順天堂医学
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29 巻, 2 号
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目次
Contents
特集 村上教授・小酒井教授 定年退職記念講演
  • 村上 正中
    1983 年 29 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1983/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    昭和19年開校から10年間は健康管理に関する特別な組織がなく, 東・中島・佐藤の3教授が学生のため健康管理を行っていたようである. 昭和29年に山本・小池・田中・石塚らが本学最初の健康管理案を作成した. その結果, 東委員長を中心とする保健委員会が発足し, そのもとで佐藤団長の校医団が活躍した. 一方, 労働衛生活動は法令にしたがって昭和23年から始まっている. 昭和37年には組織の充実を規則の改正で計ったが, 学生運動の余波を受け, 昭和45年にさらに斬新な制度が成立し, ここに健康管理室が誕生した. 現在の本室関係者は31名, うち臨床医15名, 健康診断種類は28項目におよぶ. なお, 昭和56年度保健相談数は1290件に達し, 大学の健康管理業務は組織化され, 着実に充実した. 今日の健康管理の目標は健康増進に基礎にふまえて考えるべきで, 将来は健康増進面の臨床研究と医学生への健康管理学教育が必要である.
  • 小酒井 望
    1983 年 29 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1983/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    私は臨床病理学に従事して以来30余年を経過し, 順天堂大学に勤務して22年を経た. 最初臨床細菌学の研究から始め, 臨床細菌学が一貫して私の主な研究領域となったが, その間の研究内容を, 教室関係者のそれも含めてその概要を述べた. ついで私の眼で見たわが国の臨床病理学の進歩の模様を, 教室関係者の業績を中心として概観した. そして今後早急に解決すべき臨床病理学の課題にふれた.
原著
  • --とくに妊孕現象に伴う生化学的変化について--
    山本 幸彦
    1983 年 29 巻 2 号 p. 166-176
    発行日: 1983/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒトの妊孕現象に伴う子宮の生理的変化の機序を解明するために, 子宮組織におけるハイドロキシプロリン量, コラーゲンの可溶化およびプロリン水酸化酵素活性の変動について検討した. またヒトの子宮組織由来培養線維芽細胞の増殖に対する性ステロイドホルモンの影響についても検討し, 以下の成績をえた. 1. 子宮頸部のハイドロキシプロリン量は, 妊娠中, 分娩直後および産褥期 (4日目) ともに非妊時より少なく, とくに分娩直後では非妊時の29.9%にまで減少したが, 産褥期では分娩直後の165.0%に増加した. 一方体部においても, 分娩直後では非妊時の51.9%に減少した. 2. 子宮頸部におけるペプシン可溶性分画は, 分娩直後では非妊時の2.6倍に増加したが, 産褥期では分娩直後の61.8%に減少した. 一方体部では, 可溶化における変動は認められなかった. 3. 子宮頸部のプロリン水酸化酵素活性は, 妊娠中および分娩直後では非妊時に比して軽度の上昇であったが, 産褥期では有意に上昇した. 一方体部においては妊娠経過に伴って上昇し, 分娩直後では非妊時に比して有意な上昇を認めた. 4. 子宮頸部および体部由来の培養線維芽細胞の増殖に対して, 17β-estradiolおよびestriol添加群では, それぞれの濃度差により促進と抑制の二面性が認められた. 一方progesterone添加群では抑制のみがみられた. 以上の成績は, ヒトの子宮におけるコラーゲンが妊娠・分娩に伴って生化学的に著しく変動し, しかも頸部と体部とではその変動パターンが異なることを示したものである. またその変動に対して性ステロイドホルモンが関与していることを示唆している. このことより, コラーゲンの生化学的変動は, 妊孕現象に伴う子宮の生理的変化に際して重要な役割の一部を担っているものと思われる.
  • 関根 尚之
    1983 年 29 巻 2 号 p. 177-190
    発行日: 1983/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    乳癌93例, 慢性乳腺症34例, 線維腺腫7例の計134例を対象として, 乳癌の血管造影法の診断的価値, 血管造影所見の特徴, 直接所見としての腫瘍濃染像と組織学的所見との関連性を中心に検討を行った. 外側胸動脈の起始は腋窩動脈より分岐するもの38.1%, 胸肩峰動脈より分岐するもの20.1%, 胸背動脈より分岐するもの27.6%であった. 腫瘍支配動脈としては内胸動脈, 外側胸動脈, 浅胸動脈が重要であり, 特に浅胸動脈の重要性を強調した. 乳癌と良性疾患との間に5%以下の危険率で有意差を認めた異常所見は, chaotic arrangement, straight course, irregular tortuosity, dilatation, hypervascularity, lymph node stain, tumor stainの7項目であった. 各所見のスコア化を試みretrospectiveに診断率を求めた結果, 乳癌の正診率は86.0%であり, 他の診断法に劣らぬ成績を示した. また腫瘍径2cm以下の乳癌の診断率では明らかに優位な成績が得られた. 組織型別の診断率の比較では髄様腺管癌が最も良好であった. 腫瘍濃染像の実体は200μ以下の血管の増生と拡張であり, 線維性間質反応と癌巣密度に影響され, このような腫瘍血管の態度と血行性転移の間に関連性があり, 一方では化学療法の効果にも影響することを推測させた. リンパ節造影に関しては乳癌に有意に出現するが転移との相関は認められなかった.
  • -圧・容積関係および圧・容積速度関係について-
    佐藤 裕之
    1983 年 29 巻 2 号 p. 191-203
    発行日: 1983/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    家兎の下行大動脈を狭窄することにより慢性圧負荷肥大心を作製し, 約4週間後の時点でその収縮性につき検討した. 左心室内容積制御システムを用い, 不全のない圧負荷肥大心で等容性圧・容積関係および心筋試料における力・速度関係に対応すると思われる圧・容積速度関係を求め, 正常対照群と比較した. その結果, 等容性圧・容積関係では肥大心群で正常対照群に比し同一容積での内圧増加傾向を示したが, 壁応力・比容積関係に換算して検討すると同一比容積での壁応力は逆に肥大心群で減少していた. 本法による圧・容積速度関係は心筋試料における力・速度関係と同様に直角双曲線で近似可能であった. この圧・容積速度関係では肥大心群において正常対照群に比して最大容積速度が減少していた. 以上の結果から, 不全のない慢性圧負荷肥大心では単位断面積あたりの壁応力および最大容積速度が減少しており, 収縮性が低下していることが示唆された.
抄録
てがみ
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編集後記
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