人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第35回 (2021)
選択された号の論文の514件中301~350を表示しています
  • 石丸 竣哉, 沼尾 正行, 福井 健一
    セッションID: 3F2-GS-10j-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    睡眠は覚醒時における身体的,精神的な機能に影響を及ぼす生体現象であり,日々の健康管理の指標として睡眠状態を評価することは重要である.睡眠は年齢,体調や寝室内の環境などに大きく影響を受けるため,実用的な睡眠計測法を確立するためには,幅広い年代,様々な環境に対応した睡眠モデルを構築する必要がある.睡眠環境音に基づき睡眠評価を行う既存の研究では個人差,環境差について考慮していなかった.本研究では個人差,環境差を考慮した睡眠評価を目的として,変分敵対的ドメインニューラルネットワークと長・短期記憶を用いて睡眠評価を行う手法を提案する.実験により,新規被験者に対して従来の睡眠環境音に基づく睡眠評価と同等以上の精度を発揮することを確認した.

  • 鈴木 圭, 松原 良太, 菅谷 みどり
    セッションID: 3F2-GS-10j-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    機械学習を応用した、人の感情を推定する研究が数多く行われている。これら研究は、ヘルスケアや医療診断などに応用が期待されている。近年では,感情推定モデルが構築され、そのモデルには脳波と心拍変動指標が用いられている。そのモデルの精度は,喜怒哀楽の4感情への分類において,推定精度最大1.00,平均0.80程度であった。しかし、ヘルスケアや医療診断への応用では、精度0.80のモデルでは不十分な可能性がある。そこで本研究では、精度向上を目的として、脳波と心拍変動指標の特徴量を抽出・選択した。そして,深層学習により感情推定モデルを構築した。本研究の検証において,先行研究が用いた特徴量では0.50であるのに対して,本研究で用いた特徴量では0.98となった。これにより、精度向上がなされたことを確認した。

  • 北野 道春, 田中 貴
    セッションID: 3F2-GS-10j-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,ウェアラブルデバイスの装着が健診項目に与える影響(介入効果)を個人ごとに推定する.具体的には,ウェアラブルデバイス装着前の健診項目などの特徴量から,「ウェアラブルデバイス装着による健診項目HbA1c(ヘモグロビンA1c)の介入効果」を推定する.一般に,各個人において装着した場合とそうでない場合の双方のデータを得ることはできないため,ウェアラブルデバイス装着者,及び非装着者のデータから反実仮想機械学習におけるUplift Modelingの手法を用いて推定を行う.実験の結果, Qini曲線を用いたバックテストにおいてベースラインを超える精度が得られることを確認できた.また,通常の機械学習法と同じく,過学習を抑止するための変数選択,ハイパーパラメータチューニングが有効であることが確認できた.

  • 小笠原 隆行, 田中 健太郎, 向野 雅彦, 大高 洋平, 山口 真澄, 才藤 栄一, 塚田 信吾
    セッションID: 3F2-GS-10j-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年ウェアラブルデバイスにより運動の記録や目標設定が容易となったが、その利便性はスポーツ分野に留まらない。リハビリテーションは訓練などの能動的活動によって身体可塑性を促し、失われた機能の再獲得を目的とするため、モニタリングにより効果的な治療アプローチの探求が期待できる。しかし、ウェアラブルデータと医療者の重視する臨床指標が一般的に一致するとは限らない。そこで本研究ではウェアラブルデータから臨床指標の推定が可能か検討した。対象は藤田医科大学病院の回復期リハビリテーション病棟にて同意が得られた192名の脳卒中入院患者である。教師ラベルには臨床で用いられる機能指標FIM(Functional Independence Measure)を用いた。特徴量は2種類あり、ひとつは教師ラベルを得た時期における24時間のウェアラブルデータであり心電位と加速度を用いた。もうひとつは、年齢や性別といった基礎情報である。ニューラルネットワークによる学習の結果、5分割交差検定において決定係数0.73 (p<.001)を得た。本結果より、24時間の活動が患者の身体機能を伺い知る手がかりとなりうることが示唆された。

  • 西川 由理, 小澤 順
    セッションID: 3F4-GS-10k-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    ユーザは,視界に⼊る掲⽰物の確認を⾏いながら意思決定を⾏っている.そのため,店舗等で撮影された映像から,ユーザの掲⽰物の確認状況とその後の⾏動を分析できれば,マーケティングや⾏動提案等の意思決定⽀援システムの機能拡充が可能となる.⼀⽅,深層学習の技術の進展とともに,映像からの動作検出や多⼈数追跡等の技術が提案されている.そこで本研究では,動作検出の深層学習モデルSlowFastに加え,多⼈数追跡モデルを組み合わせることにより,店舗等の⼊り⼝に設置された掲⽰物の確認状況とその後のユーザ⾏動を分析するシステムを提案する.さらに本システムを,⾷堂での⼊店前のメニュー確認映像に適⽤し,システムの有効性について考察する.

  • 山下 和也, 古田 真理, 井上 恵, 髙岡 昂太, 篠田 浩一, 本村 陽一
    セッションID: 3F4-GS-10k-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    我々はイベントに関わるステークホルダーの価値の向上を目指しリアルとネットをシームレスに扱えるインタラクティブサービスシステムを開発し、COVID-19の影響により初のオンラインイベントとなったサイエンスアゴラ(2020)において、リアル科学館で得られたペルソナの転写を試み"Webツアー"の形で実現した。Webツアーでは、複数の擬人化エージェントによる展示の推薦や雑談が可能なシステムを導入し、実際の人が案内出来ないイベントにおいて様々な来場者にどのような擬人化エージェントが高い価値を提供出来るかを調べた。今回擬人化エージェントの種類は、属性と口調の組み合わせで作成し、どの擬人化エージェントによる推薦が説得効果を高めるかを明らかに出来た。それにより本システムの、健康分野等、説得効果を重視する他の分野への応用可能性も示せた。

