2001年3月, 白煙の向こうに崩れゆくバーミヤン石窟の大仏の姿は, 不安定な社会情勢下の「文化財」がいかに深刻な状況にあるか, 私たちに訴えかけた. そして, 失われた文化財の姿を確認し後世に伝える事が出来る写真の記録性を, 改めて認識することとなった. 並河萬里は世界各地の遺跡や美術品等の「文化財」を撮り続ける写真家であり, その大半は, 現在島根県松江市にある財団法人島根県並河萬里写真財団に収蔵されている. 氏が今まで撮影した被写体の中には, すでに破壊されたり略奪されたりという被害にあっているものも含まれているが, ここでは今世界で最も注目を集めている「アフガニスタン」で, 1977年 (昭和52年) に撮影した作品を例に, 並河の記録した文化財写真について紹介する.
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