順天堂医学
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22 巻, 3 号
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目次
Contents
特集 免疫,最近のトピックス
原著
  • 森 三樹雄
    1976 年 22 巻 3 号 p. 286-296
    発行日: 1976/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    正常尿を100-1000倍に濃縮すると, アルブミン, α1-抗トリプシン, トランスフェリン, γ-グロブリンなどが出現する. 腎疾患の患者尿中には上記の蛋白が正常人に比較し多量に出現するが, 腎臓の障害の部位によりその出現する蛋白の種類や量が異なる. 腎糸球体の障害により起こる糸球体性蛋白尿では中分子量 (60,000-160,000) のアルブミン, トランスフェリン, IgGなどの蛋白が主体となり, 疾患としてはネフローゼ症候群, 腎炎, 高血圧性腎症, 糖尿病性腎症などがある. これに対し近位尿細管障害による尿細管性蛋白尿では低分子量 (10,000-50,000) のL鎖, β2-ミクログロブリン, 血清酵素などが出現し, 疾患としては慢性カドミウム中毒, Fanconi症候群, ウイルソン病などがある. この他糸球体と尿細管がともに障害されることによって起こる尿毒症性蛋白尿では低および中分子量蛋白が同時に出現し, 尿毒症の時にみられる. 著者は糸球体性蛋白尿をきたした慢性腎疾患患者尿中の低分子量γ-グロブリンとアルブミンについて物理化学的および免疫学的検索をした. 尿中低分子量γ-グロブリンの分子量は約12,000でIgGのH鎖フラグメントであるFcとFabおよびL鎖を含んでいた. 尿中低分子量アルブミンは分子量約10,000のminialbuminが出現し, 免疫原性を有した.
  • 三村 敏子
    1976 年 22 巻 3 号 p. 297-309
    発行日: 1976/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    トリプシン消化という手段を用いて, Mg2+および基質ヌクレオチドによるミオシン分子の構造変化を, ATPase活性変化および消化生成物のカラムクロマトグラフィ\超遠心分析・ゲル電気泳動により解析した. その結果, 1) トリプシン消化の初期には, 活性測定時に二価金属イオンが存在する条件下では, ミオシンATPase活性は活性化を示し, 消化の進行とともに失活するという二相性を示した. 2) Mg2+はATPase活性中心でのペプチド鎖切断を軽度に促進した. ATP, ITPはこのMg2+効果を著しく強めた. 3) ATPase活性中心の切断の程度とは無関係に, アクチンによるMg2+-ATPaseの活性化は消化の進行とともに急激に消失した. Mg2+-ATPの共存はこれをわずかに促進した. 4) ミオシンのアクチンG→F転換促進能はトリプシンに対し強い抵抗性を示した. Mg2+-ATPはこのG→F転換能を保護した. 5) Mg2+不在下のトリプシン消化ではHMMから直接サブフラグメント (Sub) -1とSub-2が作られるが, Mg2+存在下ではSub-1の生成が起こりにくいことがクロマト的に示された. 以上の結果から, トリプシンによるミオシン分子中の切断点とその付近のMg2+およびヌクレオチドによる高次構造の変化について考察した.
症例報告
  • 清水 一夫, 榛沢 進, 佐生 隆, 工藤 英俊, 藤田 博明, 桑原 紀之, 斉木 茂樹
    1976 年 22 巻 3 号 p. 310-316
    発行日: 1976/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    低血糖発作を伴なう巨大腫瘍は, 1930年Doegeの報告以来, 本邦, 欧米共に数多くの報告がみられる. いずれも腫瘍の剔出により低血糖発作が消失したと報告されている. 我々も最近巨大縦隔洞腫瘍患者に低血糖発作を伴ない, 腫瘍の剔出により低血糖発作の消失をみ, その後1年有余を経て再発の徴候の認められない症例を経験した. 患者は64才の男性で, 48年1月より気管支喘息様発作が出現, 呼吸困難, チアノーゼが増強したため, 48年3月当科に入院した. 入院時胸部レ線写真にて右第2肋間の高さ迄, 無気肺様陰影あり. 試験穿刺にて約300ml, 黄色の漏出液を得た. 縦隔洞腫瘍を疑い手術を勧めたが拒否され保存的治療にて症状が転快したので同年7月一旦退院したが, その後呼吸困難のため2回入退院を繰返した. 48年12月早朝もうろう状態と興奮が出現. 朝食をとると軽快した. 49年1月もうろう状態が改善されないため, 4回目の入院となり, 低血糖とIRIの低値より低血糖発作と診断, 胸部外科に転科, 腫瘍剔出術を施行した. 剔出標本は20×21×15cmで, 重さ3100gr, 髄様でよく被包化されており, 病理組織学的診断はFibromyomaであった. 術後低血糖発作は消失し, G. T, T., I. R. I. 値も正常に回復し, 現在に至る迄再発の徴候は認められない. なおこの種の巨大腫瘍に伴った低血糖発作の原因に関しては, いくつかの考え方があるが現在の時点では, 腫瘍での糖消費説, インシュリナーゼ産生阻害物質またはインシュリン様物質産生説が有力である.
抄録
てがみ
編集後記
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