人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
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  • 藤井 健太朗, 村田 真悟
    セッションID: 1E3-OS-39a-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    ロボットなどの知能エージェントの学習方法として,世界モデルを用いたモデルベース深層強化学習が注目されている.モデルベース深層強化学習エージェントの性能は環境のダイナミクスを表現する世界モデルの性能に強く依存する.その表現学習の方法として対照学習が挙げられ,観測と隠れ状態の相互情報量を最大化する問題として捉えることができる.しかし,相互情報量の厳密な計算は一般に困難であるため,多くの既存手法では計算可能な下界であるノイズ対照推定(NCE)が学習の目的関数として利用されてきた.一方で,NCEはバッチサイズや潜在状態次元に依存した上界を持つことが知られており,学習信号が飽和して最大化できる相互情報量に限界があった.そのため,より有効な相互情報量推定手法が求められている.本研究では,世界モデルの学習目的におけるNCE項を,フローマッチングに基づく相互情報量推定項で置換した対照学習手法を提案する.複数の画像ベースのシミュレーション環境における実験により,提案手法が従来のNCEに基づく対照学習と比較して,モデルベース強化学習におけるサンプル効率と最大エピソード報酬の向上に寄与することが示唆された.

  • 太田 衛, 藤井 健太朗, 村田 真悟
    セッションID: 1E3-OS-39a-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    ロボットなどの知能エージェントのタスク遂行において,行動による環境遷移を予測する世界モデルへの期待が高まっている.また,マルチモーダル情報の活用により,従来の視覚のみを利用するモデルに対し,性能が向上することが明らかにされてきた.しかし従来のマルチモーダル世界モデルは,観測情報の欠損による性能の低下や,長期文脈の把握が困難という課題がある.そこで本研究では,情報欠損に頑健かつ長期文脈を保持可能な世界モデルを提案する.本モデルは,情報欠損に頑健なMixture-of-Products-of-Experts (MoPoE) と,時間的階層性を持つMultiple Timescale Recurrent State-Space Model (MTRSSM) を統合する.観測のべき集合を考慮した上で,潜在状態を多階層の時間スケールに分離することで,観測情報の欠損時にも過去の文脈に基づいた推論が可能となる.視覚・触覚情報を用い,環境遷移の分岐や文脈依存の行動選択を含むロボットの物体操作タスクの学習を行った結果,提案手法は観測情報の欠損下でも,長期にわたる高い映像予測能力を有することが示された.

  • 村川 大規, 屋藤 翔麻, 坂井 俊介, 長谷川 達人, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 1E3-OS-39a-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    階層型世界モデルは情報の時間的圧縮により,長期的な依存関係の効率的な学習を可能にする.従来の世界モデルは微細な時間解像度で状態を逐次更新するため,長期予測における誤差の累積や,戦略的な計画立案の困難さが課題であった.本研究では,観測から意味的な境界を適応的に学習するVariational Temporal Abstraction(VTA)を汎用的な世界モデル手法であるDreamerV3に統合し,Atari100kベンチマークにおける性能向上への寄与を検証した.提案手法の解析として異なる時刻間の状態表現距離を評価した結果,本手法が環境の構造的変化を選択的に捕捉していることが明らかとなった.一方で,累積報酬はベースラインを上回るには至らなかった.これは,抽象状態と低次の方策間の時間スケールの不一致が要因と考えられる.本研究の結果は,適応的な時間抽象化が世界の階層的なダイナミクスを学習する上で有効である一方,多層的な時間スケール表現を活用するための階層型方策の確立が依然として不可欠であることを示唆している.

  • 飯山 燈, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 1E3-OS-39a-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    予測誤差(サプライズ)に基づいて時系列をチャンクへ分割する階層状態空間モデルは,データの内在的な時間構造を捉え,長期予測において優れた能力を発揮することが示唆されている. しかし,オープンループ生成時には実際の観測データが得られないため,サプライズ信号を計算できず,チャンクの境界を決定できないという本質的な課題を抱えている. 本研究では,モデル内部の不整合に基づいた生成時のチャンク決定方法を提案する. 具体的には,高レベルが予測したチャンク表現と,低レベルが展開した軌道との間の乖離を疑似サプライズ信号として利用し,それをチャンク境界のトリガとして用いることで,外部信号に依存することなく予測ロールアウト内での動的なチャンキングを行い,時間的抽象化を活用した予測を実現する.加えて,予測時のコンテキストに含まれる不完全なチャンクによって高レベル表現が劣化することを防ぐために,チャンクの一部から推論された事後分布を,チャンク全体から推論された事後分布に近づける正則化手法を導入する. 実験では,2Dおよび3D環境の動画予測において,提案手法が安定した長期予測性能を示し,その有効性が確認された.

  • 近藤 泰弘
    セッションID: 1E3-OS-39a-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    認知言語学の課題のひとつに,空間認知およびその記述方法がある.中でも,空間参照枠(frame of reference)はその中心課題であり,egocentric(自己中心)/allocentric(外界中心)の区別がなされてきた.本稿は,空間参照枠対立が,テキストおよび画像ベクトル空間でどのような構造として保持されているかを明らかにすることを目的とする. 具体的には,テキスト埋め込みから平均差ベクトルにより線形の参照枠軸の存在を示す.また,CLIPのテキスト・画像共有空間にも同一の性質があることを示し,さらには,DINOによる画像埋め込みベクトルにおいても,egocentric/allocentricの区別が線形特徴として潜在することを示す.これにより,空間認知の方法が,テキスト埋め込み,画像埋め込みのいずれにおいても,同一の数理的枠組みで記述できることを明らかにした.

  • 谷口 彰, 佐藤 孝昭, 長谷川 翔一
    セッションID: 1E3-OS-39a-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    物体インスタンス画像検索は,カテゴリレベルの識別を超えて,同一物体インスタンスを正確に識別する必要があるため,安定した表現学習が求められる.近年,SimSiamに代表される非対照学習に基づく自己教師あり学習手法が注目されているが,学習の不安定性や継続学習への適応性に関する課題が残されている.一方,脳の予測処理機構に着想を得た非対照学習モデルとしてPhiNetsが提案されている.PhiNetsはSimSiamの拡張であり,2つの予測器を備えることで学習初期段階での安定性を向上させた.本研究では,SimSiamに基づく物体インスタンス画像探索手法にPhiNetsを導入した手法を提案する.MIROおよびObjectPIデータセットを用いた実験で,SimSiamベースの手法との比較において,提案手法は学習初期段階における汎化性能と識別性能の向上が確認された.

