プロジェクトマネジメント研究報告
Online ISSN : 2436-2123
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3 巻, 1 号
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巻頭言
研究報告
  • -数理手法によるプロジェクトの戦略決定の研究ノート-
    泉澤 聖一
    2023 年 3 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    プロジェクトマネジメントでは,その五つのマネジメント・プロセス期間中,戦略的な計画練り直しとその意思決定を必要とする場合が多い.このような戦略決定を的確に行うには,定性的な方法論だけでは不十分で,監視測定の数値データからいくつかの数理手法による多視点かつ多面的な定量的分析も必要になる.本稿では,一般にあまり知られていない,戦略決定に数理手法を活用する意義,有用性,AI化の課題などを紹介することで,戦略決定に必要な知見と洞察の情報を提供する.

  • -PMBOK®ガイド建設拡張版普及に向けて-
    下池 季樹
    2023 年 3 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2022年9月13日(火)に『PMBOK®ガイド建設拡張版(以下,建設拡張版)』紹介セミナーが開催された.このセミナーの中で建設拡張版との適用事例による緊密(関係が密接)度評価を行った.具体的には,「(事例1)土壌汚染対策事業におけるトラブル事例」,「(事例2)遺跡発掘中の水銀出土事例」および「(事例3)高速道路建設における事業促進PPP事例」の3事例に対して緊密度評価を行い,その結果,建設産業に体系的な建設拡張版の概念が緊密に必要であることを示した.

  • -アジャイル成熟に向けたシステムライフサイクルプロセス活用のすすめ-
    成田 和弘
    2023 年 3 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2022年度アジャイルプロジェクトマネジメント実態調査では,組織のアジャイルへの取り組みが緩やかながら進んでいるとの結果が得られた.一方,アジャイル経験者の「アジャイル」に対するネット・プロモーター・スコア(NPS)は-18と3年連続のマイナスとなった.ソフトウェアライフサイクルプロセスを使用した,「アジャイル適用業務」と「非アジャイル開発」の比較により,その成功には複数のプロセスの複雑な関与があるとの結果が得られた.このライフサイクルプロセスは,開発手法にかかわらず,共通の言葉で必要なプロセスを指し示しての評価・改善を可能にする.多くの関係者と協調し,環境の変化に柔軟に対応する「アジャイル」なシステムサービスの創造を目指す組織にこそ,このソフトウェアライフサイクルプロセスを活用したアジャイルの推進を提言する.

  • -リーダーシップのEIを向上させる具体的な方法論“ジョギング禅®“の実践-
    勝連 城二
    2023 年 3 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    多くのプロジェクト・マネジャー(PM)に,例えば,フルマラソンの挑戦という“難関プロジェクト”への挑戦による“自己変革のすすめ“を提唱しても,その困難さと大きなリスクを抱えたプロジェクトへの挑戦は容易ではなく挑戦できる人が多くないという課題があった.筆者は,新たな手法として,多くのPMが実践でき,日頃の鍛錬によりDX時代のPMスキルであるタレント・トライアングルのリーダーシップの中,特に重要なEI「(Emotional Intelligence)感情的知性」:共感力,自己認識力,感情のコントロール力の向上をもたらす具体的な鍛錬の方法論を提案する.この新手法は,“ジョギング禅®”[1]と呼ぶ.これは“動的瞑想を取り入れたジョギングによる禅の実践”であり,新手法の実践による効果の検証と成果について報告する.

  • -PMBOK®ガイド第7版との関係に着目-
    西原 真仁
    2023 年 3 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2009年に発刊された書籍「戦略的PMO」. この本の内容は発刊当時のPMI本部のPMOに対する考えとも一致しており,最新のPMBOK®ガイド第7版にもその考えが垣間見られる.同書籍発刊から13年目を迎えるが,書籍内容と日本国内におけるPMOの実態とはまだまだ乖離も大きい.

