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向田 和弘, 福居 誠二, 長岡 武志, 北川 貴之, 小形 真平, 岡野 浩三
セッションID: 1B3-GS-2-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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本稿では,ソフトウェア開発の要件定義において特に要求が漏れやすい非機能要求に焦点を当て,経験豊富な専門家でなくとも,要求仕様書から非機能要求を効率的に抽出,分類できる手法を提案する.これまでに著者らは,BERT,GPT2 などの事前学習済みのTransformerモデルを組み込んだモデルを作成しファインチューニングを行うことで分類を試行してきた.近年ではChatGPT 等の対話型大規模言語モデルの普及により,プロンプトのやり取りのみによる推論が可能になりつつある中,これらの手法の文書分類タスクへの応用も進められている.本稿ではChatGPTのFunction calling機能の能力を探求し,プロンプトのみから生成される応答や従来の方法と比較して優れた結果を得る可能性に焦点を当てる.Function Calling は本来他のAPIや関数を呼び出すための機能であるが,その過程で生じる呼び出しに必要な引数の生成を活用することで,構造化データとして分類結果を得た.結果として,モデル作成や学習などの実験のプロセス全体を大幅に短縮したうえで、従来手法と同等以上の精度を得ることができた.
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坂本 充生, 森村 哲郎, 陣内 佑, 阿部 拳之, 蟻生 開人
セッションID: 1B3-GS-2-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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大規模言語モデル(LLM)のFine-Tuningには,Reinforcement Learning from Human Feedback(RLHF)が用いられる. RLHFは,(1) LLMの Supervised Fine-Tuning(SFT),(2) 人間の選好に基づくSFTモデルの生成文のランキング評価,(3) 選好データセットを用いた報酬モデルの学習,(4) 報酬モデルを用いたSFTモデルの強化学習,という4つのプロセスからなる. 人間による評価にはコストがかかるため,報酬モデルの学習には公開データセットや過去のデータを用いることが多い. これらのデータ生成モデルとSFTモデルは異なるため,報酬モデルの学習するデータと評価するデータに"分布シフト"が生じる. 本研究では,この影響を分析するため,SFTモデル以外に性能が異なる複数のLLMを用いて選好データセットを作成して、いくつかのシナリオでRLHFを行う.結果を比較することで,分布シフトが問題になる状況を明らかにする.分析の結果,報酬モデルに分布シフトがある場合にRLHFの性能を劣化させることを確認した.
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田中 冬馬, 江本 直史, 弓林 司
セッションID: 1B3-GS-2-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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この研究の目的は, 大規模言語モデル(LLMs)が論理構造を理解する能力(Ability to Understand the Logical Structure: AULS)を理解することである. 本論文では, まず, In-Context Learning(ICL)に触発されて開発された「帰納バイアス学習(IBL): Data Set2Code Model」という方法を紹介する. 次に, 以前の研究で取り上げられていないGPT-4-Turbo, GPT-3.5-Turbo, およびGemini Proなどの複数のモデルにIBLを適用し, それらが生成する予測モデルの精度と特性を比較検討する. その結果, すべてのモデルがIBLの能力を持っていることが示された. 特に, GPT-4-Turboは従来のGPT-4と比較して顕著な精度向上を達成した. さらに, GPT-NとGemini Proが生成する予測モデルの性能のばらつきに差があることが明らかになった.
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高橋 知克, 山中 友貴
セッションID: 1B3-GS-2-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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産業用制御システム(ICS)のセキュリティを確保するためには、ICS内で使用される多様な通信プロトコルに適応した異常通信検知が不可欠である.そのためにパケットペイロードの特徴を自動的に学習し,様々なプロトコルに適応可能なBidirectional Encoder Representations for Transformers(BERT)を用いた異常通信検知が注目されている. しかし,BERTを使用した異常通信検知では,異常に関する事前知識がないため,検出されたパケットの通信上の役割や異常の原因を明示することが困難であり,その結果,ユーザにセキュリティと通信に関する専門知識が求められる. 本論文では,この問題に対処するために,近年様々な分野で成果を挙げている大規模言語モデル(LLM)の活用を検討する. 具体的には,異常原因の推測を行うためにユーザーが行う複数のタスクにLLMを適用するために,プロンプトの設計やRetrieval-Augmented Generation(RAG)の構築を行う. さらに,評価実験を通じて,LLMの適用による原因推定タスクの有効性とその課題について述べる.
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高 振宇, 山極 綾子, 後藤 正幸
セッションID: 1B3-GS-2-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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言語情報と紐づけられた画像データの分析手法が近年注目されているが,画像のドメインによってデータ数に大きな差異があるという課題がある.この問題に対処するために,LADSが提案された.LADSは画像言語モデルにおける画像とテキストの埋め込み空間を活用することで,データが不足しているドメインの画像データを用いることなく学習が可能なモデルである.ここで,LADSにてドメインの説明文として用いられるテキストは単純であることが多い.しかし画像言語モデルでは,テキストが画像を適切に説明できていない場合,モデルの性能が低下する可能性がある.そこで本研究では,CoOpと呼ばれる,画像の説明文を最適化する手法を援用し,LADSにおいて使用されるドメインを表現するテキストを最適化させることで精度を向上させるモデルを提案する.CoOpはプロンプトの学習により画像言語モデルの精度を向上させる手法であり,得られたプロンプトはLADSにおいて適切に異なるドメインを表現できるようになると期待できる.最後に,実際のデータに提案手法を適用し,その有効性を示す.
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河野 慎, 河村 和紀
セッションID: 1B4-GS-2-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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実世界で機械学習システム運用時にデータ分布シフトが発生し,これがモデル検証時の精度と比較して性能の劣化を引き起こす問題となっている.この性能劣化の検出が可能になれば,モデルの再学習や構造の見直しなど適切な対策を講じることができる.しかし,運用後のデータに逐次的にラベルを付与すること,そのコストの高さから継続的なラベル付けは現実的ではない.そこで,本研究ではラベルがないテストデータにおけるモデルの性能推定に焦点を当てる.ラベルがない限りテストデータにおける精度を直接算出することは不可能なため,先行研究ではテスト精度と相関関係にある距離や指標を利用して,テスト精度の推定を試みている.その一つに対照精度を利用した研究があるが,評価したいモデルの訓練と同時に対照学習を行う必要があり、既に学習済みのモデルには適用できない.そこで,本研究では,評価対象のモデルを知識蒸留を用いて代理モデルに変換し,代理モデルで対照学習を行うことにより,モデルのテスト性能をラベルなしで推定可能な手法CoLDSを提案する.本稿では,CoLDSの有効性について実験を行い,その結果を報告する.
