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増金 拓弥, 水野 一徳
セッションID: 3J4-J-1-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
近年,大規模な制約充足問題を解くための手法として,蟻コロニー最適化(ACO)が注目されている.ACOでは,評価が高い解候補をフェロモンとして蓄積させ,探索で利用している.本研究ではACOによる探索の更なる効率化を図るために,従来のフェロモンに加えて,評価が低い解候補もフェロモンとして蓄積させるACOモデルを提案する.解候補を生成する際,フェロモンを参考にして評価が高い解候補に近づくだけでなく,評価が低い解候補から遠ざかるようにすることで,より効率的な探索が行なわれることが期待される.ACOアルゴリズムの1つであるcunning Ant Systemに本提案モデルを適用したところ,探索の成功率の向上が見られた.
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内田 純平, 穴田 一
セッションID: 3J4-J-1-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
工業や経済の問題の多くは, 最も効率が良い組み合わせを求める組み合わせ最適化問題に帰着することができる. その中に, 与えられた全ての都市を巡る最短経路を求める巡回セールスマン問題(Traveling Salesman Problem, TSP)がある. 本研究では, TSPに適した新しいクラスタリングのアルゴリズムであるClustering in clusters(以下CIC)を提案し, CICによって構成したクラスタに対してNN法と2-opt法, Or-opt法を用いることにより, 経路生成を行うアルゴリズムを構築した. そして, TSPLIBに掲載されているベンチマーク問題を用いて提案手法の評価実験を行い, その有効性を確認した.
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山田 悠希, 穴田 一
セッションID: 3J4-J-1-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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工業や経済の問題の多くは,最も効率が良い組み合わせを求める,組み合わせ最適化問題に帰着することができる.その中に,与えられた全ての都市を巡る最短経路を求める巡回セールスマン問題 (Traveling Salesman Problem,TSP) がある.本庄らは,最適化問題に用いられるアルゴリズムの一つである粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO) をTSP向けに改良した挿入操作PSO戦略(Insertion-based PSO strategy, IPSO) を提案した.しかし,このIPSOには探索が十分に行われないうちに,局所解に陥ってしまうという問題点がある.そこで本研究では,既存手法で用いられた各粒子のそれまでの最良解と近傍の粒子の最良解の情報に加え,解空間上で最も遠い粒子の解の情報を現在の解に重ね合わせた解の集合を用いて,解の更新を行うアルゴリズムを構築した.そして,TSPLIBに掲載されているベンチマーク問題を用いて既存手法と提案手法の比較をすることで,その有効性を確認した.
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沖本 天太, 西村 一輝, 平山 勝敏
セッションID: 3J4-J-1-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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スポーツ・スケジューリングは人工知能やオペレーションズ・リサーチ分野における応用問題として広く研究されている.この問題は,チーム,対戦日,開催場所等の集合に対して,与えられた制約条件を満たすように対戦表を作成する組合せ最適化問題である.日本バスケットボール協会 (JBA)は都道府県内でのリーグ戦の実施を2018年度より開始した.本論文では,移動距離最小化問題のフレームワークを用いて,ミニバスケットボールにおけるリーグ戦作成問題を定義する.実験では,2018年度に兵庫県下で実施されたミニバスケットボールU12の後期Aリーグ(女子)の実データを用いて,与えられた制約条件を満たし,かつ,各チームの移動距離の総和が最小となるようなリーグ戦及び,移動距離の最大値を最小化するようなリーグ戦をそれぞれ作成し,実際に用いられたリーグ戦と比較評価する.
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高木 志郎, 吉田 雄紀, 岡田 真人
セッションID: 3K3-J-2-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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Batch Normalizationはニューラルネットワークの学習を高速化,安定化させ,汎化性能を向上させる方法として知られている.しかし,その知名度に比してBatch Normalizationがニューラルネットワークの学習ダイナミクスに与える影響についての理解は依然として不十分である.近年この問題に取り組むいくつかの研究が出てきているが,Batch Normalizationつきニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した研究はほとんどない.学習ダイナミクスを導出することはBatch Normalizationが学習にどのような影響を与えているかについて理解する上で重要であるため,我々は統計力学的な手法を用いた先行研究を頼りに,Batch Normalizationつき3層ニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した.具体的には,Batch Normalizationありのニューラルネットワークについて,系の大域的な挙動を表すオーダーパラメータの微分方程式を導出した.
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熊野 颯, 阿久津 達也
セッションID: 3K3-J-2-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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従来から、機械学習モデルの表現能力に関する研究が行われてきた。例えば、ニューラルネットワークにおいては、ネットワークの深さによってノード数の観点から効率よく関数を表現できる場合があることが知られている。一方、ランダムフォレストにおけるノード数に関する効率性の有無は不明である。そこで、本研究ではランダムフォレストにおけるノード数に関する効率性の有無について考察する。まず、ランダムフォレストはニューラルネットワークと全く同種の効率性は持たないことを示す。次に、ランダムフォレストを構成する決定木の本数からノード数に関する効率性が生じる場合があることを示す。
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片桐 智志
セッションID: 3K3-J-2-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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クリック率 (CTR) 予測はweb広告プラットフォームを持つ企業にとって最も重要なタスクの一つである. しかしながら, CTR予測は非標準的な機械学習のタスクであるため, 例えば ROC 曲線の area under the curve (AUC), 対数損失 (別名: 交差エントロピー) などの従来の評価指標は不適切になりうる. 我々の目的は, CTR予測のための新たな指標を開発することにある. 本稿では, これら従来の評価指標の欠点と, カリブレーションプロット的なアプローチに基づく指標の展望について述べる.
