められている。本稿では, その要望に応えうる技術のひとつとして期待されているHomotopy Modeling関連の研究, 技術の概要並びにそれを活用した新しいビジネス・モデルについて実例を交え紹介する。ここに紹介するHomotopy理論 ・技術には, 本稿で紹介するModeling応用, Computer Graphics応用, 統合的データー・ペース構造設計等のソフトウェア分野への応用利用等のみならず, 革新的ニューラル・ネット・ハードウェア, 革新的非同期回路設計などのハードウェア分野へめ応用利用可能なブレークスルー技術をも含んでいる。
  • 安藤 義路
    2001 年 64 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    紫外線写真は可視光線より短い波長領域の情報を記録する不可視光線写真技術の一つである。この技術は, 種々の研究分野で利用されているが, 今回, 紫外線写真を獣医学・農学の研究分野で利用することを試みた。ピンホールカメラ, 二眼カメラなどの紫外線写真撮影カメラの試作および理想的な紫外線写真用レンズを使用し, その効果を検証した。その結果, 発ガン物質を産生するカビの検出やタマネギの中のケルセチンの分布など可視光線写真では捉えることのできなかった多くの生体情報を探ることができた。
  • 梶谷 美保, 青木 直和, 小関 健一, 小林 裕幸
    2001 年 64 巻 6 号 p. 385-388
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    重クロム酸ゼラチンに代わるピグメント印画法として, 鉄 (III) 塩の鉄 (II) 塩への光還元に基づく光重合型印画法について研究した。露光された部分で生成される鉄 (II) は過酸化水素と反応するとヒドロキシルラジカルを生成する。これはアクリルアミドの重合を開始させる。本研究では, 支持体に塗布される感光液に含まれる3つの成分 (アクリルアミド, N, N'-メチレンビスアクリルアミド, クエン酸鉄 (III) アンモニウム) の濃度を実験計画法に基づき変化させ, 良い画像を得るための最適な処方を見つけた。感度, ガンマは重クロム酸ゼラチンと同レベルだが, レリーフ画像の最小膜厚は1μm程度であり, この点に関しては重クロム酸ゼラチンよりやや劣る。
  • デンシトメトリーによる検証
    青柳 象平, 三浦 園子, 山本 准司
    2001 年 64 巻 6 号 p. 389-392
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ゼラチンの電気泳動図には主成分α1およびα2バンドが明瞭に現れ, その強度比は石灰漬ハイドゼラチンでは理論値2: 1に近い。ところが石灰漬オセインゼラチンではその比が1: 1に近く, 泳動図の不思議の一つであった。原因に対し我々は, オセインゼラチンには第3の成分-α1に由来するα1'-が大量に含まれ, これがα2バンドと重なって現れるためと説明して来た。これまでの報告では, バンド強度はすべて目視によっていたので, 本報ではデンシトメトリーにより先の説明の検証を行った。α1'がα1に重なる泳動条件では, 検討したすべてのゼラチンについてα1バンド (見かけ上) はα2バンドに対し理論値に近い1.9~2.2倍となった。
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