プロジェクトマネジメント研究報告
Online ISSN : 2436-2123
Print ISSN : 2436-2115
2 巻, 1 号
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巻頭言
研究報告
  • –1 on 1を活用した対話で認識ギャップを乗り越え,協業・共創するために–
    杉原 秀保
    2022 年 2 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    コロナ禍で対面機会が減少し人間関係の希薄化が進んでいる状況にある.そのような状況を放置すると,帰属意識や組織生産性の低下を招いてしまうため,適切に対処していく必要がある.ある企業で実際に行った取り組み及び得られた効果や実践上の注意点などを報告する.

  • –行政職員の業務とマネジメント–
    浦田 有佳里
    2022 年 2 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自治体における施策や事業は独自性があり期限があるプロジェクトである.その取組は,戦略・政策体系からプロジェクトやプログラム,ポートフォリオでマネジメントができると考える.近年の複雑化する事業の遂行において,マネジメントの難易度も高い.事業遂行における課題を想定し,自治体職員の仕事や働き方に関して自治体で働く職員にインタビューを行った.自治体での仕事の構成や対応,プロジェクトマネジメントの知識習得の機会などの回答を得た.自治体の事業遂行の課題の提示,体系的なプロジェクトマネジメントの必要性を考察した.

  • 飯尾 淳
    2022 年 2 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    中央大学の国際情報学部は設立3年目を迎え,3年次開講科目である「プロジェクトマネジメント」が2021年後期から開始された.同学部は情報系科目を学ぶだけではなく,情報サービスを社会に提供する際に必要となる社会のルール,すなわち法律に関する科目も学び,さらにはボーダレスなインターネットの世界に対応するための国際感覚を磨くためのグローバル教養系科目も学ぶという特徴がある.そのようなカリキュラム体系のなかで,国際化を意識したプロジェクトマネジメント科目を提供する意義と,その内容を紹介する.

  • –大学教員から見たCOVID-19による授業の変化と学生への影響–
    除村 健俊, 小林 真也, 飯尾 淳, 井上 雅裕
    2022 年 2 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの影響で大学教育も大きな影響を受けた.キャンパスは閉鎖され,対面授業ができなくなりオンライン授業が急激に導入された.大学教育は報告時点(2021年7月)までで,半期の授業が3回行われた.この間,授業形態の改善もなされ,対面授業と比較した学生の心理的影響や理解度など,多くの知見が蓄積され,多くの報告が行われている.本報告は,2021年7月に行われたPMI日本フォーラムのアカデミックセッションで実施されたパネルディスカッションをまとめたものであり,コロナ禍の中で実際に授業を実施してきた大学教員の視点から見た,授業形態の変遷や,対面授業との比較,課題,及び,後に実施されたアンケートの結果と考察などを論述する.

  • 除村 健俊, 奥田 智洋, 大小田 恵子, 藤井 新吾
    2022 年 2 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    教育界と産業界の接点は就職活動などに限られているが,大学教員の授業に加え,現役社員から学ぶことができれば,学生の視野の広がりや思考の幅を増やすために役立つと考えられる.現役社員にとっても,若い人材を育成する社会貢献は,社員の活性化ややる気の引き出しにつながると考えられる.PMI日本支部の会員には現役社員が多く,ボランタリーワークで社会貢献を希望する会員が多くいる.本報告は,PMI日本フォーラム2021のセッション「学生向け研修の事例紹介と今後の展開」の中で報告された,現役社員が学生向けの研修を実施した2つの事例を紹介する.一つは「学生によるプロジェクトマネジメント伝承の取り組み」という研修で,学生にPMの基礎を教え,それを学習した学生が新しい学生に対しPMを教える研修を企画し,実際に教えるという研修である.2つ目は,「学生向けSDGsスタートアップ研修について」という研修で,リーンキャンバスを使って事業企画を立案しプレゼンテーションする研修である.本報告では,各担当者が,それら研修の概要や狙い,気づきなどを論述し,アンケートの結果やその分析,研修活動の今後などについて報告を行う.

  • –リーンキャンバスを使った事業計画の立案と魅力的なプレゼンテーションの仕方–
    除村 健俊, 大小田 恵子, 大久保 剛, 野尻 一紀, 河合 愼一郎
    2022 年 2 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    チーム活動を通じて新しいアイデアを生み出し,リーンキャンバスを使用してアイデアを整理し,ビジネスプランとして提示するための研修を学生向けに実施した.この研修の特徴は以下の通りである.(1)現役社員が指導し,学生は会社の考え方や働き方を学ぶことができる.(2)学生は企業で期待されるチーム活動を経験することができ,チーム活動により研修内容の理解が深まることが期待される.(3)現在企業が提供しているサービスの状況を理解しそれを超えるアイデアを生み出す演習により,プロジェクトマネジメントの流れと仕事の流れを体験することができる.(4)企業が求めるプレゼンテーションスキルを学ぶことができる.本報告書では,各研修セッションの担当者がそれぞれの視点から本研修に対する考え方や気づきなどを報告し,さらに,アンケートの結果と今後の研修計画についても論述する.

