1粒子あたりの潜像核の個数分布を, 金+硫黄増感した八面体粒子 (Oct) と立方体粒子 (Cub) 乳剤で, 光露出, β線露出それぞれについて求めた.光露出の場合, 両乳剤とも最大増感レベルで個数分布は1粒子1個の分布からPoisson分布へと変化し, 潜像核の分散が起こっていることを定性的に示唆した.β線露出の場合, 瞬時に多数の自由電子が発生して同時に潜像核の形成が起こることを利用して, 統計的解析より1個の高エネルギー粒子が当たったときに形成される潜像核個数zを算出した.z値はOct乳剤の方が分散の程度が大きいことをより定量的に示した.潜像核の分散が示すものは, これまで考えられていた増感核を含めた電子トラップ間での銀核形成のための光電子捕獲競争ではなく, 浅い電子トラップであるAg
2核間での核成長のための捕獲競争であると考察された.マイクロ波光導電測定も行い, 潜像核の分散と光導電測定への金+硫黄増感の影響を比較した.潜像核の分散は光電子が核成長に使われる過程を見ており, 光導電の測定は光電子が核形成に使われる過程を見ていると結論された.
抄録全体を表示