本研究は,日本の製造業におけるプロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)を「コミュニケーション・ハブ」として再定義し,『PMO実務ガイド』[1] に示されたコンピテンシー・フレームワークを参照軸として,製造業PMOに求められる行動様式と能力開発の方向性を整理するものである.日本の製造業は,長年にわたり業務効率の最大化を追求してきた歴史を有しており,その過程で事業・機能ごとの縦割り構造が固定化されてきた.また,日本文化特有の階層社会や曖昧な言語表現,ベビーブーマーからZ世代に至る価値観の多様化など,文化的・世代的要因に起因するコミュニケーションの壁も存在する.こうした構造的・文化的・世代的な壁を前提として,本研究ではPMOが果たすべき4つの役割(橋渡し役,アライメント形成者,調整者,意思決定支援者)を提示し,13項目からなるコンピテンシーを抽出した.さらに,それに基づき,自己認識・開発計画・学習・フィードバックの4段階から構成される能力開発モデルを提案する.
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