順天堂医学
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57 巻 , 4 号
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目次
Contents
特集 第325回順天堂医学会学術集会
  • 松下 訓
    2011 年 57 巻 4 号 p. 324-328
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    近年の心血管病の増加に伴い, これまでの治療法に加えて再生医学に注目が集まっている. 再生医学には細胞治療をはじめ, サイトカイン補充療法や遺伝子療法などの方法があり, 臨床治験も開始されている. 既存の治療に代わるほどの効果が確認されているものはまだ報告されていないが, 近い将来の臨床応用が期待されている. 筆者は2005年から2010年の5年間にわたる米国留学の期間のうち, 後半の3年間は再生医学研究に携わり, 特に心筋幹細胞研究にかかわる機会を得たので, その研究内容を中心に再生医療の現況について述べる.
  • 中島 章人
    2011 年 57 巻 4 号 p. 329-335
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    T細胞は胸腺の中で分化・成熟すると同時に自己を攻撃しないための自己トレランスを獲得する. どのように自己トレランスが形成されるかは免疫学における大きな課題の一つである. 近年, 髄質胸腺上皮細胞に特異的に発現するAIRE (autoimmune regulator) という遺伝子が同定され, AIREは重篤な自己免疫疾患である自己免疫性多腺性内分泌不全症I型 (APECED) の発症と髄質内のネガティブセレクションに深く関係することが明らかになってきた. 今回の研究ではAIREはどのように制御されているかを目的に行い, AIREは細胞内バクテリアセンサーであるNOD1 (Nucleotide -binding oligomerization domain-containing protein 1) と核内で結合し, NOD1はAIRE依存的な自己抗原の発現を上昇させることを明らかにした. この結果はNOD1によるAIREの制御を明らかにするとともに, バクテリアとネガティブセレクションの関係や, 自己トレランスについての新しい機序を示唆するものである.
  • 金田 容秀
    2011 年 57 巻 4 号 p. 336-344
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    PGRMC1 (progesterone receptor membrane component 1) は1996年にブタの肝細胞膜から発見されたプロゲステロンレセプターの一つであり, ヒトの腎臓や肝臓, 子宮内膜, 卵巣に比較的発現が強くみられ, ホルモンや電解質などの代謝作用や, アポトーシスを抑制することなどが様々な細胞で解明された. 癌細胞では乳癌や甲状腺癌, 大腸癌, 肺癌, 卵巣癌などにも発現を認め, 特に乳癌では予後因子との関連を示唆する報告があった. ヒト子宮内膜癌細胞Ishikawa cellにおいてもPGRMC1は発現を強く認め, PGRMC1をノックダウンするとPI3K/AKT経路においてリン酸化AKTとPDK1の発現低下を認めたが, MAPK経路には影響を及ぼさなかった. またPGRMC1をノックダウンしたIshikawa cellではアポトーシスが誘導され, 低酸素ストレス下では細胞活性が抑制され抗腫瘍効果を示した. 子宮内膜癌細胞株Ishikawa cellにおいてPGRMC1はその細胞維持にPI3K/AKT経路のPDK1-AKT間でクロストークしており, PGRMC1を抑制することでIshikawa cellを制御できることが解明され, PGRMC1は子宮内膜癌の治療において一つの分子標的となり得ることが示唆された.
  • 岡崎 任晴
    2011 年 57 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    先天性横隔膜ヘルニア (CDH) は, 胎生8週ごろに形成される横隔膜の形成不全により生じた種々の欠損部位から腹腔内臓器が胸腔内に脱出する内ヘルニアである. 近年の周産期医療の進歩にもかかわらず治療に難渋する疾患で, 救命率は60-70%にとどまり, 新生児外科領域の中で最も救命率の低い疾患の一つである. 予後は, 本症に特徴的な病態である肺低形成と肺高血圧の程度により左右されるが, これらを出生前あるいは出生直後に直接測定・評価することは困難である. われわれは以前より, 胎児あるいは出生直後の肺動脈 (PA) 径やPA血流の状態に注目し, CDH患児の管理・治療を行ってきた. 特に, 2002年以降は, 胎児期から出生後のCDHの治療をプロトコール化し, 統一した治療のもとで, 肺動脈 (PA) 径やPA血流の状態と, 臨床経過や予後との相関を検討してきている. 本稿では, (1) プロトコール化治療と治療成績の向上について, (2) 妊娠後期以降のPA径の発達および出生時のPA径と予後と相関について, (3) われわれが考案した新しい術式として, 広範囲の横隔膜欠損に対する人工膜を用いない修復法 (Toldt's fascia flap法), (4) 胸腔鏡下手術の導入とその適応の検討, などを報告する.