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其田 憲明, 神谷 匠, 高橋 達二
セッションID: 3K3-J-2-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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人間は個人での試行錯誤的な学習だけではなく,他者の成功情報を受け取ることで学習をより促進させている.ここには他者の行動の模倣や結果の再現といった社会的な戦略が存在する.強化学習における他エージェントとの情報共有法としてはしばしば行動価値の共有が行われているが,状態や状態行動対ごとの情報共有が必要であり,現実には難しいことが多々ある.少なくとも人間や動物の社会的学習のモデルとしては現実性に欠ける.我々は人間の満足化原理を強化学習に反映した,Risk-sensitive Satisficingと大局基準変換法を用いた大局的な基準値の共有によって,より少量の情報共有による効率的な社会的学習が可能であることを示す.
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浅尾 泰彦, 坂本 龍太郎
セッションID: 3K3-J-2-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
画像認識において、画像全体のうち意味のあるものとそうでないものの境界を見極めることは重要な問題である。本稿では準写真という「写真らしい画像」を定義することで、この問題への数学的アプローチを試みた。「写真らしさとは何か」という問いを数学的に定式化するために、depthという画像に対して実数値をとる関数を導入し、その漸近挙動を解析した。また例において実際の写真が準写真であることを確かめた。depthの概念は方体複体の0次パーシステントホモロジーの階数から着想を得ており、将来的に高次の階数を解析することでより精密な画像の分類が得られると期待できる。また画像認識において近年積極的に活用が進められている深層学習の、学習データ選定への応用も期待できると考えている。本稿で画像認識における純粋数学の活用の1つのアプローチを提案したい。
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長嶺 一輝, 遠藤 聡志, 山田 孝治, 當間 愛晃, 赤嶺 有平
セッションID: 3K4-J-2-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
近年,深層強化学習エージェントは驚くべき発展を見せ,素晴らしい成果を挙げている.一方で,エージェントの行動のみを視認して,根拠となった画像特徴を推測するのは困難であるという問題がある.これに対し,エージェントが持つニューラルネットの入出力を用いて判断根拠を可視化することで,行動を分析しようとする試みが行われている.可視化手法の一つに顕著性マップの生成がある.しかし,行動毎に顕著性マップを得る手法はあまり研究されていない.本稿では,深層強化学習エージェントの行動を視覚的に分析する際に,エージェントの持つニューラルネットから各行動ごとに顕著性マップを得る手法を提案する.実験の結果,環境から得られる状態観測内のオブジェクトが,エージェントの各行動に及ぼす影響を可視化する顕著性マップを得られた.
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比嘉 亮太, 加藤 淳也
セッションID: 3K4-J-2-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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実世界の時系列データは、人間の操作によって様々なパターンを持つ。我々の目的は、アクションとの時系列データからの貴重な情報の抽出である。また、我々は時系列データから人々の方針を解釈する必要がある。我々は、時系列データから動的な報酬をクラスタリングするための解釈方法を提案する。シンプルなWavelet変換による前処理ととクラスタリング技術を組み合わせることで、人間のモーションデータや倒立振子のシミュレーションのデータセットに対して、我々のアプローチは時系列情報を保持したまま異なる報酬と機能の解釈可能のクラスタリングに成功した。
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李 為達, 日永田 智絵, 長井 隆行
セッションID: 3K4-J-2-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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現在普及に及んでいる人との会話を目的とした対話システムの殆どは会話文の文法の構成を着目点として処理を行っている.しかし,人間同士で会話を行うとき,人は無意識に感情を働かせたり過去の会話や自分の知識に基づいて相手に対する返答を行う.今回は人が会話を行うときに使用すると推測される感情の変化やその人個人の経験などを会話の一つの潜在要素として使用したときの対話システムの話し方の変化について検証を行った.今回の対話システムはある程度の会話の継続性に意識をし、会話を続けることができた.
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岸川 大航, 荒井 幸代
セッションID: 3K4-J-2-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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自動運転の実現に向けては,安全性だけでなく,搭乗者の快適性が必要とされている.本論文ではこれを安心走行と定義する.快適性に対する期待は設計者によって異なるため,安心走行をルールベースのアルゴリズムとして設計することは困難である.これに対して,エージェントの試行錯誤によって最適方策を学習する深層強化学習の導入が検討されている.一般に,深層強化学習における報酬は設計者によって定義されるが,安心走行は定量的な表現が困難であり,設計者による報酬で安心走行を獲得できる保証はない.そこで本論文では,線形可解マルコフ決定過程を利用した深層逆強化学習であるLogReg-IRLを用いて,安心走行の基準を満たす軌跡と満たさない軌跡から状態依存のコストと状態価値を推定し,これらを用いて計算されるシェーピング報酬を用いた学習により安心走行を獲得する手法を提案する.実験では,安心走行の基準をY軸方向の加速度とし,結果として基準を満たす走行を獲得した.また,シェーピング報酬の計算に用いる状態依存のコスト関数の状態入力に対する勾配を計算することで,報酬の計算に影響を与えている状態入力を明らかにすることができた.