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一色 智裕
セッションID: 1B4-GS-2-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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近年、AIの話題が日々あがっている。特に生成系AIを含めたニューラルネットワーク関連の話題が多い。 しかし、ニューラルネットワークからもたらされる結果は良いが、根拠の分からない、との声がある。 更に深層学習は、いくつもの異なるモデルで成果があがっている。例えば、CNNでは既に人間の認識を超えるほどの精度で物体の識別を行うことが出来る。 LLMにおいても、Transformerの流れを汲むモデルの成果が著しい。 しかしながら、ニューラルネットワークの全般にいえるが、何故それらの結果が出るのか説明する理論的研究成果が少ない。 そこで、本研究はニューラルネットワークの学習に焦点を当て、学習および学習されるモデルの特徴から数理的に学習結果を説明することでニューラルネットワークの理論的理解の一助とするものである。
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峰岸 剛基, 岩澤 有祐, 松尾 豊
セッションID: 1B4-GS-2-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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Grokking とは,ニューラルネットワークが初め訓練精度が100%でテスト精度が低い暗記解に達し,その後訓練を続けるとテスト精度が急上昇し100%になる汎化解に到達するという興味深い現象である。本研究では、重みノルムの減少がgrokkingの急激なテスト精度の向上に対応するという従来の考えをさらに深く分析し,最適なサブネットワークの発見が汎化を達成する上で重要な役割を果たしていることを実験を通じて示す。我々は宝くじ仮説の概念を導入し,「宝くじ」を見つけることが暗記解から汎化解への移行に重要であることを主張する。我々の研究では、(1)適切なサブネットワークを使用すると、訓練精度の向上に遅延してテスト精度が向上する現象は発生しない、(2)等しい重みノルムであっても、密なネットワークは完全な汎化を到達するためにかなり長い訓練が必要である、(3)重みの値を更新せず構造の最適化のみで、暗記解から汎化解への移行が可能であるということを示す。これらの結果は、grokkingのメカニズムを理解する上で、従来の重みノルムの減少という説明よりもサブネットワークの発見の方が重要であることを示唆している。
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中口 悠輝
セッションID: 1B4-GS-2-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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模倣学習は強化学習の問題を何らかの教師の情報を参考に解く。典型手法の行動クローニングでは共変量シフトが時間と共に蓄積していくため長期的な問題に適用できなかったが、インタラクティブ模倣学習は教師モデルからオンラインでフィードバックを得ることでこの課題を解決した。さらに生徒の報酬情報も活用できるなら、教師と生徒で問題が完全に同じではないなど教師が非最適の場合であっても、強化学習よりも速く学習しつつ教師を超えることも可能である。しかし、インタラクティブ模倣学習のためにはオンラインに応答できる教師が必要で、適用できる教師は限られる。とくに、効率的な学習のためには教師の価値関数が必要であり、適用できる教師が強化学習済みモデルに限られてしまう。そこで本研究では、逆強化学習の派生手法である逆ソフトQ学習を流用して教師の軌跡から価値関数を構成することにより、価値関数を必要とするような効率的なインタラクティブ模倣学習をオフラインの軌跡データしかない教師に対しても適用できるよう拡張する手法を提案する。
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劉 庶, 鳥海 不二夫
セッションID: 1B4-GS-2-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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複雑なネットワークは,要素(ノード)とそれらの要素間の相互作用(リンク)から成るデータ構造であり,相互作用の程度をリンクの重みで表す重み付きネットワークは実世界の複雑な相互作用をモデリングできる.機械学習の進歩に伴い,これらの複雑なネットワークを活用して高度な推論を得る試みが行われている.特に,ノードの埋め込みは,類似したノードをベクトル空間上で近くに配置することによって,ノードの特性を保持しつつベクトルにマッピングする重要なタスクとされている. 本研究では,重み付きネットワークにおいてノードの構造的な特徴を保持した埋め込み表現を学習する手法を提案する.ノード同士の距離を複数のスケールで計算するために,ノードの数ホップ先までの隣接ノードのリンク重みを比較する.その後,各スケールでの距離に基づいて重み付き多層グラフを構築し,最終的にランダムウォークを通じてノードのコンテキストを生成し,Skip-gramを用いて埋め込み表現を学習する.提案手法の優位性を確認するために,トイネットワークでの埋め込み表現の解釈可能性や実際のネットワークでの構造再現性を検証した.
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玉井 慎太郎, 沼尾 正行, 福井 健一
セッションID: 1B5-GS-2-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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近年,健康への関心が高まるなか,個人が自宅で睡眠の状態を把握できる手法が考案されている.睡眠音を用いた手法は,スマートウォッチ,センサなどを用いた従来手法と比較して,安価,非接触,多くの生体活動を検知できるなどの利点を持つ.本研究では,睡眠音を用いた,「入眠時に寝返りが多いため評価が悪い」などの根拠を提示可能な機械学習による睡眠評価モデルの構築を目指す.本研究ではまず,睡眠音イベントを一晩の睡眠音から抽出した.次に,VAEを用いて睡眠音イベントの潜在表現を抽出し,GMMでクラスタリングを行った.そして,得られた各クラスタへの所属確率を入力データとして睡眠の主観評価を推定するLSTMを学習させ,睡眠評価モデルを得た.最後に,時系列予測モデルの解釈を行う手法であるTimeSHAPを睡眠評価モデルに適用し,睡眠評価における各クラスタの重要度を調べた.実験の結果,ある被験者について94.8%という高精度で一晩の睡眠良否判別を行えることがわかった.またSHAPを時間方向に拡張したTimeSHAPによって,個人によって睡眠の良否判別に影響を与える音イベントの種類や時間帯に差があることがわかった.
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南部 優太, 幸島 匡宏, 岩田 具治, 片岡 春乃, 望月 理香, 山本 隆二
セッションID: 1B5-GS-2-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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近年,ウェアラブルセンサの普及により日常生活の生体信号が取得可能となり,これらのデータは感情認識モデルの学習に活用されている.しかし,感情カテゴリの多様化・細分化に伴いラベルを網羅的に収集することは難しくなってきており,対応するラベル付きインスタンスが事前に得られない場合がある.このように,訓練データセットに含まれていない新しい感情に直面した場合,従来手法では効果的な感情認識ができない.そこで我々は,推定したい個人の感情ラベル付きデータが得られなくても,日常生活で得られる複数人の行動データを用いたメタ学習を導入することで,各個人に特化した感情認識モデルの学習手法を提案する.動画視聴時の複数人の心電位を収集して提案手法を適用した結果,提案手法は従来の教師あり学習やゼロショット学習を上回ることを確認した.
