順天堂医学
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24 巻, 4 号
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目次
Contents
特集 めまい
原著
  • 岩垂 正矩, 遠藤 和嘉子, 上条 清明
    1978 年 24 巻 4 号 p. 441-444
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ある種の医薬品がヒトの染色体に障害をあたえる可能性が議論されて以来, 多くの研究がなされ, 種々の化合物にその作用が認められている. 今回我々は, 強力な抗アレルギー作用を有する新規な化合物, N- (3', 4'-dimethoxycinnamoyl) -anthranilic acid (N-5') のヒト体細胞染色体に対する作用を検討した. その結果, 本薬物は200μg/mlの濃度まで染色体に対する障害作用はなかった. 400μg/ml以上の濃度では細胞増殖は抑制され染色体の観察に不適当な濃度であった.
  • 宋 子奇
    1978 年 24 巻 4 号 p. 445-468
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    地方性甲状腺腫は臨床, 病理学的に複雑な経過を示し, 疫学的, 病理学的発生論や治療の選択に多くの難題が残されている. 著者は本症の病期検討および妥当な病期分類がこれらの検索, 解明にきわめて有用であると着目し, 甲状腺剔出を行なった地方性甲状腺腫336例を臨床, 病理学的に精査し下記の結果をえた. 1) 地方性甲状腺腫は臨床的, 病理学的経過からStage 1;過形成期, Stage 2;腫大期, Stage 3;結節形成期と分類できた. 2) 本症は病期の進行に伴い病悩期間は長くなり, 甲状腺腫は増大し種々の局所圧迫症状をみるが, 合併症がなければ全身的, 臨床生化学的所見はほぼ正常である. 3) 臨床, 病理学的に本症はStage 1からStage 2さらにStage 3に進行し, Stage 3は終末期である. 4) 病変の占居部位はStage 1では両葉性, Stage 2では両葉性と単葉性がほぼ等しく, Stage 3では単葉性が多い点からもStageの進行度を裏付けられる. 5) 336例のうち男性39例, 女性297例, 男女比1:7.6で, 発生のピークは女性では20才から30才代, 男性は30才から40才代であった. 6) 手術適応例は若年者より成人に多く, 女性は男性より著しく多い. ヨード治療の効果が若年者ほど良好で, 男性は女性よりもヨード感受性が高いためである. 7) Stage 3の9.4%に甲状腺機能亢進症 (4.03%), 腺腫 (1.34%), 甲状腺癌 (4.03%) などの共存疾患がみられた. 8) ヨード治療はStage 1では効果的であるがStage 2では無効でStage 3に進行し, 種々の合併症を起こすこともあり, Stage 2における手術が望ましい.
  • 西福 幸二
    1978 年 24 巻 4 号 p. 469-477
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    金岡らはleucine aminopeptidase (LAP) の基質として新たに7-L-leucyl-4-methylcoumariny-lamide (LMC) を合成し, 精製ブタ腎LAPにより分解されることを報告した. これはLMCの水解によって生じた7-amino-4-methylcoumarin (AMC) の蛍光スペクトルが大きく赤方に移動し, 基質に比べて蛍光強度も著しく高いことを利用したものである. われわれは, LMCを用いたヒト血清LAPの新しい蛍光測定法を確立するために基礎的な検討を行なった. 活性測定は, 0.11mM LMCと5% (v/v) dimethylsulfoxideを含む50mM Tris-HCl緩衝液 (pH8.0) 2.0mlに10μlの血清を加え, 37℃で行なった. 酵素活性は, AMCに由来する440nmの蛍光の強度を経時的に5分間記録し, 活性を計算した. 水銀燈の365nmの輝線を用いて励起するわれわれの条件下では, 血清アルブミンによる基質の吸着や, ヘモグロビンの内部濾光効果などは無視することができた. また高度なビリルビン血症による内部濾光効果については, 対照をおくことによって簡単に補正することができた. この蛍光測定法を用いて得られた活性値は, 従来のGoldbarg法とよい相関を示した. われわれの測定法は, 極めて少量の血清で測定可能であり, また非常に簡単・迅速であるので, 連続多試料分析には最も適していると考えられた.
