日本写真学会誌
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66 巻, 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 田丸 雅也, 杉本 雅彦, 市川 幸治, 竹村 和彦
    2003 年 66 巻 5 号 p. 447-451
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    デジタルカメラの総合画質を向上させるためには, 高解像度と低ノイズを両立させることが重要である. 本研究ではまず実際のデジタルカメラのノイズ特性に基づいたノイズシミュレーションモデルを開発する. 次にこれらの技術を用いて解像度とノイズレベルの異なるシミュレーション画像を作成し, これに対する心理物理実験を行う. 実験結果より解像度とノイズレベルが総合画質に与える影響について考察する.
  • 阿部 隆夫
    2003 年 66 巻 5 号 p. 452-457
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    デジタルプリンタは, 今日カラー画像をプリントするとき, ごく普通に使われている.種々のデジタル画像プリント技術の中で, 染料インクを用いるインクジェット記録方式と染料熱転写記録方式は, 特に画質に優れており, 従来の写真と比べて一見ほぼ同じに見える画像を作り出す.しかし, これらの方式でプリントした画像の保存性は, まだ写真より劣つていて, 重大な改善課題となつている.今後, 画像保存性が改良されたとき, デジタル画像プリント方式はますます現在の写真市場を奪つていくことになろう.本稿では, デジタルプリント技術の現状について述べ, さらに, 写真調デジタルカラー画像市場の広がりを考えてみる.
  • 山下 潤, 関根 寿人, 中口 俊哉, 津村 徳道, 三宅 洋一
    2003 年 66 巻 5 号 p. 458-463
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報告ではドットゲインのモデルに基づいたハーフトーン画像の色再現予測モデルを提案する.これまで, 我々はハーフトーン画像の透過画像は光学的ドットゲインの影響を受けないということを報告してきた.この結果に基づき, 本報告では同一領域の透過画像・反射画像を取得できる光学顕微鏡を用いてメカニカルドットゲインと光学的ドットゲインを解析・モデル化した.対象領域の6枚の透過画像を6バンドカメラ付きの光学顕微鏡を用いて取得し, 重回帰推定法により分光透過率分布を推定した.推定した分光透過率分布をCMYインクの色材量分布に変換した.色材量分布からインクの形状を多項式近似でモデル化した.1次色のCMY色票の透過率分布を提案手法により予測した.その結果, 提案手法はインクジェット画像の色材量分布を十分に推定できることがわかった.
  • 渡辺 洋, 小林 英幸, 福室 郁
    2003 年 66 巻 5 号 p. 464-466
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年のデジタルスティルカメラ (DSC) の高画質化と急速な普及などにより, デジタル画像データから高品質ないわゆるフォトライクな画像出力に対する要望が高まっている.染料熱転写システムはその滑らかな階調特性からこの用途に活用されている.我々は染料熱転写システム欠点であった画像保存性を向上させたポストキレート技術の特長を活かし, 新たな色再現特性を持たせることができた新しい染料熱転写システムの開発の設計, 技術を報告する.
  • 福島 格
    2003 年 66 巻 5 号 p. 467-470
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昨今のデジタルイメージングの進歩は目覚しい.その印刷方式としてサーマルヘツドを使用する昇華プリント方式, 溶融転写方式などは従来から履歴制御方式と呼ぶ推測制御方式が使われている.しかし所詮, 推測をもとにする方式であるので正確な階調表現は実現しにくい問題があった.今般, 新しい方式として温度検出素子を発熱体とし, 時々刻々, ヘツドの各発熱素子に発生する発熱エネルギーを計測することで, メディア上の発色を高精細で制御する方式を確立したので報告する.
    この印刷方式はその印刷時の発熱エネルギーの変化を実測し制御するが, サーマルプリンタの発熱体の発熱状況が目視できるおそらく世界初のケースとおもわれる.
    この結果, 新しい印刷メディアの開発評価にも本技術は応用できると考えられる.