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文脈付きバンディット問題への対応
甲野 佑
セッションID: 3K4-J-2-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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レコメンドも,動物の採餌行動も,同じく試行錯誤と通じた報酬の最大化を目指している.しかしながら,複雑極まりない現実の世界において,報酬の最大化は困難であり,特定の目的を達成するか否かを優先すると考えられる.さらに言えばそれらはなるべく少ない情報でそれを達成することを目指していると思われる.そのような生物の持つ意思決定傾向は満足化と呼ばれる.本研究では満足化を目指して選択を行う RS アルゴリズムに着目し,より広い問題範囲への拡張を目指して線型近似関数への適応した LinRS を考案した.それにより広告配信などに応用される Contextual-bandit Problem に対応することが可能になり,一般的な既存の選択アルゴリズムとの比較を行った.本研究で実現した LinRS の線形関数近似は,目的達成を重視した RS による早く効率的な探索アルゴリズムを深層強化学習に応用するための第一歩である.
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はたなか たいち
セッションID: 3L3-OS-22a-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
近年のアニメブームにより, 日本国内だけでも年間 100 本以上のアニメが制作されている. それにより, アニメのクオリティーは進歩を遂げており,1 本あたりにかかる制作費や制作時間も上昇傾向にある. しかしながら,アニメを作る際の出資額がそれに伴っておらず, 制作会社の金銭的負担が増加している. 一方で,近年,ディープラーニングの飛躍的な発展を背景として,人工知能(Artificial Intelligence: AI) が社会を変える基盤技術として注目を集めている. 本発表では人工知能をどのようにアニメ業界に導入していくのか,その際に問題となることはどのようなことなのか,また,創作者と人工知能という視点からアニメ業界を俯瞰し,アニメの未来について述べる予定である.
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野口 克洋
セッションID: 3L3-OS-22a-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
本研究では、神話学者ジョセフ・キャンベルのヒーローズ・ジャーニーとして知られる単一神話論に基づく物語創作を、計算機上で再現する手法を提案する。物語中での任意の地点におけるイベントの作用や強度を、三角関数を用いて数理的に求めた。単一神話論における物語の類型の一部について表出を確認し、提案手法の有効性の検討を行った。
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豊澤 修平, 村井 源
セッションID: 3L3-OS-22a-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
本論文では星新一のショートショートにおけるSFジャンルのオチに至る物語構造の分析をするために,古典的なプロット分析を利用しオチパターンの抽出を行った.物語自動生成にはまずプロットを作製しこれを文章化する過程を必要とする.オチに至る物語構造を分析することにより,より自然な物語の自動生成を実現できる可能性がある.星新一の代表的なジャンルであるSFから「宇宙」,「薬」,「自動装置・発明・コンピュータ」,「ロボット」に作品を限定しオチのパターン化と必要条件,前提条件の抽出を行った.結果として各テーマにおける特徴的なパターンの抽出を行うことができた.テーマのパターン化及び必要条件と前提条件の記述の統一化と抽象化の結果を用いることで,今後より星新一らしい自然な物語の自動生成が可能になると考えられる.
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高橋 遼, 上野 未貴, 井佐原 均
セッションID: 3L3-OS-22a-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
近年,計算機の性能の向上によるニューラルネットワークを用いた学習が盛んである.その一つとして,漫画や小説,アニメーションといった人間の創作物を計算機によって理解したり生成する研究が広がりつつある.中でも,ストーリーは創作物の根幹であり,カテゴリ,評価や独自性に大きく影響する.そのため,ストーリーを作成する過程を計算機上で処理することは挑戦的な課題である.本研究では,読者が違和感を感じにくいストーリー構成の分析や,文の順序を変更して新しい作品の生成へ応用できるか調べるため,物語のストーリー自動生成システムを構築した.文を類似度に基づいて順序変更することで人が違和感を覚えないストーリーを生成できる可能性を示した.
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森 直樹
セッションID: 3L3-OS-22a-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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本研究では,計算機はストーリーを創作することが可能なのか? という問い基づき,4コマ漫画に焦点を当てて,人工知能用データセットの構築を視野に入れたストーリー分類手法を提案する. 4 コマ漫画はしっかりとしたストーリー構造を持ち,各ストーリーの長さが決まっているため,定量的な解析に向いている.近年,人工知能研究を対象とした世界初の独自 4 コマ漫画データセットも提案されており,今後データセットの独自構築が活発化していく可能性が高い. 既存の漫画ではなく独自にデータセットを構築する場合,商用の漫画では困難である 表現も可能であるという利点がある反面,自由度が高いためデータの何に着眼しているかが見えにくくなるという問題点も顕在化している. そこで本稿では,機械学習を前提とした 4 コマ漫画データセットの表現方法および着眼すべき特徴について可能な限り定量的にまとめ,同時に創作視点に基づく具体例を示すことで創作と人工知能に関する分野の発展に寄与することを目的とする.
