6年間 (1971-1976) で5240のBrown変法による注射検査を施行した. この成績を材料とし, さらに内視鏡観察と生検を併用し大腸陥凹性病変の研究を行なった. 大腸の最小の微細陥凹単位 (網の目像, fine network pattern) を切除後腸X線像と標本の対比で確実のものとした. 実際の検査で, network patternの現出能の部位別, 年齢別差は広義の長過腸との関係が深かった. network patternの形は伸展度, 歪み, 捻れで変る. 微細構造描出の立場から検査方法を検討すると前処置として制限食指示群より, 検査食直接投与群の方がよかった.
潰瘍性大腸炎の病態把握の方法について検討した結果, X線像を徴細に分析することにより病期の判断が正確になった. さらに病態把握の診断能を高めるには病期によって内視鏡検査, 生検組織検査を必要とした. また, 経過観察により臨床的に寛解をみたもので正常なnetwork patternまで回復したものは10%で重症度に関係なかった.
陥凹性諸病変の診断と鑑別診断は病変をびまん性と非びまん性 (単発, 散在性) に, また正面像 (大きさ, 数, 深さ, 形, 辺縁の性状, ひだ集中) と側面像 (棘状突起, ニッシェ, 変形) から分析することが必要であった.
直腸炎のX線像は粗造型, 透亮型, 斑点型の3型に分けることができた.
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