「写真の進歩」は,毎年一度時期を決めて前年一年間の写真技術の動きを振り返ることにより,日々進歩を続ける写真技術の全体像を時系列的に俯瞰することを狙いとして,継続的に取り組んでいる企画です.
執筆陣は,技術委員会傘下の各研究会の代表者を中心に,それ以外の識者も加えた各分野の専門家により構成されています.各執筆者は担当の分野に応じた観点から,主として前年一年間に発表された技術(文献),製品,作品,統計等について,可能な限りその特徴・傾向・分析などのコメントを加えつつ紹介します.なお具体的な内容については各執筆者の意向を尊重しています.
過去の「写真の進歩」は,写真学会ホームページ(http://www.spstj.org/)の「学会誌からのトピックス」(http://www.spstj.org/book/pickups.html)にも掲載されていますのでご利用下さい.
デジタル一眼レフカメラEOS 5DSおよびEOS 5DS Rは,有効画素数約5060 万画素・35 mmフルサイズCMOSセンサーを搭載し,視野率約100%ファインダー,61点AF,最高約5.0コマ/秒連続撮影,フルハイビジョン(Full HD)動画撮影機能を搭載した高解像を重視するプロ・ハイアマチュア向けの一眼レフである.本稿では,両機種の特徴的な機能について説明する.
“1.0型イメージセンサーに期待される画像処理性能” と “超薄型化” とを両立させ,更にLTE 通信機能を備えた高画質カ メラを開発した.その要素技術であるハードウェア構造とUI(User Interface),プラットフォーム,アプリケーション,SIM(Subscriber Identity Module)活用を紹介する.
PENTAX K-3IIに搭載した「リアル・レゾリューション・システム」は,当社独自のボディ内手振れ補正技術を応用し, 撮像素子を1ピクセルずつ微小駆動しながら撮影した4枚の画像から1枚の超高精細画像を生成する機能である.この機能を実現した技術背景と,その効果について解説する.
暗黒物質探索を目指し,その反跳低速粒子を高感度に記録する方式が提案されている.低速粒子のエネルギー損失は,電 子的阻止能と核的阻止能の二つの機構があるが,後者の写真作用に関しては定説がない.本報では,低温トリボルミネッセンス観察に基づいて,核的阻止能の作用を議論し,低速粒子の高感度検出に関して考察する.