目的: 介護保険制度導入開始時と現在におけるパーキンソン病患者の保健・医療・福祉サービスの利用状況とその変化を明らかにする.
方法: 2000年データは, 全国パーキンソン病友の会会員5513名を対象に行われた無記名の自記式質問紙調査より, 2007年データは, 同会の協力支部会員3500名を対象に行われた同調査より, 属性, 要介護度, サービス利用状況などの情報を収集した. 解析は, 男女ごとに2000年と2007年回答群の2群間比較 (t検定・χ2検定) を行った.
結果: 有効回答数は2000年が3459名 (62.7%), 2007年が1813名 (52.0%) であった. 要介護認定申請者は男女共に2007年回答群が有意に多い傾向が見られた. 利用サービスで有意な増加が認められたのは, 男女共にリハビリテーション, 加えて女性では訪問介護であり, 有意な減少が認められたのは, 男女共に訪問歯科診療, 入浴サービス, デイサービス, ショートステイであった. 一方, 利用中止サービスは, 男女共にリハビリテーションが有意に増加し, 有意な減少が見られたのは男女共に入浴サービス, 加えて男性では訪問診療, 訪問歯科診療, ショートステイであった. サービスに関する情報源は, 2000年と2007年男女共に主治医が中心であるが, 男女共友の会を通じた情報を入手する傾向にある. 介護保険導入開始時と比較して生活しやすくなったと回答した者は, 男性で2000年より2007年が有意に多かった.
結論: 介護保険の利用者は導入開始時より増加し, 男性は施設型, 女性は在宅型サービスを中心に利用する傾向がある. その中で, 事業体のサービス内容は利用者のニーズを満たしていないことが危惧される. 今後は, 多様な社会資源を通じてサービスの情報提供がなされるべきである.
抄録全体を表示