  • 辰己 由空, 胡 天楽, 川島 能就
    セッションID: 1E4-OS-39b-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    世界モデルに基づく強化学習は,想像ロールアウトにより高いサンプル効率を実現する一方,不確実性が高い局面で内発的報酬に基づく探索が過度に強まり,学習が不安定化する(Noisy-TV 問題)ことがある.本研究では,内発的報酬を探索促進だけでなく,活用を安定化・促進するための制御信号として再解釈する.具体的には,モデル不確実性に基づく内発的信号により,想像ロールアウトから得られる経験の選択・再利用・優先度付けを制御し,報酬獲得に資する更新を増やすことを目指す.DreamerV3 を基盤に,(i) 報酬トレンド(短期・長期 EMA)と不確実性から探索/活用リプレイの混合比を動的に調整する TrendMix,(ii) 報酬推移に応じて行動分布の拡散度を切り替える EMA-Based Policy Shifting を提案する.Atari-100K の一部タスクで,学習初期の報酬獲得促進と過度な探索による不安定性の緩和を示唆する挙動が観察された.以上より,世界モデルにおいて内発的信号は探索だけでなく,活用指向の学習制御にも有効である可能性が示された

  • 推論プロファイル θ による世界モデル同定不能性の定式化
    髙橋 徹
    セッションID: 1E4-OS-39b-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    同一の資料・観測を共有しながら結論が分岐し、対話が「相手の欠陥」評価へと移行する現象は、単なる知識不足や悪意ではなく、推論運用と学習過程に内在する同定不能性(non-identifiability)として記述できる。本稿はこの現象を (i) 推論運用の差による θ レベル同定不能性 と、(ii) 長期学習の差による W レベル同定不能性 の二段として整理する。まず推論プロファイル θ=(R,E,S,D) を参照・探索・安定化・地平の四要素として導入し、同一観測 o と同一世界モデルWの下でも出力が分岐し得ることを示す。次に、θ の反復が入力分布と更新則を偏らせることで、学習後の世界モデルW自体が分岐し得ることを論じる。さらに、世界モデル学習が置かれる一般的制約(計算制約・観測制約・協調制約)から、分岐が少数の基底(抽象/具象、外界化可能性、秩序/自由)へ射影されやすいことを原理的に説明する。深層表現学習における表現階層・潜在状態推定・正則化と探索のトレードオフを対応づけ、最後にAI規制議論を題材として二段同定不能性の分析例を与える。

  • 董 哲豪, 藤井 健太朗, 村田 真悟
    セッションID: 1E4-OS-39b-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    実ロボット制御においては,観測に遮蔽やノイズが含まれる場合でも安定した行動生成が重要である.安定性向上のために,環境のダイナミクスを捉える世界モデルや,視覚・触覚などのマルチモーダル観測を利用することが有効である.しかし,既存のマルチモーダル世界モデルでは,劣化したモダリティが存在する場合でも全モダリティを同等に扱うため,潜在状態が劣化し,将来の観測予測や下流の方策モデルに悪影響を与えるという課題がある.本研究では,Mixture of Products of Experts(MoPoE)に基づくマルチモーダル世界モデルに対し,観測再構成誤差から推定した信頼度に応じてモダリティ統合を動的に行う手法を提案する.遮蔽やノイズなどの異常観測を付与した視覚・触覚情報を含む,双腕ロボットの物体操作に関するマルチモーダルデータを用いて,観測予測性能および潜在状態を入力とする方策モデルが生成する行動の安定性を評価した.実験の結果,既存手法と比較して,提案手法は劣化モダリティの影響を抑制し,観測予測性能および方策モデルにおける行動安定性の向上が示された.

  • 高井 大輔, 髙橋 諒, 石田 涼太, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 1E4-OS-39b-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    物理タスクの汎用解決において、状態行動系列から学習した世界モデルに基づく計画は有力である。入力空間ではなく表現空間で計画を最適化するJoint-Embedding Predictive World Modelが提案され、抽象化で計画効率を高めうる設計要素が体系化されてきた。本研究は、生成を伴わない設計思想を保持したまま、言語指示に基づく言語条件付き潜在計画の枠組みを提示し、有効性を検証する。事前学習済みの画像エンコーダ、潜在ダイナミクス、テキストエンコーダを凍結し、開始画像I0と指示文Tから到達状態を表す目標潜在z_goalを推定する小規模GoalHeadのみ学習する。計画は潜在空間でモデル予測制御を行い、Cross-Entropy Methodにより行動系列をサンプリング最適化して予測潜在をz_goalに近づける。MetaWorldのタスク集合において、ゴール画像からz_goalを与える標準設定をベースラインに、言語条件での目標潜在の推定誤差(L2距離およびコサイン距離)、成功率および到達ステップの劣化を定量化し、目標画像に依存しない表現空間計画の成立範囲と限界を明らかにする。

  • 黒田 彗莉, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 1E4-OS-39b-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    強化学習やロボット制御において,行動をどのように表現するかは重要な課題である.多くの世界モデルは観測の予測に焦点を当てており,行動は状態遷移の入力として扱われることが多い.そのため,行動自体の意味構造は十分に整理されていない.本研究では,観測系列のみから潜在的な行動表現を学習し.それを運動意味にもとづく抽象的な行動単位として構造化する枠組みを提案する.観測間の変化を逆ダイナミクスモデルにより潜在行動表現として推定し,運動カテゴリにもとづく対比学習を導入することで,異なるエージェント間でも同一行動が近接する潜在空間を形成する.さらに,各行動カテゴリの中心表現を抽出し,離散的な行動単位として扱う.DeepMind Control Suiteを用いた実験の結果,得られた潜在行動表現はエージェント間で再利用可能であり,離散行動系列の予測と安定した行動生成が可能であることを確認した.また,安定した駆動にはドメイン情報の導入が重要であることを示した.

  • 久保 健治, 神谷 俊輔, 小山 雅典, 林 浩平, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 1E4-OS-39b-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    潜在状態に対して同一の層を再帰的に適用するニューラルネットワークは、リーズニングを必要とするタスクに対して有望なモデルとして注目を集めている。 このようなモデルの利点は、追加の学習を必要なしに、再帰ステップ数を増やすことで、テスト時に性能向上が可能な「テスト時スケーリング」が実現できる点にある。 本研究では、潜在変数を乱数で生成する再帰型モデル向けに設計されたテスト時スケーリング手法として、信頼度ベース投票(C-voting)を提案する。 乱数を用いて潜在状態を複数の候補で初期化した後、C-votingは予測のtop-1確率の平均値を最大化する候補を選択する。 C-votingは既存のエネルギーベース投票戦略と比較して、明示的なエネルギー関数を必要としないだけでなく、Sudoku-hardタスクにおいてより高い精度を達成する。 最後に、シンプルな再帰型モデルであるItrSA++を提案し、C-votingと組み合わせることでSudoku-extremeタスクおよびMaze-hardタスクにおいて従来手法を上回る性能を達成した。

  • 内藤 優星, 松崎 成道, 廣瀬 徳晃, 田中 和仁
    セッションID: 1E5-OS-39c-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
    会議録・要旨集 フリー