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滝 健太郎, 郭 傲, 馬 建華
セッションID: 1B5-GS-2-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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眠気の検知は交通安全の確保に不可欠であり,高い信頼性を得るために詳細なレベルでの検知が求められる.近年,ウェアラブルデバイスの普及により,多様な生理信号の取得が可能となり,眠気検知の研究に活用されている.前回の研究ではECGを用いた眠気状態の多レベル分類を行ったが,複数の信号を組み合わせたマルチモーダルでの分類が課題として残った.一部の先行研究では二つの生理信号を組み合わせた手法が提案されているが,信号と深層学習モデルの最適な組み合わせは明確ではない.さらに,マルチモーダルなアプローチの多レベル分類に対する有効性の検証も十分ではない.本研究では,DROZYデータセットから複数の生理信号を組み合わせて,眠気状態の分類を行った.初めに,各生理信号に対してCNNとLSTMを用いてモデルを構築し最適なパラメータを設定することで,各信号に適した学習モデルを特定した.次にCNNとLSTMを用いてマルチモーダルモデルを構築し分類を行った.結果として,複数の生理信号を組み合わせたマルチモーダルなアプローチは,多レベル分類においてシングルモーダルでの分類より高い精度を達成した.
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養殖魚の体重推定
小林 純也, 椿 真史, 麻生 英樹, 峯下 由衣, 永野 一郎
セッションID: 1B5-GS-2-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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養殖生簀内で泳ぐ魚の体重を正確に把握することは,無駄のない給餌量の算出や出荷時期の決定など,養殖事業の適切な管理につながる.体重把握の方法としては,魚体にダメージやストレスを与えないよう非接触型が望ましい.最近では,水中カメラによって計測された体型データなどを使って体重推定する方法が実用化されているが,その推定精度には改善の余地がある.本研究では,日本の重要な養殖対象種であるブリを例として,育成初期から出荷までのすべての育成期間を網羅した体型と体重の実測データを収集し,これをもとに複数の体重推定モデルを構築して性能を比較した.その結果,一般的なカメラ計測の対象である体型データのみを使った場合でも,モデル構造を工夫することで,養殖現場で求められる水準の体重推定を実現できることが示された.また,新たな特徴量として体幅を加えることが出来た場合,更なる精度向上が期待できることも明らかになった.
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深町 航太, 三浦 乙利, 小林 尚生, 田中 謙司, 牟田 篤兄, 三井 康行, 小池 和弘, 西岡 聖太
セッションID: 1B5-GS-2-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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EC市場は拡大を続けている一方で、燃料費の高騰やドライバー不足への対応を背景とした運賃改定により配送コストは増加している。梱包箱の三辺の長さの合計により配送費は決定していることが多いため、より三辺の長さの合計が短い梱包箱により商品の梱包を行うことが配送費削減のためには重要となる。商品の梱包については、3D-BinPacking問題として扱われ多くの研究が行われている。NP困難であるため厳密解を求めることは難しくヒューリスティックな解法が多く提案されているが、実運用で考慮が必要な制約条件の中には十分に考慮されていないものがある。本研究では、それらの条件のうち、同種商品の隣接配置及び商品間の重量関係に関する条件を定式化し、複数の梱包箱から与えられた商品群を梱包可能な最小の梱包箱を選択するアルゴリズムを提案した。EC物流拠点の注文実績に適用したところ、約45%の注文において実績よりも小さい梱包箱を選択することができ、配送費を3.5%削減することができる結果が得られた。提案手法により実際の梱包ルールを踏まえた上で配送費の削減につながる梱包箱選択が可能であることが示唆される。
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上杉 真太郎, 大町 奈央子, 浅田 勝義, 磯田 祐世, 岩瀬 銀二, 山本 佑樹, 本村 陽一
セッションID: 1C5-GS-11-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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製造業における生産性・品質向上のためのデータ活用において, 操業データに対する統計的解析は主たる活用法の1つであった. 統計学を用いることでデータの数値上の性質や規則性/不規則性を見出すことができる一方で, データ間の関係を推し量るにはそのデータに関する専門知識や経験(ドメイン知識)が必要不可欠となってくる. 製造業においてこのようなドメイン知識は属人化する傾向があり, 技術の維持, 引き継ぎが課題となっている. そこで本研究ではドメイン知識の定量化や行動決定のプロセスから現象理解や新たな気づきが得られ, 持続的な組織成長につながるシステムの提案を目的とし, データ間の因果関係を確率的に判断できるベイジアンネットワークに着目した. ベイジアンネットワークはこれまで, 気象予測やマーケティング分野で活用されて来たが, ベイジアンネットワークのグラフ構造をデータと人のドメイン知識を組み合わせて構築することによって要因分析に活用することもできる. 株式会社UACJでは, 製品品質の1つである表面性状の異常発生時の対処を, ベイジアンネットワークを用いた解析ツールによりアシストし, 誰でも容易に実行できるシステムを構想する.
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細井 裕可, 櫻井 瑛一
セッションID: 1C5-GS-11-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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今日,経済的な利益の追求よりも自分自身のwell-being を向上させることを重要視する人が増えている.そのため,一人一人のwell-beingを向上させる施策をとる必要が出ている.この向上を効率的に実現するためには,施策とwell-beingへの影響の関係性と,個人がどのような施策を好むのかの関係性を明らかにすることが重要である.本稿では,アンケートデータを使用し,その人の活力が将来的に減少することを予測するモデルを作ることで,どのような人にどのような施策が必要となるかを分析した.その結果ベイジアンネットワークを利用したモデルによって,外出頻度の減少や歩行速度の低下などが,活力の減少に影響していることが分かった.
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廣瀬 雄大, 小野 智司
セッションID: 1C5-GS-11-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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深層ニューラルネットワーク(DNN)は幅広い分野で活用されており,実問題への応用が進んでいる.また,近年では,人の意思決定にかかわる業務をDNNに代替させる取り組みが増えてきている.しかし,このような場面では,出力結果への公平性や倫理面での妥当性,モデルの不透明性などが生じることが問題となっている.これらを軽減するために,DNNの推論根拠を説明する説明可能AIの研究が活発に行われている.一方,DNNに基づくモデルには,入力データに人間には知覚できないような特殊な摂動を加えることで誤った判断を引き起こす敵対的事例(AEs)と呼ばれる脆弱性が存在することが明らかにされている.このような脆弱性は画像分類における説明手法である画像解釈器においても存在することが確認されており,AIの信頼性という観点から,画像解釈器の脆弱性の調査が不可欠である.本研究では,攻撃対象モデルの内部構造が未知であるブラックボックス条件下において進化計算と周波数解析手法の一つである離散ウェーブレット変換を用いた摂動付与方式を提案する.これにより,従来手法と比較して探索効率を改善できることを確認した.
