順天堂医学
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48 巻 , 3 号
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Contents
目次
総説
  • 田邉 豊, 宮崎 東洋
    2002 年 48 巻 3 号 p. 290-304
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    痛みに関する研究が進むにつれて, 痛みの発生機序は一様ではなく, 様々な機序が重なり合って存在していることが明らかになった. 言い換えれば, 《痛み, 即, 鎮痛薬》という単純な対応では痛みをコントロールすることはできないということが明らかになり, 反射性交感神経性ジストロフィ・カウザルギアなど痛みの種類によっては, 狭義の鎮痛薬は無効であり, 抗けいれん薬や抗うつ薬さらには自律神経作動薬などが効果的であるとして選択されるようになった. ここでは, 痛みの機序などについて簡単に述べ, 最近の痛み治療で用いられる薬剤の一部を紹介する.
  • 植木 純, 吉見 格, 福地 義之助
    2002 年 48 巻 3 号 p. 305-320
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease;COPD) は, 完全には可逆性ではない進行性の気流制限, 有毒な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応を特徴とする疾患である. また, 骨格筋機能異常をはじめmulti-organ-system diseaseとして包括的な対応が必要となる病態である. 呼吸困難感の軽減・QOL・ADL・運動耐容能の改善など, 管理・治療に際しても薬物療法・呼吸リハビリテーション・在宅酸素療法をはじめ, 多次元のアプローチ法を組み合わせた包括的な治療プログラムの展開が必要となる. COPDの診療に関する新しい展開としてWHO/NHBLIよりGOLD workshop reportが2001年に発表された. COPDの有病率・死亡率の上昇を逆転させるためには, 新たな研究の展開に加え予防および管理の向上が必須である.
第10回都民公開講座「中高年を健康に生きる」
  • 北村 庸雄, 佐藤 信紘
    2002 年 48 巻 3 号 p. 324-329
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    長生きをすることは古来より人類の夢であったが, 衛生環境の整備や医学の進歩により平均寿命は延び, その夢はある程度達成されたかのようにみえる. そこで高齢化社会を目前にした現在, われわれに求められているのは, いかに元気にまた楽しく中高年を生きるかということであろう. 食べることと飲むことは人類の最大の喜びのひとつであるが故に, 暴飲・暴食によって楽しく生きられなくなることは避けなければならない. これまでの老化研究で明らかなことは, 長生きをする唯一の方法は摂取カロリーを減らすということである. 動物実験では, カロリー制限により平均寿命のみならず最大寿命までもが延長し, また加齢にともなって生じる種々の疾患の発症が抑制されると報告されている. 一方, 人類の歴史と深い関係にあるアルコールは, 適度に飲むならば全く飲まない場合よりむしろ健康によいという調査結果が得られている. 即ち, 適度に飲酒すると血液中のいわゆる善玉コレステロールが増加したり, 血液が固まり難くなるために, 狭心症などの心血管系疾患の発症が減少するというものである. 適度な飲酒のことを〈適正飲酒〉といい, アルコール健康医学協会では, 一日に日本酒なら2合, ビールなら大びん2本程度を上限としている. いかに食べ, いかに飲むかということは, 人生をいかに楽しく健康に過ごせるかという問題と直結していることを忘れないようにしたい.
