順天堂医学
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58 巻 , 2 号
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目次
Contents
第29回都民公開講座《放射線と医学》
  • 笹井 啓資
    2012 年 58 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    放射線を用いた検査や治療は医療において欠くことができない. 一方, 2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故以来, 放射線に対する恐れや懸念が拡がっている. その背景には, 放射線とその影響に関する十分な知識が不足しているために起因する漠然とした恐怖があるように思われる. 本稿では放射線の電離放射線の本体とその線源, 放射線に用いられる単位, 放射線の生物効果, 発がん, および線量限度などの基礎的項目に関してまとめる.
  • 千葉 百子, 横山 和仁
    2012 年 58 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    放射線の生体影響は早期影響, 晩発影響および遺伝的影響に分けて考えねばならない. 晩発影響や遺伝的影響は半世紀以上経過した広島・長崎の例, 四半世紀を経過したチェルノブイリの原発事故の例から学ぶことができる貴重なデータがある. 2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴って起きた福島第一原子力発電所事故では日本政府は原発から半径20km以内の住民に避難指示を, 半径30km以内の住民に屋内退避指示を出した. 事故から約1年経過した現在も残留放射線があり, わが家へ帰れない住民は少なくない. 環境の放射能汚染にとどまらず食品, 飲料水からも高い放射線が検出され, 厚生労働省は食品衛生上の暫定規制値を設定した. 放射線被曝に関連して過度に恐れることなく, 適切に対処するには正しく理解することが重要である. そこで1950年に12万人の対象者で開始された広島・長崎の追跡調査 (寿命調査), チェルノブイリ原発事故に関する知見, その他放射線に関する環境衛生学的な知見について紹介する.
  • 桑鶴 良平
    2012 年 58 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    放射線の医学応用について, 特に画像診断, IVR分野での応用について, 順天堂医院放射線科, 放射線部での施行検査件数を参考に述べた. 臨床の現場では単純撮影, X線CTは多くの病変の診断や経過観察に用いられ, 欠くことのできない検査となっている. 特にX線CTは簡便で広範囲の画像が短時間で撮影できることから, 状態不良の患者さんや救急時に有用で検査件数が増加している. 肺がんや肝がん, 急性膵炎など種々の疾患の診療ガイドラインでもCTを含む画像検査は必須の検査として記載されている. 放射線被曝のないMRIは, コントラスト分解能が良好で有用な検査であり, 今後の検査数増加が予想されるが, 長時間の検査時間や騒音, 体内金属類チェックなど検査時に注意が必要な要素もいくつかあり, 症例を吟味してCTとMRIの選択をする必要がある. 医療被曝については, ICRPの勧告では被曝線量の上限は設けられていないが, あくまでも得られるメリットがデメリットを上回ることが原則である. 本邦でも過剰な検査を行わないために医療被曝に関するガイドラインが作成されており, その値を参考に日常診療が行われている. 一方で, 個々の場合によりリスクとベネフィットが異なるため, 画一的な判断は避け, 比較的線量の高い被曝を伴う画像検査を施行する場合は, 個々の検査で得られるメリットとデメリットについて検討することが好ましい. IVRは, 近年開発が進んでいる画像診断法を応用した診断・治療法である. 皮膚や内臓を大きく切開することなく低侵襲に診断や治療ができ, その効果も良好なことからますます盛んになっており, 当科でもここ数年, 施行件数が増加している. 適応も生検・ドレナージ, 椎体形成術といった非血管系の手技と, 動脈塞栓術や化学動脈塞栓術, 血管形成術などの血管系の手技に大別され, 両者ともに進歩が著しい. しかし, IVR施行時も特に局所の皮膚の吸収線量の低下に努めて手技を行うよう, 術者やスタッフの配慮が必要である.