  • 和田 伸一郎, 川畑 泰子
    セッションID: 3F4-GS-10k-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本論では、5000人のスマートフォンユーザーのアプリ起動ログ(各性年代10セグメント)データ(2019年1月における一週間分、約240万行)を用いて、各性年代で、どのようなスマートフォン利用の特徴・相違を明らかにする分析を行った。本研究では、アプリケーションにおけるアクセス遷移を明らかにするためにRのAprioriアルゴリズムを用いて、マーケット・バスケット分析を行い、それぞれのセグメントごとのネットワーク構造を確信度、支持度から明らかにし、比較を行った。パラメータをファインチューニングした結果、起動数が極端に多いごく一部のアプリ、あるいは、起動回数が極端に少ない多くのアプリを結果的に除去することなどができた。本論では、各年代、また性別によって、利用アプリに違いに関して論ずる。

  • 岡林 輝, 蔭山 智
    セッションID: 3F4-GS-10k-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    行動経済学において人の認知が介入する賭け事の場合、勝利確率の低い選択肢への過剰な選好による過大評価や反対に勝利確率の高い選択肢への過小評価が起こる現象(大穴ー本命バイアス)が存在している。このような人の認知、つまり嗜好によるバイアスがかかることで真の評価から変化することを明示的に考慮した予測モデルの研究に関心が集まっている。その分析の方法としては主に「ファンダメンタル分析」「テクニカル分析」の2つに分類される。 本研究では、テクニカル分析により既に設計されている数理モデルに対して、ファンダメンタル分析としてLightGBMを用いてモデル作成をおこない、この嗜好バイアスについての分析をおこなった。具体的なデータとして、嗜好バイアスが顕著に現れる競馬のオッズとその払戻金(いわゆる回収率)のデータを用いてモデル作成を行い、嗜好バイアスがどの情報に対して顕著に現れるかを分析した。

  • 寺田 卓馬, 井上 祐貴, 仁藤 拓実, 永吉 洋登
    セッションID: 3F4-GS-10k-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年,Society5.0を支える基盤技術としてIoT (Internet of Things)が注目されている.我々はIoTを活用して産業分野における製品品質の担保,作業者の安全確保に向けた研究開発を推進している.本研究の目的は,大型製品を扱う製造現場を対象に,クレーン操作作業における作業者の危険行為をカメラから自動的に検出することである.本研究では,現場の監視カメラから得られた映像データを用いて,危険作業に成り得る3つの危険行為(作業者が吊り荷の下に入る、吊り荷が移動する方向に立って操作する、動いている吊り荷に近づく)を対象に危険行動検出の実験を行った.人物検出および物体検出により作業者と吊り荷の位置をセンシングし,それらの位置関係から危険行為を検出した.安全行動データセットおよび危険行動を交えたデータセットを各2セット用意し評価した.安全行動については全て安全であると判定,危険行動については全て危険であると判定し,検証手法が有効であることを確認した.

  • 飯塚 玲夫, 川上 達也, 楊 添翔, 後藤 正幸
    セッションID: 3G1-GS-2g-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年,情報技術の発達により,論文ネットワークなどグラフ構造を持つデータが多く蓄積されるようになり,その分析手法への関心が高まっている.グラフにおいて各ノードの属性がラベルとして付与されており,論文のキーワードなど複数のラベルを保有することが多い.そこで,グラフデータからそのノードに付与すべきラベルを全て予測するマルチラベル分類が重要となる. 単一のノードラベルを分類する手法として,ノードの重要度を加味して学習するSelf–Attention Networkを用いて近傍ノードの情報を加味したHANという手法が知られている.しかし,近傍ノードには存在しない一部のラベルの予測などを行うため,HANを単純にマルチラベル分類へ拡張しても高い精度を得ることは難しい. そこで本研究では,広域なグラフ構造を加味したマルチラベル分類手法を提案する.具体的には,自身のノードから広範囲のグラフ構造を捉えたノード埋め込み手法であるSANNEにより得られる特徴量をHANの入力とするマルチラベル分類手法を考える.また,論文ネットワークデータから論文のキーワード予測を行う問題に適用し,提案手法の有効性を示す.

  • 石倉 滉大, 北里 礼, 雲居 玄道, 後藤 正幸
    セッションID: 3G1-GS-2g-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年,1つの文書に複数のラベルが付与されることを想定するマルチラベル分類に関する技術の重要性が高まっている.このマルチラベル分類問題を解くためのアプローチの1つに,関係性の高いラベル同士でDeep Neural Networkの中間層を共有したネットワークを構築するBranched Multi-Task Networks(BMTN)がある.BMTNでは,中間層の共有構造をラベル間の類似度のクラスタリングによって決定するが,分析者が中間層ごとのクラスタ数を事前に設定する必要がある.そのため,ラベル間の関係性を適切に表現できるクラスタ数が決定されているとは限らない.そこで本研究では,クラスタリングにおいて,ラベル間の関係性を適切に表現できるクラスタ数の決定アルゴリズムを提案する.これにより,分析者に依らない適切なクラスタ数の決定が可能となる.そのため,関係性の低いラベルは独立に学習され,関係性の高いラベルに特化した学習が可能となり推定精度の向上が期待される.最後に,提案手法を読売新聞記事データに適用し,推定精度の向上と共有構造の解釈による有用性を示した.

  • 田中 卓磨, 奥野 彰文, 下平 英寿
    セッションID: 3G1-GS-2g-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    複数タグをもつ多数の画像の分類を考える.k-近傍法では,クエリ近傍のk枚の画像を検索し,そのタグの重み付き平均により各タグの事後確率を予測する.近年,複数のk1,k2,...における予測タグ確率をk=0に外挿し,バイアスを小さくするマルチスケールk-近傍法が提案されている.しかし既存研究では単純な2値分類問題のみが扱われており,非常に大きなラベル集合から複数の正解ラベルを割り当てる Extreme Multi-Label 分類問題 (XMC)への有効性が不明であった.本研究では画像を扱う実データのXMCに対して,マルチスケールk-近傍法及びその改良手法を適用し,XMCにおいてもマルチスケールk-近傍法が有用であることを4つの評価指標を用いた実験によって定量的に示す.