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森 雅希, 李 晃伸
セッションID: 3L4-OS-22b-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
我々は,音声対話システムを対話という体験を提供するメディアコンテンツと捉え,対話システムのクリエイターとユーザの間でコンテンツ循環が成立する要件について検討を行っている.本研究では,ユーザからクリエイターへのコンテンツ利用に関する暗黙的なフィードバックが特に対話コンテンツでは重要であるとして,自動的な対話シナリオの利用プロファイルの収集およびその効率的なフィードバック機構を提案した.評価実験の結果,自動収集されたログ情報のうち,対話状態ごとの滞在時間および発話された単語のリストが,クリエイターのコンテンツ改善に非常に役立つこと,およびその情報がクリエイター自身のモチベーションを高めることが示された.
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安藤 大地
セッションID: 3L4-OS-22b-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
本稿では,著者自身の一人称視点調査に基づくジャズの即興獲得過程の練習記録例を挙げ,音楽生成システムに音楽家の知識を取り込むことの有効性について議論する.ジャズの即興演奏における2-5-1和声進行とそのフレーズの練習時の認知についてのにものであり,音楽家は非常に明確に自身の練習中の認知を音楽的に明確に記録することができていた.そのような明確になっている音楽家の高レベルな認知を知識として機械学習システムに取り込むことは,創作において個性の演出に有効であること,学習の効率の点からも有用である可能性を示す.
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ファッションの文化的背景からの考察
藤嶋 陽子, 佐倉 統
セッションID: 3L4-OS-22b-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
本研究では、ファッションデザイン分野への人工知能の適用可能性についての考察を目的としている。ファッションにおいては歴史的に、テクノロジーを芸術としての価値を否定する複製可能性や大量生産と結びつけ、否定的に捉える価値観が存在している。こういった思想的な背景は、今日急速に進展している人工知能のデザインへの適用の可能性と課題を検討するうえでも重要な前提となる。それゆえ本研究では、こうした歴史的文脈を踏まえて人口知能の技術的特性を分析し、ファッションデザインの制作プロセスとの親和性について検討を行った。そこには親和性が見出されたが、それはあくまで包括的なデザインプロセスの導入に当たるリサーチ段階に当たると考えられる。ファッションデザインの価値評価は強固にデザイナーの感性と結びついており、それは制作段階のひとつひとつの過程よりもむしろ一連の制作過程と結びついている。こうしたファッションデザインの文脈における価値体系を前提とすると、人工知能のデザイン適用には人間のデザイナーとの共生関係が必要となり、その協働の可能性を検討することが重要となってくる。
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坪田 亘記, 相澤 清晴
セッションID: 3L4-OS-22b-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
トーン貼りは漫画制作における工程の一つであり,トーン貼りの自動化には需要がある.本研究では,漫画のキャラクターの自動でのトーン貼りに取り組む.トーンには特有のパターンがあるため,トーン貼りは難しい.L<sub>1</sub> lossや perceptual lossと組み合わせるような通常のconditonal generative adversarial network (cGAN) では,トーンのパターンの学習は難しい.トーンのパターンを考慮したトーン貼りを実現するため,我々はcGANにトーン特徴量を用いた損失関数を導入する.トーン特徴量を用いた損失関数は,目標の画像と生成画像のトーン特徴量間の距離を計算したものである.Manga109に登場する2人のキャラクターについて実験を行い,提案手法がベースラインの手法よりも同等以上に見た目が良い結果になることを示した.
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上野 未貴
セッションID: 3L4-OS-22b-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
創作者は表現したいものをいかに伝えるかに想いを巡らせ,創作物を創っている.その過程には,対象とするテーマだけではなく,創作者個人の感性や体験,表現材料や技法の工夫など,多くの要素が存在する.創作現場には情報技術の進化が関わっているが,分野が発展したことで生まれる新たな研究が人が創る過程にどう関わるのか,未来の表現がどう変容するのか,本稿では表題のセッションに関わる研究とその展望について述べる.
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坂口 巧一, 加藤 昇平
セッションID: 3N3-J-10-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
近年,ロボティクス技術とAI の発展に伴い人と音声対話するロボットが注目を集めている.音声から感情を推定する技術はロボットが人と円滑な対話を実現するために重要である.音声から感情を推定する技術には大量の感情音声データが必要であるが,感情音声データを大量に集めることは難しい.私たちは、転移学習による多言語補填の妥当性について調査した.その結果を本稿で示す.その結果から,学習する言語数を増加させることで,1つの言語の不十分な感情音声について学習したモデルの分類性能を超える可能性が示唆された.
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李 晃伸
セッションID: 3N3-J-10-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
フリー
本研究では,音声言語インタラクションの多様な社会実験の実践のための基盤となるプラットフォームの開発について報告する.音声対話を含む音声言語インタラクションの応用が広がりつつあるが,一般モーダルとして広く用いられるようになるためには様々な要素を量的に解明していく必要があり,そのためには,実際的・現実的システムが多様に構築され,それを大量の一般ユーザが使用し,多くの実インタラクションデータの収集を行える環境が必要である.提案システムはMMDAgentをベースとした音声インタラクション・対話システムの双方向テストベッドを提供する汎用ソフトウェアであり,スマートフォンを含むマルチOS環境で動作する.Web公開された対話システムのクラウド配信や管理,ログ収集とフィードバック,クラウド型対話システムへの対応等が行える仕組みを有する.ベータ版は無償公開されており,オープンソースとして公開予定である.
