自然に導かれる、人々がより良い選択を自ら行うといった意思決定を行うために、ゲームやそれら特性を取り入れ、地域社会への適用がみられる。一方でこのようなより良い方向に促す手法として、イギリス政権において取り入れられたナッジ理論があるが、本研究が焦点をおくデジタルゲームにおいてもそのようなナッジ要素を持ち合わせていると考える。そこで本研究ではデジタルゲームにおける意思決定の前後の要素および影響の程度を把握し、「高レベル放射性廃棄物(以下HLW:High-level radioactive waste)処分に関する対話の場」に活用できるのかを考察することで、基礎的知見を獲得することを目的とした。まず、デジタルゲームを通じて、自然にそのように意識した、行動を行ったのは何故か(ナッジ、トリガー)、またどのような考えや行動を行ったのか(言行動)、それによる効果・問題解決は何か、具体的な要素を明らかにした。次に、トリガー、効果・問題解決に関する要素に対する影響の程度を把握し、実社会に適用しうる重要な要素かを確認した。そして、本結果にナッジ理論の構成要素のEASTと照らし合わせて考察を行った結果、「マインクラフト」は、低年齢から取り組めるゲーム(Easy)、テーマに沿って自由な表現(Attractive)、同じテーマを考える空間(Timely)において表現内容を他者に共有・波及(Social)することが可能であり、これまでも学校教育、エネルギー分野での実例が確認できる。さらに、人々の意識・行動の選択に影響を与える要素の一部にも該当する。これより、知る・考えることを働きかけ、良い選択に導く影響力も期待できることからHLW処分に関する対話の実践場においても貢献できると考える。
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