順天堂医学
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37 巻, 2 号
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目次
Contents
特集 福田・岡田・青木・林・川北 ご教授定年退職記念講演
  • 福田 芳郎
    1991 年 37 巻 2 号 p. 153-166
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    1. 順天堂大学での病理解剖は, 昭和16年1月 (1941年) に, 順天堂医事研究会 葉 曙研究員により, 第1号がなされたとの記載があり, 平成3年1月 (1991年) で50年になるが, 本年1月末日の病理解剖番号は, 9,163号であった. その間, 昭和16年から平成元年末日までの病理解剖数を年度別にグラフに示した. 1-1,001号まで約20年を要し, 以後5-3年で1,000体づつの病理解剖がなされた. 1歳未満を除く年度毎の平均年齢を男・女別に示したが, 昭和32年 (1955) 頃までの平均年齢は30-40歳台の年が多かったが, 以後50歳台となり, 昭和51年 (1976年) には男の平均年齢が60歳台, 昭和61年 (1986年) には, 男女とも60歳台となり, 漸増の傾向にあった. 2. 筆者の在任中 (昭和38年9月-昭和62年まで) の検閲を行った病理解剖例の中, 病理解剖診断の確定ができた悪性腫瘍3,252例について, 原発部位, 転移, 播種の状態, 重複癌, 30歳以下の悪性腫瘍の原発部位等について表を示して記載した.
  • 岡田 孝男
    1991 年 37 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    昭和50年1月に順天堂大学医学部附属順天堂医院医療保険室は, 病院長直属の機構として創設され, 医療保険室は日常, 診療報酬請求明細書の点検整備, 審査結果の検討, 再審査の申出, 保険担当医会の運営など, 順天堂医院に於ける保険医療の舵取り操作を行って来た. 上記の各事項について過去より現在, 更には将来に於ける順天堂医院の保険医療上の問題点を述べた.
  • 林 康之
    1991 年 37 巻 2 号 p. 172-182
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    創設30周年を迎えた臨床病理学教室に最初から参加した一員として, 教室における30年の仕事をふりかえって記した. 臨床検査室30年の進歩をふりかえってみると. 技術的には自動機械化と簡易迅速化・微量化と精密化の世界であり, 診療面では測定値の解釈・読み方の変遷であった. これからの進歩は, システム化による臨床診断へのサービスを目標とするであろうが, よほど大きなデータベースの作成でも可能となればともかく, 現状での進出は困難である. この30年間臨床検査の正常値に始まって, 定性一般検査・検査値の薬物妨害・化学検査の自動化・血清リパーゼのEIA法の開発など次々に手がけたが, いずれも臨床検査の現場からの要求に基づくテーマである. 臨床病理学講座が中検を現場に持つ, 臨床医学の一領域としては当然の姿であったと考えている.
原著
  • -non-isotopic ISHHを用いて-
    大和田 二朗, 野口 岩秀, 新井 平伊, 飯塚 禮二
    1991 年 37 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    現在in situ hybridization histochemistry (ISHH) の技法が発達しつつあるが, これまでヒト脳における神経ペプチドmRNAに関する研究はわずかしかない. 免疫組織化学法には, 抗血清交差反応の問題や神経細胞自体を染め出すことがしばしば難しいといった問題が存在するため, ペプチド含有神経細胞の分布を調べるために, ISHHと免疫組織化学を併用することは重要なことである. そこで本研究では, これまで免疫組織化学法でしか報告されていないヒト脳でのアルギニン-バゾプレッシン (AVP) 産生神経細胞の分布を再確認するために, より解像度の高い方法である非放射性プローブを用いたISHHの技法を用いて, AVP mRNA含有神経細胞の検出をヒト脳で初めて試みた. 陽性細胞は視床下部領域において認められた. 視索上核におけるAVPmRNA含有神経細胞は大型神経細胞 (magnocellular cells) で, 室傍核においては大型神経細胞と小型神経細胞 (parvocellular cells), その他の亜核においては小型神経細胞が中心であった. これらの所見は, これまでの免疫組織化学法による研究で得られた結果とよく一致し, 今回用いたnon-isotopic ISHHがヒト剖検脳での神経ペプチドmRNAの研究に応用可能であることを示唆するものである.
  • -凍結保存自己血輸血の有用性と適正な術前血液準備について-
    後藤 昌弘
    1991 年 37 巻 2 号 p. 188-196
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    同種血輸血に関する種々の合併症は外科手術にとって重要な問題である. 順天堂医院胸部外科では, 凍結保存自己血輸血を中心に同種血輸血節減に努めているが, 症例によっては同種血輸血を余儀なくされるものもある. 本稿では, 待期的冠動脈バイパス術208例を対象とし, 同種血無輸血手術達成に関与する諸因子の検討と, 自己血輸血の有用性を判定するために判別分析を行った. この結果, 同種無輸血手術に関する因子は, 寄与率の高い順に, (1) 術後12時間のドレーン出血量 (2) 自己血輸血量 (3) 術前体重 (4) 体外循環時間 (5) 術前ヘモグロビン値であった. また, 冠動脈バイパス術において, 術前輸血準備量を節減すべく, バイパス本数別にMaximum Surgical Blood Order Schedule (MSBOS) について検討した. Type&Screenの体制がとられていれば, 術前の血液準備量は1枝バイパスでは1000ml, 2・3枝バイパスでは2000ml, 4枝以上のバイパスでも3000mlで十分であることが判明した.