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ベイズ推定による社会通念と個人的観念に照らし合わせた受容の分析
森下 壮一郎, 高野 雅典, 武田 英明
セッションID: 1C5-GS-11-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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人々の生活の多くがデジタルプラットフォームの上でも営まれるようになり,種々の事業においてパーソナルデータの利活用が盛んに行われている.それぞれの事業に関するデータ利活用の受容性についての利用者の考えを知ることは,社会的に受容される態様でのデータの利活用の指針となるはずである.この考えの下で筆者らは既に,個人データの利用主体と利用目的に応じた社会的受容性についてWebアンケートで調査している.その結果,多くの事業において,社会通念に照らし合わせた場合の受容としての実施の可否と,個人的観念に照らし合わせた場合の受容としての利用の意図には正の相関があったが,実施は受容できないものの利用の意図はあるという場合もあることが見出された.本稿ではこの結果を踏まえて,メディアサービスの個人化推薦システムにおけるパーソナルデータ活用に関するWebアンケートを行い,ベイズ推定を用いて実施の可否と利用の意図の関係について分析する.
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企業理念と社員価値観の共有・理解を促進する機能
大町 奈央子, 浅田 勝義, 磯田 祐世, 岩瀬 銀二, 上杉 真太郎, 山本 佑樹, 本村 陽一
セッションID: 1C5-GS-11-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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近年の労働力人口の減少や急激な技術革新という背景下、企業存続にとってイノベーションは不可欠になっている。行動経済成長期における日本製造業の成功を支えた社員の同質性はイノベーションを起こすには不十分であり、多様な人材を採用し、その活躍を促進する「ダイバーシティ・インクルージョン」という考え方を経営戦略に取り入れ、実行することが重要視されている。多様な社員の価値観の差異が対立やトレードオフの原因となる一方、これを認めつつ解決策を模索することは、社員と組織の成長に寄与し、社員個々の価値観が満たされることは、社員のウェルビーイングやエンゲージメントに強い影響を与える。持続的な価値創出を目指す企業組織において、社員が企業理念だけでなく、自己・他者・組織の価値観を共有し、差異を理解することは必要不可欠な一要素であると考える。本論文では、抽象的な価値観を共有可能な形に構造化・可視化することで、自己認識を促進し、価値観の違いを認識・理解することを支援する機能を備えた価値観共有プラットフォームの設計と開発に焦点を当て、その効果について報告する。
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前島 崇宏, 平間 毅
セッションID: 1D3-GS-7-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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セグメンテーションを用いて異物検査を行うためには、正常品に異物が混入した画像の収集やアノテーションに労力を要するという問題がある。一方、正常品のみが写った画像や異物のみが写った画像の収集やアノテーションは容易である。そこで本研究では大量の異物混入画像で学習する代わりに、少量の異物混入画像に正常品のみが写った画像と異物のみが写った画像を加えて学習する手法を提案する。提案手法を用いて学習した結果、アノテーションコストを軽減しつつ検査精度を向上させることができた。
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葛木 美紀, 田中 謙司
セッションID: 1D3-GS-7-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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Eコマース市場の成長と技術の進化により、消費者の詳細な購買行動分析や好みの理解は重要な課題となっており、特に、製品画像の視覚的な魅力が消費者エンゲージメントにおいて重要な役割を果たしている。 この研究では、ECサイトにおけるアート画像のスタイルやニュアンスを捉えるためにマルチモーダル Embeddings を利用し、画像のスタイル分析を行った。具体的には、COCA (Contrastive Captioners are Image-Text Foundation Models) を採用することで、製品画像の複雑なパターンやスタイル要素を反映するマルチモーダル Embeddings を抽出し、クラスタリングにより画像を個別のスタイル グループに分類した。分析の結果、マルチモーダル Embeddings が画像スタイルの微妙な変化を効果的に検出する能力を持っていることが明らかになた。また、このような生成 AI の活用により、消費者が好む画像の特徴についての理解が向上する可能性が示唆された。
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松田 一起, 和田 唯我, 杉浦 孔明
セッションID: 1D3-GS-7-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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画像キャプション生成タスクでは,生成文の品質が適切に評価されることが重要である.本分野における課題の一つとしてハルシネーションへの対処が挙げられる.ハルシネーションとは画像キャプション生成モデルが画像内に存在しない単語を出力する現象のことを指し,画像キャプション生成においては度々発生することが知られている.本分野における既存の自動評価尺度は複数の参照文を十分効果的に活用していないという問題があり,ハルシネーションに頑健でない. そこで,本研究ではハルシネーションに頑健な画像キャプション生成の自動評価尺度DENEBを提案する.DENEBでは,Sim-Vec Transformerの導入によって複数の参照文を適切に扱うことで,ハルシネーションに頑健な自動評価尺度を実現している. さらに,DENEBを学習するため,805人の被験者から3.3万サンプルの人間による評価を収集した最大規模のデータセットPolaris2.0を構築した.実験の結果,Composite, Flickr8K-CF, FOIL, PASCAl-50S, Polaris2.0において,既存手法を上回る性能を得た.
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齊藤 新, 松崎 拓也
セッションID: 1D3-GS-7-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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本研究では初等教育における音読指導をサポートすることを目的として,音声データに含まれる読み誤りを音声認識結果と誤読候補リストを用いて検出する手法を開発した.まず,音素列の形式で音声認識を行い,形態素単位で正解テキストと比較し読み間違いを検出する.その際,音声認識の誤りと実際の誤読を区別するために,読み得る誤読の候補を作成し,正解の読み及び誤読候補の中で音声認識結果との編集距離が最も小さくなるものを選択する.選択した読みが正解と異なる場合,読み誤りとして検出した.本手法を LaboroTVspeech 及び日本語話し言葉コーパスに対し適用した.また,合成音声により読み誤りを含む音声を生成し,読み誤り検出を行った.その結果,正しく読み上げていた場合でも読み誤りとして検出されるケースが多く見られたものの,誤読として想定している通りに読み上げていた場合 80.0% の音声に対し正しく読み誤りを検出することに成功し,本論文の有効性を実証した.
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平野 愼之助, 飯田 紡, 杉浦 孔明
セッションID: 1D3-GS-7-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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深層学習が幅広い分野に応用されている現代において,深層学習モデルの説明性は重要である.しかし,既存手法は視覚言語基盤モデルに最適化されておらず,視覚言語基盤モデルに対する説明品質が低い. そこで,本研究では視覚言語基盤モデルに対する説明生成モデルであるAlternative Adapter Modelを提案する. 提案手法は視覚言語基盤モデルに接続するSide Branch Networkおよび,モジュールの出力およびfreezeする層を動的に変更するAlternative Epoch Architectureを導入する. 提案手法を評価するため、CUBデータセットを用いて実験を行った. 実験の結果,提案手法は視覚的説明生成タスクにおける標準的な評価尺度であるmean IoU,Insertion Score,Deletion ScoreおよびID Scoreにおいて既存手法を上回り,適切な視覚的説明の生成に成功することを示した.
