防波堤の計画設計並びに施工に当つて, 波浪の観測は最も基本的な業務である。
名洗港は昭和27年に工事着手以来, トランシットに依る目測式の観測を行つて来たが, 波の理論が急速に進歩して来た現在では, 波形の連続記録を取らねば波の特性を調べるには不充分となつた。運輸技術研究所ではこの目的に水圧式波高計を試作し, 現地観測用として我国の港湾に於ける波浪観測法は確立された。
当港に於ても昭和29年以来これを使用して観測を行つて来た。然し水圧式波高計は海底水圧の変化から表面波高を間接的に求める点に難色があると云われている。
この関係を確めるには撮影機による対比が一番正確であるが, 整理に莫大な時間を要して経済的にも困難であるので, 当港では水圧式波高計と同時記録せしめ得る追測式波高計を作りその対比を試みた。尚誤差のチユック用として地上測定機を併用した。以下はその方法の概要と観測結果について述べたものである。
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