  • 松本 瑞季, 鷲尾 隆
    セッションID: 3G1-GS-2g-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    様々な分野においてビッグデータを分類するニーズが増えているが,ラベル付き事例集合を得ることが難しく,分類問題を教師あり学習法で解くことが困難である場合が多い. この問題を解決する手法として,ラベル無し事例集合のみを用いて分類器を構築する弱学習の1つであるUUC(Unlabeled-Unlabeled Classification)が挙げられる.UUCの先行研究として,クラス割合の異なる2つのラベル無し事例集合のみから,任意の2値分類器を経験損失最小化(ERM)によって学習する手法がある.この手法は様々な分類器を高精度に学習可能である一方,経験損失を求める際に学習事例集合のクラス事前確率を必要とする.しかし,ラベル無し事例集合のクラス事前確率は不明な場合が多く,ERMによるUUCの広範な適用を妨げている. そこで,本研究では,クラス事前確率を求める手法の1つである混合比率推定(MEP)を用いてラベル無し事例集合のクラス事前確率を推定した後,ERMによりUUC学習する場合の性能を解析した.

  • 良川 太河, 山極 綾子, 楊 添翔, 後藤 正幸
    セッションID: 3G1-GS-2g-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    機械学習分野においてラベル分類の代表的な手法の一つである決定木は解釈性が高い識別器である.しかし過学習を起こしやすく,十分なデータ数がない場合予測精度が悪化する恐れがある.一方,アンサンブル識別器は過学習を防ぎ高い予測精度を示すが,複数の決定木を合成しているため解釈性が失われてしまう.そのため,アンサンブル識別器に近い予測性能を持つ単一の決定木を学習できれば,予測性能と解釈性を備えた有益なモデルとなる. そこで,学習データの生成により予測精度が高い単一の決定木を学習する手法が研究されている.その代表的な手法にBorn Again Treesがある.しかし,データ生成の際に膨大な計算量が必要となる上に,対象データの分布から外れたデータも多数生成してしまうため,学習した決定木が複雑になり解釈性が低下する恐れがある. そこで本研究では,生成モデルであるAutoencoderとオーバーサンプリング手法であるSMOTEを用いて対象データの分布に従うデータを少ない計算量で生成し,高い予測精度を持つシンプルな決定木の学習方法を提案する.最後に実データを用いた評価実験を行い,提案手法の有効性を示す.

  • 神嶌 敏弘, 赤穂 昭太郎, 馬場 雪乃, 鹿島 久嗣
    セッションID: 3G2-GS-2h-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    何らかの情報の影響で生じるバイアスの影響を除外したうえで予測を行うバイアス考慮型分類器について論じる.こうした分類器は,予測結果の公平性を保つために,社会的に配慮が必要な情報を除外したりするのに用いられる.このバイアス考慮型分類器で,除外する情報は異なるが,他の情報は同じ場合に,類似した予測を行えることを安定性と定義する.クラウドソーシングを通じて収集した,異なる認知バイアスの影響を受けたデータに対象に,この安定性がどの程度保たれるのかを調査した.

  • 本武 陽一, 永田 賢二
    セッションID: 3G2-GS-2h-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    代数幾何的学習理論において,特異モデルのモデル評価と関連する統計量である学習係数が,モデルの有効自由度評価に応用できることが示唆されている.このような情報は,複雑な物理現象の縮約モデル構築においても非常に有用な情報となり得る.しかしながら、多くの物理モデルで学習係数を解析的に導出することは困難である.学習モデルのデータに対する当てはまりの良さを表すベイズ自由エネルギーと学習係数は密接に関係する.複雑なモデルでは良く,モンテカルロサンプリング法の一種である交換モンテカルロ法を用いてベイズ自由エネルギーの推定が行われる.交換モンテカルロ法によるサンプリングの際に得られる交換率から学習係数を推定する手法が提案されている.本研究では,解析的なベイズ自由エネルギーの算出が困難である物理モデルに対してこの手法を適用することで,対象の有効自由度が推定可能であることを検証する.具体的には,生物系の生存時間のモデルなどと関係したSloppyモデルを対象として,その有効自由度が推定可能であることを確認した.

  • 谷本 啓, 坂井 智哉, 竹之内 高志, 鹿島 久嗣
    セッションID: 3G2-GS-2h-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    どの介入行動がより良い結果につながるかを予測することは、意思決定支援システムの中心的な課題である。実環境での予測モデルを構築するためには、ランダム化比較試験(RCT)データがないため、サンプリングバイアスのある観測データからの学習に頼らざるを得ない。これに対するための近年の因果推論及び反事実機械学習では、薬を投与するかどうかなど二値の行動空間上の潜在アウトカムとその差、すなわち条件付き期待因果効果を推定することに注力している。しかし、本発表で示すように、大きな行動空間(個々の患者に対し適切な薬の組み合わせを選択するなど)になると、潜在アウトカムの回帰精度だけでは実用的にはもはや十分な意思決定性能を得ることができなくなる。提案する損失関数は、予測精度と同時に、個々の状況(患者)に対して過去の平均的な意思決定者(医者)の行動よりも相対的に良い行動であるかどうかの判別誤差を最小化することで、学習されたモデルに基づく意思決定性能を向上させる。半合成データセットで実験により、広い行動空間に対する提案法の優位性を実証する。

  • 坪井 優樹, 阪井 優太, 鈴木 佐俊, 後藤 正幸
    セッションID: 3G2-GS-2h-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    企業が施策を講じる際,適切な効果検証を行い,正しい意思決定につなげることは重要な課題である.観測データから施策効果を正しく評価するために,因果推論という考え方がある.近年の因果推論では,ユーザを施策を打つ群と打たない群に分割した後,条件付き平均処置効果(以下,CATE)と呼ばれる,同じ特徴を持つユーザ群における群間の結果の平均値の差を施策効果とする.CATEにより,施策を講じることが有効であるユーザ群の特定が可能になる.ここで,CATE推定手法としてCausal Treeが提案されている.この手法は解釈性が高く,施策効果に影響を与える要因についての分析に有用である.しかし,この手法は施策対象者をランダムに選択する場合のみを対象とする.そのため,ユーザを人為的に選択し系統的な誤差(以下,選択バイアス)が生じる場合は対応できないという問題点がある. そこで本研究では,Causal Treeをベースとし,選択バイアスが存在する状況に対応したCATE推定手法を提案する.また,人工データセットを用いて実験を行い,提案手法の有効性を示す.さらに,実データセットを提案手法に適用し,実際に分析を行う.

