日本写真学会誌
Online ISSN : 1884-5932
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76 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:光励起制御を目指した金属ナノ構造の構築
  • 三澤 弘明
    2013 年 76 巻 6 号 p. 444-452
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル フリー
    光エネルギー変換システムの高効率化を実現するためには「光子の有効利用」という概念を取り入れた光化学の研究を展開する必要があり,反応系に投入された光を余すところなく利用できる革新的な「光反応場」を構築することが極めて重要である.本稿においては,局在表面プラズモンを示す金属ナノ構造を光反応場として光と物質系を強く相互作用させて観測された2光子励起反応や,光電変換システム,そして人工光合成の構築について紹介する.
  • 谷 忠昭
    2013 年 76 巻 6 号 p. 453-462
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル フリー
    銀塩写真感光材料においてはAgとAgXのナノ粒子が種々の目的で用いられている.AgとAgXは結晶構造が同じ(面心立方晶系)であるので,同じ結晶構造を有する金属ナノ粒子の構造と調製方法には写真におけるAgとAgXナノ粒子の知見が参考になるものと考えられる.この観点から,長年写真科学と技術の分野で蓄積されてきた知見を収集し,プラズモニクス用金属ナノ粒子の構造と調製,光吸収,酸化還元反応に対する触媒,半導体上での光電変換効果および安定性に関して分析した.
  • 立間 徹
    2013 年 76 巻 6 号 p. 463-468
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル フリー
    金,銀,銅などの金属ナノ粒子と酸化チタンなどの半導体との界面において,局在表面プラズモン共鳴に基づく光誘起電荷分離が起こる.このプラズモン誘起電荷分離(PICS)は,金属助触媒効果やプラズモン増強効果等と混同されることも多いが,異なる現象であり,プラズモン共鳴状態にある金属ナノ粒子から半導体への電子移動により起こると考えられる.光電変換,フォトダイオード,光導電デバイス,光触媒,化学センサ,表面パターニング,フォトクロミズム,ホログラフィックメモリ,光アクチュエータなどに広く応用されている.
  • 清都 尚治, 白田 真也, 谷 武晴, 知花 一孝, 納谷 昌之, 鎌田 晃
    2013 年 76 巻 6 号 p. 469-472
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル フリー
    富士フイルム(株)は銀ナノ平板粒子を用いた近赤外反射材料を開発した.近赤外線を反射するのに最適な銀ナノ平板粒子の構造と配置をシミュレーションで見積もった.その銀ナノ平板粒子を形成するために写真フイルムのハロゲン化銀平板粒子形成技術を応用した.さらに近赤外反射させるために銀ナノ平板粒子を同一平面上に並べる塗布技術を開発した.
  • 内田 孝幸
    2013 年 76 巻 6 号 p. 473-480
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル フリー
    蒸着や,電着によって10 nm程度の銀の薄膜を作製し,これらを透明導電膜等で挟み込んだ場合,透明性,導電性,表示色に関して特徴ある特性を示す.本稿では〈1〉Ag薄膜を酸化物透明導電膜(TCFs)で挟んだ,サンドイッチ型の積層膜の作製と評価,さらにこれらを用いて有機EL(OLEDs)の電極への適用の事例とその応用について紹介する.〈2〉また,Agイオンを含む透明エレクトロクロミック素子へバイアス電圧を印加し,透明導電膜にAgを電着した場合,鏡や黒,さらには赤~青色といった多彩な表示色を示す.これは,透明電極のモルフォロジー(平坦/凹凸等の差異)や,バイアス電圧印加の工夫(一定電圧やダブルパスル印加など)によって,ある程度,銀の粒子(核発生,粒子成長)の成長を制御でき,その結果,Agの粒子の凝集状態が異なることによって,多彩な表示色が得られることを示す.〈3〉さらに,これら〈1〉と〈2〉の特徴を活かした新奇な素子として,「透明有機EL素子」と「透明エレクトロクロミック素子」を組み合わせた,6状態を有するスマートウィンドウの紹介を行う.
解説
一般論文
  • 青柳 象平, 木村 直人, 石川 敏雄
    2013 年 76 巻 6 号 p. 506
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/28
    ジャーナル フリー
    「日本写真学会誌」編集委員会では,本誌に掲載された下記一般論文には,実験結果および考察の一部に明らかに誤記があり,それらを訂正することにより論文の趣旨が成立しないとの結論に達しました.また著者からも同掲載論文の撤回依頼を受けております.これに伴い,同編集委員会では,下記一般論文の掲載を撤回することといたしました.これら掲載内容の誤りは,著者らが掲載後に再実験を行い当初とは異なる結果を得たために明らかとなったことでありますが,今回の撤回に関しては,編集委員会としては遺憾な事態と考えます.
    今後,一般論文①を引用することのないようにご注意ください.
    一般論文①(撤回論文)
    青柳象平・木村直人・石川敏雄
    「ゼラチン―Cu2+錯体の円二色性スペクトルの異常な温度依存性」
    日本写真学会誌58巻3号pp. 251-254 (1995)
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