順天堂医学
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21 巻, 3 号
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目次
Contents
特集:間接疾患の治療
原著
  • --特に酸性ムコ多糖の組織化学的検討--
    羽里 信種
    1975 年21 巻3 号 p. 263-275
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    Marfan症候群における大血管の嚢胞性中膜壊死 (cystic medionecrosis以下CMNと略す) の病理組織学的態度-特に酸性ムコ多糖 (aMPS) の組織化学的検討-について正常群・大動脈瘤群・肺高血圧群と対比し検討した. CMNのaMPSについてはhyaluronidase (streptomycesおよびtesticular) とchondroitinase (ACおよびABC) による消化酵素試験を用い, 次の結果を得た. (1) 正常群および肺高血圧群にみられるCMNの程度は高令で高血圧を合併した症例を除くと軽い. (2) 大動脈瘤群 (動脈硬化性および梅毒性) では一部に強いCMNを認め, aMPSは各種分画を含んだ混合型を呈した. (3) Marfanの大動脈におけるCMNのaMPSは, 症例によって態度を異にし, chondroitin sulfate ACまたはhyaluronic acidを主成分とするもの, その他のaMPS分画を含んでいるものなどがあるが, 全例chondroitin sulfate Bの相対的減少を認めた. (4) Marfanの肺動脈におけるCMNは, 全例に潜在的に程度の差こそあれ認められた. 肺動脈に血行力学的負荷を加える因子が合併すると, 肺動脈のCMNの程度は強まり, aMPS分画の態度は大動脈のそれと同じで, aMPS産生細胞は症例によって, 個体特異性を有していることを示唆する. (5) Marfanにおける大血管中膜の平滑筋細胞の代謝は他の疾患と先天的に異なり, abiotrophic changeとしてCMNが喚起し易く, それが為に成人の場合には血行力学的負荷が強まる上行大動脈に種々の変化した大動脈瘤・解離性大動脈瘤・大動脈弁閉鎖不全症など) を来たしたと考えられる.
  • 若林 芳久
    1975 年21 巻3 号 p. 276-285
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒトのリンパ球に, Phytohemagglutinin (以下PHA) に代表される各種のMitogenを添加して培養すると, リンパ球はいわゆる芽球様化現象を起こすことはすでによく知られている. 我々もリンパ球の生化学的研究の一環として, 特に核酸, 蛋白代謝の面からの芽球様化現象の細胞生物学的解析を行ない, 種々報告して来た. 今回は, 各種の血液造血器疾患, 自己免疫疾患, アレルギー疾患などにおける, いわゆる免疫不全を呈する患者末梢血リンパ球の, PHAをMitogenとした芽球様化現象をそのRNA合成の促進をもって観察したが, そこで得られた所見はこれらの疾患の病態の解明, および治療の面で役立つものと考えられたので報告する. 実験方法は患者末梢血リンパ球を分離し, 1.0×106個/mlとなるようにTC 109中にsuspendし, PHA-P 100μ9を添加し, RNA合成の指標として, H3-Uridine 1μCiを加え, 24時間の静置培養をCO2 Incubator中で行ない, 培養ののち, disc法でassayし, 核酸中に取り込まれたH3の放射線活性を測定し, RNA合成の指標とした. 実験結果は, まず正常人群のリンパ球培養24時間後のRNA合成の促進の度合を, PHAを加えない場合を100%とする% increaseで表わすと, PHA添加群では380±70%と強く促進された. つぎに, 各種疾患患者群で同様に検索したところ, 再生不良性貧血, 白血病, 多発性骨髄腫, 悪性リンパ腫などの血液造血器疾患においては, すべての症例で, PHA添加のもとでRNA合成促進は弱く, かつその病態の増悪によりさらに弱くなることが認められた. ザルコイドーシスにおいては, その病態の増悪期において, きわめて強いRNA合成の抑制がみられたが, 寛解期には正常人に近いところまで改善されることが明らかであり, 同様の現象はMitogenとしてPPDを用いて同様に行なった実験においても認められた. 重症筋無力症においては, 全体に軽度のRNA合成の抑制がみられたが, とりわけBrittle typeの症例において, その傾向が強かった. SLEをはじめとする種々の膠原病においては, 病勢の増悪期におけるリンパ球のRNA合成の促進はほぼ全例できわめて強く抑制されていることが認められたが, 一方寛解期においてはかなりの改善がみられた. また急性ウイルス性肝炎では明らかに, PHA添加リンパ球のRNA合成は弱かったが慢性肝炎では逆に, 強いRNA合成の促進がみられた. さらに, 肝硬変症においては, RNA合成は著るしく抑制されていることが認められた. 急性化膿性炎症では全例できわめて強いRNA合成の促進がみられた. とりわけ本実験において注目されたことは, 伝染性単核症である. 頻回にわたって検索したにもかかわらず, 本症患者リンパ球は, PHAに対する反応性を全く欠いていた. しかしながらこの現象に関しては, 未だ症例数が少いため, その解明には今後の検討を待たねばならないものと思われる.
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