  • 直居 豊
    2012 年 58 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    放射線は医学応用として様々な分野で活躍しているが, ことに放射線治療は最近急速に技術が進歩し, 治療患者もここ十年で倍増した. 患者が増えた最も大きな理由はおそらく患者自身の放射線治療に対する理解が深まったことだと思う. 昨年の震災以来, 放射線という言葉を頻繁に耳にするようになったが, 原発災害から受ける放射線のイメージは決してよくはない. しかし今回の災害で放射線に関連した報道が増え, 一般民衆の放射線に対する知識や意識も向上しているのは事実であろう. ここでは放射線治療の種類や方法, 最も多く治療されている外照射については歴史的な背景から, 近年の照射技術の進歩を概説する. 特に近年よく耳にする高精度放射線治療については症例を呈示し何が高精度なのかを紹介したい.
原著
  • AYAKO IKEJIMA, YASUSHI SUGA, YUKI MIZUNO, KUNITAKA HARUNA, KENICHI TAN ...
    2012 年 58 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    Objective: Inherited keratinizing disorders are a spectrum of relatively rare skin diseases with a variety of congenital defects in the keratinizing process. In this study, we evaluated patients with inherited keratinizing disorders in the Tokyo urban area from the clinicians' viewpoint. Patients: We retrospectively evaluated 77 cases of inherited keratinizing disorders (male/female: 43/34 cases, mean age at first visit: 20.2 years) who visited our institution in the past 5 years. Methods: The cases were classified into 3 major groups; ichthyoses, palmoplantar keratodermas (PPK), and macular- and punctuate-type keratodermas. Definite diagnoses were achieved according to the clinico-pathological features and genetic analyses. Results: The ichthyoses group (48 cases: 62.3%) consisted of dominant ichthyosis vulgaris (IV: 13 cases), X-linked ichthyosis (XLI: 16 cases), lamellar ichthyosis (LI: 4 cases), and bullous/nonbullous congenital ichthyosiform erythroderma (BCIE and NBCIE: 3 cases each). PPK groups (21 cases: 27.3%) included Vörner-type (7 cases) and Nagashima-type (9 cases). Macular/punctuate-type keratodermas (8 cases: 10.4%) included 4 cases of Darier's disease. The discrepancy between percentages above and reported incidence of each disorder most likely resulted from the increasing tendency of visits in patients with severe symptoms. The therapeutic approach was application of topical moisturizers, in combination with topical vitamin D3 analogue, steroid, and antibiotics/antifungal agents. In addition, some cases were treated with oral retinoids and antihistamines. Conclusions: Although genetic analysis is necessary for definitive diagnosis, this simplified classification based on clinical features and morphological changes seems to be useful for clinical diagnosis and first-line aid for patients. The establishment of guidelines for diagnosis, therapy and patient care of inherited keratinizing disorders in Japan is urgently needed.
  • MICHIAKI SUEISHI, NAOKI SAKAKIBARA, ATSUSHI AMANO
    2012 年 58 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    Objectives: The present study evaluated the significance of LEED under different ablation speeds based on histopathology and mid-term results. Materials and Methods: A total of 97 endovenous laser ablations (EVLAs) were performed by 1,320 nm pulsed YAG laser to incompetent great saphenous veins (GSVs). LEED was fixed by 120 J/cm, and ablation speeds were selected as 0.5 mm/sec in the low-speed group (n=42) and 1 mm/sec in the high-speed group (n=55). System parameters were set by power output of 6 W, peak power of 343 W, pulse width of 350 nsec and frequency of 50 Hz. In the high-speed group, ELVA was repeated twice with the same parameter after high ligation. Results: Mean diameter of GSV was 9.4mm and high ligation was performed in 87 legs (90%). Mean LEED was 120 ± 3 J/cm in the low-speed group and 119 ± 11 J/cm in the high-speed group. No laser-related complications occurred for any procedures. All treated GSVs were occluded by thrombus formation one month after EVLA. Negative remodeling rate shown by proportion of veins that shrunk more than 50% to total ablated veins was observed in 6% of the high-speed group and 48% of the low-speed group after one month. These values were 11% and 62% after 3 months, while both groups showed equivalent shrinkage of 70% and 75% after 6 months and 98% and 100% after 12 months, respectively. Conclusions: LEED is a standard parameter to obtain successful EVL;however, ablation speed affects the GSV shrinkage in mid-term observation. A low speed of 0.5 mm/sec with LEED of 120 J/cm accelerated the healing of ablated GSV without any complications.