    近年、医療・福祉施設における自律移動ロボットの活用が期待されている。このような複雑かつ動的な環境に対し、移動方策獲得に深層学習を用いる手法が活発に研究されている。しかし、異常接近・衝突といった危険なシナリオや、車椅子利用者等の出現頻度が低い対象の学習データ収集は、倫理的・物理的制約から困難である。そこで本研究では、多様な人々が混在する動的環境のインタラクション予測、データ生成を目的とし、人共存型自律移動のための世界モデルを構築する。本モデルはロボットの一人称視点画像と行動系列を条件とし、予測結果として将来映像を生成する。また、大規模映像データから学習済みの拡散モデルを基盤に行動系列の条件付けを加えることで、強力な事前知識をロボット視点の予測へと転用する。未知環境を含む複数の実世界データを用いた実験により、本モデルが実環境では収集困難なシナリオを含む動的環境の予測能力を有することを示す。今後は強化学習等と組み合わせることで、多様な人々への配慮と効率的な移動を両立するロボットの開発が促進されることが期待される。

  • 猪狩 高, 藤井 健太朗, 村田 真悟
    セッションID: 1E5-OS-39c-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    不確実な環境下で柔軟にタスクを達成できるロボットの実現が求められている.近年,模倣学習によりロボットの物体操作性能は向上しているが,物体配置が事前に定まらない不確実な環境では目標達成が困難である.人間は探索による情報収集と目標志向行動を両立させることで環境の不確実性に対処しながら目標達成ができる.本研究では,この両立を可能にする能動的推論に着目し,ロボットの物体操作へ適用する.従来の能動的推論は,行動評価のために高次元画像を予測する世界モデルを必要とし,観測空間におけるピクセル差分を用いる.そのため,計算コストが高いだけでなく,物体の位置関係といった意味的情報を捉えにくいという問題がある.そこで本研究では,観測画像の意味的埋め込みを世界モデルで直接予測し,低次元かつ意味的表現を持つ特徴量空間で行動評価を行う手法を提案する.実験の結果,提案手法は行動評価計算を約20倍高速化し,不確実な環境下の物体操作タスクにおいて探索と目標志向行動の両立が可能であることを示した.また,従来の能動的推論手法では困難なタスクの一部を達成し,意味的表現を持つ特徴量空間を用いた行動評価の有効性を確認した.

  • 身体性制約をガイドとした自己機能進化と高次自己修復プロトコルによる自律制御のロバストネス保証
    鈴木 羽留香
    セッションID: 1E5-OS-39c-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    本研究は、AIが物理・社会環境で自律稼働する際の核心的課題に対し、ヒトの発達機序を規範とした「身体性による知性の本質化」から解決策を提唱する。従来、身体性は制御上の制約と見なされてきたが、本研究では「身体性制約があるからこそ知性は効率的な学習を強いられる」という逆説的視点に基づき、実環境実行力を向上させる学習アルゴリズムを開発。さらに、外部干渉や内部矛盾をノイズとして排除せず、動的に取り込み再構成し続ける「不壊の知性(Invincible Intelligence)」の概念を導入する。 具体的には、制御理論におけるリアプノフ安定の概念を拡張し、人間側のミスユースをも検知して自律的に行動変容する「動的アライメント」と、物理空間の実行結果をリアルタイムでパッケージ化しサイバー空間へ帰還させる「自己修復プロトコル」を提案する。本手法がもたらす自己修復ループは、知性が自律的にアイデンティティを再定義し続ける「存在論的ロバストネス」を包含しており、極限環境下でのシステム継続性と高度な認知性能の両立を実現する。これにより、AIアライメントを技術的な制御工学の視点から解決する新たな地平を提示する。

  • 判断と計算の位相的分離による検証可能性と創発条件
    猪澤 也寸志
    セッションID: 1E5-OS-39c-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    社会に接続された世界モデルにおいて、問われるのは、モデル出力が社会的帰結へ至る判断経路を科学的検証の対象として事前に設計できるかである。 本論文は、判断レイヤ(固定的な決定規則)と計算レイヤ(深層学習過程)を、階層的統治ではなく位相的に分離することで、この判断経路を検証可能とする世界モデルの設計原理を示す。計算力を維持したまま、判断の責任所在と検証境界を明示的に固定できる。 従来の世界モデルでは、判断が可変な深層学習過程に埋め込まれるため、社会接続後の事後的検証が原理的に困難であった。本設計原理では、判断を深層学習過程と同一世界モデル内に属しつつも、深層学習から位相的に切り離された固定構造として実装し、社会接続後も計算結果を反証・検証・再現可能な対象として特定する。 本論文における創発とは、事前仕様から非導出かつ検証可能に確定された原理的拘束の更新を指す。この1年約2,500時間にわたる複数の最新LLMの検討では、LLM単体での自律的創発は確認されず、特許出願に至った創発は、人間との判断接続点で生起した。 本発表では、この設計原理に基づく世界モデルのアーキテクチャ設計指針と実装上の論点を示す。

  • 堀口 維里優, 森 隆太郎, 原田 憲旺, 高田 亮介, 小島 武, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 1E5-OS-39c-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    公共財ゲームにおいて、参加を任意にする(すなわち、集団から離脱する選択肢を与える)と人間の協力率が上昇することが知られており、これは自発的参加効果と呼ばれる。 本研究では、6種類の大規模言語モデルがこの効果を再現できるかを検証し、(1) 自発的参加効果そのもの、(2) 信念に基づく自己選抜、(3) 残留者における信念更新、(4) 報告された信念と実際の協力行動との関連、の4点について統計的に評価した。 いずれのモデルも、自発的参加効果およびその背後にあるメカニズムを再現できなかった。中心的な知見は信念と行動の乖離である。人間では、報告された協力信念が参加条件によらず行動の強い予測因子となるのに対し、GPT-4oは強制参加条件では同等の予測力を示すものの、自発的参加条件ではチャンスレベルまで低下する。 LLMは信念を報告する能力を持つが、離脱という第三の選択肢が加わると、制度的文脈に応じた推論を遂行できないことが明らかになった。

  • 小川 恭子, 原田 憲旺, 小島 武, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 1E5-OS-39c-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    本研究の目的は、組織を構成する個人の相互作用を、大規模言語モデル(LLM)によるマルチエージェント社会シミュレーションにより再現し、人事制度設計がイノベーションに与える影響を定量的に比較・探索することである。従来のエージェントベースモデルでは簡略化せざるを得なかった会議での議論や意思決定プロセスを、LLMエージェント間の自然言語対話として明示的に記述し、人事制度を操作可能な入力変数として組織出力を比較する枠組みを提案する。具体的には、失敗への寛容さが異なる2条件の人事制度(寛容条件・厳格条件)を設計し、フラットな組織における会議のシミュレーションを実施した。イノベーションの代理指標として、会議内で初めて提案された独創的アイデア(ORIGINAL)の件数(以下、ORIGINAL件数)を用いた。実験の結果、寛容条件では厳格条件と比較してORIGINAL件数(平均10.2件 vs 1.6件、p=0.0209)および総アイデア数(平均21.6個 vs 5.8個、p=0.0036)において有意な差が確認された。また、発言順序が評価結果を強く規定する構造的バイアスが観察され、厳格条件では特定エージェントへのペナルティ集中が「沈黙」戦略の蔓延を招くことが明らかになった。

