本研究は,沖縄県西表島に位置するクーラ洞窟を対象に,狭隘かつ暗所環境におけるハンディ型LiDAR の実用性と計測精度を検証することを目的としたものである.従来の地上型レーザスキャナ(TLS)では設置や視通の制約により計測が困難であった洞窟内部に対し,可搬型LiDAR を用いて高密度三次元点群を取得し,洞窟の連続的な空間構造を可視化した.計測では,SLAM(Simultaneous.Localization.and.Mapping)により取得された相対座標点群を,RTK-GNSS で測位した基準点とヘルマート変換によって絶対座標系へ変換し,変換後のRMS(Root.Mean.Square)誤差(残差の二乗平均平方根)を用いて精度評価を行った.あわせて,片方向スキャン(ループクローズなし)とループクローズを伴う経路スキャンの比較を実施した.その結果,オープンスカイ環境では約5.5.cm,洞窟を含む狭隘環境では約9.cm のRMS 誤差が得られ,長距離・非閉合経路条件下においても実用上十分な精度を確保できることが確認された.一方で,ループクローズ条件下では経路長や基準点配置の影響により誤差が増大する傾向も認められ,SLAM 処理と座標変換手法の最適化が今後の課題として示唆された.. .さらに,UAV 空撮による地表三次元モデルと統合することで,洞窟内部から地表までを一体化した三次元空間モデルを構築した.本研究は,非接触・非破壊での高精度三次元記録手法として,ハンディ型LiDAR が狭隘環境においてTLS を補完する有効な計測技術であることを実証するとともに,洞窟環境の保全,地形変動モニタリング,文化財アーカイブス構築などへの応用可能性を提示するものである.
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