順天堂医学
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47 巻, 2 号
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Contents
目次
特集 山内・酒井・細田・井上四教授定年退職記念講演会
  • -日本人と順天堂大学学生の英語力の国際比較-
    山内 隆
    2001 年 47 巻 2 号 p. 148-155
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to investigate how far and why the English proficiency of Japanese people is behind those of both their Asian neighbors and European people. This study was conducted by comparing Toefl Total and Section Score Means-Nonnative English-speaking Examinees Classified by Geographic Region and Native Country issued by the Council on International Educational Exchange in addition to analyzing reports on current English education in Asian countries and some comparative studies on English education in Japan, China, and Korea. Analysis showed that most Asian countries have been paying increasing attention to English education on a national level as well as at a private level, while in Japan the English program is being cut back in secondary and higher education. This difference may be one of the most important factors in causing the Japanese Toefl examinees to remain near the bottom of the Toefl score ranking. In future if we want to catch up with other nations in English education as we are supposed to do, we should place special emphasis on the practical use of English language.
  • 酒井 シヅ
    2001 年 47 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
  • --一外科医の退任に際して--
    細田 泰之
    2001 年 47 巻 2 号 p. 161-171
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    1964年に私が一般外科のレジデントとして米国オハイオ州の高名なクリーブランドクリニックに留学した頃にはまだ今日のような冠動脈バイパス術 (CABG) は存在していなかった時代である. しかしすでに1950年代にMason Sones, Jr. らにより開発された選択的冠動脈造影法は多数施行されており冠動脈病変の正確な解剖学的診断が可能になっていた1) . 外科治療としてその頃は内胸動脈 (ITA) を直接心筋に植え込むVineberg手術が行われているのみであった. Vineberg手術は正しい適応のもとに施行されると虚血性心筋に動脈血を供給することの出来る有効な術式であり, 1960年代半ばにはCleveland Clinicでは多数の臨床例が行われていた2) . 1967年になりFavaloroらによって始められたACバイパス術は非常に優れた手技であることが判明し, 短時間のうちに虚血性心疾患外科治療の主流となり今日に到っている3) . Sones法選択的冠動脈造影の出現した1958年とFavaloroによるACバイパス術の始まった1967年との間には丁度10年間の時があるが, この時期にProudfitらによる非常に貴重な冠動脈疾患の自然歴 (natural history) の研究が報告された4) . 即ち冠動脈多枝病変および左主幹部 (LMT) 病変を有する患者の生命予後が内科治療のみでは極度に悪いことが判明し, この事実が優れた外科治療の出現を促す大きな原動力となっており, ACバイパスの出現は正に虚血性心疾患を持つ患者にとっては待ちに待った福音となったのである. 私はこのような時代, 即ち1964年から1970年までの6年間Cleveland Clinicと言う冠動脈疾患治療の世界的センターに居合わせたことを非常に幸運に思っている. 以来30年Michigan州Kalamazoo, 東京虎ノ門病院, そして順天堂大学医学部附属病院と冠動脈外科を中心に心臓血管外科医の道を歩んで来たが, 今年3月にはその旅も終わりを迎えることになり, 夢の如く過ぎた心臓外科医としての歳月を懐かしく振り返っている.
  • 井上 幸雄
    2001 年 47 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
第7回都民公開講座「いきいきとした老後をめざして」―アルツハイマー病とパーキンソン病の克服―
  • 一宮 洋介
    2001 年 47 巻 2 号 p. 181-183
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病は痴呆を生ずる神経変性疾患である. 初老期・老年期に問題となる痴呆性疾患の代表であるが, アルツハイマー病以外の変性疾患や身体疾患に伴う痴呆との鑑別を要する. またせん妄のような意識障害, 老年期のうつ病にみられるうつ病性仮性痴呆との鑑別も必要である. アルツハイマー病は慢性進行性で, 病期によってその臨床症状も変化する. 第1期 (初期) ・第2期 (中期) ・第3期 (末期) という3段階の臨床病期分類がなされている. また, 臨床症状を主症状たる痴呆 (中核症状) と痴呆に随伴する精神症状や問題行動 (辺縁症状) に大別する場合もある. アルツハイマー病を疑ったら, 痴呆かどうか, どういうタイプの痴呆か, アルツハイマー病であればどのくらいの病期なのかを診断・評価する必要がある. そのためには臨床症状や身体状況の評価, 画像診断などの検査が実施されなければならない. 早期診断・早期治療が肝心である.
