PLANT MORPHOLOGY
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29 巻, 1 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
表紙
特集1 多様な植物現象を理解するためのイメージング:細胞内構造から環境応答まで
  • 金岡 雅浩, 植田 美那子
    2017 年 29 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    植物の発生や生理的変化,さらには環境への応答などの多様な植物現象を理解するうえで,細胞内の構造や分子の動態を調べることは大きな意味をもつ.そのためには様々なレベルの植物現象において最新のイメージング技術を駆使して迫る必要がある.そこで,日本植物学会第80回大会において,日本植物形態学会・特定認定非営利法人総合画像研究支援(IIRS)および新学術領域研究「植物の成長可塑性を支える環境認識と記憶の自律分散型統御システム」との共催のもと,特定分子を可視化するための様々な技術や,組織深部まで観察するためのライブイメージング法,得られた画像から定量的にデータを抽出する手法などの最新技法と,それにより明らかとなってきた植物現象の制御メカニズムを紹介し議論するシンポジウムを開催した.

  • 栗田 和貴, 坂本 卓也, 松永 幸大
    2017 年 29 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    ヒストン修飾が変化することで,ゲノムワイドに遺伝子の発現が制御される.このヒストン修飾変化は,クロマチン免疫沈降(ChIP)や抗修飾ヒストンモノクローナル抗体による免疫染色によって解析されてきた.ヒストン修飾の変化をリアルタイムで解析できれば,経時的なダイナミクスを捉えることができる.我々は,ヒストン修飾を認識する蛍光プローブを用いたライブセルイメージングによって,ヒストン修飾を生きた植物細胞で可視化する技術を確立した.特定のヒストンアセチル化を認識する抗体をもとに作成した蛍光プローブmintbody(modification specific intracellular antibody) を植物培養細胞に遺伝子導入した.その結果,細胞内の蛍光プローブはヒストン修飾を認識し,ヒストン修飾のレベルに応じて核の内外を移行することが明らかとなった.このヒストン修飾ライブイメージング技術によって,植物細胞内のヒストン修飾をリアルタイムで捉えることが可能になった.

  • 五十嵐 圭日子
    2017 年 29 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    セルロースの分解効率を向上させると,植物資源から燃料や化成品を生産することが可能となる.しかしながら,セルラーゼによるセルロースの変換は非常に遅い反応であり,変換プロセスの律速となっている.そこで我々は,一秒以下の時間解像度とナノメートルの空間分解能を持つ高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いてセルラーゼ分子をリアルタイムに可視化した.トリコデルマ属由来のセロビオヒドロラーゼI(TrCel7A)分子は,結晶性セルロースの表面を一方向に進んでいる様子が観察されたが,その動きは他の分子によって妨げられ,基質表面で交通渋滞を起こしていることが明らかとなった.この分子運動と加水分解反応は同時に起こることから,酵素分子の渋滞は分解反応を抑制していると考えられた.セルロースの結晶形を変化させると移動する分子の数が明らかに変化し,さらに他の酵素(TrCel6A)を混ぜることで移動するTrCel7Aの分子数は爆発的に増加し,分解が促進されていた.

  • Takumi Higaki
    2017 年 29 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    Visualization of cytoskeletal organizations is a fundamental research method for understanding plant cell activities. Conventionally, immunostaining methods have been used to visualize cytoskeletons, but some technical difficulties make it hard to obtain a large number of reliable microscopic images. The introduction of fluorescent protein tagging technology and the development of high-throughput method for microscopic image acquisition have made it easier and quicker to obtain many reliable microscopic digital images of cytoskeletons. Based on these technical improvements, a method for quantitative evaluation of cytoskeletal organizations by image analysis has been developed. This method has become an indispensable research approach in state-of-the-art plant cell biology. In this minireview, I outline a practical method to measure image features to quantitatively evaluate the orientation, parallelness, bundling, and density of cytoskeletons using the ImageJ image analysis software.