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久保 陽, 佐野 健太郎, 小谷 正直
セッションID: 1D4-GS-10-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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家庭環境における省エネを促進する行動変容支援技術の実現に向けて、本研究では、個人と集団の行動傾向を抽出することを目的とした行動ベクトル化技術と、行動間の関係性を分析する行動ネットワーク分析技術を検討した。具体的には、単身世帯の被験者の生活空間に設置したセンサを用いて、時間帯と行動内容をテキスト化した。そして、得られたテキストデータにWord2Vecを適用し、生活空間での各行動を表す単語のベクトル表現を学習した。単語ベクトル間の類似度の算出と、単語ベクトルのクラスタリングを行った結果、各世帯の行動傾向を可視化することが可能となり、個人の特性に応じた行動変容支援を検討できる見込みが得られた。また、4人世帯から得た行動のテキストデータにWord2Vecを適用し、行動間の関係性を記述するネットワークを作成した。この行動ネットワークに対する分析により、集団の中心的行動やメンバー間の相互作用、さらにはメンバー間の行動パターンの類似度を抽出することが可能となった。以上の結果から、省エネを促進する行動変容支援において、個人や集団の行動傾向の把握により、効果的な介入が期待できることが明らかとなった。
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湯浅 仁貴, 内田 英明, 山口 容平, 下田 吉之
セッションID: 1D4-GS-10-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
会議録・要旨集
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近年,脱炭素社会の実現に向けて,住宅のエネルギー利用を管理・最適化する住宅のエネルギー管理システム(HEMS)の導入が進んでいる.HEMSは分岐回路単位での電力消費量の時系列データを計測しており,住宅内の機器制御による省エネルギー効果が期待されるが,効果的なデータ活用法が確立されているとはいえない.そこで本研究では,家庭ごとの暮らし方を考慮した機器制御に向けて,HEMSデータから居住者の生活パターンを抽出することを目的とする.具体的には,GMMによる部屋・機器の稼働状態の抽出とHMMによる状態遷移の推定を行い,その結果から居住者の生活パターンとそれに伴うエネルギー消費の特徴を明らかにした.また,居住者へのアンケート調査によって本手法の検証を行った.HEMSデータのみから居住者の生活パターンを抽出することで,家庭ごとの暮らし方を考慮した機器制御をHEMSで実施することを可能とし,今後の家庭部門の省エネ対策に有用である.
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筒井 奎剛, TRAN-NGOC Phuoc, 佐藤 裕崇, 松原 崇
セッションID: 1D4-GS-10-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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複雑系とは複数の様々な単純な要素の相互作用の集合が全体としてなんらかの性質を示す系である.気象や経済のダイナミクス,昆虫や鳥の群れの動き,インターネットのネットワーク構造など,周囲の様々なものが複雑系とみなせる.このような複雑系をモデル化することで,現実の現象を理解したり,高精度にシミュレーションすることが可能になる.複雑系全体を直接モデル化することは困難であるが,一方で個々の要素をモデル化しても,全体の振る舞いを再現できない.そこで,本研究では複雑系を単純な要素に分解し,それぞれの特性に応じた工夫を施すことでモデル化する.実験ではマダガスカルゴキブリの集団の行動ダイナミクスのモデル化を行った.そのために現象の不変性に応じた2つの工夫を提案し,より高い精度で昆虫集団の行動を予測できた.
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動的特徴のWasserstein距離に基づくシュートスタイルとオフェンス役割の類型を用いた機械学習アプローチ
山田 和宏, 藤井 慶輔
セッションID: 1D4-GS-10-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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バスケットボールの試合では、5対5で勝負を争う。特にオフェンスにおいては、異なるプレイスタイルを持つ選手達が相互に連携し、効率良く得点を重ねることが重要である。先行研究では、スタッツと呼ばれる各選手の統計量に基づきクラスタリングした結果を用いて選手の相性が検討されたが、具体性に欠けていた。本研究は、オフェンスのみに焦点を当て、選手の組合せが得点効率に与える影響をより具体的に検討することを目的とする。本研究では、オフェンスにおける選手のプレイスタイルを捉えるために、異なる2つの手法を用いる。1つは、トラッキングデータから作成したシュート時とその直前の位置や移動距離などのシュートの特徴量を使用して、各選手のシュートの集合を確率分布と見なし分布間距離であるWasserstein距離に基づいて選手のシュートの傾向を類型化する、新たに提案する手法である。もう1つは、既存手法に改良を加えた、オフェンスにおける役割を類型化する手法である。以上2つの類型に基づくラインナップの情報から得点効率を表すスタッツを予測する機械学習モデルを作成してそれを解釈することにより、選手の相性に関する新たな知見を得た。
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YI Shengzhou, YAMASAKI Toshiaki, YAMASAKI Toshihiko
セッションID: 1D4-GS-10-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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堀本 大翔, 基村 竜晟, 田中 貴紘, 岡田 将吾
セッションID: 1D5-GS-10-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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自動車は社会に重要な役割を果たしている一方で高齢ドライバーの交通事故は深刻な問題となっており,この問題に対処するために運転支援システムの開発が行われている.次の目標である異なる特性を持つドライバーに適した運転支援を提供するシステムを実現するためはドライバーの特性を正確に推定することが重要である.Controller Area Network(CAN)からの車載センサデータを利用する先行研究が存在するが,データ収集の際にデータロガーなど追加の装置が必要である.本論文では容易にアクセスできるGlobal Positioning System (GPS)のデータを用いた心理的な運転スタイルの推定モデルを提案する.実験の結果,F1-macroでは7項目で,AUCではすべての項目でランダムな推定スコアである0.5を超えて運転スタイルチェックシート(DSQ)を推定できることが示された.また,提案モデルとCANデータを用いたモデルの推定スコアを比較したとき,GPSデータはDSQ推定に有効であることが示唆された.提案モデルは個人適合した運転支援システムを開発に貢献する.