  • 発言・推定・沈黙の最適化
    藤崎 樹, 楊 鯤昊
    セッションID: 1F3-OS-10a-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    集合知は嗜好判断のような主観的課題においても精度を高めうるが、異なる種類の社会的シグナルをどのように組み合わせるべきかは十分に検討されていない。本研究では、集合知の新たな設計原理として「シグナルのルーティング」という観点を提案し、個人の評価(Own)と一般的他者の評価推定(Estimated)を選択的に用いる方法を検討する。音楽嗜好データを用いたシミュレーション分析により、課題難易度と Own–Estimated の乖離に基づくハイブリッドなルーティング戦略を評価した。その結果、難易度によるアイテムのフィルタリングと、乖離の大きい貢献者からの Estimated の選択的利用を組み合わせることで、Own のみを集約する方法よりも高い予測精度が得られることが示された。本研究は、嗜好判断における集合知が、単なる意見の平均化ではなく、シグナル選択の設計によって強化されることを示す。

  • Cifong KANG, Takehisa YAIRI
    セッションID: 1F3-OS-10a-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    The integration of Large Language Models into Multi-Agent Systems challenges traditional game-theoretic predictions, particularly regarding the user dynamics under different voting rules. This study investigates negotiation protocols as governing mechanisms for LLM behavior, comparing high-capacity and lightweight counterparts under varying voting rules and turn-taking structures. Our results reveal a sharp divergence: lightweight models exhibit premature convergence, rushing into low-quality decisions. While rigid turn-taking exacerbates a last-mover disadvantage for these agents, procedural stochasticity acts as a cognitive prosthetic, mitigating positional biases. Conversely, high-capacity models display alignment resilience, refusing to exploit majority rules to marginalize minorities. Instead, they consistently converge near Pareto, Nash, and Kalai-Smorodinsky optima. We attribute this to a conflict between protocol rationality and RLHF alignment biases. These findings underscore that future mechanism design must be capacity-aware, accounting for the variable cognitive constraints of AI agents.

  • 仁枝 寛泰, 武藤 敦子, 島 孔介, 森山 甲一, 松井 藤五郎, 犬塚 信博
    セッションID: 1F3-OS-10a-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    グループ活動においてコミュニケーションは重要な要素である,近年ではオンラインでのチャット ツールの普及により,蓄積されたデータを活用した分析が進んでいる.しかし,既存の定量評価では発言数などの量的な指標にとどまり,発言の内容や議論への質的貢献については十分に考慮されていない.そこで,本研究では,チャットでのコミュニケーションを定量的に評価するために,返信関係に基づく「構造的指標」と,発話行為 (Dialogue Act) に基づく「意味的指標」を統合した個人評価手法を提案する.大学のグループワークデータを用いた実験において,提案手法の有効性を確認した.また発言数や反応の速さよりも,議論を推進させるSuggestion行動や周囲からの反応を集める行動が重要であることが明らかになった.

  • 西 若葉, 武藤 敦子, 島 孔介, 森山 甲一, 松井 藤五郎, 白松 俊, 小田 亮, 犬塚 信博
    セッションID: 1F3-OS-10a-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    総務省の報告より,近年,地域社会のつながりの希薄化が社会問題となっており,地域コミュニティ活動活性化の必要性が高まっている.名古屋市の調査から,価値観が類似する住民同士が出会う機会を創出する施策の有効性が示唆されたが,実社会においてそのような施策を直ちに実施することはコストや運営面の制約から容易ではない.そこで本研究では,シミュレーション上で価値観に着目した施策を導入し,その効果を検証することを目的とする.提案モデルでは,各エージェントに価値観を表す変数を導入し,価値観の類似性を考慮した地域コミュニティ活動への参加・不参加を判断する仕組みを構築した.さらに,提案モデルに価値観共有施策を導入し,施策を導入しない場合との比較を行った.シミュレーション実験の結果,価値観を表す変数をランダムに付与した場合および正規分布に従って付与した場合のいずれにおいても,提案モデルは従来モデルと比較して参加者数が増加する傾向を示した.また,価値観共有施策は,価値観をランダムに付与した場合において,より効果が大きく見られた.以上の結果から,価値観の分布の違いによって価値観共有施策の効果が異なることが示された.

  • 社会シミュレーションによる評価基盤の提案
    千葉 涼, 桂川 健人, 三浦 淳志, 柳澤 秀吉, 鈴木 杏奈
    セッションID: 1F3-OS-10a-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    共創(Co-creation)とは、複数の主体が相互作用を通じて課題理解や価値基準そのものを動的に更新しながら成果を生成するプロセスであり、成果構造を事前に予測することは容易ではない。その成果は共創の場の設定に強く依存する。本研究は、共創の場を構成する設計条件を分解し、それらが参加者の行動選択および集団的成果に与える影響を事前に評価・可視化することを目的とする。そこで、能動的推論に基づき行動選択を行うマルチエージェント型社会シミュレーションモデルを構築した。提案モデルでは,異なる専門領域へのアクセスの多様さに対応する探索パラメータと,協調的な設計・実践への志向に基づく将来予測の行動選択への寄与の大きさを操作し、各エージェントが期待自由エネルギーを最小化する方策として探索・深化・離脱の行動を確率的に選択する。本モデルを、問題解決型と問題探索型という対照的な場の設定に適用した結果、前者で特定分野における集中的な関与の深化が、後者で複数分野にわたる浅く広い関与が生じるという異なる成果構造が再現された。以上より本研究は、共創の場の設計条件と成果構造との対応関係を明示的に扱う評価基盤を提示する。

  • 菅原 温人, 赤木 康紀, 倉島 健, 戸田 浩之
    セッションID: 1F3-OS-10a-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    効果的なHuman Robot Interactionを実現するには,合理性から逸脱する人間のリスク選好をモデル化することが重要である.既存手法であるRisk-Sensitive Theory of Mind(RS-ToM)は,離散的なリスク選好カテゴリに対して事前学習された方策を用いるが,このアプローチは事前に想定していない未知のリスク選好に対して汎化性能が著しく低下する課題を持つ.本研究ではこの課題に対し,学習中にリスク選好パラメータを多様化させるDomain Randomizationの適用を提案し,多様な人間のリスク選好に適応可能な頑健な方策の獲得を図る.具体的には,DORAEMONの制約付きエントロピー最大化を用いてCPTパラメータのBeta分布を動的に最適化し,学習の収束性を保ちながら広範なパラメータ空間を探索する.Risky Overcooked環境での評価実験により,提案手法はRS-ToMが想定していない中間的リスク選好に対して協調性能を大幅に改善することが示された.