  • 大塚 宜一
    2011 年 57 巻 4 号 p. 351-359
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    クローン病 (CD) と潰瘍性大腸炎 (UC) は, 小児期から思春期において年々増加傾向を示している慢性炎症性腸疾患である. 下痢, 下血, 腹痛が代表的な症状であるが, 小児期では成長障害も重要な問題となる. また, 小児には重症例が多いとされるが, その詳細はいまだ不明である. われわれは, 小児期発症のCD, UCの初発活動期と寛解期の粘膜組織を利用しmicroarrayを用い, そのシグナル伝達分子の発現を網羅的に比較検討した. その結果, 小児期CDおよびUCの活動期粘膜ではIFN-γ, IL-6, IL-8, STAT4, GATA3, CCR7, CXCL13などの発現が亢進していた. その他, CDではCXCL10, CXCL9, CXCL11などの, また, UCではMMP7, MMP3, MMP10などの発現が亢進しており粘膜障害とのかかわりが示唆された. 炎症性シグナル分子の発現から, 小児期炎症性腸疾患においても成人で認められるような疾患特異性が認められた. 一方, CXCL10, CXCL9, CXCL11, CXCL13などは消化管のリンパ組織の発達に重要な小児期に特徴的な分子であり, それらの発現の亢進が小児期炎症性腸疾患の増悪因子である可能性が示唆された. われわれは, ProbioticsやDHAなどの多価不飽和脂肪酸に, 前述のケモカインの発現を抑える作用があることを確認している. ProbioticsやDHAなどを用い小児期の栄養管理を行うことが, 炎症性腸疾患の維持療法の強化および発症予防に有効である可能性が示唆された.
  • 秋本 亮一
    2011 年 57 巻 4 号 p. 360-364
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    福岡市の救急医療体制は現在その豊富な医療資源に支えられて比較的良好に状態に保たれている. その中核を担ってきたのが昭和40年に設立された「福岡市救急病院協会」である. 昭和39年に全国で救急告示制度が始まり, 福岡市内で告示を受けた23の外科系民間医療機関が協会を設立した. 以来, 協会は福岡市の救急医療体制の整備を図るとともに, 会員やそのスタッフの教育研修に力を注いできた. しかし近年の医療費抑制政策は民間中小病院の疲弊を招き, 2次救急の中核を担ってきた医療機関が救急の現場から遠ざかり, 救急医療の崩壊の危機を招いている. 福岡市でも初期 (1次) ・2次・3次のすみ分けによる救急医療体制の維持に危うさがみえてきた. 様々な課題がある中で, 今後も継続可能な良好な救急医療体制を維持するには, 2次医療機関の再活性化が必須であり, 救急病院協会運営の今後の鍵となっている.
原著
  • 高橋 並子, 澤村 正之, 菊池 賢, 平松 啓一
    2011 年 57 巻 4 号 p. 365-369
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 多剤耐性淋菌 (multidrug-resistant Neisseria gonorrhoeae;MDRNG) の治療のため, 通常用いない薬剤で候補となる抗菌薬に対する感受性を調べた. 対象: 2006年から2007年までに新宿さくらクリニックにて分離された淋菌180株を検査対象とした. 方法: 14薬剤 (シプロフロキサシン, CIP;ガチフロキサシン, GAT;レボフロキサシン, LVX;ベンジルペニシリン, PEN;セフィキシム, CFM;セフトリアキソン, CRO;テトラサイクリン, TET;スペクチノマイシン, SPT;ニトロフラントイン, NIT;ホスホマイシン, FOF;クロラムフェニコール, CHL;スルファメトキアゾール/トリメトプリム, SXT;アジスロマイシン, AZM;ミノサイクリン, MIN) の最小発育阻止濃度 (MIC) はEtestを用いて測定した. MDRNGはCIP, TET, およびPENまたはCFMの3系統の抗菌薬に同時に耐性を示すものとした. 結果: 180株のうち, 感受性株はCIP44株 (24.4%), GAT46株 (25.6%), PEN4株 (2.2%), TET16株 (8.9%) に留まり, 83株 (46.1%) が多剤耐性菌と判定された. 通常の治療薬の中ではSPT, CROのみ100%感受性を示した. MDRNGを含むすべての株は通常の治療に用いないNIT, FOFに腸内細菌群の基準を用いた場合, 100%感受性を示した. 結論: NIT, FOFは感染部位の薬物動態を考慮すると, MDRNG感染症の治療薬として使用可能ではないかと考えられた.