  • 阿久津 裕彦, 澤井 直, 坂井 建雄
    2012 年 58 巻 2 号 p. 151-160
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 近代医学の出発点と目されるヴェサリウスの『ファブリカ』 (1543) における筋肉人図における人体表現の正確さを, 解剖学的な歪みおよび長さと幅の比率の2つの側面から分析し評価した. 対象および方法: 『ファブリカ』に含まれる14枚の全身筋肉人図のうち, 最浅層の筋を描いた前面, 側面, 後面の筋肉人図を分析の対象とした. 比較する対象としてはアルビヌスの『タブラエ』 (1747) における前面, 側面, 後面の最浅層の筋肉人図と骨格人図を用いた. 解剖学的な歪みを調べる第1のアプローチでは, 筋肉人図から1つずつ筋を取り除きながら内部の骨格構造を推定して画像化し, 骨格と筋を重ね合わせた図を作成し, 『ファブリカ』と『タブラエ』の間で比較検討した. 長さと幅の比率を調べる第2のアプローチでは, 体幹, 上肢, 下肢について各部の長さと比率を測定して身長に対する相対値を求め, 『ファブリカ』と『タブラエ』の間で比較検討した. 結果: 『ファブリカ』の筋肉人図から抽出した骨格は, 全体としてまとまりのある形状をしていたが, 胸郭の形状が上下両端で細い樽型, 骨盤の形状を推定を困難にするほどの筋描写の矛盾, 側面図における左下腿の異様な捻れ, 前面図における顔面描写の破綻など, いくつかの問題があった. 各部の長さと幅の測定から, 『ファブリカ』の筋肉人図はどの部位においても幅が広く描かれていたが, 特に前腕の幅が顕著に広かった. 長さについては図によって大きさが異なっており, 部位による一定の増加や減少の傾向はみられなかった. 結論: 『ファブリカ』の筋肉人図は躍動感と実在感があり, 生きている人体の観察をもとに輪郭が描かれ, そこに個々の筋の描写が加えられたと判断される. 皮下脂肪の厚さが加味されたことおよび当時の人体表現の嗜好に合わせて太く描かれたと推定される.
  • 加治 佐知子, 渡辺 雅之, 太田 眞, 今西 昭雄, 平田 龍三, 安藤 隆, 清水 智美, 佐藤 健司, 鈴木 良雄, 小林 弘幸
    2012 年 58 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 低強度, 長時間持続走行時におけるサイトカインの動態と, 定時的なWheat Gluten Hydrolysate (WGH) 摂取がそれらに及ぼす影響を明らかにする. 対象: 24時間走に参加する男性市民ランナー (16名). 方法: 被験者を無作為にWGH摂取群 (W群) 8名, Placebo群 (P群) 8名に分類し, スタート後1時間ごとにW群にはWGH (3g), またP群には難消化性デキストリン (3g) を摂取させた. スタート1時間前, 6時間後, 12時間後に採血を行い, Interleukin-6 (IL-6), tumor necrosis factor-a (TNF-a), transforming growth factor-β1 (TGF-β1), グルタミン (Gln), creatinine kinase (CK) を測定した. 結果: P群ではIL-6, CKはレース前から12時間後へ増加傾向であったのに対し, TNF-aはレース前から12時間後へ減少傾向であり, TGF-β1には変動はみられなかった. またGlnはレース前から12時間後へ有意に減少した (p<0.05). 一方W群ではGln濃度が保たれ, 有意差はないもののIL-6, CKの平均値は終始P群より低値を示し, TNF-a (p<0.01), TGF-β1 (p<0.05) はレース前から12時間後へ有意に減少した. 結論: 低強度, 長時間持続走行時にはIL-6, CKが増加し, TNF-a, Glnは減少した. このときW群ではGlnが維持され, TNF-aと疲労の指標の一つと考えられるTGF-β1はレース前から12時間後へ有意に減少した. また炎症の影響を表すIL-6, CKはP群より低値を示した. このことから低強度, 長時間持続走行時には定時的にWGHを摂取することにより炎症抑制作用, 疲労軽減作用が期待できる可能性が示唆された.
