小児リウマチ
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5 巻, 1 号
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  • ― 社会的責任と医学的進歩と
    伊藤 保彦
    2014 年 5 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
  •  
    森 雅亮, 横田 俊平
    2014 年 5 巻 1 号 p. 4-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    RSウイルス重症感染の予防として2002年から特異的なヒト化モノクローナル抗体パリビズマ ブが本邦で承認され,2013年5日時点でのパリビズマブの適応症は①在胎期間28週以下の早 産で,12か月齢以下の新生児及び乳児,②在胎期間29~35週の早産で,6か月齢以下の新生 児及び乳児,③過去6か月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24か月齢以下の新生児, 乳児及び幼児,④24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児,乳児及び幼 児となっている.他方で免疫不全,気道疾患,神経・筋疾患,染色体異常,奇形症候群,在宅 人工呼吸管理の症例などもハイリスクと考えられるが1~3)これらは含まれていない. 本邦におけるRSウイルスの感染実態を明らかにすべく,全国の小児科専門医研修施設および 準ずる施設を対象にアンケート調査を行い,免疫抑制状態にある患児(ステロイド薬・免疫抑 制薬使用,免疫不全,白血病・悪性疾患及び移植など)およびダウン症候群におけるRSウイ ルスの感染実態を明らかにし,これらの疾患がハイリスクであることを示した4).また,免疫 不全状態の児は米国でもハイリスクとされ保険償還されている地域がある.小児リウマチ学会 および小児血液・がん学会はこれらに基づき,厚生労働省に追加適応の要望書を提出した.「医 療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」による検討の結果,臨床試験が実施され, 2013年8月に追加適応が承認された. それに伴い適正使用推進を目的にパリビズマブ使用の手引きが[1]免疫不全症([1.1]先天性・ 後天性免疫不全症,[1.2]造血器悪性腫瘍・固形腫瘍・骨髄不全症・造血幹細胞移植および固 形臓器移植,[1.3]腎1蔵病,リウマチ・炎症性疾患および免疫抑制を伴う薬剤の使用),[2]ダ ウン症候群に分けて作成されたのでここに紹介する.
  • 木澤 敏毅, 堤 裕幸, 横田 俊平
    2014 年 5 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    小児発症全身性エリテマトーデス(SLE)は,その発症に自己免疫機序が関わる慢性炎症性疾患 である.本症の予後を大きく左右するループス腎炎の合併率が90%以上と,成人に比べ多いことが問 題になる.したがって,ループス腎炎の早期抑制を主たる目的として,経静脈的シクロフォスファミ ド(IVCY)療法による寛解導入とともに,寛解維持療法としてステロイドとアザチオプリン(AZP)併 用療法の有効性が報告され,IVCY療法とともに標準的治療として用いられてきた. 一方で,これらの治療にも不応な例や,副作用のため薬剤の中断を余儀なくされる例が存在し,新た な治療法が求められている. 当科では,2006年以降重症ループス腎炎を併発するSLEの寛解導入・維持療法としてIVCY療法とと もに少量ステロイド+ミコフェノール酸モフェチル(MMF)療法を実施し,効果を上げている. 今回,小児重症ループス腎炎を併発したSLEに対するMMFを含めた新しい治療法につき,病態にお ける作用機序という観点から報告したい.
  • 石川 さやか, 清水 正樹, 杉本 直俊, 谷内江 昭宏
    2014 年 5 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:s-JIA)の病態におけるInterleukin(IL)- 33と,その受容体であるST2の役割を解明するため, s-JIA患者のIL-33とsoluble ST2(sST2)の血 清中濃度を測定し,病勢および重症度との関連について検討した.s-JLへ患者24名,リウマチ因子 (rheumatoid factor:RF)陽性の多関節型若年性特発性関節炎(poly-JIA)患者5名,コントロール20名 について解析した.s-JIA患者では,活動期においても多くの症例で血清IL-33濃度は感度以下だったが, RF陽性poly-JIA患者では有意に高値であった.一方s-JIA患者の活動期の血清sT2濃度は有意に高 値であり,他の臨床パラメータが正常化した非活動期においても有意に高値が持続していた.また血 清sST2値は,病勢を示す他のパラメータと正の相関を示した.これらの結果から, ST2はs-JIAの病 態に深く関与しており,sST2は病勢を示すバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された.