  • –オーバー60歳の初心者による初フルマラソンの完走への適応事例–
    勝連 城二
    2022 年 2 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    DX時代の多くのプロジェクトにおいて,新たなビジネスモデルの創出のために,組織も個人も時代の大きな変化に対して変わることが求められている.そのためには,まず自分自身からということが我々に突きつけられており,プロジェクト・マネジャー(PM)として“自己変革のすすめ”の必要性である.その方法として,タレント・トライアングルの実践を通して挑戦的プロジェクトに取り組むことの効果を検証し,その成功を実現し,DX時代に生き残るために必要なPMのマインドセットを獲得することの重要性を,昨年2020年のPMI日本フォーラムで提言し,挑戦的プロジェクトの事例分析を報告した.

    本発表では,63歳の私自身が新たな挑戦として取り組んだ“人生初の,フルマラソンにおいて,初完走をめざす挑戦的プロジェクト”において,PMとして“タレント・トライアングル”の実践を通して,その有効性と成果の検証を行い,“自己変革のすすめ”のヒントを獲得できることを実践事例として報告する.

  • –アジャイルを可能にするマネジメント・コントロール–
    井芹 薫, 中村 正伸, 齊藤 毅, 佐藤 祐也, 中島 洋行
    2022 年 2 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    「日本においてアジャイルの普及を阻むものは何なのか?」この問いに答えるため,PMI日本支部は2018年に明治大学との共同研究プロジェクトを立ち上げ,日本でアジャイルの普及を妨げる「重層的問題」について調査を続けている.昨年は,先行研究が表層に当たるアジャイル技法に焦点を当てていることを確認し,アジャイル加速要因としての国際法,業界および開発環境,すなわち深層の重要性について議論した.本報告書では,組織水準に焦点を当て,アジャイルに親和的なマネジメント・コントロールについて,サイモンズの分析枠組みを参照して議論する.

  • –PMCDF第3版を活用する–
    三宅 由美子
    2022 年 2 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    プロジェクト・マネジャーは,所属組織から求めるコンピテンシーが示されれば,プロジェクトマネジメント教育を受けたり,プロジェクトを実践したりする際に,そのコンピテンシーを獲得できるように行動することができる.しかしながら,近年のプロジェクト・マネジャーは,ウォーターフォール開発だけではなく,アジャイル開発をマネジメントする機会が増加し,求められるコンピテンシーが変化してきている.PMCDF第3版は,PMのコンピテンシー開発のためのフレームワークであり,組織が求めるコンピテンシーを定義するときに役立つ.本論文では,PMCDF第3版を活用したDX時代のプロジェクト・マネジャーのコンピテンシー定義について提言する.

  • –PMIJ及びJISAのアジャイル開発調査に対するJASPIC流改善アプローチの検証–
    和良品 文之丞, 磯野 聖, 桝井 映里
    2022 年 2 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    アジャイル開発は多くの組織で採用され優れた成果を上げている.その一方で,期待した成果が得られずアジャイル開発の導入をやめる組織も少なからず見受けられる.その原因の一つにはアジャイル開発導入に対する組織やプロジェクト特有の課題があり,同じアプローチでも結果が一意でないという難しさがあると思われる.本論文では,PMI日本支部(以下,PMIJ)とJISAの調査結果から得られたアジャイル開発の導入・推進に関係すると思われる回答を,JASPICのアジャイル開発スタートアップキットに含まれる「アジャイル開発問診票」に入力することによって,マインド,文化,チーム,プロジェクトの観点で課題を抽出する.調査の観点の異なる二つのサンプルにおける課題を考察し,課題解決に向けた「アジャイル開発問診票」による診断と助言の有効性を検証する.

  • –作る方法というものを開発していくこと–
    成田 和弘
    2022 年 2 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    2021年度アジャイルプロジェクトマネジメント実態調査では,組織のプロジェクトの取り組みや回答者のアジャイルの認識は,昨年と変わらず足踏み状態であった.アジャイル適用業務の達成度の多くは回答者によるばらつきが大きく,「上回る」ものも「下回る」ものも多い.また,変化に対応できていないと思われるアジャイル適用業務も散見された.アジャイル経験者のアジャイルに対するネット・プロモーター・スコア(以下NPS)は−8と昨年に引き続きマイナスとなり,分析の結果,導入時の人材育成の状況がNPSに大きく影響していることが判明した.本稿では,種々のアジャイルプラクティスに形式的に従うのではなく,それぞれの組織と開発対象に合わせた自分たちのアジャイルでPDSAを実践し,継続的な組織の知識創造と人材育成を進めて「作る方法というものを開発していくこと」を提言する.