  • --気軽に歩いて,今日も元気--
    武井 正子
    2002 年 48 巻 3 号 p. 330-334
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    わが国の10年後の高齢化率は25%, 20年後には, 高齢者のうち, 後期高齢者が60%を占める. 中高年期を健康に生きることは, 高齢期の心身共に自立した生活, 〈健康寿命を伸ばす〉ことを確実なものにするであろう. しかし近年, 高脂血・高血糖・高血圧・肥満など生活習慣病のリスクファクターとして, 身体活動量の低下・運動不足が問題になっている. 地球上で二足歩行をする人間は, 成長の最初の段階で約1年間《抗重力筋》のトレーニングを必要とする. 生活の利便化が進むなかで, 重力に抵抗し, 運動することの必要性を再確認する必要があろう. 加齢に伴って体力は低下するが, 加齢よりも運動不足の影響が大きい. 特に日常的に使っていない体力の低下は著しい. また, 体力の低下は, 高齢になるほど個人差が大きい. 特にバランス能力をみる閉眼片足立ちでは, 70歳で20%, 80歳代では6-8%に低下する. バランス能力の低下は, 転倒による骨折の可能性を示唆するものである. 後期高齢者においても, 適度な運動を定期的に実施することによって, 体力の維持・向上, 特に重心位置の安定など転倒予防の体力が改善し, 自立度が向上した. 筆者らの研究では, 週3回の頻度が後期高齢期の体力の維持に必要であった. つまり, どの年齢においても, 体力の維持・向上に日常的に適度の運動をすることが必要である. 国民栄養調査によると, 一人1日当りのエネルギー摂取量はほぼ適正であるのに, 男性では, 30歳代からの肥満が増え, 生活習慣病の罹患率が高まっている. 健康づくりの運動としては, 有酸素運動が効果的であり, その中でもウォーキングは, 日常的に誰でも取り組める健康づくりの運動である. 最後に健康づくりに効果的な歩き方の5つのポイントを紹介した.
  • 白井 將文
    2002 年 48 巻 3 号 p. 335-342
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    わが国では更年期と言えば女性特有なものと言う考えが支配的であるが, 男性にも更年期は存在する. ただ女性の更年期に相当する年齢の男性に女性に見られるような症状があるかと言えば必ずしもそうではない. しかしその症状の程度には差こそあれ多くの男性に, 倦怠感・不眠・うつ傾向・集中力の低下・性欲の減退・勃起障害 (ED) などがみられる. 男性の精巣も女性の卵巣と同様加齢と共に機能低下, 即ち精子形成能の低下やホルモン分泌能の低下がみられるが女性と違い精子形成は続いているし, 男性ホルモン分泌の減少も緩やかで, しかもこれら変化は個人差が大きい. 従って出現する症状も女性程激しくなく, 個人差も大きい. この男性に見られる各種症状のうち男性にとって最も関心の高いのが性欲の減退とEDである. 加齢と共に勃起機能, 特に夜間勃起の減少が見られ, 年齢と共に男性ホルモンの欠乏に伴うEDも増加してくる. これら症例に男性ホルモン補充療法を行うと勃起力の回復だけでなく, 気力や体調の改善も見られる. しかし, 前立腺癌の存在を知らずに男性ホルモンを使用すると前立腺癌が発育してしまう危険があるので, ホルモン補充用法前には必ず前立腺癌の無いことを確認すると共にホルモン補充療法中も常に前立腺癌に対するチェックが必要である. また最近EDに対する経口治療薬のバイアグラ®が加齢に伴うEDにも使用され良好な成績が得られている. これらホルモン補充療法やバイアグラ投与で男性のみを元気にしても, ホルモン補充療法の普及していないわが国の女性の多くは性欲の減退や膣分泌液の減少に伴う性交痛などから性交を希望していないことが考えられ, 女性に対するホルモン補充療法や膣分泌液を補う目的のリューブゼリー®の使用なども考慮しながらEDを治療していく必要がある.