  • 橿渕 洋一, 青木 直和, 犬井 正男, 小林 裕幸
    2003 年 66 巻 5 号 p. 471-480
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    デジタルプリントは銀塩写真に比べ階調数が限られ, 銀塩写真同様の階調や質感を重視した写真表現は難しいとされてきた.本研究では粒状を加えることで被写体の持つ質感や階調をより豊かに表現することを試みた.絵柄, 粒状のレベル, 粒状を加える領域などを変え, デジタルプリントの好ましさを調べた結果, 従来ノイズとしか考えられてこなかつた粒状をデジタルプリントに加えることで, より好ましさが向上する写真が多く存在することを明らかにした.さらに, 粒状を加えることで評価を向上させる被写体は, その多くが中間調の濃度域を持ち, パワースペクトルの大きいもの, すなわち乱雑さをもつものであるということを明らかにした.また, MTS法を用いて, 種々の被写体における好ましい粒状の予測を試みたが, 実現するには至らなかつた.しかし, その被写体の好ましさが粒状を加えることによつて表現が向上する被写体かどうかを判別することは可能であることを示した.
  • 池端 依子, 五十幡 有紀, 間野 茂
    2003 年 66 巻 5 号 p. 481-483
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 写真プリントとして各種デジタルアウトプットカラー画像が多用されているが, 従来の銀塩写真とは素材・画像形成方法が異なることから, 耐光性の加速試験条件 (光源・温度・湿度) についての検討が必要である.今回, 蛍光灯光源による耐光性試験において湿度を40%RH, 60%RH及び70%RHと変化させ, 影響を評価した.その結果, 画像形成方式によっては湿度の影響を受けるものがあることから, 新規な画像形成材料の耐光性試験を行う際には, 少なくとも高湿度/低湿度の2条件で評価することが望ましい
  • 藤田 広志
    2003 年 66 巻 5 号 p. 484-490
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医用画像の本格的なディジタル化が進む中で, その付加価値として「コンピュータ支援診断 (CAD)」システムの開発がんでいる.乳房X線写真 (マンモグラフィ) と胸部X線画像の領域で商品化も始まつており, 今後, さらに多くの診断撮像装置や画像診断領域でも, CADシステムの開発・実用化が進むのは間違いない.本稿では, このようなCADシステムの開発の背景, 現状, 技術などの最新の情報を提供し, その将来を展望する.
  • 赤堀 博美, 森田 聖和, 西島 歩, 三觜 剛, 大久保 敬, 福住 俊一
    2003 年 66 巻 5 号 p. 491-496
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    銀塩光熱写真 (Photothermography, いわゆる「熱現像銀塩写真」) の系で優れた現像剤として知られているビスプェノール誘導体と, その水酸基をメトキシ基でブロックしたモノブェノール誘導体の電子移動特性について検討を行い, 分子内水素結合の効果と銀塩光熱写真における熱現像特性との関係を考察した. ビスプェノール誘導体に由来するプェノキシルラジカルのESRスペクトルより, プェノキシルラジカルは水酸基と分子内水素結合を有していることがわかった. この分子内水素結合はビスプェノール誘導体の2電子酸化反応過程において1電子酸化電位を低下させて酸化を促進する重要な要因となると思われる.
  • 森 明已
    2003 年 66 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新しいNHKのアーカイブは, 2003年2月1日にサービスを開始した.8階構造の建物に180万本のビデオテープを保存できる能力を保有している.アーカイブスシステムは,「総合データベース」,「大規模ビデオサーバー」,「保存システム」,「提供システム」および「番組公開ライブラリ」からなっている.
  • 久下 謙一, 高木 知純, 篠沢 忠之, 川又 志津, 熊谷 宏, 長谷川 朗, 三位 信夫
    2003 年 66 巻 5 号 p. 501-508
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1粒子あたりの潜像核の個数分布を, 金+硫黄増感した八面体粒子 (Oct) と立方体粒子 (Cub) 乳剤で, 光露出, β線露出それぞれについて求めた.光露出の場合, 両乳剤とも最大増感レベルで個数分布は1粒子1個の分布からPoisson分布へと変化し, 潜像核の分散が起こっていることを定性的に示唆した.β線露出の場合, 瞬時に多数の自由電子が発生して同時に潜像核の形成が起こることを利用して, 統計的解析より1個の高エネルギー粒子が当たったときに形成される潜像核個数zを算出した.z値はOct乳剤の方が分散の程度が大きいことをより定量的に示した.潜像核の分散が示すものは, これまで考えられていた増感核を含めた電子トラップ間での銀核形成のための光電子捕獲競争ではなく, 浅い電子トラップであるAg2核間での核成長のための捕獲競争であると考察された.マイクロ波光導電測定も行い, 潜像核の分散と光導電測定への金+硫黄増感の影響を比較した.潜像核の分散は光電子が核成長に使われる過程を見ており, 光導電の測定は光電子が核形成に使われる過程を見ていると結論された.
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