  • 植田 美那子
    2017 年 29 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    多細胞生物は複雑な構造をもつが,それらは全て受精卵という単一細胞に由来する.被子植物の受精卵は明確な細胞極性をもち,非対称に分裂することで,植物体の地上部の元となる頂端細胞と,根端や胚外組織になる基部細胞を生み出す.つまり,受精卵の極性は,植物体の茎頂と根端とを結ぶ上下軸(頂端-基部軸)の確立に重要だと考えられるが,受精卵が極性化する動態はこれまで全く分かっていなかった.しかし近年,被子植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて,受精卵が極性化して不等分裂する一連の過程をライブイメージングできる系が開発されたので,本稿ではその手法について紹介したい.このライブイメージング系によって,受精卵がダイナミックに極性化する様子が初めて明らかになっただけでなく,画像解析や阻害剤による機能解析と組み合わさったことで,受精卵極性の定量化や,極性化を生み出す駆動力の特定も可能となった.本稿では,このような研究について紹介することで,今後の体軸形成研究の展開について考えたい.

  • Noriko Saihara, Hiroyuki Tsuji
    2017 年 29 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    Florigen is a mobile signal that initiates flowering, which is generated in leaves in response to various environmental stimuli and is transported to the shoot apical meristem (SAM) in plants. The molecular nature of florigen was found to be proteins encoded by the gene FLOWERING LOCUS T (FT) and its orthologs. Recent progress in the molecular biology of florigen revealed its receptors and a transcriptional complex composed of florigen, receptor and transcription factors. In vivo imaging of florigen distribution in the shoot apex and inside a cell contributed to elucidate the essential mechanisms for florigen function. In rice shoot apex, distribution of florigen is clearly visualized by expression of FT protein fused with green fluorescent protein (GFP), and the spatial patterns of downstream gene expression are also visualized by various techniques. At the cellular level, the distribution of florigen and its receptor complex is observed through bimolecular fluorescent complementation (BiFC), which revealed dynamic changes of subcellular localization for florigen and related proteins during the formation of florigen-receptor complex. Here the technique for dissecting SAM is presented to show how SAM samples are prepared for imaging florigen, and recent advances in the regulation of flowering in relation to the contributions from the application of imaging techniques are summarized.

  • 吉村 柾彦, 土屋 雄一朗, 佐藤 良勝, 伊丹 健一郎, 木下 俊則, 萩原 伸也
    2017 年 29 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    寄生植物ストライガは作物の根に寄生し収量を大幅に減少させることから,アフリカを中心に大きな農業被害を及ぼしている.その被害は年間約1兆円にものぼり,人口増加の一途をたどるアフリカの食糧確保に向け早急に解決すべき問題となっている.ストライガは,寄生先となる植物が土壌中に放出するストリゴラクトンを認識して発芽する.この仕組みを明らかにすることはストライガ問題解決の糸口となるが,その鍵となるストリゴラクトン受容体は長い間未解明であった.本総説では,ストリゴラクトンについてのこれまでの知見を概説したのち,ストライガのストリゴラクトン受容体タンパク質同定及び発芽のメカニズム解明に関する最新の研究について紹介し,ストライガの発芽制御に向けた展望について述べる.

特集2 微細藻類の多様な魅力:分類,進化,ゲノムから形態,藻類バイオまで
  • 河野 重行, 河地 正伸
    2017 年 29 巻 1 号 p. 39-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    1/10 mmにも満たない微細な藻類の育種が注目されている.大気に含まれる酸素のほとんども,白亜の海岸も,シェールガスさえもが,地質時代に地球上で大繁殖した微細藻類に由来する.本レポートは,日本植物学会第80回大会(2016年9月16日~19日 沖縄)のなかのシンポジウム3aSB01-06「微細藻類の多様な魅力:分類,進化,ゲノムから形態,藻類バイオまで」からの報告である.微細藻類の多様な魅力を紹介するために,老若男女―黒岩先生から野村真未さんまで,さまざまなキャリアとセンスの研究者に思う存分,微細藻類の多様な魅力を語ってもらった.