  • 陳 清朗, 清田 明憲, 奥山 輝明, 古谷 博
    1978 年 24 巻 4 号 p. 478-484
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    近年, 驚威的な高分解能を有する透過型電子顕微鏡ならびに新しい超薄切片法の発達により, また直接生物の立体構造を電子顕微鏡で観察する走査電子顕微鏡の開発により, 超薄切片を用いた組織学的超微細構造の研究は非常に盛んになって来た. 我々は材料としては, まず手術時に採取した卵管および子宮内膜, ならびに妊娠初期, 中期および後期の胎盤絨毛組織につき, 日立走査型電子顕微鏡MSM-IIあるいはS-500を用いて, 直接倍率100-20000倍で組織表面の超微細構造を観察した. 卵管内膜, 子宮内膜の性周期性変化, 胎盤絨毛の妊娠経過に伴なう変化を走査電顕により観察すると, 卵管内膜は線毛細胞, 無線毛細胞および小桿細胞が見られる. 子宮内膜は大部分が無絨毛上皮細胞で被われている. これに混じって線毛細胞が散在しており, 胎盤絨毛は諸所にくびれやしわをもつ絨毛突起が全体として美しい樹枝状の構築をなす. 絨毛表面には妊娠初期, 中期, 末期を通じて密生するmicrovilliが存在する. それぞれ微的な像を認めることが出来た. これらの超微細構造と機能との関連性, ならびに今後さらに臨床像との関連性を含め追求していきたいと考えている.
  • 陳 清朗, 清田 明憲, 奥山 輝明, 古谷 博
    1978 年 24 巻 4 号 p. 485-491
    発行日: 1978/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    従来の透過電子顕微鏡の性能は飛躍的に発展してきた. さらに直接生物組織のあらゆる表面微細構造および立体構造を観察, 明らかに出来る走査電子顕微鏡の利用分野に, 医学, 生物がとりいれられる様になった. しかし約10年を経過したに過ぎないが近年, 試料作製技術の急速な進歩につれて, 軟組織の表面観察をも可能になり, 組織形態学上において有能な存在になりつつある. 今回, 我々は母児間の物質交換をつかさどる部位である胎盤絨毛組織を観察し, 表層上の形態および組織構造を検討した. 1) 絨毛表層の走査電顕所見は胎盤絨毛諸所にくびれやしわをもつ絨毛突起が, 全体として美しい樹枝状の構築をなしており, その表面はmicrovilliによってビロード状に見える. さらに透過電顕を見るとSyncytium細胞の遊離縁に於てPinocytosisを思わせる小胞の開口像および中に微細顆粒を容れた空胞が観察できた. microvilliは貧弱で部位によってはほとんど観察できない所もある. 2) 細胞質内に遊難するRNP顆粒はSyncytium細胞においてLanghans細胞よりも多い. したがってLanghans細胞はSyncytiurn細胞よりも明るく, Syncytium細胞において顆粒性小胞体は細胞質内にびまん性に存在するのに反しLanghans細胞においてそれは粗に認められる, 妊娠末期においても各細胞間に明瞭な細胞膜構造および, これに附着するdesmosomeの構造を有するLanghans細胞が認められるが, Langhans細胞よりSyncytium細胞への移行と思われる構造を見い出すことは出来なかった. Syncytium細胞は全く合胞性であって, 細胞膜構造は認められないが, Syncytium細胞層にはSyncytium knotは認められる. 3) 厚さ約300mu前後の基底膜はSyncytium細胞層と直接する割合は大きくなり. 他の一般上皮の場合よりも厚さの変化が著しい. 4) 絨毛間質は間質細胞, 膠原線維, などの固有成分およびそれ以外の雲状液状物でみたされている. 5) 胎児側毛細血管は内皮細胞, 内皮細胞外側の薄い基底膜とさらにその外側の間質細胞性と考えられるpericyteが認められた. 今後, 臨床像により組織および形態学的所見の変化, または特徴を検討考察することは出生前医学の分野でも必要と考えられる.
症例報告
てがみ
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編集後記
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