順天堂医学
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特集 第328回順天堂医学会学術集会《糖尿病治療の新展開》
  • 金澤 昭雄
    2012 年 58 巻 6 号 p. 472-479
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病は生活習慣病の代表的疾患であり, 個人の生活習慣の乱れと遺伝的要因によって発症する疾患である. 患者数は激増の一途をたどっており, 糖尿病合併症の発症抑制のためには早期からの厳格なコントロールが必要であるとされているが, 現実は早期からの介入は不十分である. 本稿では糖尿病治療におけるunmet needs (いまだ満たされていない医療ニーズ) について述べる.
  • 弘世 貴久
    2012 年 58 巻 6 号 p. 480-484
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    高血圧, 脂質異常症, 糖尿病は3大生活習慣病と呼ばれている. 高血圧, 脂質異常症は治療薬の進歩によりその治療はかなり目標到達が容易となった. 一方糖尿病はというと, どんな優れた内服薬を用いても食事や運動療法を施行しない患者では血糖コントロールの改善は望めない. 最近ではエンパワーメントといった患者中心主義の方法論が紹介されているが (表-1) 1) なかなか現実的な指導に生かしていくのはまだまだ難しく感じる. そこで本稿では患者の治療意欲を高めるためのコツをエビデンスからではなくあえて筆者の経験よりご紹介したい. ひとつは食後高血糖の治療, もうひとつはインスリン治療の導入と血糖自己測定の開始タイミングについてである.
  • 清水 友章
    2012 年 58 巻 6 号 p. 485-489
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病治療には食事療法が必須であり, 日常生活は制限される. これまで1型糖尿病患者の治療では決められたインスリン投与と決められた食事を摂取するように指導されてきた. 近年ではインスリン製剤の発展に伴い生理的インスリン分泌パターンに近いインスリン投与が可能となりつつある. これに伴いこれまでの治療とは異なり, 患者が望む食事に対して, 食事中の炭水化物量を推定することで, 必要なインスリンを投与する治療法へと変遷してきた. CSII (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion) 療法はペン型インスリン注射器に比較してより柔軟なインスリン投与を可能とするデバイスであり, 糖尿病患者のQOLの改善が期待されている.
  • 藤谷 与士夫
    2012 年 58 巻 6 号 p. 490-497
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    インクレチンは小腸から分泌され, 食後のインスリン応答を促進することで生体内の恒常性維持にあずかる. インクレチンの働きを活性化することにより, 2型糖尿病の血糖調節異常を改善する治療薬が登場した. DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬を含むいわゆるインクレチン関連薬は, その優れた血糖降下作用, 体重増加のリスクと低血糖リスクの少なさから, 過去3年間処方数を劇的に伸ばしている. 本稿では, 2型糖尿病治療を急激に変貌させつつあるインクレチン関連薬の利点をそのメカニズムから議論し, インクレチン関連薬がこれからの2型糖尿病治療に果たすべき役割について理解を深めたい.
原著
  • 香本 晃良, 崔 龍洙, 江端 望, 渡辺 由紀子, 松尾 美紀, 片山 由紀, ピヤマ ペッチャロン, 平松 啓一
    2012 年 58 巻 6 号 p. 498-505
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    2008年に, われわれは黄色ブドウ球菌 (S. aureus) におけるvancomycin (VAN) 耐性を検討する過程でVANとlinezolid (LZD) の感受性の逆相関関係を見出した (Watanabe Y, et al: Antimicorb Agents Chemother, 2008; 52: 4207-4208). 本研究ではその遺伝学的メカニズムの解明を目指し, 以下の実験を行った. まず, 世界各国で分離されたvancomycin-intermediate S. aureus (VISA) 株を, VAN耐性に影響することが知られている遺伝子の変異タイプ別にrpoB, vraSR, graRS, clpP, およびwalRK変異グループに分け, LZDとVCMの感受性を検討した. これら40株中, rpoB, vraSR, graRS, clpPおよびwalRKの変異株数はそれぞれ29 (72.5%), 9 (22.5%), 4 (10%), 3 (7.5%) および23 (57.5%) であった. そのうちrpoB変異グループがLZDに最も高感受性であった. また, hVISA Mu3株およびそのgraRrpoB変異株を用いて行った感受性のpopulation解析では, rpoB変異株におけるLZDの顕著な高感受性化がみられた. 一方, graR変異株ではLZDの高感受性化より, VANの低感受性化が顕著であった. 次に臨床分離MRSA7株からrifampicin (RIF) およびVANで選択したVAN低感受性変異株それぞれ41株 (MRSA-RIF) と46株 (MRSA-VAN) を用い, LZDおよびVCMのMinimum inhibitory concentration (MIC) を測定した. MRSA-RIFとMRSA-VANは親株に比べLZDに対して高感受性化し, MICはそれぞれ0.45±0.25mg/lおよび0.24±0.28mg/l減少した. 一方で, MRSA-RIFおよびMRSA-VANは親株に比べVANに対して低感受性化し, MICはそれぞれ0.40±0.37mg/lと1.21±0.74mg/l上昇した. さらに, rpoB変異によるLZDとVCMの感受性への影響を明らかにする目的で, VANに感受性のMRSA株N315ΔIPをRIF 1mg/lで選択して得られたrpoB変異株の, VANおよびLZDの感受性を検討した. その結果, LZDにおいては全株で高感受性化が認められたが, VANでの低感受性化は1株を除いて認められなかった. 以上の結果から, 黄色ブドウ球菌におけるLZDの高感受性化には, rpoB変異が最も強く関連していると考えられた. また, RIF耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療に, LZDが有効である可能性も示唆された.