  • 手塚 圭子
    2002 年 48 巻 3 号 p. 343-347
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    老人ホームでの化粧の効果は, 笑顔のない人に笑顔が生まれたり, コミュニケーションのきっかけになって社交的で積極的になったりと, 精神面・社会性の面でプラスの効果が報告されている. 身体においても, 免疫機能を示すNK細胞の活性上昇が認められるなど, 身体的に健康になることも明らかになってきている. 外見はこころに, さらに身体の健康にまで影響を及ぼすことを示す例だが, 化粧だけでなく, 服装やヘアスタイルなどの外見も同様の効果がある. 服装により, 着たときの気分が変わることは誰でも経験がある. 女性がパンツルックになると気分的に活動的になる, または和服を着たときには, 逆にしとやかに優しい気持ちになるな ど, 服装もこころに影響を及ぼす. こころも長い間にはその人の外見を形成する. いつも悩んだり, 苦しい・いやな気持ちでいると眉間にシワがきざまれたり, 反対にいつも明るく優しい気持ちでいると柔和な顔になってきたりなど, こころが顔を形成する. 身体の手入れをしてキレイにする専門家はエステティシャンであるが, フランスでは病院や老人ホームなどで, 入院患者や入所者にエステティックを施すソシオエステティシャンと呼ばれる専門家が活躍している. ソシオエステティシャンに身体の手入れをしてもらうことで元気を回復し, 社会復帰を早めることが, 明らかになっているためである. このように, われわれは健康を求めるとき, 身体の健康状態ばかりでなく, 精神的・社会的状態も考慮すべきで, この意味から身体のキレイは精神的・社会的状態を良好に保つためのアプローチのひとつであると考えられる.
原著
  • --保存的・外科的治療の選択について--
    佐竹 正栄, 細田 弥太郎, 大友 義之, 金子 一成, 山高 篤行
    2002 年 48 巻 3 号 p. 348-354
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: 多嚢胞性異形成腎 (以下MCDKと記す) の治療法の選択に関しては, 保存的に経過観察すべきか, 外科的に腎摘出が施行すべきかが議論の対象となっている. 今回の目的は保存的経過観察と外科的治療を, さらに外科的には術式別に, 側腹部切開腎摘出術と腹腔鏡下腎摘出術に分類し, 当科で経験したMCDK症例を元にそれぞれの群別に長所・短所を比較検討し, どちらにより多くのメリットが存在するかを明確にすることである. 対象・方法: 1990年-2001年までに当科で経験したMCDK症例27例を, 保存的治療例 (Co群) ・側腹部切開腎摘出術施行例 (Op群) ・腹腔鏡下腎摘出術施行例 (La群) に分類し, 各症例について臨床経過・医療費をretrospectiveに調査した. 結果: 全27症例のうち, Co群が11例, OP群が6例, La群が10例であった. Co群の約半数にMCDKの自然消失が認められたが, 残りの半数は縮小もしくは不変にとどまっている. Co群ではさらに, 高血圧や悪性化の発生が否定されないため, 外来での経過観察がより必要とされる. 当科でのプロトコールによると, Co群は, 5年以上経過観察をした場合, 医療費の面で手術施行例にかかる費用を上回ることが明らかとなった. 結論: 早期の手術により, MCDKの合併症発生が無くなる. 現時点では, 入院期間がより短く, 創部がより小さいなどの理由により腹腔鏡下腎摘出術を施行することに多少のメリットがあると考えられた.