  • 西田 由佳, 望月 理香, 赤木 康紀, 倉島 健
    セッションID: 1F4-OS-10b-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    学習やダイエット、貯金など、長期的な目標を達成しようと努力する場面は数多く存在するが、とん挫することもしばしば発生する。この原因の一つとして現在バイアスという心理バイアスが考えられ、これは直近の損得を過大評価、将来の損得を過小評価するバイアスである。そこで、無理なく長期目標を達成する方法として、現在バイアスを考慮した行動変容技術に着目する。 本稿では、日本人計670名に対して現在バイアス値を推定した調査結果を報告する。この現在バイアスは、人間が感じる価値の時間割引の数理モデルのパラメータとして表現することができ、本稿では非合理的な人間の特性を表現した準双曲割引モデルを用いる。このモデルでは、現在バイアスとしてβ、将来の価値の指数関数的割引を表すδの二つのパラメータで表現する。パラメータの推定には金銭的な質問や非金銭的な質問など様々な手法が用いられており、今回は金銭的な手法で広く用いられるMultiple price list法を適用し、推定を行った。その結果、現在バイアス値は平均値0.997周辺に集中する傾向が明らかになった。

  • 高橋 成尚, 落合 桂一, 戸田 浩之
    セッションID: 1F4-OS-10b-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    本研究は,自己設定ウォーキング目標の達成過程に着目し,性格特性などの個人特性および初期行動特性が推移パターンに与える影響を検討した.大学生・大学院生 58 名の 5 週間の歩数ログと個人特性データを収集し,達成過程を安定達成・挽回・失速・安定不達成の 4 類型に分類した.ロジスティック回帰による多クラス分類の結果,個人特性のみでは正解率は 0.26~0.38 にとどまったが,初期 1~2 週の達成度を加えることで正解率は 0.53(100 %基準),0.64(90 %基準)まで向上した.初期行動が将来の分岐を示唆することが示された.

  • 水門 善之
    セッションID: 1F4-OS-10b-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    人間の行動や意思決定を対象とするAI・シミュレーション研究において,性格特性は重要な特徴量である.一方で,実測の人格データは個人情報に該当するため,共有や再利用が難しい.本研究では,日本人成人におけるビッグファイブ性格特性の分布および特性間の相関構造を定式化し,それらを同時に再現する疑似個票データを生成する手法を提案する.具体的には,日本語版Big Five Inventory–2ベースの各性格特性の平均値・標準偏差および,性格特性間の相関行列に基づく多変量正規分布モデルを構築し,1000人分のビッグファイブ得点(100段階尺度)からなる疑似データセットを生成した.さらに,この疑似人格集団を用いて大規模言語モデル(LLM)によるアンケート回答のシミュレーションを行い,生成データの実用性を検証した.本手法によって生成された疑似データは,社会調査や行動予測を目的としたデータサイエンス研究の基盤として有用であることが示唆される.

  • ― 行動変容メッセージ評価における Positive Bias の分析 ―
    和久田 真帆, 瀧本 祥章, 倉島 健, 戸田 浩之
    セッションID: 1F4-OS-10b-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    大規模言語モデル(LLM)を評価モデルとして活用することが広く用いられつつあるが,新しいモデルが必ずしも従来モデルを上回る性能を示さないタスクが存在する.事前分析では,positive予測に偏り,真陰性率が著しく低下する傾向が示された.本研究ではその要因として,評価基準の曖昧性,偽陽性コストの未定義,好意的補完推論を想定する.再学習を行わずにこの問題を緩和するため,rubricに基づく基準の分解,偽陽性の明示的抑制,根拠のない推論の禁止といったプロンプト設計を導入した.複数のLLMによる実験では,positive偏重の低減と判定境界の調整が可能であることが示唆された.

  • 徐 哲林, 山本 修平
    セッションID: 1F4-OS-10b-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    就職活動では,書類審査通過のために質の高い履歴書が求められるが,大学のキャリア支援室は人員・時間の制約により,すべての学生に十分なサポートを提供することが難しい.同様に,企業において履歴書のスクリーニングを行う際にも,採用担当者が大量の履歴書をチェックする作業は大きな負担となっている.こうした背景から,海外の就職活動において,LLMを活用して履歴書の自動評価手法が提案されてきたが,日本の就職活動にはそのまま適用できないという課題がある. そこで,本研究では日本の新卒採用に対応可能なLLMによる履歴書自動評価フレームワーク(AutoScreen-FW)を開発する.具体的には,複数のサンプル選択方法を用いて少数の履歴書サンプルを抽出し,それらを用いた文脈内学習(In-Context Learning)を行い,履歴書を自動的に評価できるLLMの開発を目指す.評価実験を通じて,提案フレームワークにより,オープンソースLLMをGPT系のモデルと同程度以上の評価能力を達成できることを確認した.

  • 梶原 賢, 齋藤 一誠, 中村 友昭, 持橋 大地, 三村 喬生
    セッションID: 1F4-OS-10b-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    本稿では,教師なし分節化により連続動作から単位動作を自動的に抽出する技術を基盤として,被験者間の動作技能の差異,および同一被験者における動作の成長過程を定量的に解析する枠組みを提案する.提案手法では,各単位動作を異なる周波数および位相をもつ余弦波基底の重み付き和として表現する.そこで,逐次学習による更新に伴う周波数成分や振幅の変化を解析することで,単位動作の特徴の変化を定量化する.これにより,動作技能の被験者間の比較や,同一被験者内で特定の動作が習熟度の向上に伴いどのように変化していくかを定量的に評価することが可能となる.実験では,ダンス動作を複数回繰り返して行ったデータを対象とし,被験者間による習熟度の違いや,反復による学習の進行に伴う変化を定量的に解析できることを示す.本研究は,単位動作および関節レベルでの変化を定量的に記述することで,動作理解の深化と動作指導支援への応用に貢献することを目指すものである.

  • 三村 知洋, 山田 涼, 鈴木 喬
    セッションID: 1F5-OS-10c-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    歴史・文化資源とレジャー施設が混在する観光都市においては,個別スポットの集客に加え,都市内外の複数地点を結ぶ回遊の設計が重要となる.しかし,従来の調査手法では異質な来訪者群の行動を十分に分解して捉えることが困難であった. 本研究では,愛知県犬山市を対象に,携帯電話基地局由来の大規模位置情報(モバイル空間統計)を用いた分析枠組みを提示する. 具体的には,観光地間の回遊ネットワーク構造を可視化するとともに,観光地ごとの来訪者属性,居住地,移動手段,アプリ利用傾向を詳細に分析する. さらに,全国のユーザを対象とした機械学習モデルにより,施設ごとの「潜在観光客」を推定し,その有効性および属性・居住地の特徴を検討する. 分析の結果,施設特性に応じた集客圏や季節変動の差異に加え,潜在観光客が 20 代や東海・関東圏在住者に多いことなどが明らかとなり,データに基づく観光施策立案およびターゲット選定への有用性が示された.