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吉村 拓馬
セッションID: 3N4-J-10-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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本稿では,農作物の生育状況計測をドローンより上空から捉えた鳥瞰視点で行うことを目的とし, 今後ドローンに搭載されるFPGAボードに物体検出モデルの1つであるSSDを導入した事例について報告する. FPGAの限られた計算資源で農作物の物体検出を実現するため,我々はSeparable Convolutionを採用し, さらに円形を検出枠とするCircle SSDを提案する. この結果,畳み込みニューラルネットワークのパラメータ数14770でF値0.67を記録し,非常に限られた計算資源でも 畳み込みニューラルネットワークベースの物体検出モデルを採用した農作物の生育状況計測が実現できることを示す.
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篠原 裕之, 石黒 達治, 中村 遵介, 山崎 俊彦
セッションID: 3N4-J-10-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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企業において商品を上市する際には、パッケージデザインに関する好意度調査を行い、良好な結果が得られたデザインを採用する事が多い。しかし、十分な消費者パネルを集めた調査には多額の費用が必要である、一度の調査にかけられるパッケージデザインの数に上限があるという課題がある。そこで、未調査のパッケージデザインを好意度調査に供した結果を畳み込みニューラルネットワークを用いて予測する事、その際にパッケージデザインの中で好意度に対して好影響を及ぼすと予測される要素と悪影響を及ぼすと予測される要素をClass Activation Mappingを用いて可視化する事、を目的に研究を行った。その結果、パッケージデザインのプレスクリーニングテストや調査においてデザイン上重要であると予測される要素をデザイナーにフィードバックすることが可能になった。
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山田 万太郎, 汪 雪婷, 山崎 俊彦, 相澤 清晴
セッションID: 3N4-J-10-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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本研究の目的は,不動産間取り図をその間取りを反映したグラフ構造に自動で変換することである.それには,深層学習によるsemantic segmentationを行うことで画像中の各部屋やドアを認識し,それらの隣接関係をもとにグラフ構造を作成するという手法でグラフ化を行う.この提案手法により,正解グラフと81%の類似度を持つグラフに変換できることを確認した.さらには,自動変換したグラフを用いて実際に類似間取り検索への応用を示した.間取り図をグラフ構造という構造化された表現に変換することで,間取りの比較や評価,さらには検索が容易になり,間取りを扱うあらゆるシステムへの応用が期待される.
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漆原 理乃, 小林 一郎, 山口 裕人, 中井 智也, 西本 伸志
セッションID: 3P3-OS-20-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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近年, 脳神経活動の意味表象を捉える研究が盛んになっている. 本研究では, Functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI) で観測した音声刺激下の脳活動データから, 人が脳内に想起した高次意味表象を言語として解読することを目指し, 深層学習を用いて, 音声刺激による脳活動データからその意味表象をテキストとして生成する手法を構築する. しかし, fMRI により観測する脳活動データは取得のためのコストが大きく, 大量の学習データを要する深層学習を十分に行うための大規模なデータ収集は困難である. そのため, 自動音声認識手法を援用することで少量データを効率的に活用する. 実験により, 脳活動データの特徴量と音声特徴量の間の高い相関を確認した.
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付 明川, 田口 亮, 深井 健大郎, 桂田 浩一, 新田 恒雄
セッションID: 3P3-OS-20-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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脳波(Electroencephalogram :EEG)は,非侵襲で比較的安価に計測可能な脳信号であり,医療での臨床検査やリハビリテーションなどで利用されている.さらに近年では,想起した言語情報を脳波からデコードする研究が始まっている.脳波から言語情報をデコードするには,想起した音節系列と脳波の特徴系列間の対応をコンピュータに学習させる必要がある.しかし,脳波データから音節をラべリング可能なツールは現在,存在しない.そこで,本研究では言語想起に基づく脳波研究のための音節ラべリングツールを開発する.脳波研究では(1)特徴抽出および識別手法の検討,(2)EEGデータに対する音節ラベリング,(3)認識シミュレーション実験による検証,という三つの工程を繰り返しながら,より良い手法を模索していく.この試行錯誤を効率化するために,Hidden Markov Model(HMM)の音節アライメントを用いた半自動ラベリングの有効性と実現可能性についても検討する.
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平田 里佳, 入部 百合絵, 深井 健大郎, 桂田 浩一, 新田 恒雄
セッションID: 3P3-OS-20-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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近年,脳波を用いて機械を操作するBCI(Brain Computer Interface)の研究が盛んに行われている.しかし,音声想起の認識に関する効果的な方法は確立していない.本報告では,利用者への負担が少ない非侵襲的な方法で,頭皮から脳波(Electro-encephalogram ; EEG)信号を取得し,脳活動を分析する.また分析結果をもとに,音声想起(speech imagery) 時の脳波から単語を認識することを目指す.1名分の脳波を用いた10数字単語想起に対する実験結果を報告する. 音節HMM(Hidden Markov Model)を構築し,10数字の単語認識を行った.HMMでモデル化する音節は10数字に出現する14音節を対象とした.学習に使用する特徴量は線スペクトル,音節尤度ベクトルである.結果として,音節尤度ベクトルを用いた場合が最も正解率が高く,想起時脳波信号を用いた単語認識には,特徴量として音節尤度ベクトルを用いることが効果的であることが示された.