  • --抗痴呆薬開発の現状--
    高橋 正
    2001 年 47 巻 2 号 p. 184-190
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    わが国では, アルツハイマー病の有病者数が増加傾向にあり, 有効な治療薬の開発が急務である. 狭義の抗痴呆薬とは, 痴呆の中核症状 (認知機能障害) を有意に改善するか, その進行を有意に抑制する治療薬を指す. 現在多くの薬剤が, アルツハイマー病に対する抗痴呆薬として開発段階にあるが, その中心はコリン作動薬である. 現時点での治療法は, 依然として対症的な薬物療法と残存する知的・身体機能を保持するための広義のリハビリテーション療法 (非薬物療法) が主体であるが, 国内でも使用可能な専用治療薬が登場したことの意義は極めて大きい. 国内初のアルツハイマー病治療薬として承認された塩酸ドネペジルは, 軽症から中等症のアルツハイマー病の中核症状に対して進行抑制効果を有する比較的安全なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬である. しかし, 本剤による薬物療法は, あくまでも補充療法であり, 根治的治療法ではない. したがって, 臨床医にとっては, 疾患の本態を見据えた上での本剤の臨床的限界を十分に理解して投与することが重要である. 今後の展望としては, 基礎研究の発展から疾患の基本病理過程により密接に関与する新たな治療薬の開発が進むものと予想される.
  • 新井 平伊
    2001 年 47 巻 2 号 p. 191-193
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    20世紀半ばから始まったアルツハイマー病の多くの研究によってその本態や原因が次第に解明されつつある. アルツハイマー病は何らかの原因により脳が障害され様々な変化がおき, これに基づいて記憶障害などの症状が出現してくると考えられる. 脳の中では神経細胞が死滅してアセチルコリン減少や脳萎縮がみられ, 老人斑や神経原線維変化といった異常な構造が出現してくるので, これらがどうして起きてくるのかを調べることで原因を明らかにしようとしている. また, ごく一部には遺伝子病の仲間に入る家族性アルツハイマー病もあり, この場合には原因となる遺伝子異常を探求する研究が行われている. その結果, アルツハイマー病では遺伝因子と環境因子が関わって脳の中で老人斑や神経原線維変化が起きてくることがわかりつつある. また, 家族性アルツハイマー病の場合は, 第21染色体・第14染色体・第1染色体の遺伝子異常が見つかった. また, 孤発性アルツハイマー病の場合はある遺伝子タイプを持っていることに環境因子が加わることで発症することが考えられている. 近い将来, アルツハイマー病の病因がすべて明らかになり, 根本的治療法や遺伝子治療が導入されることが期待できる.
  • 森 秀生
    2001 年 47 巻 2 号 p. 194-196
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
  • 水野 美邦, 金澤 章
    2001 年 47 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    最近のパーキンソン病治療方針を解説した. 早期パーキンソン病と進行例パーキンソン病に分けて治療を考えるのが最近の国際的流れである. 70歳以下で痴呆を伴わない場合はドーパミンアゴニストで治療を開始し, それ以外の場合は, L-Dopaで治療を開始することが, 最近の臨床治験に基づくエビデンスで推奨されている. 進行例とは, L-Dopaを服用しており, wearing off・on-off・ジスキネジア・精神症状などの副作用が発現している患者をさす. これらの問題点は, 個々にきめ細かく対処することが大切である. さらにパーキンソン病の生命予後は大幅に改善しているので, 患者も治療者も楽観的態度で病気に接することも重要である.