  • 今福 太一, 川上 達也, 楊 添翔, 後藤 正幸
    セッションID: 3G2-GS-2h-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    各顧客の嗜好に合致した商品を提示する推薦モデルの1つに,各ユーザに対して購買確率の高いアイテムを推薦する協調フィルタリングがある.しかし,購買確率が高いアイテムの中には,定期的に購買されるアイテムなど推薦する必要性が低いアイテムが存在している.そのため,推薦効果が高いアイテムを特定することが推薦システムの課題の一つとなっている.推薦効果は,アイテムの推薦を介入とみなすことで,因果推論における介入効果と捉えることができる.ここで,個別のユーザの介入効果を推定するモデルとしてCounterFactual Regression(CFR)が知られている.しかし,このモデルは1種類の介入しか扱えないため,介入である推薦アイテムが多数存在する推薦システムに適用することは難しい.そこで本研究では,ユーザの特徴量とアイテムの特徴量を結合してユーザとアイテムのペアの共変量とすることで,単一のCFRで複数の介入における個別介入効果を推定できるように拡張する.これにより,全てのユーザとアイテムのペアの推薦効果を個別に推定することが可能になる.最後に,人工データを用いた実験により提案手法の有効性を示す.

  • 鈴木 健太, 山本 泰生
    セッションID: 3G4-GS-2i-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年、時間軸天文学(time-domain astronomy)の時間分解能の向上に伴い、秒スケールの天体現象を観測できるようになった。秒スケールの天体現象は未探索のフロンティアであり、新しい天体現象の発見が期待されている。ただ、扱うデータが膨大な上、発見対象も未知という状況である。このため、高速・省メモリな環境で利用できるデータ駆動型の検知技術が必要とされている。本研究では、東京大学の木曽観測所のTomo-e Gozen(トモエゴゼン)により観測された天体のライトカーブデータをベンチマークとする。その中に人工的な突発現象を挿入し、その異常度を"ランダムカットフォレスト"という教師なしの異常検知手法により検知する事を目指す。これにより、ライトカーブ上の突発現象検知が可能な手法を検討する。その上で、この結果を先行研究の確率不等式による異常検知との性能比較を行う。

  • 田中 基貴, 近藤 和真, 増田 花乃, 長谷川 達人
    セッションID: 3G4-GS-2i-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    漁業の分野では水産資源の管理が重要なタスクの1つである. 魚におけるインスタンスセグメンテーションは魚体長推定などへの応用することにより,単純な矩形領域を予測する物体検出手法を用いるより推定精度の向上が期待できる. しかしながら,インスタンスセグメンテーションを実現するためには学習用データのアノテーションコストが課題となっている. 本研究では3D-CG ソフトウェアであるBlenderを利用して実写画像とCGを組み合わせることにより,ランダムなポージングなどのデータ拡張を実現するとともに,インスタンスセグメンテーション用のアノテーションデータの自動生成を実現した. 実験では本研究のデータ拡張を行ったデータセットについて,Mask-RCNNによるインスタンスセグメンテーションの有効性を確認した.

  • 大久保 亮吾, 上原 諒介, 雲居 玄道, 後藤 正幸, 吉開 朋弘
    セッションID: 3G4-GS-2i-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,複数店舗を有する小売チェーンを対象とし,フードロス解消のための惣菜商品に着目した店舗間の特徴を分析するモデルを提案する.このとき,各店舗で出品される惣菜の種類は,全店舗で販売される惣菜種類数の1割程度に留まり,スパースなデータである.このスパース性への対応のため次元圧縮手法の適用を考えるにあたり,独自性の強い出品を行う店舗などが存在するため,入力データのばらつきが大きく,単純な手法の適用は難しい.そこで,入力データのばらつきに頑健な次元圧縮手法であるRobust Variational Autoencoder(RVAE)を適用し,入力データの特徴を有した潜在表現を獲得可能する.RVAEの潜在表現は確率分布として出力され,一般には,この確率分布からサンプリングして類似度を測る.これに対し本研究では,サンプリングすることなく確率分布間の距離を計算する手法を提案する.これにより,出品傾向が類似する店舗の検出を行う.加えて,RVAEで得られた再構成誤差から出品傾向が他の店舗と大きく異なる店舗の検出が可能となる.最後に,提案手法を実データに適用し,その有効性を検証する.

  • 田邊 拓実, 福地 一斗, 佐久間 淳, 秋本 洋平
    セッションID: 3G4-GS-2i-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本論文では,ビデオゲームであるAngry Birdsに対する深層生成モデルを用いたステージ生成手法の提案する. Angry Birdsは,ステージ生成技術の対象として人気であるが,ステージが重力に支配されていること,ステージを生成する自由度が高いこと,などから安定したステージを自動生成することは難しく,深層生成モデルによる自動生成はほとんど行われていない. 本研究では,既存手法がタイルベースのエンコード手法を用いてステージを画像として処理するのに対し,ステージを逐次的にエンコードしてテキストデータとして処理することを提案する. 実験の結果,既存手法は高確率で安定したステージを生成できなかったのに対して,本研究が提案したステージ生成手法では高確率で安定したステージの生成に成功,また,多様性のあるステージが生成されることが示された.

  • 全 珠美, 水野 貴之
    セッションID: 3G4-GS-2i-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    現代社会は人の移動が容易で自由になり、社会構成員の特性は多様になった. 本研究では社会構成員の特性の中で民族に着目して、社会現象を分析しようとする. そのため、大規模な苗字データと機械学習手法を利用し、苗字·民族分類機を構築する. また、構築された分類機を使って民族の空間的ネットワークを分析,可視化する応用事例を提示する.

  • 山縣 友紀, 櫛田 達屋, 大浪 修一, 桝屋 啓志
    セッションID: 3H1-GS-3d-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    生命科学領域では知識共有を目指してオントロジーの開発が盛んである.しかし,知識の蓄積が浅いテーマについては,一貫性をもった知識の体系化が課題となりそのままでは知識の相互運用も困難となる.そこで,本研究では新知識を体系的に定義し,既存知識への積み上げを可能とする知識基盤の構築を目指す.そして,その実現に向けて生命活動の中心となる生命の恒常性とその破綻に注目し,ホメオスタシスインバランスプロセスオントロジー(HoIP)を開発する.本オントロジーは,上位オントロジーを参照し,恒常性破綻に関する概念まで特殊化することで,生命科学横断的な体系化を一貫的に行う.次に,COVID-19について現実社会の要請に応じた新たな知識の蓄積に取り組む.COVID-19機序解明には感染症学をはじめ,免疫学,分子生物学等幅広い専門領域から感染における一連のメカニズムを説明することが不可欠である.本研究ではCOVID-19におけるウイルス作用と生体防御作用との恒常性破綻による進行過程について粒度横断的に概念を組織化する.さらに,ワクチンをはじめ既存のオントロジーとの関連知識の知識統合による重症化リスク低減を目指す.

