陸水物理学会誌
Online ISSN : 2435-3043
5 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 1年間の調査をもとにした水質形成要因の推察
    山形 えり奈, 小寺 浩二
    2023 年 5 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/20
    ジャーナル フリー
    阿武隈川流域を対象とし,土地利用や地質などの流域特性と河川水質を明らかにすることを目的に,水質調査を本流21地点,支流40地点において1年間行った。その結果,流域全体の水質の季節変動を解析したことで,支流の水質が本流の水質に与える影響を確認することができた。また,特異な水質を示す支流の存在が明らかになり,東根川と逢瀬川では,電気伝導度が高くNa+-Cl-型で,人為的な汚濁負荷の流入が,荒川はCa2+-SO42-型で火山の影響が,強く現れていると考えられた。さらに,電気伝導度や主要溶存成分には,土地利用の影響が強く認められた。
短報
  • 森本 洋一, 小寺 浩二
    2023 年 5 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/25
    ジャーナル フリー
    積雪地域の河川では,融雪水が水質に大きな影響を与えるため,積雪・融雪の影響の把握が重要であるが,融雪の影響の少ない期間の水質も正確に理解しておく必要がある。しかし,特に積雪の多い多雪地域では,積雪の少ない河川とは異なり,融雪水の影響は初夏まで残り,影響のない期間は短期間である。このことから,温暖積雪域での積雪と融雪の影響をできるだけを除外して考察するため,まず,非降雪期の水質特性の把握を試みた。本稿では,豪雪地域である信濃川支流魚野川本流及び支流における2009年4月から12月にかけての水質調査結果に基づき,本流の水質やその変動について考察を行った。対象期間の本流の電気伝導度(EC)の平均値は,中流部で最も高く,変動が大きいのは上流部であった。上流部のEC値の変動要因は,積雪期に撒かれた凍結防止剤成分が融雪期に流出し,Na+,K+,Cl-が増加するためである。中流部の高いEC値は,Na+やCl-,SO42-等の温泉成分が混入した河川の影響を受けていることが示唆された。
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