  • 王 馳景, 大西 直, 三井 琳子, 千葉 直樹, 石黒 凜
    セッションID: 1F5-OS-10c-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    ABW(Activity-Based Working)は,業務活動に応じて多様なワークスペースを選択する働き方である。ABW運用のオフィスでは、従業員の自由度が高まる一方,ワークスペースごとの選択・滞在方法が生産性に与える影響は職種・タスク特性に依存する可能性がある。先行研究は導入前後の主観評価やコミュニケーション量に着目するものが多いが,ワークスペースと行動ログ・成果指標の対応を職種別に整理した知見は十分でない。そこで本研究は行動ログから移動回数・移動距離・能動的移動回数・滞在偏り・出社頻度の5指標を定義・算出し,主観評価の生産性指標と突合して職種別に検証した。結果として,設計開発職では移動回数が多いほど生産性が低下し,管理職では滞在偏りと出社頻度が高いほど生産性が上昇した。一方,移動距離と能動的移動は明確な関連を示さなかった。以上より,設計開発等の集中型業務では移動・中断の抑制,管理職が行う調整型業務では滞在拠点と対面機会の確保が重要である。今後は多様なオフィス環境での再現性検証に加え,会議量等の交絡を統制した分析とワークスペース単位の詳細解析により,行動と生産性の関係の解釈可能性を高める。

  • 池田 朋加, 坂口 太一, 坂東 誉司
    セッションID: 1F5-OS-10c-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    ユーザーの行動予測に基づいて次に購入するべきアイテムや次に行うべき行動の推薦をプロアクティブに行うアプローチが近年提案されているが、ユーザー行動の1ステップ先までの予測に基づいて推薦のタイミングと内容を同時に最適化する手法が主流であったため、中長期的な推薦アイテム系列の生成が困難であった。そこで本研究では,ユーザー行動の潜在的傾向を表すプロファイルを導入したマルチステップ行動予測モデルを提案する。ユーザーが自ら確認したいタイミングで,その時点以降の提案をまとめて閲覧できる体験を想定し,2ステップ以上先を見据えた中長期予測の安定性に着目する。提案手法では,複数ステップ先を同時に学習するマルチホライズン学習と潜在プロファイル表現を組み合わせて中長期的な行動遷移を捉え、ユーザーが必要とするタイミングで提案が用意されていることを目指す。有効性の検証として,1ステップ予測に基づく既存手法との比較実験を行い,複数ステップ先の予測性能および将来予測における不確実性の推移を評価する。

  • 久保田 匡亮, 髙橋 実宏, 齋藤 優太
    セッションID: 1F5-OS-10c-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    患者の生存や顧客維持といった生存アウトカムの最適化は,データ駆動型の意思決定において重要な目的である.オフ方策評価は,高いコストやリスクを伴うオンライン実験を行うことなく,過去のログデータのみを用いて意思決定方策を評価するための強力な枠組みを提供する.しかし,典型的な推定量は右側打ち切りを伴う生存アウトカムを扱うようには設計されておらず,打ち切り時間を超えた未観測の生存時間を無視してしまうため,真の方策性能を系統的に過小評価してしまうという問題がある.この問題に対処するため,本研究では,打ち切り下での生存アウトカムに特化したオフ方策評価および学習のための新しい枠組みを提案する .具体的には,打ち切りによるバイアスを明示的に扱うために,打ち切り逆確率重み付け(Inverse Probability of Censoring Weighting: IPCW)技術を用いた推定量であるIPCW-IPSおよびIPCW-DRを提案する.シミュレーション研究を通じて提案手法の有効性を実証するとともに,公開実データを用いた実験により,評価および学習タスクの双方における実用的な有効性を示す.

  • 安田 悠矢, 渡邊 紀文
    セッションID: 1F5-OS-10c-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    本研究は,野球における試合の「流れ」を定量的に捉える新たな指標の構築を目的とする.スポーツにおいて「流れ」は勝敗を左右する重要な概念であるが,従来は定量化が困難であった.そこでプレイが勝利確率に与える影響を示す指標であるWPA(Win Probability Added)に着目し,ロジスティック回帰により推定したFlowモデル係数と統合することで,各プレイが試合の趨勢に与える寄与度を示す新たな指標「FlowWPA」を提案する.FlowWPAを利用し,試合状況に依存したプレイの影響を補正しながら累積することで,試合中の流れの推移を可視化した.2022年から2024年のプロ野球公式戦2566試合を対象に分析し,FlowWPAは従来のWPAでは捉えることが困難であった終盤の反撃局面や,チャンス場面における流れの変化を抽出できることを示した.また,試合後の戦評テキストにおいて重要と記述された転換点とFlowWPAの急変箇所の比較から,提案モデルが人の試合認識とも整合性があることが示唆された.以上より,本手法は試合の重要局面抽出や流れの早期把握に有用であると考えられる.

  • 本美 桃佳, 深澤 佑介
    セッションID: 1F5-OS-10c-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    2025年に東北エリアを中心としてクマの人里での遭遇事例が多発した。クマ遭遇数の推移には、堅果類の豊凶をはじめとする自然環境要因や、人間側の土地利用や生活行動の変化などが関与しており、要因が類似する地域では類似した時系列パターンが存在すると考えられる。本研究では、過去のクマ遭遇データの時系列パターンを類型化し、将来的な遭遇リスク評価に資する知見を得ることを目的とした。具体的には、2020年1月から2024年12月までの東北・北陸・関西の自治体から公開されている遭遇データを用い、1kmメッシュ単位の月次遭遇数データを作成し、Gaussian Mixture Model(GMM)によるクラスタリングを行った。さらに、2025年に遭遇が多発した地域が属するクラスタを抽出し、その時系列的特徴と地域特性を分析した。その結果、クマ遭遇の時系列推移は22のクラスタに分類され、2025年に多発したクラスタでは特定の季節に遭遇が集中する傾向や、田畑・河川沿いに特徴的な地域分布が確認された。時系列パターンに基づく地域類型化は、将来のクマ遭遇リスクの把握や予防的対策の検討に有用であると考えられる。

  • 川上 孝介, 中田 和秀
    セッションID: 1G3-OS-13a-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
    会議録・要旨集 フリー

    オンライン広告の予算配分では,予測モデルの推定誤差が配分の最適性を損ない,少数ユニットへの集中が下方リスクを増大させる.本稿では,実績KPIと予測KPIの比(ratio residual)を不確実性の統一的表現として導入し,その平均・共分散に対するDelage-Ye型Moment-based DROにより予算配分をロバスト化する枠組みを提案する.ratio residualにより反応曲線推定と不確実性モデリングが分離され,凹反応曲線の区分線形近似と錐双対化を通じて効率的に求解できる.90案件の実データ検証において,提案枠組みは名目最適化比で最悪ケースKPIを最大+6.81%(p<0.001)改善した.73の複数ユニット案件での効果分解では,改善の約95%は平均推定値のロバスト化に起因し,共分散不確実性は副次的だが有意な追加効果(+0.35 pp,p=0.002)を示した.

