内科領域におけるPG療法の主体は, レイノー現象, 虚血性皮膚潰瘍, ASO, TAO, 糖尿病性壊疸などの“末梢循環障害”に対するPGE
1およびPGI
2療法である. 日本ではPGE
1が広く用いられ, 最近では, ループス腎炎や糖尿病性腎症などの腎障害, 糖尿病や悪性関節リウマチに伴うノイロパチーの治療にも用いられている. しかしながら, 投与方法はまだ確立されておらず, 異論のあるところである. また, 単に濃度を上げても効果がないことは, 最近, 20ng/kg/minの投与により皮膚漬瘍が悪化したとの報告がなされており, 投与方法および量の確立が望まれる. したがって, 作用機序が問題となる. PGE
1は深部体温を上昇させるところから末梢血流量の増大作用については異論はないが, 1ng/kg/minの濃度下では血小板凝集は充進する例が多いにもかかわらず, 臨床効果は, 変らないところから, 血小板凝集抑制効果については, 疑点がある. また, PGE
1療法により, 全てのPG前駆物質の基質である血中リノール酸化が低下することや血中6-Keto-PGF
1α値が低下することは, PG需要の低下を示すとともにanoxiaの改善の結果かも知れない.
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