  • 井上 なつみ, 清水 正樹, 田崎 優子, 石川 さやか, 上野 和之, 横山 忠史, 谷内江 昭宏, 麦井 直樹
    2014 年 5 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    全身性強皮症(Systemic Sclerosis:SSc)や若年性皮膚筋炎(Juvenile Dermatomyositis:JDM)におい て,微小血管障害はその病態に深く関与している.Nailfold video capillaroscopy(NVC)は簡便かつ非 侵襲的に直接微小血管の形態を観察できる方法である。JDMやSScではNVCで特徴的な異常所見が みられ,早期診断・鑑別診断にも有用である.今回我々はSSc 1症例, JDM 2症例においてNVC所見 の経過を長期間にわたり治療経過とともに観察できた。いずれも病勢を反映して所見が変化し,治療 効果の観察にも有用であった.NVCは,リアルタイムに微小血管の形態を観察することができ, JDM およびSScの早期診断病勢評価に対して非常に有用であると思われる.
  • 菊地 雅子, 野澤 智, 佐藤 知美, 西村 謙一, 金高 太一, 櫻井 のどか, 原 良紀, 山崎 和子, 横田 俊平
    2014 年 5 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    当科では,若年性線維筋痛症 juvenile fibromyalgja:JFM)に対して,環境分離を主軸とする入院治療 を行ってきた.入院の適応は,重症例もしくは社会的因子が病状に強く影響している場合である. 入院では,規則正しい生活と院内学級通学,リハビリテーションが治療の中心であり,同時に環境調 整(家族や学校との面談)を進め,必要に応じて薬物療法を併用する. 2001年3月~2012年12月までの期間に,当科で入院加療したJFM患児32例について,その効果と 実際について検討した.結果は,臨床症状と重症度において,退院時のステージが17例(53%)で改 善し増悪は1例のみだった.また,入院中9例(31%)に圧痛点の減少があり,うち6例(19%)は退 院時に圧痛点が消失した.入院時に不登校の患児は25例(78%)で,うち9例(36%)が退院後3か月 の時点で登校可能となった. 入院治療による多面的なアプローチは,JFMの症状改善に有効と考えられた.
  • 藤丸 季可, 熊谷 雄介, 上田 博章, 西野 一三, 堀野 朝子, 九鬼 一郎, 外川 正生
    2014 年 5 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    症例は,3歳男児。人院1か月前から発熱を繰り返し,下肢痛のため歩行困難となった。発疹,口唇 発赤,頸部リンパ節腫脹,四肢の浮腫を認め,溶連菌迅速検査陽性を指摘された。入院1週間前から 全身に痛みが広がった。顔面に浮腫を伴う紅斑や筋逸脱酵素の異常高値CK 9,8121 U/L>を認めたが,ゴッ トロン徴候やヘリオトロープ疹はみられなかった。川崎病としてγグロブリンを投与したが,解熱後 も臥床状態が持続した。入院前のCK値上昇はなく,筋ジストロフィーは否定的であった。 MRIで両 側大腿筋がT2強調脂肪抑制像で高信号を示した。筋生検で筋線維の不規則な大小不同,筋束周辺の 筋線維萎縮,筋壊死像などを認めた。小児皮膚筋炎(JDM)と診断し,ステロイドパルス療法を3クー ル施行。MRI所見やCK値が改善し,独歩可能となった。 JDMの主症状は,特徴的な皮疹と体幹近位 筋の進行性筋力低下とされるが,血管障害を背景として全身に多彩な臨床症状を呈する場合は,川崎 病などの血管炎症候群との鑑別が必要である。
  • 濱田 匡章, 三浦 修治, 赤澤 英樹
    2014 年 5 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    症例は13歳の女子.感冒症状を訴えて当科外来を受診した.発熱はなく,顔面に蝶形紅斑を認め, 上肢伸側に掻痒を伴う小丘疹が散在していた.また,四肢近位筋優位の筋力低下が明らかであった. 蛋白尿を認め,血液検査ではクレアチンキナーゼが 6,802 IU/Lと著明な高値を示した. MRI検査で両 側大腿前部を中心に筋炎所見がみられた.若年性皮膚筋炎と診断し,初期治療としてステロイドパル ス療法を2クール行ったが効果が不卜分であったため,シクロホスファミド静注パルス療法を行ったところ著効し, 筋力は回復した.しかし,シクロホスファミド静注パルス療法の投与間隔を延長した際に,筋原性酵素が再上昇したため, シクロホスファミドを中止し,ミゾリビンに変・更した.これにより,筋原性酵素は低下し,経[ステロイドの漸減が可能となった. シクロホスファミド静注パルス療法は,副作用の問題から継続的投与は困難であるが,比較的副作川の少ないミゾリビンは難治例に 対して有効であることが示唆された.