  • 塩田 潤, 岡田 隆, 阿部 雅明, 西村 裕之
    1991 年 37 巻 2 号 p. 197-207
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    われわれは, 活性化B細胞中のある特定の亜集団にのみ表現される新しいマウスB細胞分化抗原Lp-3を発見し, 報告してきた. そこでわれわれは, このLp-3抗原の分子解析を更に進め, SLEを自然発症するNZB×NZW F1 (B/W F1) マウスにおいてIgM, およびIgGクラス抗DNA抗体の自然産生に関わる前駆B細胞上のLp-3抗原の発現について調べた. B/WF1マウスにおける抗DNA抗体産生はすでに2カ月齢で認められるが, 血清中や脾臓B細胞の産生する抗DNA抗体はほぼ全てがIgMクラスであった. 一方, IgGクラス抗DNA抗体の産生はループス腎炎を含むSLE病態の発症しはじめる生後5-6カ月頃より認められ, 以後抗体価が急速に上昇した. このようなIgMおよびIgG抗DNA抗体産生に関与するB細胞のLp-3を調べた結果, IgM抗体はLp-3陰性B細胞由来であるのに対し, IgG抗体はLp-3陽性B細胞由来であることが明らかとなった. また, IgM抗体産生B細胞上の膜表面免疫グロブリンはIgM+IgG-であり, IgG抗体産生B細胞のそれはIgM-IgG+であった. SDS-PAGE解析の結果, Lp-3は分子内disulfide結合を有する分子量132kDaの単量体のタンパクであることが明らかになった. Peptide fragmentのアミノ酸配列解析の結果, Lp-3は今までに報告されていない免疫グロブリンsuperfamilyに属する分子であることがわかった. これらの事実から, この抗原がある種のB細胞増殖分化因子の受容体, あるいは受容体関連分子であり, また, ループス腎炎の進展に密接に関与している抗DNA抗体のIgMからIgGへのクラス転換に関連している可能性が示唆された.
  • 淡路 正則, 斎藤 十一, 野沢 慎吾, 阿部 雅明, 西村 裕之
    1991 年 37 巻 2 号 p. 208-217
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    マウスの胸腺細胞・T細胞のマーカー抗原であるThy-1分子は, 正常では胸腺細胞と末梢T細胞の全てに発現されている. このThy-1抗原をcodeする遺伝子にはThy-1.1とThy-1.2という2つのallotypeが存在するが, 今回われわれはThy-1.2マウスの受精卵にThy-1.1遺伝子をtransgeneし, その発現様式を調べてみた. その結果, 内在性Thy-1 (Thy-1.2) 分子は胸腺細胞と末梢T細胞の両者に発現していたが, 導入Thy-1.1遺伝子の発現は, 胸腺細胞には認められたが末梢T細胞には認められなかった. これは導入したThy-1.1遺伝子DNAが, 末梢T細胞での発現を規定するcis-actingな調節配列を含まないため, 発現調節因子との相互作用が起こらないためと考えられた. 一方, 胸腺細胞における導入Thy-1.1遺伝子の発現を詳細に検討した結果, 胸腺細胞の大半を占める未分化なCD3-/T cell receptor (TCR) -細胞においては, 導入したThy-1.1遺伝子の発現はほぼ全てにみられたが, 分化したTCR+ CD4+ またはCD8+ single positive (SP) 胸腺細胞には, Thy-1.1を表現するものと表現しないものの2つのグループが認められた. このことから, すでに分化していると考えられていたSP胸腺細胞の中にも, 末梢T細胞へと移行する際に胸腺内で導入されたThy-1.1遺伝子が消失していくという, もう一つの分化過程の存在する可能性が示唆された. 一方, double negative (DN) 胸腺細胞においては, 全てのCD3+/TCR+細胞はThy-1.1-であった. これらの結果から, CD3+ DN細胞の成熟過程は, CD3+ SP細胞とは異なっていると考えられた. 以上の結果から, 今回われわれが生産したThy-1.1トランスジェニックマウスは, これまで知られていなかったCD3+胸腺細胞の最終成熟過程における細胞内の, 諸現象の解析に有用なモデルであると考えられた.
  • 塩津 英俊
    1991 年 37 巻 2 号 p. 218-230
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    肝に多発する結節で, 結節がSteinerのnodular regenerative hyperplasia (NRH) にほぼ一致する結節を有する10例 (剖検例7例・生検例3例) を, 臨床的・病理組織学的に検討した. 肉眼的には肝に結節がびまん性に存在するもの5例, 散在性に存在するもの1例, 無数の癌の転移巣とともに結節が存在するもの1例とがあった. 結節は肥大した肝細胞からなっており, 核はわずかに腫大しているがほぼ均一であった. 結節はほとんどが亜小葉性でRappaportのzone1を中心に形成され中心部にグリソン鞘を認めるものが多かった. 背景の肝病変としては線維化のみられるもの3例, みられないもの3例, 無数の癌転移巣と門脈腫瘍塞栓がみられたもの1例があった. 生検例3例はいずれも特発性門脈圧亢進症に相当する臨床像を示した. 肝線維化のみられない剖検例2例はうっ血が強く, 結節の少ない1例は小葉間動脈の硬化像が強かった. 以上から, 結節の形成には肝内の循環障害との密接な関係が考えられ, その強さ, 範囲によっては結節形成の少ないNRHの症例もありうると考えた. NRHと門脈圧亢進との関連は, 線維化のみられた症例に肝外門脈の硬化がより強く認められ, 線維化が門脈圧亢進の主たる原因となっていた.
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