順天堂医学
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21 巻, 4 号
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目次
Contents
特集:薬物の副作用
実験動物学講座
原著
  • 橋本 博史, 小林 二郎, 鈴木 星文, 歌川 祐二, 三浦 由紀子, 永久 素, 石福 治子, 塩川 優一
    1975 年 21 巻 4 号 p. 379-389
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    抗核抗体, 抗DNA抗体の検索は, 膠原病, 特に全身性エリテマトーデス (SLE) の診断・治療に欠かすことのできない検査であるが, 他疾患でも陽性に認めることがあり, 必ずしもSLEに特異的であるとはいいがたい. 1974年4. 月より1年間にわたり当教室で検索しえた螢光抗体間接法による抗核抗体 (ANA) とスポット法による抗DNA抗体の検査成績を疾患別に検討した結果, 以下の結論を得た. SLEでは他疾患にくらべ, ANA, 抗DNA抗体いずれも陽性率高く, ANAでは染色像がPeripheral P. を認める率が最も高い. また, titerもANAでは最高212まで, 抗DNA抗体は最高28まで認められた. DLEでは, ANA, 抗DNA抗体いずれもSLEとほぼ同じ陽性率を示したが, titerが低く, ANAの染色像でperipheral P. を示したものはなかった. ANA, 抗DNA抗体陽性を示す疾患は, 陽性率やtiterは低いが, SLE以外でも認められ, そのなかでも, 強皮症, シェグレン症候群, 橋本氏病における陽性率が高い.
  • -尿中に出現する低分子タンパクの検討-
    只野 壽太郎
    1975 年 21 巻 4 号 p. 390-407
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    尿中に出現するタンパク成分の大部分は, 血漿中のそれに由来することは, 1951年にRigasらにより報告され, 現在約20種以上の免疫学的に異なるタンパクが尿中より同定されている. ただし腎糸球体はタンパク漏出に対し選択的に働くため尿中タンパクの分子量と血漿中のそれとの関係が追求されてきた. この問題は, 1959年から同62年頃にかけ次々と明らかにされ, 現在尿中タンパクの分子量は血漿中のものよりはるかに小さいものもあることが証明されている. 一方, 腎糸球体選択透過性の問題は尿タンパクと腎疾患との関係をより密接にし, Selectivity slopeθ値として, 臨床上に応用されている. ただしselectivity測定の基本である生体内タンパク, 特に血漿中のタンパクの分子量別クリアランスには尿中低分子タンパクの存在を考慮していないため批判も多い. 本論文は尿中のタンパク質を免疫電気泳動法で分析し尿中に出現するタンパクのうち, Ig-GとAlbが特に正常人尿, 患者尿のいずれにも出現することを認めた. つぎに尿中のIg-GとAlbの分子量を分子量別分画法, 超遠心分析法で測定し, これらが血漿中のそれよりはるかに低分子化していることを明らかにすると同時に, 低分子化していないIg-GやAlbもある程度は尿中に漏出することを認めた. 一方, この低分子化したタンパクは尿路中で尿に含まれる還元物質, 酵素, 細菌, 細胞成分などの作用で産生されたものでなく, 血漿中にあるものがそのまま尿中に漏出したことを示した. 以上のような事実をもとにし, 尿中の低分子化したIg-Gとそうでないものの比から, 従来のselectivity測定に準ずる, 腎機能検査法の一つとして使いうるかどうかを検討した. すなわち, ネフローゼ症候群や慢性糸球体腎炎患者につき, selectivity slopeθ値を求めると共に, 同時に尿中低分子lg-Gとそうでないものの比を求め, 両者を比較し相関が成立することを認めた. この方法は透析膜を使用し, 操作法も簡単なので, 日常の臨床検査室で充分利用できると考えた. ただし, より多くの臨床例の蓄積, 病理組織学的所見との対比, 治療効果や予後などとの関係につき将来検討を必要とする項目も多い.
  • Diffuse Metastatic Carcinomatosis of Dog Stomach
    MINORU KURIHARA, TSUGUHIKO IZUMI, KEIICHI MIYASAKA, HIKOO SHIRAKABE, A ...
    1975 年 21 巻 4 号 p. 408-414
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    N-Ethyl-N'-Nitro-N-Nitrosoguanidine投与により発生した犬胃癌の全身性転移 すでに発表 (栗原稔, 安井昭共著, 実験胃癌, 医学図書出版ほか) してきたように, 犬の実験胃癌作製に, 従来用いられたN-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG) に変えてENNGを用いただけでなく, 杉村らの飲料水として発癌剤を投与する方法を, 固型飼料に発癌剤溶液を浸漬して, 一度に摂取させるように変えたわれわれの方法では, 従来の方法より早期にかつ進行した胃癌をつくることに成功した. しかも雑犬1頭とピーグル犬3頭に所属リンパ節のみならず, 遠隔リンパ節転移が, ビーグル犬No. 7に肝転移が発生した. 今回は, 実験開始後1591日にメレナで死亡したビーグル犬No. 8に全身のリンパ節および臓器転移, 癌性腹膜炎を認めたので報告した. 死亡直前の検査成績でも, GOT 96u, GPT 256u, Al-P28.6K. A. u., LDH 311u, Hb 9.4gr/dl, Hct 27.8%など, われわれが調べた正常ビーグル犬の正常値と比較して明らかな異常値を示した. 剖検時, るいそう著明で膨隆した腹部を切開すると黄色透明な腹水180mlを認めた. 細胞診では印環型癌細胞を認めてclass Vであった. 胃は, 噴門直下後壁将膜側で腫大したリンパ節塊と硬く癒着していた. 胃を小彎側で開くと, 噴門直下後壁には108×77mm大の深いKraterを存するBorrmann 3型癌があり, 組織学的には低分化型腺癌で漿膜に浸潤していた. 他に胃角部にびらん, 前庭部に2個の隆起性病変を認めたが, 特染により精査中である. なお, 犬がまだ生存中の1190日にBorrmann 3型癌のKraterから生検した組織片2個が, ヌードマウスに移殖された. この成功は, 1974年秋, フローレンスで開かれた第11回国際癌学会で発表し, また上記著書やJ. IRCSで報告した. その後, 藤田らも犬実験胃癌のヌードマウスへの移殖に成功した (私信). 犬No. 8のリンパ節転移は, 腹腔内, 胸腔内などに大小無数認められた. 肝には, 30×20mm, 20×17mmの大きさの2個の転移, 肺には多発性の小結節性転移, 両側の下肢に骨転移, 無数の全身皮下転移なども認めた. これら転移形式から, 犬胃癌は人胃癌と同程度に悪適であることが明らかになった. しかもわれわれの方法では, 従来のMNNGを飲料水として経口投与した場合の欠陥であった, 小腸の肉腫発生による犬の斃死は全く認めなかったので, 標的臓器は「胃」だけである. 以上のようなわけで我々の方法による発癌は実験胃癌モデルとして最適である.
てがみ
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