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深井 健大郎, 大村 英史, 桂田 浩一, 新田 恒雄
セッションID: 3P3-OS-20-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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脳内の音声言語を抽出して識別するBCIの基礎技術の研究が始まっている.音声言語の識別研究の中でも特に,音声想起時の脳波を用いる研究はBCI技術の発展に大きく貢献することが期待されているが,現状では想起時脳波内の音節抽出の決定的な手法は存在しない.本報告では,音声想起時脳波から線スペクトル特徴量を抽出し,音節セグメント毎に目視ラベリングをしたデータを対象に音節の識別を行うことで,線スペクトル特徴及び目視ラベリングを用いることの有効性を示す.部分空間法を用いた音節認識の結果,チャンスレートを2倍程度上回る結果を得ることができた.
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新田 恒雄, 深井 健大郎, 桂田 浩一, 入部 百合絵, 田口 亮, 杉本 俊二, 堀川 順正
セッションID: 3P3-OS-20-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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脳波(EEG)からの 音声想起は,BCI研究にとり,チャレンジ性の高いテーマである.本報告では,ブローカ野における脳波中の線スペクトラム成分が,言語表象となっているとの仮説から研究を進め,線スペクトラムを抽出する方法を提案している.また,線スペクトラムに基づくBCI研究のフレームワークについても述べる.
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奥原 俊, 伊藤 孝行
セッションID: 3P4-J-7-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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本論文は,マルチエージェント交渉における制約緩和に基づく説明可能な妥協プロセスのモデルを提案する. 自動交渉は広く研究されており,将来のスマートシティにとって有望な技術である. 運転手を必要としてない自動運転のような複数の異種エージェントが共同作業を行う研究が発展してきている. 国際競争を含むエージェントの交渉では,提案された交渉の多くが基本的に対戦相手を受け入れるために閾値を調整してアドホックな結論プロセスを用いている. エージェントが閾値を調整することで合意を表現しているため,エージェントがどのようにして何を合意したのかを示すことは非常に困難である. そのため,本稿では制約緩和を用いた説明可能な妥協プロセスのモデルを提案する. ここでは,エージェントは相手が対戦相手を受け入れることができるように,何らかの制約を信じないようにその考えを変更する.本研究で実施した実験結果は,提案手法が効果的に働くことができることを確認した.
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松野 元樹, 田中 翔, 原 拓希, 川本 峻頌, 下山 翔, 川島 崇, 積田 大介, 城戸 康, 橋本 司, 高木 友博
セッションID: 3P4-J-7-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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本研究ではマルチエージェントシステムを念頭に、タスク実行に必要なリソースとメンバー能力のマッチング問題を考える。 我々はタスク・リソースマッチング問題に対し深層強化学習を用いて現代的な解法を構築し、基準となるいくつかの既存手法と多角的な観点から比較しながら提案手法の評価を行った。 数値実験の結果により、深層強化学習は組み合わせ最適化問題において実行時間と組み合わせ精度の両立を狙う際に有用であるということが明らかにされた。
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前川 佳幹, 上野 史, 北島 瑛貴, 高玉 圭樹
セッションID: 3P4-J-7-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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人間社会において,各個人が合意形成するため数値的・心理的ギャップ補填に基づく思いやりに焦点を当て,その効果を異文化体験ゲームバルンガ上で検証する.バルンガでは,プレイヤーどうしで密なコミュニケーションをとることは困難でありながら,全員で勝者を決定しない限りゲームが進行しない.本研究では,このバルンガに喜怒哀驚の4種類の感情表現を可能にするジェスチャー札を導入し,ギャップの認知によるギャップ補填,思いやりを促す.ジェスチャー札があるバルンガとないバルンガを用いた被験者実験の結果から,(1) ジェスチャー札の使用によって各プレイヤーがギャップを認知したこと,(2) ギャップの認知が,プレイヤーが集団に適応し,合意の形成に効果的であることが明らかになった.
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川畑 泰子, 石井 晃, 上岡 拓也
セッションID: 3P4-J-7-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
会議録・要旨集
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意見の相違と合意形成は古くから研究されてきた.しかし,社会でそれらが特に反映される法・秩序は,情報網の変化によってアップデートされている.特に,1995年以降,Microsoft Windows 95の登場などにより公衆ネットワーク・デバイスが世界中に普及された以降,時空間的制約を超えた意思決定・合意形成がなされる機会が膨大に膨れ上がった.依然として明確で世界規模での法規制がなされていないOSN(Online Social Network)上で,均一化されてきた社会通念における認識や理解,定義なども良い面でも悪い面でも増長・フォーカスされやすい.社会規範から逸脱した発言・意見交換における言語単位での規制も各OSN・国々によっても異なるのが現状と言える.今後,合意形成に関して定量的な知見や傾向に関する知見を集約し,社会的・経済的リスクをもたらすであろう傾向に関して定量的な研究は必要である.そこで,本研究では実測のデータを用いた合意形成に関する研究と数理モデルを用いたアプローチの比較の可能性に関して検討を行った.
