日本写真学会誌

特集：医用画像におけるX線イメージング技術の新展開

ディジタル化を加速する医用画像におけるX線検出器

斉藤啓一

2009 年 72 巻 6 号 p. 379-385
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.379

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近年の医用画像のディジタル化に寄与したX線平面検出器（FPD）を従来のX線検出器であったX線イメージインテンシファイアとの構造と撮像までの原理の違いを明確にする．その上でX線平面検出器が描出する画像の特徴について概説する．また，X線画像評価として有用な量子検出効率（DQE）の測定方法の違いを示す．特に動画を描出できるX線平面検出器のDQEを測定する時の注意点とDQE測定の意味を解説する．

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光スイッチング読出を利用した高精細デジタルマンモグラフィ用ディテクタ

入澤覚, 金子泰久, 山根勝敏, 千代知成, 細井雄一

2009 年 72 巻 6 号 p. 386-392
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.386

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富士フイルム株式会社は，新規ディテクタ構造を考案することにより「光スイッチング読出」を採用したX線ディテクタの実用化に成功した．光スイッチング読出方式のシンプルな電極構造に由来して画素の微細化と低電気ノイズ読出が両立可能となり，直接変換型X線ディテクタにおいて世界最高精細となる50×50 μm² 画素と高いDQE性能を実現した．本ディテクタが搭載されたデジタルマンモグラフィシステムは，粒状感を損なわずに高鮮鋭な画像を取得でき，特に乳がん診断上重要な微小石灰化病変を検出するのに優れている．

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実用X線管を用いたX線格子干渉計の試み
―タルボ・ロー干渉計の医用画像への適用―

木戸一博, 巻渕千穂, 清原淳子, 伊藤司, 本田凡

2009 年 72 巻 6 号 p. 393-398
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.393

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X線格子干渉計，即ちX線タルボ・ロー干渉計を，波動光学によるシミュレーションで設計して作製した．この干渉計は通常の医用X線管，マルチスリット，2枚のX線格子，そしてX線検出器によって構成される．この装置を用いて鳥手羽の骨関節を撮影したところ，3 mGyの被写体線量で軟骨が明瞭に視認できるX線画像が得られた．さらに，この装置を用いてサクランボの小角散乱画像を撮影したところ，従来のX線吸収画像では画像化できない内部構造の維管束を描写することができた．このX線タルボ・ロー干渉計は，MRI以外で生体軟部組織を描写することができる重要なX線画像技術として期待される．

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エネルギー弁別型放射線ラインセンサを用いたX線像による被写体の材質の識別

松本政雄, 高山直樹

2009 年 72 巻 6 号 p. 399-405
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.399

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異なるエネルギーで弁別したX線の2次元画像とCT画像から被写体（炭素，アクリル（メタクリル樹脂）PMMA，アルミニウム）の線減弱係数と実効原子番号を識別できることを確認した．これらのX線画像から求めた各被写体の線減弱係数の理論値と実験値の差異の比率は，X線光子エネルギー50–80 keVの範囲で，炭素は0.01–22.6％で，PMMAは0.01–23.1％であり，X線光子エネルギー60–100 keVの範囲で，アルミニウムは0.07–22.1％であった．また，これらのX線画像から求めた各被写体の実効原子番号は，炭素（Z=6.0）で6.0±0.3，PMMA（Z=6.48）で6.48±1.38，アルミニウム（Z=13.0）で13.0±0.3であった．しかし，これら実効原子番号の値の理論値との差は，まだ，相対的に大きいので，実用的にX線像から被写体の材質を識別するためには，さらなる実験が必要である．

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講座

デジタル写真の基礎（4）
3．デジタルカメラの信号処理技術（II）

乾谷正史

2009 年 72 巻 6 号 p. 406-412
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.406

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先号の「デジタルカメラの信号処理技術（I）」に引き続き，今号ではデジタルカメラの色再現やファイルフォーマットを中心に概説する．

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カラー銀塩感光材料の技術革新史
（10）第4部　銀色素漂白法とインビビション法によるカラープリント

大石恭史

2009 年 72 巻 6 号 p. 413-430
発行日: 2009年
公開日: 2011/11/11

DOIhttps://doi.org/10.11454/photogrst.72.413

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発色現像カラー写真の実用に先立って，既存の染料を用いる2つのカラープリント・プロセスが開発されていた：1）銀色素漂白法（Gasparcolor次いでCibachrome）と2）インビビション法（Technicolor）である．画像形成を前者は，アゾ色素を現像銀が還元分解する簡単な1浴処理に実質的に依存する点で化学的であったが，後者は，多段階の古くからの単純な写真処理を精密に機械的に重ねて実現する点で物理的（機械工学的）であった．両プロセスは開発の初期から直ちに高性能を発揮し1930年代のカラー写真を先駆したが，その後技術の骨格を拡大する革新がなく，低い性能から遅れて出発した発色現像カラー・プリントに置き換えられてしまった．

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