1966年秋に,東京大学海洋研究所の淡青丸(KT-66-23航海)によって行なわれた相模湾中央部の相模堆附近の深海系底棲生物調査(HORIKOSHI,1970)の折に,相模堆の北西斜面のSta. 16,水深704m(Fig.1)のところから,スミス・マッキンタイヤー型採泥器によって採集された甲殻類の資料(GAMO,1970)にあった未成熟度1個体(性別不明)の体長3.5mmの標本は,Lepechinella属(Dexaminida科)の新種L. sagamiensisとして,ここに記載する。現在,この属には23種程が各海洋の深海域水深(300-6500m程)から知られている。L. ultraabysalis(北海道沖の水深6475-6571m)は体の背面に粒状の突起を全く持っていないことによって明らかに本新種と相違しており,また, L. sagamiensisに極めて近似の形態を示しているL. echinata, L. drygarskii, L. wolffi, L. bieri, L. sucia, L. occlo, L. cura及びL. mancoなどでは,第1触角の極めて小さい鞭状部副枝は1節よりなるが,本新種のそれは2節よりなることで,明らかに区別される。
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