日本写真学会誌
Online ISSN : 1884-5932
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71 巻, 6 号
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  • デジタル技術との融合
    大関 勝久
    2008 年 71 巻 6 号 p. 400-409
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2011/01/04
    ジャーナル フリー
    映画産業にもデジタル化は急速に進んでいる. しかしながら, アマチュア写真市場のように急速には銀塩写真感光材料の需要は減少しておらず, デジタル技術と写真感光材料の融合が進行している. この理由のひとつは写真感光材料の高い生産性であり, もう一りは優れた長期安定性がデジタル技術の弱点である保存性を補っているからである.
  • 新分子骨格の導入
    大石 恭史
    2008 年 71 巻 6 号 p. 410-424
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2011/01/04
    ジャーナル フリー
    1970年代以降に, それまでにKodak社によって築かれた技術基盤の上に, 富士フイルム, コニカ, Agfa-Gevaertなどの感材メーカーが夫々独自に開発した新カップラーを携えて技術革新に参入した. 世界の主要感材メーカーは競合しつつも全技術水準の向上によってカラー写真材料事業の成長維持に協力したのであった. カップラーの主要な技術革新の一つに, 新規の骨格分子構造の導入があった. これによって, 鮮やかな色再現, 画像の長期保存, 感材設計の合理化が実現した. 典型的な新骨格には, マゼソタのpyrazolotriazole, シアソのpyrrotriazoleの新型の反応性縮ヘテロ環と, イエローの置換基としてdioxothiadiazine環があった. これら新世代カップラーの発明は, ヘテロ環化学の適用によるところ大きく, 多くの研究者の長期にわたる組織的協力から産み出された.
  • 牧野 貴雄, 木下 逸人, 津村 徳道, 中口 俊哉, 三宅 洋一
    2008 年 71 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2011/01/04
    ジャーナル フリー
    我々は, 被写体の顔の位置, 向き, 口の動きを1台のカメラで実時間追跡することにより化粧シミュレーションを実現するバーチャルミラーシステムを構築した. バーチャルミラーとは, ハーフミラーとビデオカメラを用いることで, ディスプレイを被写体 (今回の場合は使用者の顔) への画像処理が可能な鏡として扱うシステムである. このシステムを顔追跡, 顔への付加処理と組み合わせることで, 簡便な化粧シミュレータを構築した. 顔追跡には, 顔の動きと表情を分離して確率的に推定する手法を提案した. また, 追跡に必要なデータは人体寸法のデータベースより取得した. これにより1台のカメラでも精度良く顔追跡を行うことが可能となった.
  • 小寺 宏曄
    2008 年 71 巻 6 号 p. 432-442
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2011/01/04
    ジャーナル フリー
    人の視覚系は, n次元の分光刺激Cから三刺激値を担う基本的な分光成分び (fundamentalと呼ぶ) を抽出して色を知覚する.CからC*への射影原理はマトリクスR理論として知られる.射影子Rを構成する基底ベクトルの組をマトリクスFと呼び, Fは視覚系の基本色空間FCS (Fundamental Color Space) を張る.射影子Rは無彩色 (achromatic) 射影子RAと有彩色 (chromatic) 射影子Rcにスペクトル分解することができる.本稿では, 基本分光成分びのスペクトル分解を用いて新しいFCSを構成する.提案モデルは直交反対色条件を満たし, かつ色相の直線性をもつ点に特徴がある.ここでは, 有彩色射影子Rcをさらに反対色成分RRRBに分解する.これにより基本分光成分びは, 射影子 (RA, RR, RB) によって輝度色差分光成分 (CA*, CR*, CB*) に分解され, 新しい色空間座標系に写像される.色彩画像の変換に当っては, 擬似逆行列を用いた逆射影によってROB/XYZ三刺激値から基本分光成分びを復元した後, 本モデルを適用する.最終的に, スペクトル分解された無彩色成分CA (λ) と有彩色成分CR (λ) およびCB (λ) は, マトリクスFとの内積をとることによりスカラー量の色空間座標値 (LA, CR, CB) に変換される.提案モデルの色空間特性を, CIELABおよび色相直線性の良いIPT色空間と比較し, 画像の色領域分割への応用例を併せて紹介する.
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