  • 江上 周作, 大向 一輝, 山本 泰智, 神崎 正英, 野本 昌子, 坂根 昌一, 伊藤 真和吏, 網 淳子, 奥村 貴史
    セッションID: 3H1-GS-3d-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて,政府より「3つの密(三密)」「5つの場面」が提言されている.これらの標語・指標に基づいて,個別の行動事例のリスクを評価するためには,行動履歴情報,空間情報,およびそれらの知識の定義が必要となる.本研究では,感染症患者に対する聞き取り調査で得られる行動履歴情報を用いて,その行動における三密の度合いを推論可能なオントロジーを提案する.推論結果は,公衆衛生当局における追跡調査業務の省力化や,実データとの照合による,感染に結びつく行動の分析などに応用できると考えられる.本稿では,提案オントロジーの実運用に向けたシナリオの検討と課題を述べる.

  • 臼田 大輝, 櫛田 達矢, 小林 紀郎, 桝屋 啓志
    セッションID: 3H1-GS-3d-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    バイオリソースとは、ライフサイエンスの研究開発やバイオ産業において必要とされる実験材料を指し、理研BRCではマウス、植物、培養細胞、遺伝子クローン、微生物の5種類のバイオリソースを取り扱っている。バイオリソースの管理はそれぞれ担当する部署があり、バイオリソースを検索するためのオンラインカタログについても部署ごとに独立して運用されていた。我々は、バイオリソース種横断的に検索可能なオンラインカタログが必要であると考え、他所で作成された生命科学データを用いて、継続的に拡張可能なデータベースの基盤として、セマンティックウェブ技術を用いて開発したことを前回大会(JSAI2020)にて報告した。運用開始後も、ルーチンのデータ更新に加えて、外部機関の疾患オントロジー導入によるデータの拡張を行い、疾患名およびICD-10コードによるバイオリソースの検索を可能にした。また横断検索カタログの機能拡張として、サジェスト機能の強化、and/or検索を実装し、ユーザビリティを向上させた。本報告では、セマンティックウェブ技術を用いた、検索サービスの継続的拡張に関して、検索履歴を解析の結果も踏まえて議論する。

  • 朱 成敏, 武田 英明, 竹崎 あかね, 杉野 利久
    セッションID: 3H1-GS-3d-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    畜産産業において飼料は生産性と密接な関係があり、飼料の選択や配合に関するデータには重要な知識が蓄積されている。しかしながら、地域や関連団体によって様々な飼料情報が用いられており、それぞれ独自の基準で作成されている。そのため、関連ITシステム間のデータの連携・統合が困難である。そこで、本研究では国内外で主に用いられているウシの飼料情報を調査し、ウシ用飼料オントロジーの構築を行なった。さらに利活用に必要なサービスを開発し、畜産分野におけるデータ連携の総合的な手段としての可能性について考察する。

  • 長尾 正太郎, 大角 耕介, 渡邊 正人, 菅原 俊, 金岡 利知
    セッションID: 3H2-GS-9b-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    社会の急速なグローバル化に伴い,ビジネスや観光など英語を使う機会が増加しており,多くの人が英語学習の必要性を感じている.しかしながら,英語学習を継続して行っている人は2割程度と少なく,日本人の英語力は2011年以降低下し続けている.英語学習は,多くの時間や労力といった学習負荷を必要とする一方で,その学習効果がすぐには得られない.これらの要因が,英語学習の継続を難しくしている.我々の研究課題は,一つは,どのように英語学習における学習負荷を軽減するのか.もう一つは,どのように英語学習の動機付けを促進するのか.について,明らかにすることである.本研究では,英語学習を意識させず,作業のすき間時間を利用して英語力を高めることをコンセプトに,以下3点の特徴を持つ英語読解支援アプリケーションを試作した.①最新コンテンツをプッシュ通知するコンテンツプッシュ機能.②自身の英語力以上の文章を即時翻訳する高速翻訳機能.③英語による読解力を推測・可視化する読解力可視化機能.本稿では,提案するアプリケーションの概要について述べ,ユーザースタディを通してコンセプトの実現性と効果を明らかにする.

  • 西田 曉人, 曽我 真人
    セッションID: 3H2-GS-9b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    人体画スケッチ学習支援システムとは,骨格,輪郭線で手本と成果物を比較し,差分やスコアを返すシステムである.従来の仮想空間を用いた人体画スケッチ学習支援システムでは,カメラから得た二次元画像で実人型モデルの姿勢推定し,それに機械学習から推測した深度情報を加えて三次元座標に変換することで仮想人型モデルのポーズ変更を実現していた.そのため,深度情報が推測しづらい場合にはポーズ変更が正しく行えず,学習と直接関係しないフローに時間を費やしていた.本研究では,その問題を解決するために深度カメラのモーションキャプチャにより三次元姿勢推定をし,仮想人型モデルのポーズを変更する手法を提案し,その手法に基づくシステムを構築した.さらに,先行研究では成果物のスコア算出に総当たりによる特徴点マッチングを採用しており,バランスが正しい相似サイズの成果物は評価が低くなるという課題があった.そこで本研究では特徴点マッチングに加え,手本と成果物の外接矩形における横縦比の一致率でスコア算出を改善する.評価実験では,統制群法を用いて実験群と統制群の学習前後のスコアの向上値から有意差検定を行い,システムの有用性を検証した.

  • 山口 翔大, 下川原(佐藤) 英理, 松藤 彰宏, 山口 亨
    セッションID: 3H2-GS-9b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年,音声認識による文字化の技術が発展し,様々な場面で活用されている.しかし,騒がしい場所では認識率が低下する課題があり,この課題を解消するため,無音声でも認識できる可能性のある読唇技術によって文字化を試みたい.無音声でも文字化することが可能であれば,文字情報の必要な人にとり,騒がしい場所においてもコミュニケーションの一助となる期待があり,また,音声認識と組み合わせることによって認識率を高められる期待もある.これに関し,英語話者に対する読唇専用のソフトウェアの開発がされたが,母音の数の関係から,これを日本語に同様に適用することは難しいと考えられている.そこで本研究では,日本語話者を対象に,無音声の環境下で読唇技術を実現することが可能であるかどうか実験を行った.特定の場面においてよく用いられる文章6つに対し,10名の被験者に5回ずつ発話してもらいデータを収集した.収集したデータに対し,機械学習によって分類した結果, k-Nearest Neighbor による分類が最も精度が高かった.しかし,同時に被験者によって認識精度が異なることも明らかとなった.