  • RYO KOYAMA, KAYO MIURA, SUZU YAE, AKIKO MURAKAMI, KAZUHISA TAKAHASHI
    2012 年 58 巻 6 号 p. 506-511
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    Objective: The effects of continuation of chemotherapy on the quality of life (QOL) of elderly patients with lung cancer have not yet been clearly demonstrated. The aim of this study was to clarify the QOL profiles in elderly patients during chemotherapy in comparison with younger patients. Patients: Forty-nine patients aged 65 and older (group A) who were undergoing chemotherapy for lung cancer and 36 patients younger than 65 (group B) in similar therapy were retrospectively analyzed. Methods: QOL and performance status (PS) were evaluated using the QOL-anticancer drugs (ACD) scale and Karnofsky performance status (KPS) scale at the beginning of each course of chemotherapy, respectively. The total score of each QOL domain and KPS at each course were compared between the groups. Results: No differences were observed in gender, histology, stage, KPS, applied chemotherapeutic regimen, response rate, or median survival between the groups. With regard to the hematological toxicity, greater than grade 3 or equal leukopenia and neutropenia were more frequently observed in group A. The total score of the functional domain was significantly deteriorated during chemotherapy in group A, while that in group B was not altered (p = 0.014 by repeated ANOVA). Interestingly, a moderate correlation between KPS and the total score of the functional QOL domain was observed (r = 0.454). Conclusions: Continuation of chemotherapy for elderly patients with lung cancer led to a marked deterioration in the functional QOL. The KPS can be useful for estimating the functional QOL in cases where QOL data is missing.
  • 中村 充, 藤本 由紀子, 伊藤 伸
    2012 年 58 巻 6 号 p. 512-517
    発行日: 2012/12/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 一般的に健常者が聴力障害を引き起こす要因としては, 加齢, 騒音, 衝撃, 疾病などがあげられる. しかし, 剣道などのスポーツ活動によっても聴覚障害が引き起こされる報告がされている. そこで今回, 習慣的な剣道の実践が聴力に及ぼす影響について, 大学生を対象とした実態調査と追跡調査から検討を行った. 対象および方法: 男子大学生237名 (一般学生120名, 剣道実践学生117名) を対象とし, 純音聴力検査を行った. また剣道実践学生13名を対象に, 純音聴力検査と耳音響放射検査を用いて2年間にわたり追跡調査を行った. 結果: 聴力障害が出現したのは, 一般学生は120名のうち4名, 剣道実践学生は117名のうち32名であった. 障害がみられた周波数は, 一般学生の4耳はすべてが8kHzで出現していたが, 剣道実践学生は0.5kHzから8kHzまで広範囲にわたり, 2周波数域あるいは3周波数域以上にわたる障害もみられた. 剣道実践学生の追跡調査では, 0.5kHz, 1kHz, 2kHzで有意にレベルの低下がみられた. またDPOAEのDPレベルでは3kHz, 4kHz, 5kHz, 6kHzで有意に低下がみられた. 結論: 純音聴力検査では, 長期の剣道実践による騒音と衝撃が周波数域1kHzから4kHzを中心として聴力に影響を及ぼしていると考えられた. しかし空間的余裕や環境整備により, 騒音の影響を軽減できる可能性が示唆された. また耳音響放射検査は, 聴力変化の早期評価の指標となりうることが推察された.
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