  • 金山 拓誉, 清水 真樹, 岩井 艶子, 岩井 朝幸
    2014 年 5 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    症例は1か月の女児で,母親に抗U1RNP抗体陽性の混合性結合組織病の既往があった.生後1か月 すぎより口腔内潰瘍による哺乳不良,体重増加不良,軽微な紅斑が出現した.1週間の経過で口腔内 潰瘍は改善したが,この間に紅斑は増悪した.児からも抗U1RNP抗体が検出され,新生児ループス (NLE)と診断した.体重増加は良好となり,紅斑に対してはステロイド外用を開始したところ徐々に 軽快し,生後6か月で完企に消褪した.心電図異常はなかった.NLEは母体由来の白己抗体が経胎盤 移行することによって起こる自己免疫症候群で,抗SS-A抗体や抗SS-B抗体が原囚となることが多い が,本症例は比較的まれな抗U1RNP抗体陽性の女児例であった.口腔内潰瘍や体重増加不良が初発 症状で,その後紅斑が増悪した経過も興味深く,報告する.
  • 水田 麻雄, 笠井 和子, 中岸 保夫, 三好 麻里
    2014 年 5 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    症例は6か月女児.抗菌薬に反応しない不明熱の精査目的で当院に紹介受診された.発熱,発疹以外 の症状は認めず,炎症反応高値,心臓超音波検査にて冠動脈瘤を認めたため,当初は川崎病を鑑別疾 患に挙げた.しかし第36病日の造影CTにて血管病変を認め,高安動脈炎(病型分類V型)と診断した. 第37病日より抗凝固療法を併用しながら,メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法による治療を開 始した.しかし経過中に冠動脈瘤の拡大を認めたため,mPSLパルス療法を中止し,第45病日よりシ クロホスファミドパルス療法を施行.比較的速やかに解熱炎症反応の改善を得た,その後アザチオ プリン(AZP)を併用しながらシクロホスファミドパルス療法を計6コース施行したが,現在までに冠 動脈及びその他の動脈狭窄の進行は認めていない、川崎病と高安動脈炎との鑑別,治療法の選択に苦慮した症例であった.
  • 木澤 敏毅, 津川 毅, 竹内 孝子, 鎌 崎 穂高, 要藤 裕孝, 五十嵐 敬太, 山本 雅樹, 堀 司, 畠山 直樹, 斉藤 淳人, 東 ...
    2014 年 5 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    腸管Behcet病と診断した12歳男児を経験した.児は幼少時より非周期的に反復する発熱,口腔内ア フタを呈し,血液検査では炎症反応の上昇を認めていたが各種培養は陰性であった.不明熱,周期性 発熱としてCT, MRI,シンチグラムに加え,骨髄穿刺を施行したところ,染色体検査でtrisomy 8と 判明した.trisomy 8の存在から腸管Behcet病を疑い内視鏡検査を実施したところ,食道下部及び回盲部に円形の潰瘍を複数個所に認めたため,trisomy 8に伴う腸管Behcet病と診断した. trisomy 8に伴う骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の報告が散見されているが,血球系には異常を認めなかった.不明熱の診断過程にて骨髄染色体の異常が診断につながった希有な症例であり,腸管Behcet病の発症機序を考えるうえで非常に興味深い症例と考えられた.
  • 櫻井 嘉彦, 高田 睦三, 高塚 英雄, 西野 正人
    2014 年 5 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー
    小児期の発熱は,そのほとんどがウイルスあるいは細菌感染症に伴う急性の発熱であるが,ときに遷 延する発熱に遭遇することがある.自己炎症症候群が見出されたことにより,近年は原因不明の発熱 を診断しうる機会が増えたが,いまだにその鑑別に苦慮することがある.症例は14歳の女了.頭痛, 嘔気,嘔吐,食欲不振,全身倦怠感などの症状とともに,38℃を超える発熱が持続するため受診した. 発熱に対して解熱薬は無効であった.鑑別疾患として,感染症,腫瘍,薬剤性発熱,自己免疫疾患, 自己炎症症候群等を検討した.繰り返し施行した血液検査では,炎症マーカーは常に陰性であった. 発熱時に施行したGaシンチグラフィーでは有意な所見を得られず,さらに炎症性サイトカインが基 準値内であったことから心因性発熱と診断した.心因性発熱において高熱が遷延することはまれであ ることから診断の確定に難渋した.原因不明の遷延する発熱を診た場合,心因性発熱も考慮する必要 があると思われる.
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