    今後,日本でも「戦略的PMO」を実現させるべく,海外PMO事例とPMBOK®ガイド第7版でのPMOの扱いを紹介し,日本のPMOが目指すべき方向性について考察する.

  • 端山 毅
    2023 年 3 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    PMBOK®とPMP®,ISO9001やCMMI®などの国際標準や社外で規定されたフレームワーク(以下,外部標準という)を全社的施策や制度整備に利用した経験に基づき,これら外部標準を効果的に実装し定着させ,会社の競争力向上に貢献する上では,唯名論的解釈が重要であることを主張する.変化し続ける技術や市場に的確に対応し,現場の有識者の協力を得て,個人と組織の学習を促進する上では,実在論的解釈は弊害が大きく,唯名論的解釈に立つことの必要性を解説する.

  • -プロジェクトシートを用いたプロジェクトの可視化と理解-
    池田 修一, 奥田 智洋, 楠川 達也
    2023 年 3 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    未来創造ワーキンググループは,これまでプロジェクトマネジメントに関わりも持って来なかった若手層や,これからプロジェクトマネジャーを目指していこうと考えているリーダー層に向けて,2021年からそういった「ネクストジェネレーション」向けの施策として未来創造セミナーを展開してきた.そして2022年からは,そのセミナーを受講してきた参加者に,もう一歩,プロジェクトマネジメントの理解を深めていただくための未来創造ワークショップを新たに企画し,開催することとなった.本研究報告は,その未来創造ワークショップについて,企画段階から開催までの振り返りと今後の展開について紹介する.

  • -プロジェクト・プログラム・ポートフォリオマネジメントによる事業遂行-
    浦田 有佳里
    2023 年 3 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    近年,地方自治体では,スマートシティ,脱炭素やSDGsへの取り組みなど,関係者も多く,複雑な事業が増え,戦略から計画を策定し,柔軟に実行していく必要が出てきている.今まで自治体では事業を遂行するためのマネジメント手法のスキルアップがほとんどなされていない状況であった.民間では若手からプロジェクトマネジメントの手法を学んでいくことが多いが,オペレーションが業務の多くを占める自治体ではプロジェクトマネジメントは不要な場面も多かった.近年,自治体を取り巻く環境が変わり,多くのプロジェクトが発生している.そのような中,事業(プロジェクト)を成功裡に進めるために筆者が支援する自治体にプロジェクトマネジメントの適用を行うこととなった.本報告では,当該自治体でのプロジェクトマネジメントの適用事例について報告する.

  • ―未来創造ワーキンググループでの活動を通じて得られたこと―
    大木 孝, 谷口 和行
    2023 年 3 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    PMI日本支部はプロジェクトマネジャーの会員が多く年齢的にベテラン層が多い.これからの日本支部が成長するには次世代のプロジェクトマネジャーとなる若手層に入会してもらう必要がある.若手層にどのように日本支部を認知してもらうか,未来創造ワーキンググループはその課題を解決するために立ち上がった.2021年から2022年にかけて,若手層へのアプローチを試みた.2022年に実施した施策をマーケティングの切り口から紹介する.今後の日本支部のとるべきマーケティングの方向性についても考察する.

  • -大学初の“攻めのERM”を目指す取り組み-
    山﨑 淳一郎, 佐藤 法仁, 那須 保友
    2023 年 3 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2020年度から導入を進めたERM(Enterprise Risk Management)は,ERM研修やERM構築プロジェクト,ERM組織風土醸成プロジェクトが,大学経営改革の基盤強化や体質強化へとつながった.その取り組みの概要を報告する.

  • 堀尾 洋人, 笹川 昌志, 金﨑 涼
    2023 年 3 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    VUCAワールドと呼ばれる変化の激しい現代において,Project Manager(PM)を取り巻く環境も大きく変化している.その中で活躍し,生き残るためには新しいPMコンピテンシーが必要である.2017年,PM創生研究会は,オムロン株式会社・竹林一氏が提唱している,イノベーションを起こす組織の「起承転結」型人材モデルに遭遇し,そのモデルを参考にして「起承転結」型個人モデルを発案した.本報告は,これまでの成果を言語化することにより,次の議論や研究への足がかりとなることを目的とする.