  • 広瀬 侑, 池内 昌彦, 浴 俊彦
    2017 年 29 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    シアノバクテリアは,1990年代に光合成生物として初めてゲノムがシークエンスされ,光合成のモデル生物として利用されてきた.一方で,シアノバクテリアは多様性の大きな微生物群であり,我々は,シアノバクテリアの光合成アンテナが補色的に調節される光応答(補色順化)の分子機構の多様性について解析を進めている.これまでの解析により,シアノバクテリア門において,補色順化が緑・赤色光感知機構を持つフィトクロム様受容体に制御されていること,補色順化のシグナル伝達経路が2種類存在すること,光色調節を受ける光合成アンテナ遺伝子セットは4種類以上存在することを明らかにしている.さらに,これらの光色感知機構の分布は16Sリボソーム配列に基づく系統樹との相関関係が低いことから,水平伝播による進化が示唆される.今後,より大量の塩基配列情報に基づいた解析を行うことにより,シアノバクテリアの多様な光合成機構の実態が明らかになっていくことが期待される.

  • 野村 真未, 石田 健一郎
    2017 年 29 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    細胞が細胞としてあり続けるため,また自己増殖するためには,エネルギー生産や細胞分裂は欠かすことができない機能であり,これらの機能はすべての細胞が持ち合わせている.一方,主に単一の細胞のみで生活する微細藻や原生生物に目を移してみると,各々の細胞は実に多様で,特殊な機能を有していることが分かる.例えば,珪藻の細かくて精巧なガラスの殻形成や,ハプト藻のハプトネマの急速なコイリング,渦鞭毛藻のベールを使った捕食,そして,有殻アメーバの細胞外での殻形成など,これまでの細胞研究から得られた知見では説明できない現象が多数存在する.本稿では,有殻アメーバの殻形成という現象に焦点をあてた.有殻アメーバは,仮足以外の細胞質を殻の外に出すことはなく,殻を細胞分裂に先立って新たに構築し,新規殻へ娘細胞を送り込むという分裂様式を持っている.驚くべきことに,新規殻は細胞外の鋳型のない空間に,レンガ状の鱗片を仮足を使って積み上げることで構築される.Paulinella chromatophoraは,安定した培養系の確立された数少ない有殻アメーバの一種である.我々は,P. chromatophoraを材料として,有殻アメーバによる被殻構築という現象が,細胞のどのような構造や機能により引き起こされるのかを理解することで,細胞が持つ機能の可能性を探ってきた.

  • 加藤 美砂子, 杉井 昭子, 松脇 いずみ
    2017 年 29 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    トレボウキシア藻綱に属する単細胞藻類であるPseudochoricystis ellipsoidea(MBIC11204, NBRC112353)は,窒素栄養欠乏条件下でトリアシルグリセロール(TAG)を多量に蓄積するため,石油に代わるエネルギー源として有望視され,実用化に向けた大量培養や,油脂抽出の技術開発が行われている.P. ellipsoideaの近縁種は同じようにTAGを貯蔵する性質を有している.窒素欠乏条件下で合成されたTAGは細胞内の油滴と呼ばれる構造体に蓄積される.TAGの蓄積時に油滴サイズの増大が観察される.このようなバイオ燃料の生産源として屋外開放系で藻類の培養を行う場合,周辺環境への影響評価を行い,安全性を確認することが必要である.P. ellipsoideaが周辺環境に流出した場合,その環境における硝酸性窒素の濃度によってP. ellipsoidea増殖速度に影響が出ることが確認されている.また,バイオエアロゾルとしての周辺環境への飛散の予測も必要と考えられる.

  • 大田 修平, 河野 重行
    2017 年 29 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    バクテリアをはじめ,原生生物,藻類,動物の中には環境中の豊富なリンをポリリン酸の形で蓄積する生物が知られている.下水中の汚泥からリンを生物学的に除去するのを促進するために,ポリリン酸を蓄積するバクテリアが利用されている.クロレラを透過型電子顕微鏡で観察すると,電子密度が高い構造体が確認される.DAPIによる観察では,この電子密度の高い構造体は,形状や細胞内分布がポリリン酸を含む小胞と類似していることが示された.しかし,DAPI で検出されるポリリン酸顆粒,高電子密度顆粒とリン蓄積動態との関連性についてはよくわかっていない.本研究では,クロレラの一種Parachlorella kessleriを硫黄欠乏条件で培養し,走査透過型電子顕微鏡(STEM)に搭載されたエネルギー分散型X線(EDX)分析装置を用いて,細胞内のリンの局在を明らかにした.また,モリブデンブルー法によってクロレラに蓄積される総リン酸とポリリン酸量の経時的変化や電顕3D法を用いたオルガネラ体積動態解析により,クロレラ細胞は培養の初期から中期にかけて高電子密度顆粒にポリリン酸を蓄積することを明らかにした.