  • 小野 由可, 菊池 賢, 金 京勲, 堀 賢, 平松 啓一
    2011 年 57 巻 4 号 p. 370-376
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: linezolid (LZD) 使用14日目に出現したmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のLZD耐性機構を明らかにした. 対象: LZD耐性MRSAによる縦隔炎が発生したA病院について, 同時期に同じ病棟, 診療科に入院中の患者から分離されたMRSAならびにスタッフ保菌調査で得たMRSA20株を解析対象とした. 方法: 菌株の各種薬剤に対する最小発育阻止濃度 (MIC), population解析, stepwise testによるLZDの耐性獲得, SCCmec typing, toxin typing, multi-locus sequence typing (MLST), pulsed field gel electrophoresis (PFGE) による分子疫学的検討を行い, LZD耐性機構として, cfr, fexAの有無, 23S rRNA domain Vの変異検出を行った. 結果: LZD耐性MRSAはSCCmec type II, sec, seg, sei, tst保有, MLST ST-5に属するわが国でよくみられるhealthcare-associated MRSA (HA-MRSA) であった. 5つある23S ribosomal subunit遺伝子のうち, rrn1, rrn3, rrn5の3つにG2576 Tの共通した変異を生じており, これがLZD耐性の機序と判明した. cfr, fexAは検出されなかった. このLZD耐性MRSA株はほかのMRSAに比べ, 有意にmutation rateが高く, いわゆる“hypermutator”であることが耐性獲得に寄与していると考えられた. 結論: 今回検出されたLZD耐性MRSA株は従来の報告に比べ, 非常に短期間のLZD使用後に耐性を生じていた. その原因として“hypermutator”が耐性獲得に働いた可能性は高く, このような株が医療機関に広がらないかどうか, 今後, 注意深くモニターする必要があると思われた.
  • 木暮 陽介, 尾崎 裕, 桑鶴 良平
    2011 年 57 巻 4 号 p. 377-386
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的 : この研究の目的は乳幼児のcoronary CTAを将来的に見据え, 高心拍下でのcoronary CTAを行う際の撮影プロトコルの検討をすることにあった. 方法 : 心臓動態ファントムと模擬血管を用い, 心拍数を60から130 bpmまで可変させて心電同期撮影を行った.撮影プロトコルは3種類のbeam pitch (BP) と管球回転速度による組合せで同じ撮影を繰り返した.得られた画像をワークステーション上で解析し, 各画像から得られた狭窄率と模擬血管内の設定狭窄率との誤差を統計学的に解析した.またvolume rendering (VR) 画像を作成し, その画質を5段階視覚評価した. 結果 : 心拍数が増加するほど模擬血管内の狭窄の計測に誤差が生じる傾向がみられた.また模擬血管の径が細いほど, 疑似狭窄率が高いほど計測誤差は大きくなり, BPが小さい, すなわち被曝線量の多い撮影ほど計測誤差は小さくなる傾向がみられた.しかし計測誤差の変化は画一的ではなく, 心拍数が60から80bpmまでの間と110から130bpmまでの間では, それぞれ計測誤差の有意な増加はみられなかった.また心拍数が 90から110bpmまでの間と心拍数が130bpmのときには3種類の BPの撮影いずれの間にも計測誤差に有意差はなく, 心拍数が80bpm以外においては最小のBPを設定した撮影と30%被曝線量を低減した撮影間で計測誤差に有意差はみられなかった.VR画像の視覚評価では, 心拍数100bpm以下のすべての画像で4点 (very good) 以上の画質が得られた. 結語 : 心拍数や血管径ならびにsegment再構成法の特性を考慮することで, 高心拍下でのcoronary CTAを行う際に, 画質劣化を抑えた被曝線量のなるべく少ない, 個々の症例に合った撮影プロトコルの選択が可能と考えられた.