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浪越 圭一, 荒井 幸代
セッションID: 3P4-J-7-05
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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群衆,交通流,金融など,現実の環境は,複数の行動主体が相互作用するマルチエージェント系である.Multi-agent simulation(MAS)はマルチエージェント系を再現する枠組みの一つであり,行動予測や行動目的の理解に用いられる.しかし,全エージェントの行動ルールを記述し全体の振舞いを再現するMASは,多くの試行錯誤と妥当性説明を必要としてきた. そこで本提案では,全エージェントの振舞いを観測した行動ログから,各エージェントの従う行動ルールと,行動目的を反映した報酬を推定する新たなMulti-agent逆強化学習を提案する.具体的には,infinit horizonのマルコフ決定過程を対象とするMaximum discounted causal entropy逆強化学習をマルチエージェント系に拡張し,その解法を示す.既存法と比較し,提案法は一般的なMarkov gameへ適用可能であり各エージェントの報酬を推定する点が異なる. 実験では,エージェント2体のGridWolrd環境を用いて,決定的なNash均衡方策で生成した行動ログから,妥当な行動ルールと報酬が推定できることを示した.
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大野 裕幸, 遠藤 涼, 中埜 貴元, 篠田 昌子
セッションID: 3Q3-J-13-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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筆者らは、日本における測量としての地図作成に導入可能な高精度な地物抽出を実現するべく研究に取り組んでいる。セマンティックセグメンテーションによる地物抽出の評価用データセットとしていくつかのデータセットが知られているが、それらは日本国外を対象としたものであるほか、数都市程度のデータセットであり地域多様性が高くはない。そのため、日本での測量としての地図作成における地物抽出性能評価用のデータセットとしてそれらを用いるのは適切でないと考えている。そこで、日本における地図作成で実際に使われている空中写真を対象として、高い地域多様性を持った地物抽出性能評価用データセットを構築することを目的として、1967年以降に日本で空中写真撮影が実施された1328地区から均等に評価範囲を抽出して評価用データセットを構築した。さらに、pix2pix及びU-Netを使用し、道路と建物について我々が構築した評価用データセットと既存の評価用データセットによる評価結果とを比較して考察することで、我々が構築した評価用データセットで十分に信頼できる地物抽出の性能評価を実施することができるとの結論を得た。
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有坂 壮平, 玉川 悠貴, 武居 幸次郎
セッションID: 3Q3-J-13-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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杭施工時には杭底に構造物の沈下や傾斜に繋がるスライムが無いことを確実に検知する必要がある.従来のスライム検知方法は人の感覚に頼る部分が大きく,再現性,定量化に課題があった.これを解決するため,張力計測データをもとにした新たなスライム検知方法の開発を進めている.本論文では,この張力計測データからスライムの有無を判定する方法として機械学習の適用性を検証した.比較した6種のアルゴリズムでは1次元畳み込みニューラルネットワークが最も性能が良く,その正解率は約93%であった.これにより,スライム検知における機械学習の有効性が確認できた.
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服部 均, 米倉 一男
セッションID: 3Q3-J-13-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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航空エンジンや車両用過給機をはじめとする機械製品を設計する場合に,CAE(Computer Aided Engineering)は欠くことのできない技術である.設計者はCAEを用いて,例えば翼の周りの流体の流れを数値的に解析し,その物理現象を理解して実際に製品を作成した時の性能等を予測する.所望の制約条件を満たしたうえで最も性能が良い形状を作成するため,これまでは応答曲面法などを用いた最適化が行われてきた.これらの手法は複数の流れの条件に対して良い性能を持つ形状を探す際には,流れの条件を変えるごとに数値解析を繰り返す必要があり,設計時間の長大化を招いていた.本稿では,この設計時間を短縮するために,深層強化学習を用いた形状最適化を行なう.深層強化学習をNACA翼の揚抗比最大化に適用し,目的に応じてエージェントが適切に迎角を変更できることを確認した.また手法ごとに学習に必要なCAEの回数を比較し,本課題ではDQNが最も適していた.本比較により選択する手法次第で必要なCAEの回数に大きな差があることがわかり,今後強化学習を用いて最適化設計を行う上で,選択するべき手法の指針が示された.
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小川 雄太郎, 清水 琢也, 横井 俊昭
セッションID: 3Q3-J-13-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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流体シミュレーションは製造業などの製品設計フェイズで重要となるCAE (Computer Aided Engineering) のひとつである. より最適な設計を実現するうえで流体シミュレーションの計算時間短縮は重要な課題のひとつであり, 近年は機械学習を使用した高速化手法の試みが盛んになりつつある. 本研究では流体シミュレーション手法のひとつMPS法 (Moving Particle Semi-implicit) に着目し, MPS法の一部を機械学習モデルに置き換え高速化する手法を提案する. 具体的にはナビエ・ストークス方程式の圧力勾配項を求める際に, MPS法では陰解法形式になっている圧力計算部分を, 10種類の特徴量からなる入力と勾配ブースティング回帰木による回帰モデルに代替し, 流体シミュレーションを高速化する. 最後に提案手法の定性的挙動を流体シミュレーションのトイプロブレムであるダム崩壊問題の数値計算で確認し, 提案手法の結果が従来手法と同様の挙動を示すことを示す.