  • 冨田 英明, 三浦 右子, 中村 和裕, 津田 裕士, 橋本 博史, 広瀬 幸子
    2002 年 48 巻 3 号 p. 355-363
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: SLEは多くの感受性遺伝子が関与する代表的多遺伝子疾患で, その遺伝様式は極めて複雑である. 今回われわれはSLE自然発症 (NZB×NZW) F1マウスにおけるループス腎炎の感受性遺伝子を同定することを目的として, (NZB×NZW) F1×NZW退交配マウスの尿蛋自量を指標とするゲノムワイドな連鎖解析を行い, NZBマウスの第4染色体C1q遺伝子に連鎖するマイクロサテライトマーカーD4Mit70近傍にループス腎炎感受性遺伝子の存在を認めた. この発見に基づいて, C1q遺伝子多型がループス腎炎発症に関与する可能性について解析した. 方法: (NZB×NZW) F1×NZW退交配マウスの尿蛋白量の量的形質遺伝子解析を行った. C1q遺伝子多型を塩基配列解析およびサザンブロット法により解析した. C1q遺伝子多型と血中C1q量との相関を解析した. 結果: NZBマウス系にはC1q遺伝子制御領域と考えられる部位に, 自己免疫疾患を発症しないNZWマウス系には見られない多型が存在した. NZB・NZW・ (NZB×NZW) F1マウスの血中C1q量を比較した結果, NZBおよび (NZB×NZW) F1マウスでは, NZWマウスに比較してC1q活性が有意に低いことが明らかとなった. NZBマウスに認められるC1q低値が, C1q遺伝子多型による現象であることを検証するために, (NZB×NZW) F1×NZW退交配マウスによる連鎖解析を行った. その結果, 低C1q血症とNZBマウスD4Mit70に有意な連鎖が認められ, NZBマウスのC1q遺伝子多型がC1q産生量の低下の原因でありうる可能性が示された. 結論: C1qは免疫複合体やapoptotic bodyの除去に働く分子であり, C1q低値をきたすNZB型C1q遺伝子制御領域多型が (NZB×NZW) F1マウスの一つのループス腎炎感受性遺伝子となっている可能性が強く示唆された. 将来ヒトSLEにおいてもこの見地からの検証が必要であると考えられる.
  • 赤倉 玲子, 文 香淑, 阿部 雅明, 姜 奕, 広瀬 幸子
    2002 年 48 巻 3 号 p. 364-374
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: 細胞のアポトーシスを司るFas分子の欠損は自己抗体産生を伴う全身性エリテマトーデス (SLE) 様の病態を惹起し得ることがMRL/lprマウスの解析で示されている. われわれは以前に, 代表的SLE自然発症モデル系である (NZB×NZW) F1マウスを用いた解析で, 自己抗体産生に関わるB1細胞のFas発現能が低く, Fasを介したアポトーシスに抵抗性であることを見出している. (NZB×NZW) F1には, MRL/lprに見られるようなFas遺伝子異常によるFas分子欠損は認められないが, Fas遺伝子多型によるFas発現レベルの量的変化が関与する可能性を考慮し, この点を解析した. 方法と結果: 1) Fas遺伝子プロモーター領域を含む5'flanking regionをNZBおよびNZWで比較した結果, 9個のsingle nucleotide polymorphism (SNP) が認められた. 2) Fas発現レベルを調べた結果, NZBマウスではT細胞・B細胞いずれにおいてもNZWに比較して低く, これに対応してNZBではNZWに比較してFasを介したアポトーシスに感受性が低いことが判明した. 3) NZB型Fas遺伝子領域をNZWマウスに導入したintervalcongenicマウスによる解析で, Fas遺伝子自身がFas発現レベルを制御していると推定された. 4) (NZB×NZW) F1×NZW退交配マウスを用いた解析で, NZB型Fas遺伝子多型が末梢血B1細胞比率の増加および血中IgG抗DNA抗体価と相関した. 結論: (NZB×NZW) F1マウスにおいては, NZB型の、Fas遺伝子制御領域多型がSLEの一感受性遺伝子として機能している可能性が示された.