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中村 龍馬, 松平 正樹, 奥谷 大介
セッションID: 1D5-GS-10-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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我々は交通渋滞緩和や交通事故削減に貢献するべく、プローブデータを用いた交通流の異常を検知する方式を研究している。これにより、従来の人での監視に代わるような迅速かつ自動での交通異常の把握を実現することが期待できる。本稿では、プローブデータを用いて異常を検知する手法を提案し、提案手法の効果を実際のプローブデータに適用した評価結果をまとめる。提案手法は大きく3つの判定処理で異常の検知を行う。最初に渋滞の発生をプローブデータの速度から判定する。次にその箇所で急ブレーキ・急ハンドルを行った車両が急増しているか判定を行う。最後にすでに発生している渋滞が交通集中によるものかを過去の統計から判定し、交通集中渋滞ではないと判定した場合、異常を発報する方式である。実データでの評価結果として、我々の方式により高い適合率での検知が可能であること、ほとんどの交通異常において人力での監視と同等なタイミングで異常を検知できることが確認できた。
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三村 崚太, 下村 晃太, 石川 敦也, 伊藤 修, 大森 一祥, 下垣内 隆太, 若林 怜帆人, 井上 顧基
セッションID: 1D5-GS-10-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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運転支援システムや自動運転技術における交通リスクの考慮は、交通事故防止において重要である。交通リスクは画像情報に多く含まれていると考えられる。しかし、画像情報のみから走行シーンに含まれる交通リスクを説明することは困難であり、この分野の研究はまだ十分に進展していない。本研究では、GISデータと街路画像を入力とした、交通リスクを説明可能なマルチモーダルフレームワークを提案する。このフレームワークは、GISデータに基に作成された交通事故リスクマップから高リスク地域の座標を特定し、その地域に関連する街路画像を用いて、マルチモーダルネットワークを学習する。これにより、任意のシーンにおける交通リスクを効果的に説明するフレームワークを構築する。実験結果から、提案されたフレームワークは、GISデータに基づく高リスク地域に対して、交通リスクを考慮したキャプションを生成できることが示された。
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石川 敦也, 井上 顧基, 下村 晃太, 大森 一祥, 下垣内 隆太, 若林 怜帆人, 三村 崚太, 伊藤 修
セッションID: 1D5-GS-10-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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運転支援システムや自動運転技術の普及に従い、交通事故の低減に一定の効果が示されているが、更なる事故低減のためには交通事故リスクを解釈しメカニズムを分析することが重要である。運転シーンを説明可能なマルチモーダルネットワークの研究では、メタデータを用いて認識可能な物体を考慮したキャプションの生成手法が試みられてきた。このような手法では、人間などの動的な物体に焦点を当ててキャプションが生成されることが一般的である。しかし、運転シーンに含まれる交通事故リスクを解釈するためには、道路標識・道路構造などに起因する静的なリスクもキャプション生成の際に考慮されるべきである。既存の大規模マルチモーダルネットワークでは、この種の道路環境のリスクに対応するキャプション生成が困難である。この課題に対処するため、プロンプトエンジニアリングを活用し、動的物体と静的な潜在的リスクを包含するキャプション生成手法を提案する。提案手法の有効性を実証するために、異なるアプローチで生成されたキャプションとの定量的比較分析を実施する。さらに、生成されたキャプションを用いてBLIPモデルの学習を行い、その性能を検証する。
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山本 拓実, 清 雄一, 田原 康之, 大須賀 昭彦
セッションID: 1E5-GS-5-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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近年, 強化学習では, ゲームの攻略以外の分野が注目されるようになった. 例えば, 人と協力するゲームAIの研究では, 主にマルチプレイヤゲームが対象にされている. しかし, 1体のキャラクタを人とAIで操作する協力タスクは広く扱われていない. 本研究では, 格闘ゲームのキャラクタを人と AIで協力して操作するタスクを扱う. 我々はこれまでに, 格闘ゲームで人をサポートする AI (サポートAI)を提案した. しかし, サポートAI 学習時のプレイヤを1体のランダムプレイヤのみとしたため, 初めて協力する人とうまく協力ができなかったという課題があった. そこで, 本研究では, サポートAIの学習時に異なる3 タイプのプレイヤによるPolicy Ensembleを使用した. これらのプレイヤは, ランダムプレイヤではなく,各々異なる報酬で学習した, 攻撃, バランス, 防御タイプのAIである. 実験では, サポートAI を被験者に使用してもらい, 主観評価やゲームスコアを測定した. 結果として提案手法のAIとの協力時の楽しさや助けてもらった度合についての評価は大きく変わらなかったが,非邪魔度合の評価は上がり,ゲームスコアは,最大値の7.7%上昇した.
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中里 梨瑚, 藤田 桂英
セッションID: 1E5-GS-5-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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サプライチェーン(SC)の構造変化に伴い,サプライチェーンマネジメント(SCM)が再注目されている.SCMの一種である発注管理では,適切な発注を行うことで過剰在庫や欠品を抑え,SC全体の長期的な在庫コストを最適化することが目的である.この分野において,SCを環境,SCに属する企業をエージェントと見做し,深層強化学習を用いた研究が盛んに行われている.既存研究では,各エージェントの持つ情報が全体で共有されることを前提としたものが多い.しかし実際は,他社に対して自社の情報を包み隠さず明け渡すことは難しく,部分的な情報をもとにやり取りを行わざるを得ない.以上の背景より,各エージェントの情報共有範囲を適切に設定した学習モデルが必要となる.そこで本研究では,線形な多段階 SC に焦点を絞り,エージェント間で共有する情報の範囲に制限を設けた上で,最大限在庫コストが削減される発注方針を決定する深層強化学習モデルを提案した.また,在庫コストの比較実験を行い,提案手法は既存手法と同程度の学習が可能であることを示した.
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磯部 良隆, 森山 甲一, 武藤 敦子, 島 孔介, 松井 藤五郎, 犬塚 信博
セッションID: 1E5-GS-5-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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複数のエージェントが存在するマルチエージェント環境においては、エージェント同士が干渉し合い、全エージェントの報酬を同時に最大化することが不可能なことが多い。そのため、報酬の最大化を追求する強化学習による協調行動の学習は困難である。一方、学習と意思決定を行う際に複数の情報を参照する内発的動機付け強化学習(IMRL)フレームワークの下で、Sequeiraらは、遺伝的プログラミング(GP)により、シングルエージェント環境における意思決定に有用な評価関数を特定した。本研究では、この手法をマルチエージェント環境に適用する。複数のエージェントが獲物を捕獲する追跡問題において、それぞれ独立に学習するエージェントが獲物を捕獲するための協調行動を学習するために有用な評価関数を、GPにより特定できるかを検証する。
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藤井 慶輔, 筒井 和詩, スコット アトム, 中原 啓, 武石 直也, 河原 吉伸
セッションID: 1E5-GS-5-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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実世界の生物学的マルチエージェントを強化学習でモデル化する場合、ソースとなる実世界のデータとターゲットとなる強化学習環境の間にドメインギャップがあるため、ターゲットダイナミクスを未知のソースダイナミクスに適応させることが必要である。そこで本研究では、実世界のdemonstrationから、マルチエージェント強化学習におけるドメイン適応のための方法として、ソースの行動をターゲットの行動に適応させた情報を教師として用いる強化学習手法を提案する。2対1の追跡-逃避や、サッカーの2対2および4対8などの限定的な状況において、ベースラインと比べてデータを模倣し、かつ報酬を獲得できるエージェントを学習したことを示した。
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神野 智樹, 石金 大空, 井上 直紀, 若林 啓
セッションID: 1E5-GS-5-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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観察学習とは,他者の行動を観察することで新たな方策を獲得する学習方法である.観察学習が創発するメカニズムや条件は,生物学的アプローチにより研究されてきたが,近年では計算モデルを用いた研究手法に注目が集まっている.しかし,計算モデルを用いた先行研究は,限定的な種類の観察学習を対象にした実験に留まっている.本研究では,より複雑な観察学習が創発する条件について,環境や報酬値などの外的条件と,強化学習エージェントの学習アルゴリズムに関する内的条件の二つの観点から検証した.実験の結果,既存の強化学習アルゴリズムではタスクをほぼ達成できない,高難度の条件下においては,本研究で提案するPT-SEAC,PT-SEACとRNDを組み合わせた手法でのみタスクを達成することができた.この結果から,複雑な観察学習には,観察対象の行動を自身の経験として共有するための認知機能が重要な役割を果たす可能性が示唆された.