  • 川本 峻頌, 澤井 悠, 張 培楠, 脇本 宏平
    セッションID: 3H2-GS-9b-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    NLGシステムの生成結果の評価、あるいは極性判定のような応用タスクのアノテーションでは、実応用時と同様の幅広い属性のアノテーターによる作業が重要である。こうした応用事例ではクラウドソーシングのような仕組みを利用して多様なアノテーターを集めることが多い一方で、実世界のユーザの多くはスマートフォンなどのモバイル端末を利用する割合が多い。本稿では、これまで注力されていなかったスマートフォンなどのモバイル端末におけるUXを重視した、応用タスク向けのアノテーションツール "FAST" を提案する。実験では、複数名のアノテーターによるアノテーションを実施し、ツールのログやユーザアンケートから速度や品質、使いやすさといった指標を評価した。結果、本システムは特定のタスクにおいて、既存の手法と比較して、品質を維持しつつ高速にアノテーションできることを確認した。

  • 藤井 政宗, 曽我 真人
    セッションID: 3H2-GS-9b-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年,様々な分野で活用できるマルチコプター,いわゆるドローンの普及が進んでいる. ドローンの操縦は操縦ミスによる事故も年々増加しているように初学者にとって障害物がある空間での操縦は難しいとされている. その中でドアなど横幅や高さの領域が決められた枠を通る技法が必要になることがあるが,実物体を用いた練習を行うと接触により機体が破損してしまう可能性がある. 本研究では機体の破損の可能性を減らした練習を行うために,AR技術を用いて仮想物体の障害物を表示して練習するシステムの提案,構築を行った. 評価実験では,実物体での練習とシステムを用いての練習それぞれの練習前後における操縦時間の変化による評価を行い,操縦時間において同等の上達が見られる可能性が高いことが示された.

  • 今田 隆人, 瓜生 紗希, 甲斐田 裕清, 北村 花梨, 中川 聖加
    セッションID: 3H4-GS-11a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、検索エンジンによるアルゴリズムによってユーザーが好みの情報に囲い込まれるという弊害があるフィルターバブルに対して、多様な情報に触れることができる環境の形成手段について調査することである。先行研究では、フィルターバブルのもたらす効率性や合理性について肯定的な主張が成されている一方、イデオロギーの極性化や、それに伴う社会の分断の可能性といったフィルターバブルの危険性についても言及されている。 本稿では、多様な情報に触れるナッジを検討し、導入した場合と導入しなかった場合で対照実験を行った。本研究から得られる知見によって、フェイクニュースやヘイトといった社会の分断にも繋がりかねない問題の解決の一助となることを示唆する。

  • 竹田 悠人, 滝口 桐矢, 西谷 陽佳, 前田 ひなた, 森川 裕介
    セッションID: 3H4-GS-11a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的はファクトチェックアラートの有効性について検証したものである。近年、AIによるニュースの自動生成技術の向上や、さまざまなメディアを利活用できる環境などにより、より多くの情報を得られるようになった。それに伴い、誤情報の拡散についての問題が深刻化しているため、現在までファクトチェックを促す役割としてのアラート機能についてさまざまな実験・研究が行われてきた。しかし、特に非常時や災害時においては、共有される情報が人々の不安を高める場合や情報の重要性が高い場合が多い。また、そのような社会不安のある状況下においては、他者の役に立ちたいという善意の気持ちも誘発される。そのため、今回は、誤情報を含む様々な情報の拡散要因が多い状況下において、先行研究で検証されてきたファクトチェックアラートの機能が効果的であるのかについてサーベイ実験を用いて検証を行った。本研究の結果は今後の、人工知能(AI)が発達しさまざまな情報が利活用される時代における誤情報拡散防止のための研究や取り組みに示唆を与える。

  • 水谷 宏太, 田村 くるみ, 小西 桃香, 中山 隼佑, 得重 侑弥
    セッションID: 3H4-GS-11a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,AIヘルスケアサービスにより行動変容を促進する施策としてナッジの有効性を検討することを目的としている.我が国で大きな問題となっている高齢化の進行と,それに伴う医療費の増大を解決に導くために重要となるのが「予防医療」である.そして,予防医療の中でも昨今注目されているのが「AIヘルスケアサービス」であり,今後さらなる進展が予想されている.一方で,人のAIに対する信頼性は低いという問題もあり,AIヘルスケアサービスを人々に浸透させるための工夫が必要になると考えられる。そこで我々の研究では,予防医療のための行動変容を促進させる施策としてナッジの有効性を検討するサーベイ実験を用いて分析した。本研究は、今後加速する高齢化社会においてAIヘルスケアサービス活用の可能性について示唆を与える。

  • 野間 碧, 萬田 将大, 黒島 大夢, 佐野 実沙
    セッションID: 3H4-GS-11a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,AI を用いたメンタルヘルスケアのあり方について明らかにすることを目的とする.メンタルヘルスに関する問題を抱えながら専門家に援助を求めない現象はサービスギャップと呼ばれており,その要因はスティグマや自尊心などが挙げられる.また近年では AI を用いたメンタルヘルスケアアプリも開発されはじめ,注目されている.そこで我々は特にアプリを通じたメッセージを用いて,サービスギャップ問題の解決図ることが出来ないか検証を行った.本研究では大学生にサーベイを実施し,アプリを通した文面での会話における対 AI時,対人間時の感情の差について検証した.その結果,スティグマと自尊心は利用意思への関連性は見られなかったが,カウンセリングの利用経験がある人は対AI時の利用意志が高いことが明らかになった.この実験は,サービスギャップの解消に役立ち,大学生に対してのメンタルヘルスケアにおいて有効な示唆を与える.