  • 服部 信孝
    2001 年 47 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病 (PD) は変性疾患としてはアルツハイマー病 (AD) に次いで多く, 近年薬物療法の進歩により予後はかなり改善されている. その病態解明の歴史を振り返ってみると南カルフォルニアで見出されたヘロインの代謝産物MPTPによるパーキンソン症候群の発見が極めて重要な役割をなしている. MPTPの発見によりPDにミトコンドリア電子伝達系複合体Iの酵素活性の低下が明らかにされ, PDにおけるミトコンドリア機能異常が注目されにるに至ったからである. またこの神経毒の発見により選択的黒質神経細胞死のモデルが確立されたことにある. このように現在パーキンソン病の原因としてはミトコンドリア機能異常や加齢現象にも関与していると言われている酸化的ストレス, そしてMPTPのような神経毒の関与が指摘されている. しかしながら, 現在, 酸化的ストレスやミトコンドリア機能異常については, 二次的要因であることが分かっており, 真の要因については依然として不明である. 但し, これら二次的要因を改善させることを目的に抗酸化作用を持つ薬物療法などが開発されており, 一応の成果を納めている. しかしながら, 患者にとって十分に満足する薬物療法とはなっておらず, 真の原因究明が求められている. 近年, 分子生物学の発展の恩恵を受けハンチントン病をはじめとする遺伝性神経変性疾患の原因遺伝子が明らかにされ, 遺伝子治療に向けて第一歩を踏み出した感がある. 遺伝性疾患の重要性は単一遺伝子異常で疾患表現型が再現されることである. 従って, 単一遺伝子異常の病態解明のアプローチを行うことで原因を明らかにすることができる. 多くの遺伝性疾患はまさしくこの単一遺伝子異常から起こっているものである. PDにおいても家族性PDのアプローチが可能になってきており, 特に常染色体劣性遺伝形式をとる家族性PDについてはわれわれの研究室を中心とした研究グループにより明らかにされている. PDはADに次いで頻度が高く, 今後高齢化社会に向けて益々罹患率が高くなることが予想されている. 事実10万人あたりの罹患率は100人を超えており, 本質的な原因究明が急務となっている.
原著
  • 田原 稔, 益田 貞彦
    2001 年 47 巻 2 号 p. 209-220
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: 巨大気腫性肺嚢胞症の手術後早期および遠隔期の呼吸機能推移から外科治療成績と手術適応について検討した. 対象: 胸部X線所見で, 1側胸腔の50%以上を占める嚢胞を有し, 切除術を行った41症例 (手術42回) を対象とした. 男性39例, 女性2例で, 年齢は25歳から75歳 (平均48.2±10.3歳) であった. 方法: 手術は胸骨正中切開26例, 後側方開胸14例, 腋窩開胸1例, 胸腔鏡手術1例で, ブラの処置は切除または縫縮術を行った. 呼吸機能測定項目として肺活量 (VC), %肺活量 (%VC), 1秒量 (FEV1), 1秒率 (FEV1%), %1秒量 (%FEV1), ピークフロー (PEFR), V50・V25, 残気量 (RV), 残気率 (RV/TLC) を測定した. 諸指標の測定は手術前と手術後1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月・1年から5年に行った. 術後1ヵ月の測定結果を早期, 3ヵ月から5年を長期成績とした. 結果: 術前のFEV1値で1000ml未満 (I群) 7例・1000ml-2000ml (II群) 11例・2000ml-3000ml (III群) 15例・3000ml以上 (IV群) 9例の4群に分類した. FEV1値はI群: 0.70±0.20l→1.21±0.3l (P<0.001) ・H群: 1.72±0.3l→2.07±0.4l (P<0.05) と手術後に改善した. IIIIV群ではFEV1値に有意の変化はなかった. 全ての群でFEV1%・V50・V25は手術後有意に改善した. I群のFEV1・V50・V25は, 長期で減少する傾向を示したが, 5年まで改善値を維持した. IIIIV群は術後早期にVCの低下を認めたが, その後は術前値を維持した. I群の2例が長期で呼吸不全死した. 結論: 巨大気腫性肺嚢胞手術後の呼吸機能改善は, FEV1術前値が2000ml未満の呼吸機能低下例に著明であり, 手術後5年の長期まで改善値を維持した. 術前のFEV1が2000mlを越える症例には, 呼吸機能改善を目的とした積極的な手術適応はないと考えられた.