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吉永 悠真, 真鍋 晋一郎, 鳥井 修
セッションID: 1F3-GS-1-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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近年、製造技術の分野において、製品を観測して得られるデータを分析し、その特徴を決定する要因を推論する動きが盛んである。実際の分析では、要因候補数が多数、かつ特徴を観測可能なデータ数が少数であるため、要因推論が困難である場合が多い。多くの要因候補の中で実際に特徴を決定する要因は少数である、という仮定のもとで要因推定を行う技術がスパース推定手法であり、その中の一つであるLassoはこのような課題に対する有力な解決方法であると考えられている。本稿では、次の2条件を満たす対象を扱う。 (1)複数の異なる特徴が同一製品で観測される。 (2)観測される特徴が発生回数で表現され、それらがポアソン分布に従う。 製造分野では, 製品内の複数部品の各不良品数がこれらの条件に該当し, 共通の原因となった製造装置を一早く特定したいというニーズが存在する。これらの条件を満たす対象向けにLassoを拡張した既存研究は存在しない。そこで本稿では、この対象に合わせて、定式化および求解アルゴリズムを導出する。人工データによる実験で、既存手法は正解要因の一部のみを推定したのに対し、提案手法では正解要因が全て正確に推定された。
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北岡 旦, 江藤 力
セッションID: 1F3-GS-1-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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この論文は多目的最適化に対する逆最適化問題(IOP)を扱う.この問題は例えばシフトスケジューリングでどの観点を重要視しているかを見つける問題である.従来の手法だと,凸計画のIOPに対する効率的な解法は存在するが,混合整数線形計画(MILP)における逆問題には,2乗誤差,つまり,予測損失を0にする効率的な方法が存在しなかった.本論文では,MILPにおける予測損失を効果的に最小化するために,suboptimality損失の劣勾配が消滅すること予測誤差が消滅することが同値であることを示し,凸であるSuboptimality損失の最小化問題に帰着せせる.これにより,MILPにおいて,kを射影劣勾配法の更新回数としたとき,あるγ,ε>0が存在して,殆ど至る所の真の重みで,真の重みと学習の重みの誤差をO(exp(-γk1/2 +(1/ε2)log k ))で評価できることと有限回の更新で予測損失を消滅できることを示す.数値実験でもこれらを確認する.
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土屋 祐太, 濱本 真生
セッションID: 1F3-GS-1-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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労働人口の減少に伴う業務のデジタル化が求められる中、属人化されやすい制約条件や評価指標を明示的にモデリングできることから、数理最適化を用いた計画立案の自動化が発展している。ただし、様々な条件が複雑に影響し合うために、得られた計画の要素が現場の知識や直感と矛盾し、意志決定者が計画を信頼できない場合がある。そこで、直感に反する計画の要素成立への影響度を、シャープレイ値として制約や変数へ分解する説明手法がある。しかし、候補となる各要因が存在する場合としない場合の全ての組み合わせに対して最適化問題を解き直すため、膨大な計算時間が課題となっていた。そこで、シャープレイ値算出のための繰り返し計算を高速化する分枝限定法を提案する。具体的に、計算対象である要因候補の組み合わせよりも厳しい制約条件のもとで既に得られた最適解を再利用する。さらに、最適解自体を探索するのではなく、直感に反する条件内に最適解が存在するかどうかを探索する問題へと条件を緩和することで、計算の収束を早める。様々なパラメータ設定における人員配置問題の数値実験を通じて、提案手法により平均79.7%の計算時間が削減できることを確認した。
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森永 大貴, 秋本 洋平
セッションID: 1F3-GS-1-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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進化戦略(ES)は,目的関数値のみをクエリして最適化を行うブラックボックス最適化(BBO)において,最も有望なアルゴリズムの一つであり,その性能の良さは経験的に良く知られている. しかし,連続値BBOアルゴリズムの理論解析を行う数学的手法の開発は未だ十分ではなく,ESの収束速度が理論的に保証されている目的関数のクラスも,凸二次関数とその単調変換という,非常に限られたものに留まっていた. 本研究では,ESの一種である(1+1)-ESの,L-強凸かつU-リプシッツ平滑な目的関数と,その単調変換によって構成される目的関数での,収束速度の上界と下界を理論的に導出する. また,導出された上下界のオーダーが,探索空間の次元数dに反比例すること,および,上界が目的関数の凸性の程度を定義するL, Uの比U/Lに反比例することを示す. (1+1)-ESは目的関数の数学的性質を用いないにもかかわらず,本研究で導出された収束速度は,関数の性質を既知とするその他の勾配を用いない最適化法について得られている収束速度に匹敵する.
