これまで, SLE, その他の膠原病の同一検体を用いて, millipore filter radioimmunoassay法による抗native DNA抗体と抗denatured DNA抗体の比較検討した報告はいまだない. 著者は, 仔牛胸腺からえられた未変性DNA (n-DNA) および変性DNA (d-DNA) にin vitroで
125Iを標識し, SLE, その他の膠原病患者血清中の抗n-DNA抗体と抗d-DNA抗体をmillipore filter法により検索し, 以下の結論をえた.
millipore filterはn-DNAのみならずd-DNAを74.4%濾過することを認めた. Complex formation時のincubationtimeは15分以上必要とし, 血清の非働化を必要とした. また, assay時の塩濃度は0.15M (Tris buffer) が最適であった.
抗n-DNA抗体価の高い血清はn-DNAとd-DNAにより抑制され, 抗d-DNA抗体価の高い血清は, d-DNAによってのみ抑制されることを認めた. 抗n-DNA抗体と抗d-DNA抗体は, いずれも正常人にくらべSLEで有意の高値を示したが, 抗d-DNA抗体はSLEのみならず, 他膠原病でも陽性を認め, 正常人でも少数例陽性を認めた. 抗n-DNA抗体価はSLEの臨床的活動性とよく一致した. millipore filter法による抗DNA抗体の検索は, 簡易で, 多数の検体を短時間で検索することができ, 再現性, 特異性にすぐれ有用である.
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