"Aをnxnの特異な実行列, x, bをn次元の実ベクトルとし,連立一次方程式Ax=bまたは最小二乗問題min
x in Rn ||b-Ax||
2を考える. これらは,例えば偏微分方程式に全周ノイマン条件を課し,離散化する際などに生じる. このような特異な系に対してクリロフ部分空間解法であるGCR(k)法を適用することを考える.
このとき, 任意の右辺項b,および初期近似解x
0に対して,GCR(k)法が破綻せず,かつ残差R(A)(Aの像)成分が0に収束するための必要十分条件は,「Aの対称部M(A)がR(A)において定値,かつR(A)とkerA(Aの核)が直交していること」であることを示す.
また,bがR(A)に含まれる場合(系が consistentな場合)は必要十分条件は,「Aの対称部M(A)がR(A)において定値」であることを示す."
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