  • 劉 雲宝, 張 衛星, 周 令望
    2001 年 47 巻 2 号 p. 221-228
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: 中国黒龍江省の克山病流行地区の慢性型, 潜在型克山病患者について, 血中のコクサッキーウイルス特異性抗体 (CVB-IgG・CVB-IgM) とB型肝炎の表面抗原 (HBsAg) およびC型肝炎抗体 (HCV-IgM) を測定することにより, 克山病のウイルス感染説を検討する. 対象と方法: 45歳以下の慢性型, 潜在型克山病患者34例 (男性15例・女性19例, 年齢34.7±6.4歳) および同じ地区で同年齢の健康者32例 (男性12例・女性20例, 年齢39.2±4.5歳) を対象とした. ウイルス抗体の測定はELISA法を用い, 統計学的検討にはオッズ比と95%信頼区間を求めた. 結果: 血清中コクサッキーウイルス特異性IgG抗体 (CVB-IgG) 陽性のオッズ比は1.29 (95%信頼区間0.126-8.107), コクサッキーウイルスIgM抗体 (CVB-IgM) 陽性のオッズ比は5.40 (95%信頼区間0.943-40.12), B型肝炎表面抗原 (HBsAg) 陽性のオッズ比は0.94 (95%信頼区間0.135-6.416), C型肝炎抗体 (HCV-IgM) 陽性のオッズ比は9.54 (95%信頼区間1.07-∞) であり, HCV-IgMのオッズ比だけ (95%信頼域が) 1.0を含まなかった. 結論: コクサッキーウイルス特異性IgM抗体 (CVB-IgM) とC型肝炎ウイルス抗体 (HCV-IgM) の陽性率が患者群で高いことから, 克山病の病因についてこれらウイルス感染との関わりがあることが示唆された.
  • 森近 浩, 橋本 隆之, 草野 マサ子
    2001 年 47 巻 2 号 p. 229-235
    発行日: 2001/10/19
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: 高齢気管支喘息患者において逆流性食道炎によく遭遇する. その要因について消化管X線検査時の胃食道逆流・FEV1・BMI・心胸郭比・幽門輪機能より検討した. 対象: 気管支喘息患者32例のうち高齢者23例である. 方法: 気管支喘息の診断は1995年NHLBI/WHOの定義に従い, 逆流性食道炎の判定はロスアンゼルス分類による内視鏡所見基準に従った. 胃食道逆流は上部消化管X線検査, FEV1はスパイロメトリ, BMIkg/m2, 心胸郭比は胸部X線検査, 幽門輪機能は上部消化管内視鏡検査で観察した. 結果: 胃食道逆流は82.6%にみられ, 全例に逆流性食道炎を認めた. そのうちFEV185%以下の呼吸機能の低下が82.6%に, 心胸郭比50%以上, BMI25kg/m2以上, 幽門輪機能不全が100%にみられた. 結語: 高齢気管支喘息患者では胃食道逆流・呼吸機能低下・肥満, 心胸郭比異常や幽門輪機能不全がみられ, 高率に逆流性食道炎発症を認めた. さらに十二指腸液逆流もあり, 胃液ばかりではなく十二指腸液の逆流の予防や治療も必要である.
抄録
てがみ
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編集後記
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