  • 松本 高明, 松岡 周二, 常岡 英弘
    2002 年 48 巻 3 号 p. 375-383
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: Helicobacter pylori (H. pylori) の除菌治療前後にamoxicillin (AMPC) とclarithromycin (CAM) の感受性試験を行い, 除菌治療に伴うH. pyloriの薬剤耐性について検討するとともに, 除菌成功例と失敗例に於ける血清抗H. pylori IgG抗体価の推移を調べ, より有効な除菌療法の開発と除菌効果判定基準を作成するための基礎的研究を行うことを目的とした. 対象と方法: 1994年から2001年までに山口県厚生連長門総合病院内科を受診し除菌治療を希望した患者を対象とした. 胃粘膜のH. pyloriの検出は培養法, ウレアーゼ法および組織学的および免疫組織学的診断法にて行った. 薬剤感受性試験は, 最小発育阻止濃度 (MIC) 測定法で行った. 除菌治療はproton pump inhibitor (PPI) と抗菌薬, さらに胃粘膜防御因子増強剤を加えた併用療法を行った. 血清抗H. pylori IgG抗体価の測定には, HM・CAPを用いた. 除菌治療終了4週以後にすべての診断法で陰性の場合を除菌成功例と判定した. 結果: 除菌治療前に得られた菌株のCAMとAMPCに対する耐性率 (一次耐性率) を調べたところ, この8年間にAMPC耐性株は検出されなかったが, CAMに対する一次耐性率は徐々に増加している傾向が見られた. これらの症例の一部について, 除菌治療前後のH. pyloriの薬剤感受性を調べたところ, 除菌治療前に得られたH. pylori 85株に占めるCAM耐性株は8.2%であったが, 治療後の分離株34株では73.5%が耐性株であった. その頻度は除菌失敗例で高かった. 一方, 除菌失敗例にもAMPC耐性株は検出されなかった. 血清IgG抗体価を調べたところ, 除菌不成功例では除菌前と変化はなかったが, 成功例では有意に低下した. 結論: より効果的な除菌治療を行うためには薬剤感受性試験を治療前後に実施する事が重要であり, また, 除菌治療後の成功例と失敗例の推定に血清IgG抗体価の測定が有用であることが示唆された.
  • 三浦 浩二, 修 岩, 鶴井 博理, 高橋 和子, 張 丹青, 広瀬 幸子
    2002 年 48 巻 3 号 p. 384-395
    発行日: 2002/12/12
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的: リンパ濾胞胚中心はT細胞依存性抗原の刺激に際し, 抗体の親和性成熟やメモリーB細胞の形成・維持に働く重要な部位である. 全身性エリテマトーデス (SLE) の各種自己抗体もT細胞依存性に親和性成熟を示すので, リンパ濾胞胚中心が病的自己抗体産生に重要な役割を担っていると考えられる. この観点からわれわれは, SLEを自然発症する (NZB×NZW) F1マウスとBXSBマウスの脾臓リンパ濾胞胚中心の免疫組織化学的特徴を解析した. 方法: 加齢に伴い自己抗体を産生するSLE自然発症 (NZB×NZW) F1マウスとBXSBマウスの脾臓リンパ濾胞胚中心を免疫組織化学的に解析し, 正常マウス系にT細胞依存性抗原を免疫した時に形成されるリンパ濾胞胚中心の構築との比較検討を行った. 結果: (1) SLEマウスでは, SLE発症前から既に胚中心の形成が見られ, 加齢に伴って高度な過形成が認められた. (2) 正常マウスにT細胞依存性抗原を免疫した時に形成されるリンパ濾胞胚中心と比較すると, SLE胚中心にはT細胞が相対的に多く認められた. (3) 正常BALB/cマウスの濾胞樹状細胞には補体レセプターCR1やFcレセプターFcγRIIBおよびリンパ濾胞胚中心抗原FDC-M2の発現が見られたが, SLEマウスではFcγRIIBとFDC-M2の発現は加齢とともに消失することが明らかとなった. 結論: SLEの過形成胚中心の成因には, 濾胞樹状細胞上の免疫機能分子の統御異常が関連していると考えられた. CR1は濾胞樹状細胞とB細胞との接着やB細胞の維持に重要な分子である. 一方, FcγRIIBは細胞質内ドメインにシグナル抑制ITIMモチーフを持つ分子なので, 正常では濾胞樹状細胞の機能の制御に働いている可能性がある. 現在機能が明らかでないFDC-M2を含め, 今後, これら各分子の働きや相互作用を調べることでSLEの発症機構の一端が明らかになると思われる.
抄録
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編集後記
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