  • 黒岩 常祥
    2017 年 29 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    真核細胞は,基本的には2重膜に包まれた3種の細胞小器官(細胞核,ミトコンドリアと色素体)と単膜に包まれた4 種の細胞小器官(小胞体,ゴルジ体,リソソーム,ペルオキシソーム),そしてその他に膜に包まれていない中心体などの細胞構造体から構成されている.これらは何れも重要な細胞機能を負っている.これまで細胞増殖の研究では細胞核が中心であり,その他の6種の細胞小器官の分裂増殖についてはほとんどとりあげられていなかった.それはアメーバ類から高等動植物まで,これら6種の細胞小器官の数が多く,形も複雑で,ランダムに分裂するなど,詳細な構造解析が難しいことが大きな要因である.単細胞の原始紅藻Cyanidioschyzon merolae(シゾン)はゲノムサイズが小さく,7種の細胞小器官の最少セットを含み,光の明暗でそれぞれを同調的に分裂させることができる.更にゲノム情報が完全に解読されており,プロテオームだけでなくオーミクス解析ができるなど,細胞小器官の分裂の研究に多くの利点がある.その結果,色素体(葉緑体)分裂装置(リング),ミトコンドリア分裂装置(リング)そしてペルオキシソーム分裂装置(リング)を世界に先駆けて発見し,その構造と機能を分子レベルで解くことが出来た.またこれらの発見は真核細胞/細胞小器官の誕生に新たな理解をもたらした.次の課題は,こうした細胞小器官やその分裂装置はどのように誕生したのか,シゾンより更に小さな極小の真核生物は存在するのか,真核生物はどこまで小さくなれるのか等,シゾンより小さな真核生物の探索であった.最近この疑問に答えられる可能性のある常温で淡水に棲息する緑藻Medakamo hakoo(メダカモ)を発見した.本稿は,日本植物学会第80回大会のシンポジウム(オーガナイザー河野重行)でお話したメダカモに至るシゾンの研究史と,メダカモの今後の研究についての講演をまとめたものである.

シンポジウム報告
学会賞受賞者ミニレビュー
  • 岩元 明敏
    2017 年 29 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    マツモ(Ceratophyllum demersum)は沈水性の水生植物であり,花被片に取り囲まれた多数の雄蕊からなる特異な形態の雄花を持つ.この雄花における花器官の配列(数性)は多様であり,1つの個体内にもらせん状,3数性,4数性そして不定形という様々な数性が混在する.この雄花の花の発生過程を詳細に観察した結果,発生初期では雄蕊は背軸側から向軸側への単一方向発生を示すが,発生後期の花の内部の雄蕊は必ずらせん状に発生することが分かった.この初期の単一方向発生は,上の節の葉との接触による物理的圧力によって発生が変化したものであり,マツモの雄花の本来の発生パターンはらせん状であると考えられる.このことは,花発生の点からはマツモは基部被子植物群と共通性があるということを示している.また,マツモの雄花で様々な数性が生じることは,物理的接触による発生パターンの変化に起因するものであり,被子植物における数性の多様性も花芽に対する物理的な圧力の違いが原因の1つとなって引き起こされている可能性がある.このモデルを実験的に検証するため,シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の若い花芽に人工的に物理的圧力を与え,それによる花発生の変化を解析する新たな実験系を開発した.現在この実験系を用いて,物理的圧力が花の数性に及ぼす影響を明らかにすることに取り組んでいる.