  • –EVMをパフォーマンス・マネジメントに適用する歴史的知見の研究ノート–
    泉澤 聖一
    2022 年 2 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    近年,EVMはパフォーマンス・マネジメントに必要不可欠の手段として進化している.その進化の歴史的経緯と教訓には,EVMを戦略的にパフォーマンス・マネジメントに活用する有用な知見が数多く含まれている.本稿では,この進化の歴史を時々刻々と追跡考察することで,パフォーマンス・マネジメントとプロジェクトマネジメントの戦略思考に必要な知見と洞察の情報を提供する.

  • –パフォーマンス・マネジメント指向に進展する米国動向の研究ノート–
    泉澤 聖一
    2022 年 2 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    2010年頃から,米国内の官公庁を中心とする多くの組織で,EVMを効果的に活用するパフォーマンス・マネジメントの重要性を認め,導入する取り組みが大きく進展している.本稿は,日本ではあまり知られていないこれらの先進的取り組みを紹介し,現在の変化とこれからの趨勢を洞察することで,我々が今後考えていかなければならない取り組みのための課題と知見の情報を提供する.

  • –海外動向に見る未来のPMOが目指すべき方向–
    西原 真仁
    2022 年 2 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    PMOの国際的なネットワークである「PMO Global Alliance」が主催している「PMO Global Awards」の過去3年間のファイナリスト企業の事例から,海外におけるPMOの役割や動向をレポートし,日本のPMOの役割や必要とされる人材像について考察する.

  • 下池 季樹
    2022 年 2 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    首都直下地震や南海トラフ巨大地震等が,近い将来高い確率で発生すると告げられている.また,気候変動による豪雨災害等,激甚な自然災害が今後も発生すると予測される.課題は大小さまざまな被害が後を絶たない現状にある.被害最小化に効果的なマネジメント手法を解明することを目的に,自然災害や被害の現状・課題から考え方を示す.結論はプロジェクト,プログラム,ポートフォリオの三位一体化マネジメントである.また,人間の行動や心理からの課題についても,行動経済学を含め問題提起する.

  • –SDGsスタートアップ方法論適用モデル①–
    高橋 正憲, 内海 康雄, 歳弘 浩三
    2022 年 2 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    本稿は,舞鶴工業高等専門学校が中心となって,舞鶴市,KDDI株式会社との協業で取り組んだSDGsスタートアップの産官学連携モデルの成功例を記述する.近年,小規模河川の氾濫による浸水被害が多発しており,洪水予測により効果的な防災・減災対策の確立を進めた.SDGsスタートアップ方法論に沿って仮説検証を進めることによってステークホルダーごとの課題が明確になり,関係者間の連携・合意形成を適切に行うことができた.また反対に,本件実行過程における仮説検証の際にアプローチ・プロセスを洗練し,SDGsスタートアップ方法論の確立に寄与した.現在,舞鶴市を取り巻く北近畿地域(5市2町)への本件の展開を進めている.

  • –SDGsスタートアップ方法論適用モデル②–
    高橋 正憲, 小坪 拓也, 竹田 憲一
    2022 年 2 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
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    株式会社カルティブが運営する「企業版ふるさと納税支援事業(river)」の初期の構想から2年間で軌道に乗せるまでに至る,SDGsスタートアップ方法論を適用してプラットフォーム・ビジネスを立ち上げた成功例を記述する.

    企業版ふるさと納税制度を活用して,地域再生計画を進める自治体と,資金提供企業,ソリューション提供企業の連携をコーディネートし,2021年12月末現在で200件を超える寄附を成約している.

    SDGsスタートアップのフレームワークを初めは忠実に実行し,改善を加えて順次プラットフォーム・ビジネスに適合化していった.新手法を導入する《守》《破》《離》のステップを典型的に進めた事例である.

  • –次世代のPMOに向けて–
    遠藤 猛, 冨田 寛
    2022 年 2 巻 1 号 p. 107-112
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    企業が競争上の優位性を確立するには,常に変化する社会や顧客の課題を捉え,素早く変革し続ける能力を身に付ける必要がある.今般のCOVID-19の流行により困難な状況から回復する過程で高まったレジリエンスによって,組織の俊敏性や適応力に注目が集まり,そのアプローチとしてビジネスアジリティ実践やアジャイル開発の重要性が一機に高まった.しかし,いざアジャイルの導入フェーズになると多様な手法に加え専門用語に圧倒されることも少なくない.本書の前半は,PMO研究会内で戦略的PMO 18機能から競争優位性を生み出す強化ポイントをディスカッションし,その一例として現場現物を把握するパフォーマンス管理の重要性とアジリティ確保に向けた実施方法を紹介する.後半の6章は,適用事例が少ない製造業におけるアジャイル適応シーンとPMOの役割を考察する.

訂正記事
編集後記
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