  • 齋藤 憲祐, 富野 康日己
    2012 年 58 巻 2 号 p. 168-172
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 2型糖尿病腎症患者血清において, 中分子蛋白であるアルブミン (ALB) ・トランスサイレチン (TTR), 低分子蛋白であるレチノール結合蛋白 (retinol binding protein;RBP) ・シスタチンC・β-トレースプロテイン (BTP) およびUN・UAを測定し, いずれの血清蛋白が, 早期糸球体障害マーカーになりうるのか, また病期分類に使用可能なのかについて検討した. 対象と方法: 2型糖尿病腎症患者82検体 (男性49例, 女性33例, 平均年齢60歳, 病期1 22検体, 病期2 7検体, 病期3a 19検体, 病期3b 14検体, 病期4 20検体) を用いた. 血清ALB・TTR・RBP・BTP・シスタチンCの測定には, 全自動免疫化学分析装置ベーリングネフェロメーターIIを用いた. 厚生労働省作成の糖尿病腎症の病期分類別に比較検討した. 結果: 病期1と病期2で有意な差を認める項目はなかった. 病期2と病期3aで有意差を認めた項目は, RBP, シスタチンCの2項目であった. 糖尿病腎症の各病期を識別する各種血清蛋白の能力を, ROC分析のAUC (曲線下面積) により比較し評価したところ, 糖尿病腎症病期2と3aを識別する能力は, シスタチンCとRBPが高いことが示された. また, 糖尿病腎症病期3bと4を識別する能力は, クレアチニンとシスタチンCが高いことが示された. 結論: 血清シスタチンCは, 糖尿病腎症病期2と病期3aにおいて識別能力が高いことから, 早期腎糸球体障害マーカーとして使用可能であることが示唆された. 血清クレアチニンは, 糖尿病腎症病期3aと病期3bおよび病期3bと病期4において識別能力が高いことから, 末期腎症および透析導入を判断するためのマーカーとして使用可能であることが確認された.
  • KAZUYOSHI SUGIYAMA, MASAKI FUKUNAGA, MASARU SUDA
    2012 年 58 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2012/04/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    Serum autoantibodies against p53 (p53Ab) have been identified in patients with various tumors and are used as one of molecular markers. Here we examined the possible application of p53Ab for diagnosis of breast cancer. We collected sera from 141 patients with breast cancer and determined the p53Ab level by enzyme-linked immunosorbent assay with MESACUP anti -p53 test ELISA kit. The positive rate of p53Ab was greater than those of current molecular markers, breast cancer antigen -225 (BCA225), carcinoembryonic antigen (CEA), and carbohydrate antigen 15-3 (CA15-3). We found no significant relationships between the p53Ab level and patient's clinical characteristics including age, tumor size, and metastasis. Further, the value of p53Ab did not correlate with other serological tumor markers and expression levels of hormonal receptors (estrogen receptor and progesterone receptor) and HER2. The sensitivities of BCA225 and CEA were relatively low in early stages and increased in a stage-dependent manner while the positive rate of p53Ab was sustained from early to late stages at a high level (14.6% and 15.4%, respectively). Combinations of p53Ab with BCA225, CEA, and CA15-3 improved the positive rate to 20.6%, 21.2%, and 26.7%, respectively, which were greater than the positive rate obtained by combinations of other serological markers. Thus, serum p53Ab is a useful molecular marker of breast carcinoma and we recommend the combination assay with other serological markers for clinical diagnosis.
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