  • 須賀 聖, 林 健, 井原 史渡, 山田 悠司, 藤森 立, 栗原 聡
    セッションID: 3I1-GS-5d-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    都市部にて頻発する交通渋滞は,時間的損失や経済的損失を引き起こすため深刻な社会問題の一つである.このような背景から,近年では交通渋滞の解消を目指した研究が盛んである.交通渋滞解消に向けたアプローチの一つとして,信号機制御が挙げられる.こうした信号機制御に関する研究では,センサーによる交通情報の利用を前提とするものが多い.しかし現実の道路環境では,立地条件やコストなどからセンサーを設置することが困難な交差点が存在する.また交通情報は時間の経過により変化したり,突発的な事故により変化したりする.そこで,本研究ではACOアルゴリズムを用いて,センサー設置交差点からの交通情報をもとに,交通量が類似する経路を創発させることで,センサー未設置交差点の交通情報を動的に補間するシステムを提案する.シミュレーション実験の結果,提案手法は従来手法と比べて動的に正しく交通情報を補間できることが示された.

  • 美野輪 眞大, 藤井 秀樹, 内田 英明, 吉村 忍
    セッションID: 3I1-GS-5d-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    電気自動車(EV)の普及にともない,充電ステーション(CS)の混雑が予想されている.CSでの待ち時間は利便性を低下させるため,予約システムの導入が検討されている.しかし実際に導入された事例は少なく,導入による影響や効果的な運用方法などの知見は得られていないのが現状である.そこで,交通流シミュレータを用いた仮想空間内での実験を行う.本研究では,現実世界でのEVドライバの充電予約行動を仮想空間内で表現するための充電予約行動モデルを作成した.このモデルの予約判断は,個別のエージェントに与えられる四つのパラメータと,そのエージェントの経験によって決定される一つのパラメータを用いて,予約した場合と予約しなかった場合の期待効用を算出することにより行われる.CSの数や予約の必要な充電器の数が異なる多様な充電環境を用意し,その中で特定のパラメータを持つエージェントがどのような振る舞いをするか分析した.その結果,CSへの予約システム導入が効果をあげるためには,EVエージェントの効用パラメータが予約必須の充電器の導入状況に合わせた適当な範囲にある必要があることが判明した.

  • 小副川 貢司, 東藤 大樹, 横尾 真
    セッションID: 3I1-GS-5d-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本論文では,グリッド上に1つの公害財を配置する問題を扱う.エージェントは自身の所在地と公害財の配置位置がより遠くなることを望む.公害財配置におけるメカニズムは,エージェントが申告する所在地の組をもとに,公害財の配置位置を決定する.近くにあることが望まれる公益財の配置問題では,グリッドのサイズを制限することで,パレート効率性と架空名義操作不可能性を同時に満足するメカニズムが存在することが知られている.しかし,公害財配置問題を扱う既存研究においては,パレート効率性と架空名義操作不可能性を両立するメカニズムは提案されていない.そこで,本論文では,グリッドのサイズを ­m×2 に制限した公害財配置問題における,パレート効率性と架空名義操作不可能性を両立するメカニズムの存在性を検証する.まず,m が3以上の任意の奇数の場合,パレート効率性と架空名義操作不可能性を両立するメカニズムを与える.さらに,m が4以上の任意の偶数の場合,パレート効率性と架空名義操作不可能性を両立するメカニズムが存在しないことを示す.

  • 栗原 聡, 井原 史渡, 岸本 大輝, 吉田 直人
    セッションID: 3I1-GS-5d-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    COVID-19感染問題における感染拡散状況の把握と予測を行うため,SNSや報道データ分析と基本的に冪乗則に従う人の行動様式から独自の行動モデルを提案し,これを複雑ネットワークとして構築した実環境を模した移動ネットワーク上にて典型的な感染モデルであるSERIモデルにて感染拡散シミュレーションを実施した.その結果,提案モデルにて昨年からの感染状況の再現が可能であることが分かった.本稿では,さらに,このモデルによる,緊急事態宣言の効果やワクチンの接種率や摂取方法の効果についても考察する.

  • 鶴島 彰
    セッションID: 3I1-GS-5d-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    我々は災害避難中の避難者の視界が狭められるトンネルビジョン仮説を提唱し、この現象が群衆避難に与える影響について分析を行ってきた。これは避難状況のストレスが認知資源を制約し、視覚的処理の及ぶ範囲が狭められるという仮定に基づいたものであり、トンネルビジョンにより視覚の及ぶ面積が小さくなるため、影響が出ることはある意味当然であった。一方、トンネルビジョンを視覚に対する制約ではなく、単に視覚の形状を変化させる機能と仮定することも可能である。そこで我々は、面積が一定で、20度と120度の二種類の視覚を持つエージェントを比較する事でトンネルビジョンの影響を分析した。本研究では、正しい出口と間違った出口のある環境で、避難標識によりエージェントを正しい出口に導く実験を行った。実験の結果、正しい出口に誘導されるエージェント数の平均にはほとんど差が生じないが、二種類の視界で標準偏差に差が現れる事が分かった。さらに、二つの出口の配置を変えた実験により、一方では狭い視界が標準偏差を大きくするが、他方では逆に小さくすることが分かった。

  • 三宅 陽一郎, 鳥海 不二夫
    セッションID: 3I2-GS-5e-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本比較検証実験の目的は,デジタルゲームAIにおいて著者が提案するMCS-AI動的連携モデル(Meta-Character-Spatial AI Dynamic Cooperative Model)がゲームデザインに対してアイデアの多様性をもたらすことを検証することである.MCS-AI動的連携モデルを知った被験者のゲームデザインのアイデアを,知らせなかった被験者と比較することで,MCS-AI動的連携モデルのゲームデザインのアイデアへの影響を比較検証する.被験者は解説文を読んだあと,自由記述式アンケートに回答を記述する.26人の被験者に対するアンケート文を自然言語解析を行い,MCN-AI連携モデル(従来のモデル)のみを知らせた場合と,MCS-AI動的連携モデルも知らせた場合とで,ゲームデザインアイデアにどのような変化が行われるか,を比較した.解答文の形態素解析によってキーワード抽出し共起ネットワークを生成することで,MCS-AI動的連携モデルを調べたグループの回答が、よりAIと連携したアイデアを提案することを明らかにした.

