プリンテッドエレクトロニクス分野において,印刷精度の向上や薄膜積層技術の進化により性能の高いデバイスを作成することが求められている.特に難易度が高い有機TFTアレイの製作には薄膜且つ微細パターン描画が必要であり,各種印刷装置のプロセスとインク物性のみならず,基板表面処理や後処理などのプロセス技術の最適な摺合せで初めて実現可能となる.プリンテッド有機TFTアレイを形成する材料に求められる特性について検討する.
プリンテッド・エレクトロニクスへの期待が高まる中で,配線インク技術の進歩が著しい.それらは,金属ナノ粒子,金属塩,及び金属ナノワイヤになるが,本稿では,これら配線インクの中で成熟度の高い金属系インクの現状を紹介する.
印刷または塗布製膜により,高性能な有機薄膜トランジスタアレイ製造を量産するためには,有機半導体,絶縁膜,保護膜,それらを使用したトランジスタ形成方法を開発することが極めて重要である.本稿では,アモルファスシリコンを超える移動度を持つ有機薄膜トランジスタを印刷,または塗布にて製造するための高分子,及び低分子有機半導体を適切に製膜するプロセスを述べる.
フッ素樹脂は高い耐熱性,低い誘電率,優れた耐候性,難燃性,低表面エネルギー,高い耐薬品性などを示すことが知られている.旭硝子では溶剤可溶型フッ素樹脂を開発しており,本稿では有機エレクトロニクスに適用可能な材料を紹介する.1つはフッ素樹脂特有の物性を備えつつ非晶質で透明なフッ素溶媒に溶けるコーティング材料のサイトップ,もう1つは,フッ素樹脂でありながら汎用溶媒に溶ける特徴をもつEPRIMA®ALである.
これらは異なった性質を持つので,デバイス構造や要求特性によって使い分けが出来ると考えている.