  • 栗原 大輔, 水多 陽子
    2017 年 29 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    蛍光タンパク質を用いることにより,一細胞レベルだけではなく,オルガネラ,あるいは一分子レベルでの蛍光観察が可能となってきている.しかしながら,植物には,不透明なからだ,内部に気相を含む器官構造,クロロフィルを初めとする自家蛍光物質という,多くの障害が存在する.そのため,切片などを作製することなく,外部から直接,植物の内部形態を蛍光観察することは困難であった.近年,内部を均一な溶液で満たし,またクロロフィルを除去することで,からだを透明にし,丸ごと植物組織を蛍光観察する透明化技術が開発されてきた.本総説では,各種透明化技術の長所・短所を紹介し,実際に透明化技術を用いて蛍光観察する上で注意する点について解説する.

  • Hirokazu Tsukaya, Sachihiro Matsunaga
    2017 年 29 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    Following the historical finding on the important contribution of endoreduplication on cell enlargement in the epidermis of leaves and hypocotyls, sometimes people misunderstand that cell size is always proportional to ploidy level. However, it was found that the impact of tetraploidization on cell size differs among cell types. More importantly, while endoreduplication occurs also in parenchymatous cells as well as epidermis in leaves, cell size of parenchymatous cells is very uniform. Our detailed analyses showed that the impact of endoreduplication on cell size is tissue-identity-dependent. Past reports on the relationship among changes in endoreduplication, cell size and organ size should be re-examined considering the above fact.

  • 藤原 崇之
    2017 年 29 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    真核細胞が機能するための基本的なオルガネラとして細胞核,小胞体,ゴルジ体,ペルオキシソーム,ミトコンドリアがあり,植物細胞にはそれらに加えて葉緑体が存在する.真核細胞の増殖機構を解明するためには,細胞周期を細胞核の分裂周期として捉えるのではなく,すべてのオルガネラの分裂・分配周期として捉え直し,分子機構を解明していく必要がある.しかしながら,細胞核以外のオルガネラの分裂・分配機構はほとんど知られていない.哺乳類の培養細胞や陸上植物の細胞では,細胞核以外の各オルガネラの数が多く,複雑な形状を為し,且つそれらの分裂・分配に同調的な挙動を見出すことが難しいからである.著者はオルガネラ分裂・分配を解析するためのモデル生物として,単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolae(シゾンと略す)に着目した.シゾンは非常に単純な生物で,最少セットのオルガネラのみを持ち,これらを同調的に分裂・分配させられること,遺伝子数が自立増殖できる真核生物として最少クラスであり,解析すべき遺伝子が限られていること,形質転換法系が開発されていることが大きな理由である.著者は,シゾンのオルガネラ分裂・分配を解析するための基盤整備として,ターゲティングによる形質転換株作成法の確立,分子マーカーによる細胞周期の同定,遺伝子発現プロファイルの構築を行い,このプロファイルを基盤に液胞分配関連遺伝子を発見し液胞分配機構の解析を行った.本稿ではこれらを紹介する.

  • Yamato Yoshida
    2017 年 29 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー

    Chloroplasts (plastids) are able to synthesize energy-containing macromolecules for a great deal of living organisms. Consistent with their endosymbiotic origin, plastids maintain themselves by binary division. Plastid division is carried out by a ring complex called the plastid-dividing (PD) machinery; the PD machinery has inner and outer ring structures across the plastid membranes. Although many studies have been done to reveal the mechanisms of plastid division, much about the components and molecular mechanisms of the PD machinery remain to be discovered. My work demonstrated that: (1) the contractile force of the PD ring is generated via filament-sliding movement by dynamin proteins; (2) the PD ring is composed of polyglucan nanofilaments, synthesized by the glucosyltransferase PDR1; and (3) examination of the FtsZ ring reconstituted in a heterologous system revealed the assembly and contractile dynamics of the FtsZ ring. In addition, we have recently established isolation of the mitochondriondividing (MD) machinery and revealed that the ultrastructure and the dynamics of the isolated MD machinery were similar to those of the isolated PD machinery. Therefore, plastids and mitochondria divide by the action of supramolecular complexes “the PD and MD machineries” including dual contractible rings, the PD/MD ring and the FtsZ ring. These findings will lead to an understanding of how plastids and mitochondria were established during evolution.

日本植物形態学会第28回大会(沖縄)ポスター発表要旨
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