  • 笠原 勇布, 松岡 佑知, 西村 直樹, 金光 俊輔, 池田 春之介, 鮏川 矩義, 高野 祐一
    セッションID: 1G3-OS-13a-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
    会議録・要旨集 フリー

    企業の営業活動における架電業務では、限られたオペレータのリソースから最大の成果を引き出すスケジュール作成が課題である。現状のスケジュール作成は経験的ヒューリスティックに依存しており、非効率な人員配置や機会損失が生じていた。本研究では、実務データに基づき、1日あたりの期待商談獲得数を最大化する架電スケジュール作成手法を提案する。 提案手法は、勾配ブースティング決定木(LightGBM)を用いて顧客ごとの商談獲得率を予測し、その予測値を利得とした最小費用流問題に帰着させることで、大規模な顧客リストに対しても現実的な計算時間で大域的な最適解を導出する。 さらに、通話成否によってオペレータの拘束時間が変動する実務上の不確実性を考慮し、動的なモンテカルロシミュレーションによる評価を行った。その結果、従来の貪欲法と比較して平均商談獲得数が最大16.7%向上することを確認した。また、顧客数の増加に伴い、計算時間は実験的に線形に近い推移を示し、実運用における高いスケーラビリティも確認された。

  • 加藤 拓海, 武藤 敦子, 島 孔介, 森山 甲一, 松井 藤五郎, 犬塚 信博
    セッションID: 1G3-OS-13a-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    飲食店におけるPOSデータは、来店客の注文内容を詳細に記録しており、顧客の注文行動を分析するための重要な情報源である。従来、注文履歴を文書とみなしLDA(Latent Dirichlet Allocation)を適用することで、注文内容の傾向をクラスタリングする研究が行われてきた。しかし、これらの手法では、来店中に発生する追加注文などの注文の進み方が考慮されておらず、行動の時系列的な構造を十分に捉えられないという課題がある。<br><br>本研究では、来店中の注文は一度にまとめて行われるとは限らず、複数回に分けて行われる場合がある点に着目し、注文の流れを考慮した分析手法を2種類提案する。提案手法1では、各注文に出現フェーズを表すタグを付与してLDAを適用することで、同一メニュー構成であっても出現タイミングの違いを反映したトピック抽出を行う。さらに提案手法2では、抽出されたトピック列から遷移パターンを生成し、来店中の注文行動の構造に基づくクラスタリングを行う。実データを用いた実験により、従来手法では区別できなかった注文順序や追加注文の有無を考慮した行動パターンが抽出可能であることを確認した。

  • 武井 友花, 池田 春之介, 高野 祐一
    セッションID: 1G3-OS-13a-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    マーケティング施策の効果検証において広く用いられるA/Bテストでは,限られた実験コストの下で検出力を高めることが重要である.その代表的な手法である層化抽出は,顧客属性に基づいて母集団を分割することで標本平均の分散削減を図るが,従来はクラスタリングなどの方法で層を構成した後に標本配分を行う二段階法が主流であり,層の構成自体が分散削減の観点で最適であるとは限らないという課題がある.本研究では,整数最適化により決定木全体を同時に学習する最適多分木を用い,層化後の標本平均の分散を直接最小化する新たな層化手法を提案する.さらに,連続変数の離散化に目的変数のデータを反映した最適ビニングを導入することで,分散削減に有効な層化規則の学習を可能とした.数値実験の結果,提案手法は既存の層化手法や回帰調整手法と比較して高い分散削減効果を示し,少ない標本サイズでも信頼性の高い意思決定を支援できることを確認した.

  • 木村 隆介, 佐藤 公俊
    セッションID: 1G3-OS-13a-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    ホテル業界は、予約とキャンセルという不確実性に常に直面している。ダイナミックプライシングは、直前のキャンセルに対して適切な割引を提供できるものの、十分な需要がない限り、必ずしも空室を埋められるとは限らない。したがって、キャンセル予測の精度が実務におけるダイナミックプライシングの成果にどのような影響を与えるかを把握することは重要となる。本研究では、日本国内の特定の地域における実際の宿泊予約およびキャンセルデータを用い、予測精度と期待収益の関係を分析した。その結果、キャンセル予測の予測精度向上に伴い、収益が向上することを示された。また、この精度向上は、平均販売価格の引き下げを通じて消費者余剰を増加させると同時に、ホテルの客室稼働率も改善させることが明らかになった。さらに、この改善効果は、潜在顧客数が多い繁忙期においてより顕著であることが確認された。

  • 岸本 廉, 武樋 力哉, 田中 滉一, 野村 将寛, 冨田 燿志, 齋藤 優太, 冨樫 陸
    セッションID: 1G3-OS-13a-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
    会議録・要旨集 フリー

    オンラインデーティングやジョブマッチングなどの双方向マッチングでは,推薦アルゴリズムは総マッチ数の最大化を目的とすることが多い.しかし,一部のユーザにマッチが集中し,他の多くのユーザが離脱する不均衡を生む.公平性の導入が検討される場合もあるが,実務上より重要なのはユーザーの継続利用である.本研究では,双方向マッチングにおいてユーザー継続最大化を目的とする新たな問題設定を定式化し,動的ランキング手法 MRet を提案する.MRetはユーザ情報から個別のユーザ継続曲線を学習し,推薦する側とされる側の双方のユーザ継続向上を考慮した推薦を行う.実験ではMRetが高いユーザ継続率を達成することを示した.

  • 北川 廣野, 佐々木 一
    セッションID: 1G4-OS-13b-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    生成AIを活用した広告コピー制作が進むなかで、コピー品質の向上の前提となるフィードバック情報の収集にはいくつかの課題がある。第一に、適切な評価を下せるプロのコピーライターは希少で評価コストが高い。第二に、評価基準は評価者の感性に依存し言語化されていないことが多く、LLMによる自動評価が難しい。 本研究は、限られたフィードバックから評価基準を言語的に抽出し、その変容を追跡可能とすることを目的とする。評価基準の変容現象であるCriteria Driftと、文脈更新により判断基準を明示的に扱えるTraining-Free GRPO(TF-GRPO)を統合した評価枠組みを構築し、広告コピーの相対比較を通じて評価観点を経験ライブラリに蓄積、メタ分類器で精緻化する二段階アーキテクチャを設計した。 LLM生成コピーとコピーライター評価データを用いた実証の結果、LOW/HIGH二値分類で高い識別性能を確認した。経験ライブラリは人間の判断と整合する基準を抽出し、反復評価を通じた基準の変化・洗練、すなわちCriteria Driftが観測された。本手法により、暗黙的な評価基準を動的知識構造として記述可能となり、LLMによる広告コピー品質の自動評価と性能向上への道筋を示した。

  • 安達 瑠斗, 星野 智紀, 石塚 湖太, 川上 孝介, 市瀬 龍太郎
    セッションID: 1G4-OS-13b-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    大規模言語モデル(LLM)は,コーディングをはじめとする高度な知的タスクにおいて高い性能を示し,近年では実社会への応用が急速に広がっている.しかしながら,LLM が人間の価値観をどのように内部的に反映しているのかについては,依然として十分に解明されていない.特に,日本の現実の人間集団が有する価値観を,LLM がどの程度反映できているのかは明らかではない.本研究では,従来主に用いられてきた国際的な概念的価値観調査データセットではなく,人々が日常生活の中で直面しうる意思決定場面を想定した「具体的な問い」から構成されるデータセットを用いる.このデータセットに基づき,LLM の生成する回答から推定される価値観と,日本の実際の人間集団における価値観との対応関係を定量的に評価することを目的とする.分析の結果,LLM は人間の価値観を一部の側面では捉えているものの,日本の人間集団における価値観分布全体を十分に反映できていない可能性が示唆された.本研究は,LLM を人間の代理として用いる際の限界を定量的に明らかにするとともに,今後の LLM に内在する価値観の検証研究に対して新たな示唆を与えるものである.