  • 三木 章義, 近藤 アンリ
    2023 年 3 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    生き残りをかけたビジネス環境は激しさを増している.企業は競争優位を得るために,自社のリソースや能力を再構築し,ビジネスモデルを変革することに苦心している.日本では,多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に挑戦しているが,成功しているとは言い難い.本研究では,まずダイナミック・ケイパビリティのレビューから始め,企業がビジネスモデルの変革を成功させるための方法について仮説を構築しその一部を検証した.

  • 森本 千佳子
    2023 年 3 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2018年に経済産業省が「デザイン経営」を宣言した.これはデザインの力をブランド構築やイノベーション創出に活用しようという動きである.産業界でもデザイン思考が注目されているが,これは,ゴール志向型のプランナブルなプロジェクトとは異なり,ゴールそのものを創発・探索するプロジェクトであり,探索型アプローチ(Exploratory Approach)が必要となる.本稿では,東京理科大学経営学部国際デザイン経営学科が,北海道の長万部町の協力を得て,地元に根ざした課題発見・解決プロセスに取り組んだ「コ・デザイン」プロジェクト事例を分析し,創発的プロジェクトにおける探索型アプローチの勘所について述べる.

  • 橋本 欽司, 勝連 城二, 村山 慎二, 大西 徹, 松下 貴司
    2023 年 3 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    プロジェクトマネジメント実践研究会は,2007年に発足した関西初の研究会である.2010年から実践事例ワークショップを企画し,通算22回開催してきた.2016年からはショートケースメソッドを用いた実践ワークショップを継続的に実施しており,2019年には全国9都市での地域セミナー2019でワークショップを開催した.本研究報告では,まず,ショートケースメソッドを用いたPM実践ワークショップのねらいと内容について紹介する.次に,地域セミナー2019での実践内容について報告する.さらに,参加者からのアンケート結果を用いて,プロジェクト・マネジャーの実践力向上効果とリピート参加希望率96%を達成した参加者のモチベーション向上の要因を分析する.最後に,ショートケース・ワークショップの今後の方向性について述べる.

  • 大西 徹
    2023 年 3 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    本稿では1970年に提唱されたSINIC理論の未来予測を参考に,今後求められると考えるコミュニティ運営について試行した内容を報告する.SINIC理論によると2025年頃から自律社会へと移っていくとされており,人々の関心が「個人から集団へ」,「物から心へ」と重心が移った社会を想定している.そこで求められる組織やコミュニティのマネジメントに,効果的にプロジェクトマネジメント手法を適応する可能性について考察を述べ,今後に資する研究の端緒とする.

  • 三木 章義, 稲葉 涼太
    2023 年 3 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    サステナビリティは,企業にとって最も重要なテーマの1つである.SX(Sustainability Transformation)にいち早く取り組んだ企業は先行者利益を得ることができる.しかし,その優位性は一般化され,やがて失われていく.本研究では,SX後の競争優位の獲得方法を明らかにし,"エメラルド・オーシャン "という戦略概念を提唱する.

  • ― 研究報告でより効果的な情報共有をするために ―
    飯尾 淳
    2023 年 3 巻 1 号 p. 98-105
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    PM研究報告に寄せられる論文の質的向上を期待して,そもそもなぜ論文発表すべきなのか,論文や研究発表とは何か,その質を担保する仕組みはどうなっているか,研究論文の具体的な書き方などについて紹介する.なお,本解説は,PM研究報告Vol. 3の原稿募集に先駆けて実施されたオンライン講座「論文の書き方セミナー」から抜粋して加筆修正のうえ文書化したものである.

編集後記
編集委員
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