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増田 淳基, 松平 正樹
セッションID: 3Q4-J-13-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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高速道路内の事故や故障車のような交通異常は交通管理者にとって重大な課題の一つである。従来研究では、車両感知器を用いて、定点観測された交通量の変化から交通異常を検知する手法が主流であったが、交通異常の発生位置の特定ができない問題があった。この問題に対して、本稿では、ETC2.0プローブデータを利用した交通異常検知アルゴリズムを提案する。本アルゴリズムでは、渋滞先頭において、低速状態から高速状態になるまでに要する距離を特徴量として、統計的異常検知を行うことで、適合率94.3%、再現率89.2%の精度を得られた。
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浜中 雅俊
セッションID: 3Q4-J-13-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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本稿では、ドローンの衝突の可能性を減少させ、高エネルギー効率での飛行を可能とするドローンハイウェイ網の設計手法について述べる。従来多くの飛行経路設計方法が提案されてきたが、経路網全体の飛行効率を高める手法は提案されていなかった。我々は、蟻コロニー最適化手法と粒子群最適化手法を組み合わせることで経路網全体の効率を向上させることを可能とした。
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森川 祐介, 石原 靖弘, 井手 貴範, 森山 英二, 秋田 拓, 田部井 靖生, 宇津呂 武仁, 中川 裕志
セッションID: 3Q4-J-13-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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自動変速機はユーザのアクセル/ブレーキ操作,自動車の車速などに応じて最適なギヤ段を決定し,自動的に変速を行う変速機である.自動変速機の変速の質(変速フィーリング)は自動車の乗り心地に大きな影響を与えており,開発現場では変速フィーリングを改善するために制御プログラムのパラメータ調整を行っている.この調整作業を適合と呼ぶ.適合の中に,変速フィーリングが悪い場合に時系列データに発生している現象を特定し,その要因と対策の候補を選ぶ工程がある.この工程には大きな工数がかかっているため,自動化できればとても効果的である.そのため,その第一段階として,発生した現象の特定を自動化するために,我々はSVMを用いて時系列データの分類器を作成した.実験結果から,提案する分類システムは実用するシステムとして有望であるという方向性が示された.
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横島 靖典, 酒井 竜英
セッションID: 3Q4-J-13-04
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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公共の空間における歩行者の確率的な動きを捉えるために, Variational Autoencoder (VAE)を適用し, その有効性について検討した. 学習のためのデーターとして,歩行者専用道路と展示会ブースの動画を撮影した. これらの動画より,歩行者の位置と専有面積を黒い背景上に示したグレースケール画像を作成した. データーの90%を学習用とし,残りを検証用とした. 検証の結果,各フレーム上の歩行者分布が十分な精度を持って再構築できることが確認できた. この学習済みのVAEに基づき,歩行者群の中に特定の歩行者を発見することの期待値を二次元画像として可視化する方法を提案する. この方法によって定量化し可視化された二次元画像は,主観的な心象としてのみ捉えられていたものに相当する.
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Kwong Cheong NG, Yuki MURATA, Masayasu ATSUMI
セッションID: 3Rin2-01
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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We propose a method to estimate the traffic risk during road navigation based on the region-based spatio-temporal deep neural network (DNN) trained by the comparative loss function. In this method, moving object regions are extracted using the object detector YOLO and their features are clipped out from the middle layer of the detector. Then, these feature sequence is used to estimate the traffic risk by the spatio-temporal DNN followed by the risk estimation network. Experiments were conducted using the KITTI and Dashcam Accident dataset images and the proposed method achieved a positive result using Gaussian noise for robust training. From the results, we have shown that it is possible to estimate a dangerous traffic situation not only caused by accidents but also triggered by congestion using the proposed risk estimation network.
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今給黎 成彬, 大知 正直, 森 純一郎, 坂田 一郎
セッションID: 3Rin2-02
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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近年,画像や文章などの異なるデータ間を相互に変換するマルチモーダル生成の研究が実サービスへの応用可能性の観点から注目されている. マルチモーダル生成は,画像の自動注釈,音声の字幕生成, など最近でも大きな成果を得ており産業応用上重要な技術である一方で, 大規模なデータセットが必要であるという課題がある. 一方で,機械学習研究分野は,大規模なデータセットを用いて訓練した再利用可能な訓練済みモデルを一般に公開するようになってきており,その数は今後増加すると見込まれる. そこで本研究では,この訓練済みモデルを活用することで,小規模なデータでマルチモーダル生成を実現することを目的とする. 本稿では,個別モダリティの潜在変数が推論可能な訓練済み生成モデルと少量のデータセットによってマルチモーダル生成を行う手法を提案する. 本稿では画像とラベルからなるマルチモーダルデータに提案手法を適用する実験を行い,与えられた訓練済み生成モデルが十分訓練されていれば提案手法によって少数の訓練データでそれらのモデルと同等程度の精度でマルチモーダル双方向生成が可能なことを示した.
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河野 慎, 大屋 優, 八木 哲志, 中澤 仁
セッションID: 3Rin2-03
発行日: 2019年
公開日: 2019/06/01
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深層ニューラルネットワークはその性能の高さからIoTといった様々な分野で応用されている.そのためエッジデバイス上での深層ニューラルネットワークの実行が求められている.しかしながら,エッジデバイスは性能が低いため,深層ニューラルネットワークのモデルサイズを小さくする必要がある.その解決策として重みおよび信号を1bitで表現する二値化ニューラルネットワークが挙げられるが,深層ニューラルネットワークに比べて離散的であるため入力の摂動に対して頑健性が低い課題が残っている. そこで,本研究では変分情報ボトルネックの導入による正則化手法を提案する.本稿では,CIFAR-10を用いた実験を行い,AlexNetをベースにしたモデルにおいて提案手法が二値化ニューラルネットワークの過学習に対して有効であることを示した.
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