  • 山崎 陽斗, 大沢 英一
    セッションID: 3I2-GS-5e-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,マルチエージェントシステムベースの物語生成システムにセマンティックスコア法を適用してゲームシナリオを生成することである.セマンティックスコア法とは,映画の構造を分析する方法で,物語の意味単位であるシーンを複雑化・解決化の尺度で評価するものである.評価されたセマンティックスコア間の複雑度を横軸に,シーン番号を縦軸に設定したセマンティックグラフを作成することで,映画の構造を視覚的に表すことができる. 本研究では,マルチエージェントシステムを用い,役割,関係性といった要素をもったゲームの登場人物をエージェントとしてモデル化し,シミュレーション上で相互にやりとりをさせる.そのエージェントの行動に複雑化・解決化のスコア付けを行い,ログデータを出力する.そのログデータに特徴のあるセマンティックグラフを与え,シナリオがどのように出力されるかを検証する. 結果として,マルチエージェントシステムを用いたゲームシナリオの生成システムにおいて特徴的なセマンティックグラフを与えることで,そのグラフの展開に沿ったシナリオを生成することができた.

  • 高田 亮介, 坂本 孝丈, 竹内 勇剛
    セッションID: 3I2-GS-5e-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    我々の日常行動の中において他者との関わりの中で観察される協調系の多くは,必ずしも計画されたものではなくむしろ人同士のインタラクションを通して創発的に生じている.本研究では,マルチエージェント強化学習を用いてエージェントに協調行動が生じるボトムアップな過程とその条件を構成論的アプローチで検証することを目的とする.題材として,協調課題でありながら共適応する敵が存在する競争課題でもある缶蹴りを用いた.学習の結果,利己的な戦略を獲得するか,協調的な戦略を獲得するかは課題の難易度によって変化することが示唆された.そして,特定の難易度ではボトムアップに協調行動を獲得することが可能であるという知見を得られた.本研究の成果は,協調的なインタラクションを行う条件を明らかにし,協調系を創発する環境のデザインに寄与する.

  • 水田 孝信
    セッションID: 3I2-GS-5e-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    主に商品先物を取引するファンドであるCTA(Commodity Trading Advisor) は,かつては多くのファンドが高いリターンを得ていたが,2010年ごろからリターンを得るのが難しくなっている.その原因はいくつか指摘されているが,CTAを餌食にして利益を得る短期的な逆張り戦略が増えたという指摘がある.しかし,これらの指摘は根拠が薄い.そこで本研究では,CTAと短期逆張りを行う投資家を実装した人工市場モデルを構築し,短期逆張り戦略の出現がCTAのリターン減少につながったのかどうかを分析した.その結果,CTA・短期順張りともに,お互いがいたほうが戦略を実行するチャンスが多くなり利益を獲得していることが分かった.このため,短期的な逆張り戦略がCTAを餌食にして利益を得ているというのは誤りである可能性を指摘できただけでなく,むしろ共存共栄である可能性を示した.

  • 太田 真人, 櫻井 裕子, 野田 五十樹
    セッションID: 3I2-GS-5e-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    タクシー配車サービスでは空車タクシーを乗客に割り当てる際,収益を最大化するように割り当てを決定することが一般的である.しかしながら,タクシー間の収益の格差が生じ,収益における公平性が問題として指摘されている.そこで本論文では,一日の総収益を大きく減少させることなく,タクシー間の公平性を是正するアルゴリズムの提案を行う.

  • 町田 兼梧, 宇都 有昭, 篠田 浩一, 鈴木 大慈
    セッションID: 3I4-GS-7a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    現在,深層学習は画像処理,音声認識,自然言語処理などの分野で広く用いられている.深層学習モデルの構造の自動最適化を行うモデル構造探索(Neural Architecture Search; NAS)が盛んに研究されている.我々は,畳込み層の安定ランクを選択基準として用いて構造探索を行う,MSR-DARTS(Minimum Stable Rank Differentiable Architecture Search)を提案する.畳込み層のパラメータ行列における安定ランクはモデルの汎化性能と関連しており,精度の高いモデルを獲得できることが期待できる.評価実験では,探索空間に含まれる各モデルは複数の畳込み層により構成されるものとし,CIFAR,ImageNetデータセットを用いた画像分類タスクで評価を行った.それぞれ2.80%,24.0%のテストエラー精度を達成した.

  • 小西 祥之, 国宗 大介, 西田 芳隆
    セッションID: 3I4-GS-7a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年、AI市場の中で、リアルタイム性やデータの機密性の観点からエッジAI分野の需要が拡大している。エッジAIの実用化においては、組み込み機器における処理性能やメモリサイズの制約があるため、処理高速化や省メモリ化の対応が急務となる。本稿では、OSSのTensorFlowおよびTensorFlow Liteを使用し、量子化の手法を適用することで高速化と省メモリ化を実現することを考える。次々に新しいAIモデルが考案されている現状において、TensorFlowおよびTensorFlow Liteの量子化が全てのオペレーションに対応されることは考えにくく、使用するAIモデルによっては、量子化未対応のオペレーションを含むことによる処理速度と精度の低下が課題となる。本稿では、そのような課題が発生した物体検出モデルのYOLOv3-tinyを事例に、処理速度と精度の改善手法を提案する。また、独自にさらなる性能改善を行うことにより、最終的な改善結果としては、RaspberryPi3ModelB+上で推論処理時間の2倍高速化、および推論精度については量子化前と同等の精度までの向上が実現できた。

  • 太田原 千秋, 吉野 雅之, 長沼 健, 冨樫 由美子, 笹 晋也, 川名 のん, 山本 恭平
    セッションID: 3I4-GS-7a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    AI技術の発展に伴い,人命喪失や環境汚染等に影響のない非クリティカル分野でのAI活用が進んでおり,今後重要インフラシステムや自動車分野等のクリティカルな分野にもAIの導入が進むことが予想されている.また学術分野では,誤判断させる悪意ある入力をあたえるAdversarial Example Attackをはじめとした多数のセキュリティ攻撃事例が報告されている.このような状況をうけて,国内外で策定されているAIガイドラインにおいてAIのセキュリティ対策をすることが推奨されている.以上の背景から,我々はAdversaroal Example Attackの対策技術を検討している.本稿では学習モデルに影響のない入力データを加工するDenoising技術を紹介する.本提案手法の検討にあたり,画像の輝度値を平らに滑らかにすることでノイズを除去する平滑化フィルタを活用した.本提案手法ではAdversarial Exampleに対して約85%の精度で正しい判定結果となった.

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