  • 豊田 一恵, 谷本 光生, 松本 昌和, 合田 朋仁, 堀越 哲, 富野 康日己
    2011 年 57 巻 4 号 p. 387-394
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: オウギ (黄蓍;astragali radix) は, マメ科のギバナオウギ, ナイモウオウギの根から調製される生薬で, 血圧低下・利尿・肝保護・免疫増強・抗菌・強壮・鎮静作用などを有し, 種々の漢方薬に調合されている. 慢性腎不全患者において, オウギ投与により血清クレアチニン値の低下することが報告がされている. しかし, そのメカニズムは十分には解明されていない. また, 腎不全では, 酸化ストレスマーカーの一つである一酸化窒素合成酵素 (NOS) が腎組織で過剰発現しており, 腎不全の進展・増悪因子の一つとして知られている. 今回, 腎不全モデルである5/6腎摘ラットを用い, オウギ投与による腎機能ならびに腎組織におけるNOSの発現抑制効果について検討した. 方法: 8週齢で5/6腎摘出術を施行した雄性SDラットを, 12週齢から12週間 (1) オウギ10g/kg体重/日を混餌投与したオウギ投与群 (n=5), (2) 未治療群 (n=5) の2群に分け, (3) 非腎摘出群 (n=5) を対照とした. それぞれの群に対して, 尿中アルブミン/クレアチニン比 (ACR), 血清クレアチニン, 血中尿素窒素 (BUN), クレアチニンクリアランス (CCr), 尿中8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG) を測定した. また, 24週齢で腎組織の糸球体硬化指数 (Sclerosis Index) をPAS染色により算出し, 血管内皮型NOS (eNOS), 誘導型NOS (iNOS) および酸化ストレスマーカーであるニトロチロシンの発現を腎免疫組織染色により検索した. 結果: CCrは, オウギ投与群で有意な改善が認められた (p<0.05). 血清クレアチニン, BUNは, オウギ投与群で未治療群と比較し低下傾向がみられた. しかし, ACRや尿中8-OHdGには有意な差はみられなかった. オウギ投与群の腎糸球体硬化指数 (Sclerosis Index) は, 未治療群に比べ有意な低下が認められた (p<0.0001). また, オウギ投与群におけるeNOS, iNOSおよびニトロチロシンの発現は, 未治療群に比べ有意な低下が認められた (p<0.0001). 結論: オウギは, 腎におけるNOS (eNOS, iNOS) およびニトロチロシンの発現抑制を伴って, 腎糸球体硬化病変の進展を抑制する可能性が示された.
総説
  • 柳川 洋一, 射場 敏明
    2011 年 57 巻 4 号 p. 395-402
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    雷撃症は, 電撃症と比較して高エネルギーではあるが一瞬で, 人体の通過方法も異なる. したがってたとえ心肺機能停止症例でも適切な蘇生術を施すことにより転帰良好な経過を辿る可能性が高い. しかし, より重要なことは被雷を避けることである. 予見性に関しては, 従来は否定的見解が主流であったが, その認識は変わりつつある. すでに一部の組織からは避雷の指針が出されており, 屋外でのレクレーション続行可能か否かの参考となる. 雷光の視認や雷鳴が聴取可能な場合は被雷する可能性を考えて, 車内などの安全な場所へ避難すべきである.
報告
  • 2011 年 57 巻 4 号 p. 403-412
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    平成15年に受動喫煙対策を定めた健康増進法が施行され, 喫煙関連疾患に対する認識や禁煙の必要性は社会全体に急速に拡がった. このような社会的背景を受け, 順天堂医院では, 平成18年1月に禁煙推進委員会が発足した. 同委員会は, 診療科, 看護部, 病院や大学事務職員, などの多職種の委員から構成され, 病院・医学部を含む本郷キャンパス敷地内を全面禁煙として質の高い医療を提供する環境を整備するとともに, 喫煙による健康被害を啓発し禁煙支援を推進することを使命として活動を開始した. 敷地内禁煙の広報, 客待ちタクシーの禁煙化, 敷地内および周辺の禁煙パトロールや禁煙支援ニュースの発行による啓発活動, 教職員の喫煙に対する意識調査, 周辺町内会・文京区との連携による路上喫煙禁止地区への指定, などに取り組んだ. 本報告では, 発足からの5年間に取り組んできた様々な試みとその成果について, 今後の展望も含めて報告する.
症例に学ぶ
抄録
順天堂医学原著論文投稿ガイドライン
順天堂医学投稿規程
編集後記
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