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竹村 彰浩, 井上 克巳
セッションID: 1F3-GS-1-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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本研究では、ニューラル・シンボリックAI (Neural-Symbolic AI; NeSy)において、データ駆動型アプローチと記号推論を融合させる手法を提案する。この手法では、ニューラルネットワークの出力と、論理プログラムを埋め込んだ行列を用いて、微分可能な形で含意ルールと制約を評価することで、直接的なラベルが与えられないdistant supervisionの設定において効率的に学習させることができる。様々なNeSyタスクにおいて実験を行い、提案手法の性能を既存手法と比較した。学習データ数を固定した場合、ほとんどのタスクにおいて比較手法と同等かそれ以上の精度を達成し、また、比較手法よりも高速に学習を完了させることができた。これらの結果から、NeSyにおける高精度かつ高速な学習を実行するアプローチとしての提案手法の有効性が示された。
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李 根, 西川 武一郎, 礒脇 洋介, 伊勢 一樹, 黒川 直樹, 吉田 孝史, 原田 康宏
セッションID: 1F4-GS-10-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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第一原理計算の結果を機械学習で予測できれば、いままで不可能であった物質の大規模・長時間のシミュレーションが可能となるため、材料科学の分野で注目されている。機械学習分子動力学計算では、学習済みのニューラルネット(NN)により原子に働く力を予測し、その力を用いて原子の運動をシミュレーションする。その際、NNモデルのテストデータに対する力の予測精度が高くても、シミュレーションが途中で破綻することがある。本研究では、有機分子を対象としたシミュレーションが破綻する際の経過を動径分布関数に基づいて分析した。この結果、多くの場合軽い原子が別の原子に異常に接近していること、さらに、軽い原子に対する加速度誤差が相対的に大きいことを確認できた。そこで、NNの学習において加速度誤差を小さくすることが重要だと仮定し、力の誤差の替りに加速度の誤差を最小化するように損失関数を改良した。この改良により、シミュレーションの破綻を回避、もしくは破綻までの時間を延ばす効果があることを確認できた。
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PHUA Yin Kan, 藤ヶ谷 剛彦, 加藤 幸一郎
セッションID: 1F4-GS-10-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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現代社会を支える基幹材料である機能性高分子は、実験を中心に盛んに研究されているが、人工知能(AI)や機械学習(ML)の導入による更なる効率化が期待されている。しかしながら、透明性・解釈性の低いMLモデルでは実験研究者からの信頼を得にくい。本研究では、機能性高分子材料の1つであるアニオン伝導膜の物性予測のための説明可能AI(XAI)を構築し、その透明性・解釈性を評価した。当研究の流れは①独自データベース(DB)の構築、②既存記述子を用いた高分子構造の数値化、③MLモデルの構築、④各説明変数のShapley(SHAP)値を算出し解析した。①本研究で対象としたアニオン伝導膜の構造・物性については公開DBが存在しないため、300弱の構造・物性データを論文から収集してDB化した。次に、②と③を実施した結果、テストデータに対してR2=0.7983の予測精度を持つモデルを得た。④では高分子構造記述子由来のAMID_Nが重要であることが示された。AMID_Nは高分子構造内の物性と密に相関する記述子であり、化学的な解釈・理解を後押しし、実験へのフィードバックが可能なXAIの構築に成功した。
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西村 皐, 宮尾 光, 大塚 啓
セッションID: 1F4-GS-10-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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素粒子物理学の分野では、素粒子現象の未解決問題を説明するために様々な理論的仮説が提案されている。それらを網羅的に検証するためには、適切なパラメータを用いて計算された理論的予言を実験データと比較しなければならない。しかしパラメータの探索空間が非常に広いことから、それぞれの模型を低コストで数値解析する試みには困難が伴う。これらの状況を踏まえた本研究ではクォーク・レプトンと呼ばれる物質粒子に着目し、それらのフレーバー構造を強化学習で探索する手法に改良を加える。具体例として、ある種の理論模型を環境としたDeep Q-Networkを構成し、クォーク・レプトンに付与する整数電荷の探索問題に対してニューラルネットワークを学習させた。その結果、クォーク・レプトンの実験値および繰り込み質量を再現するパラメータ解が確かに存在することが明らかになった。一方、宇宙観測から厳しい制限が与えられているドメインウォール問題を考慮すると、適切なパラメータ解が非常に希少となることが示唆された。こうした分析に役立つことから、強化学習は現実的な素粒子模型の検証にも応用可能であると期待される。
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石曽根 毅, 松永 康佑, 渕上 壮太郎, 中村 和幸
セッションID: 1F4-GS-10-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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機械学習技術の発展や計算機能力の向上に伴い,新たな蛋白質の構造が多く明らかにされてきている. 中でも,AlphaFold2は蛋白質の構造解明に飛躍的なブレイクスルーをもたらした. しかし,これまでに明らかにされている構造のほとんどは最安定構造に留まり,複数の安定状態を持つ蛋白質に対して課題が残る. また,蛋白質の3割は安定構造が存在しない天然変性タンパク質であると言われており,生体機能と関連した動的メカニズムの解明が不可欠である. 一般に,蛋白質の動的メカニズムは分子動力学で記述されるが,確率的計算であるために遷移可能な配位多様体を覆うには莫大な計算時間が必要である. 計算時間削減のため,ポテンシャルにバイアスを付加して探索を加速化する促進サンプリング(ES)という手法がある. 本研究では,ES のポテンシャルを計算するための表現学習手法を提案する. 提案法は,対照学習ベースの手法であり,先行研究に対して構造ダイナミクスを捉えるのに適した埋め込みを構成できたことを示す.
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柴原 琢磨, 山下 泰穂, 奥野 達矢, 平山 孝治
セッションID: 1F4-GS-10-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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創薬の領域で、医薬品の発見を目的として、Deep learningを活用した化合物の構造生成モデルに関する研究が進められている。構造生成モデルは、構造式を文字列として扱うものや、原子間の結合をグラフ構造として取り扱うもの、原子の位置や結合を3次元的な構造として取り扱うものなど多岐にわたる。いずれのモデルでも化合物に対する所望の特性を条件として構造を生成するが、近年のLarge Language Model (LLM)の大きな成功から、文字列ベースの手法においては、自然言語を用いた柔軟な指示の下で、化合物の生成や編集を実現できることが期待される。本研究では、LLMに事前追加学習を施すことで、LLMが構造生成モデルとして機能し、創薬での活用が期待できることを示す。実験では、LLaMA-2-7Bをベースモデルとして、低分子化合物を追加事前学習させることで、構造生成モデルを作成した。本研究の提案モデルが言語モデルとしての機能を保持しつつ、構造生成に特化したグラフベースのモデルであるJT-VAEに匹敵する性能を達成できることをMOSESベンチマークを用いた評価により示す。
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阿座上 知香, 浅井 洋樹
セッションID: 1F5-GS-10-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/11
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本研究では,因果探索を用いて特定の手続きを行った顧客群,特にWEBページでの契約手続きを行った顧客群の属性間の因果関係を探索するための新規な手法を提案する.この手法の目的は,属性間の因果探索過程での処理負荷を軽減しながらも,探索精度を維持することである.従来,顧客の属性数が増えると因果探索処理の負荷が増大し,同時に手続き単位での属性数の減少は探索精度の低下をもたらす問題があった.本研究ではこの課題を解決するため,WEBページで特定手続きを行った顧客群を抽出し,それらを動線に基づいて複数の層に層化する.そして,各層から顧客の属性情報を集め,相関性のある属性を抽出するプロセスを提案する.実験の結果,層ごとに因果探索を行うことで,一度に処理する顧客の属性数を削減し,処理負荷を軽減すると同時に,各属性間の因果関係を示すグラフを出力することができた.
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