目的: ラット心臓由来H9c2株化細胞は心筋および骨格筋の
in vitroのモデルである. H9c2細胞における骨格筋型単一L型Ca
2+チャネル電流のイソプロテレノールによる修飾を検討する.
方法: H9c2細胞を15-50日間培養し筋管細胞に発達させた. Ca
2+アゴニストの (+) -202-791 (1000nM) および100mMBa
2+を含む溶液をピペットに充填し, 細胞接着型パッチクランプ法により単一L型Ca
2+チャネル電流を記録した.
結果: 小振幅の骨格筋型および大振幅の心筋型L型Ca
2+チャネル電流が記録された. 骨格筋型電流がより多数のパッチから, 単独あるいは心筋型電流と併存し, 多チャネル電流として記録された. 併存する電流から個別的に和電流の時間経過を求めて比較すると, 骨格筋型の活性化の時間経過が特徴的に遅かった. イソプロテレノール (Iso, 1000nM) は両型のチャネルの開口頻度を増し, それぞれの和電流を増大させた. 骨格筋型チャネルの多いパッチからの平均電流はIsoにより増大し, チャネル活性化の電位依存性は過分極方向に変位した.
結語: H9c2筋管細胞のL型Ca
2+チャネルにおいては骨格筋型が心筋型と併存するが, 骨格筋型の方が多い. βアドレナリン作動性物質のイソプロテレノールは骨格筋型L型単一Ca
2+チャネルの開口頻度と平均電流を心室筋のL型単一Ca2+チャネルの場合と同様に増大させた.
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