  • 日野 恭佑, 佐々木 一
    セッションID: 1G4-OS-13b-03
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    大規模言語モデル(LLM)が持つ Sycophancy(ユーザー迎合傾向)やバイアス は、個人へのパーソナライズを通じて、視野の狭窄や思考の硬直化、認知バイアスの強化を招く可能性が指摘されている。特に、評価軸が一定でなく、視点の多様性や発散性、独自の切り口が重視される創造的なタスクにおいて、その影響は無視できない。 本研究では、自分の思考様式を学習したAIよりも、他者の思考様式を学習したAIとの協働の方が創造性を高めるのではないかという仮説に基づき、創造性の求められるタスク実験を行った。 参加者はそれぞれのAIと協働し、架空の商品の広告コピーを作成するタスクを実施した。 その結果、他者の思考様式を学習したAIは発想の広がりや発見感を高め、独創性も優位となる傾向が確認された。一方で、成果物への納得感においては課題がみられ、創造性と生産性の間にトレードオフが存在することが示唆された。 本研究の結果は、創造的タスクのAI協働設計において、他者性を戦略的に導入する重要性を示唆する。

  • サービスドメインによる違いと心理的・社会的距離についての考察
    森下 壮一郎, 高野 雅典, 武田 英明
    セッションID: 1G4-OS-13b-04
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    デジタルプラットフォーム上の視聴や購買の履歴やブックマーク(お気に入り),他者におすすめしたいコンテンツのリストは,ユーザーの趣味嗜好を強く反映する情報である.本研究では,このような嗜好情報の開示における匿名性と開示相手の選好に着目し,サービスドメイン(動画,音楽,ECサイト,CGM)を横断した質問紙調査を実施した.結果として,嗜好情報自体を作成したくないという回答が約半数で,作成意向があったとしても共有意向は限定的であった.共有する場合は,家族や親しい友人などの近い相手が主に選好され,匿名条件では同じ趣味の人や同じサービスの利用者,不特定多数への開示意向が高まった.一方,実生活上の知人に対しては実名でも匿名でも忌避され,ネット上の知人よりも低い傾向であった.サービスドメイン別には,音楽において匿名条件でも履歴等の開示意向が低く,親しい相手に対する開示意向も相対的に低いという特徴が観察された.以上について,嗜好情報の自己開示における匿名性の役割,および開示相手との心理的・社会的距離の観点から考察して,嗜好情報の共有を前提とするコミュニティ機能の設計に向けた示唆を述べる.

  • 南雲 陸, 佐々木 一
    セッションID: 1G4-OS-13b-05
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    都市政策、とりわけ再開発やインフラ整備の評価では、多様な利害関係者の視点を踏まえた合意形成が不可欠である。しかし実務では、参加者確保と意見集約に伴う時間・コストが大きな制約となり、多視点評価を十分に実施できない。先行研究では、LLMにAIペルソナとファシリテータの役割を与えたデルファイ法により、運用コストを低減できる可能性が示されている。そこで本研究は、この枠組みを行政施策評価へ拡張した多視点評価プロセスを提案する。A市の駅前再整備案を対象に、大規模調査に基づく生活者予測モデル(Generative Prediction)を参考に、同モデル由来の属性・事前回答から500体の生活者ペルソナを構成し、13評価軸について重要度(0–5)と評価(1–5)を取得した。結果、加重スコアはPolicyA 3.17→3.18で安定、PolicyB 3.29→3.24で一部軸が慎重化した。E2比率とopen_questionsから、乗換動線、防災等の具体化不足が主要な説明課題として抽出された。本枠組みは実在住民の賛否推定ではなく、固定評価軸の下で論点構造を可視化し、政策案の絞り込みと説明設計を支援する。

  • 髙田 賢, 渡邊 拓夢, 長谷 航記, 三浦 諒一, 中岸 恵実子
    セッションID: 1G4-OS-13b-06
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    近年、大規模言語モデル(LLM)を用いてユーザ行動履歴を言語化・要約し、推薦に活用する手法が研究されている。 これらの研究は主として単一ドメインの行動履歴を前提としており、ユーザの行動が複数ドメインに分散する現実的な環境において、LLM がどのように多面的な行動を統合・解釈すべきかについては十分に検討されていない。 そこで本研究では、LLM を活用してマルチドメイン行動ログから文脈依存の情報を抽出・統合する手法を提案し、その有効性を検証した。

  • 磯 智大, 筒井 麻雅
    セッションID: 1G5-OS-13c-01
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    B2B事業における顧客生涯価値(LTV)予測では,法人内に複数ユーザーが所属するため,個人単位で構築されたBTYDモデルの適用方法が課題となる.本研究の目的は,BTYDモデル(BG/NBD・Gamma-Gamma)による法人LTV予測において,個人粒度で予測し法人に集約するアプローチAと,法人粒度で直接予測するアプローチBの精度を比較し,B2B事業におけるBTYDモデルの適用可能性を明らかにすることである.印刷ECプラットフォームの購買データを用い,初回購買から6ヶ月間の観測データをもとに24ヶ月間の累積売上を予測した結果,両アプローチとも予測LTVと実績LTVのSpearman順位相関約0.87を達成し,B2B非契約型事業でもBTYDモデルが実用的なランク精度を持つことを確認した.複数ユーザーが所属する法人においても,両アプローチの精度差は軽微であった(MAE比率B/A=1.029,RMSLE比率B/A=0.991).また,lifetimesライブラリがリピート購買のない顧客(freq=0)に対しBG/NBDの予測値を返せない問題に対し,原論文の式を直接実装することで解決した.

  • 上島 司, 西村 直樹, 本田 亜望, 松本 健, 池田 春之介, 鮏川 矩義, 高野 祐一
    セッションID: 1G5-OS-13c-02
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/17
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    新商品の需要予測は商品開発や在庫管理において重要であるが,発売前には購買履歴が存在しないため予測は困難である.近年,画像やテキストなどのマルチモーダル情報を用いた需要予測手法が提案されているものの,眼鏡商品を対象とした研究は十分に行われていない.本研究では,日本の眼鏡小売を対象に,発売前に利用可能な構造化データ,商品説明の埋め込み表現,および商品画像から抽出した視覚特徴を統合し,新商品の需要予測を行う.勾配ブースティング決定木および深層学習を用いてマルチモーダル情報を統合した需要予測モデルを構築し,実データを用いた実験により提案手法の有効性を確認する.

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